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2024年3月の読書メーターまとめ

かわかみ
読んだ本
13
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3421ページ
感想・レビュー
13
ナイス
143ナイス

2024年3月に読んだ本
13

2024年3月にナイスが最も多かった感想・レビュー

かわかみ
モラハラやパワハラに似ているが、より普遍的かも知れない、自分の心の闇の心情や理屈を周囲に押し付けるハラスメントを呪われた家族という形で実体化してみせた小説。転校生、団地の隣人、会社の同僚、小学校の班長とそれぞれ独立した話を一つに繋げて語るのは、さすが辻村深月である。この闇には伝染性もあり、一種の輪廻転生さえするのだが、登場する人物の心理や行動が理解できてしまう。その分、怖さとうす気味悪さが増すというもの。いちおう結末はハッピーエンドの形にしているが、モヤモヤとしたものが残る。
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2024年3月にナイスが最も多かったつぶやき

かわかみ

2024年2月の読書メーター 読んだ本の数:14冊 読んだページ数:5097ページ ナイス数:179ナイス ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/1038892/summary/monthly/2024/2

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2024年3月の感想・レビュー一覧
13

かわかみ
ネタバレ足利将軍と守護大名による治世が乱世に陥ったきっかけは応仁の大乱だった。本作は、この大乱の経緯を足利義視、日野富子、細川勝元そして足利義政の近習であった寺男の視点から、それぞれ描いている。特色は、少しミステリー仕立てになっていて乱が長引いて室町幕府の屋台骨が揺らいだ影の仕掛け人を足利義政として最後に謎解きをしている点である。義政は暗愚なのではなく、亡父義教のような剛腕を奮うことも叶わない政情と幕府に見切りをつけ深慮遠謀を巡らせた英明な人物としている。もちろん苦笑を禁じ得ないフィクションだがユニークである。
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かわかみ
五賢帝時代にトラヤヌスとハドリアヌスがローマの平和を築いたお陰でアントニヌスの時代は平穏に過ぎた。しかし、哲人皇帝マルクスは帝国の防衛線で火を吹いた治安の悪化に対応する日々を過ごした。内乱を未然に防ぐために息子のコモドゥスに後を託すも彼は失政の内に暗殺された。混乱の末にセヴェルスが帝位に就いたが、軍人の待遇改善が後に軍人皇帝時代へと道を開いてしまい、パルティアを攻略することでササン朝ペルシャが帝国の安全保障に影を落とすきっかけをつくった。そして、セヴェルスの後を継いだ息子がカラカラ帝であった。
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かわかみ
綺麗で勉強もできて優しい隣のお姉さんへの憧れを軸に主人公が小学生から大学生に至る間に経験した不思議な事件をお姉さんが解決していく様を描いたちょっと甘酸っぱいミステリー。日常の謎がほとんどだが最後に殺人事件が出てくる。トリックよりも登場人物たちの心情や動機が気になったが、ちゃんと辻褄が合う説明がなされている。作者が遊びで入れている注釈が面白かった。
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かわかみ
モラハラやパワハラに似ているが、より普遍的かも知れない、自分の心の闇の心情や理屈を周囲に押し付けるハラスメントを呪われた家族という形で実体化してみせた小説。転校生、団地の隣人、会社の同僚、小学校の班長とそれぞれ独立した話を一つに繋げて語るのは、さすが辻村深月である。この闇には伝染性もあり、一種の輪廻転生さえするのだが、登場する人物の心理や行動が理解できてしまう。その分、怖さとうす気味悪さが増すというもの。いちおう結末はハッピーエンドの形にしているが、モヤモヤとしたものが残る。
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かわかみ
インフラの整備をローマ人たちは言わば国家百年の計として実施したようだが、そこが非常にローマらしくて他の文明と違う特徴かも知れない。ハードなインフラとしては道路と水道、ソフトなインフラとしては医療と教育について特に重点的に解説している。
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かわかみ
本巻は五賢帝の時代を記す。改革者だった二人の皇帝「ダキアを征服することでドナウ河防衛線の強化に成功したトライアヌスと、帝国全域を視察することで帝国の再構築を行ったハドリアヌス」の「後を継いだアントニヌスの責務は、『改革』ではなく、改革されたものの『定着』にあった」。アントニヌスの望んだ統治とは「ローマ帝国は一つの大きな家であり、帝国内に住む人はこの大家族の一員であるということの確立であった」。
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かわかみ
心の澱から意外な結末に向かう8つの短編。①同級生の女子から降霊会を仕掛けられる男子高校生の闇②妹への劣等感から異国で暮らすことを選んだ女性の気づき③異国へ渡ってから祖母の夢を見るようになった女性④他人の物が欲しくなる病的心理を抱えた女性⑤都会に出て一人暮らしを始めた女性が経験する不審な出来事⑥暗い過去をもつ女が旅先のホテルで知り合った女性に抱いた憧れ⑦教え子の女子学生から一族の不思議な死について相談された人類学者の女性⑧美化して考えていた妻に逃げられた作家に訪れた新たな出会い。バラバラに書かれた苦い話。
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かわかみ
2011年頃に買って鑑賞した本だが、最近、かたづけものをした時に見つけて、もう一度眺めてみた。日々の生活で、社会で、感じる不条理や無常、そしてそれらに対峙しようとしても無力感で終わる。そんな思いをSF的な発想の絵で表現した絵本。全体に暗いトーンの絵なのだが、他方でどこか人肌のぬくもりを感じるところが不思議だ。主人公は自分の部屋で赤い木を見つけて終わるが、木は神話や錬金術で生命や成長の象徴であり、赤は生命の象徴の火を代理しているのかも知れない。希望を捨てずに生きなければいけないというメッセージか。
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かわかみ
折りたたみ自転車をたたんで電車に乗って日本各地をサイクリングする実践をコミカライズした本。ノウハウを指南する本でもあり、絵と写真を混じえた紀行コミックでもある。眺めているだけでも、旅をした気分を楽しめる楽しい本だった。
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かわかみ
ネロ帝が自滅した後で、帝位を狙ったガルバ、オトーが倒され、ウィテリウスが帝位に就いたが怠惰に過ごし、ヴェスパシアヌスが内乱を制してフラウィウス朝を開いた。 (ヴェスパシアヌスがエジプトに留まった間、彼の代わりに実質的にローマの施政を担ったムキアヌスの身の処し方の見事さにも感心する。) アウグストゥスが始めた帝政を成文化するなど皇帝権力の強化を図ったが、子息のティトス、ドミティアヌスがそれぞれ不慮の死を迎え、再び混乱を経て、五賢帝の時代へと時代は移っていく。およそ紀元1世紀のことであった。
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かわかみ
カエサル、アウグストゥスの後を継いで帝国の統治を堅実に進めた二代目皇帝ティベリウス。アウグストゥスと異なって軍事の才覚があった上に、名門貴族の出身であり、ノブリス・オブリージュを発揮して厳正に国家のために働いた。その治世の間、パックス・ロマーナを享受できたのにローマ市民からは人気がなかったとされる。カエサルが信長と秀吉に相当する仕事をしたとすれば、アウグストゥスは家康で、ティベリウスは徳川秀忠に相当するのかも知れない。⇓
かわかみ
2024/03/04 12:36

しかし、三代目カリグラは家光というわけには行かなかった。彼のポピュリズムにより財政は危機に瀕し、外交面でも一神教徒であるユダヤ人の統治に失敗するなど、失政の内に親衛隊により暗殺された。まだ28歳であった。四代目皇帝には歴史学者であり政治にも軍事にも経験がないクラウディウスがティベリウスの血筋からカリグラを暗殺した軍に推戴されて就任した。50歳の学者皇帝は地味ながらカリグラによって傾いた帝国の財政を再建し、ブリタニア遠征ほか安全保障に心を砕き、港湾の整備に力を注いだ。13年の治世は突然の死で途切れた。⇓

かわかみ
2024/03/04 12:49

クラウディウス帝の突然の死は、妻による毒殺ともされるが、後を継いだ若い皇帝ネロを最後にアウグストゥスが始めた「ユリウス・クラウディウス朝」は崩壊した。ネロは悪政ばかりではなかったが享楽的で政治的に暗愚な面があり、元老院と市民が権力委託の承認を取り下げ、軍団が忠誠宣誓を拒否したことによってタダの人になり自裁に追い込まれた。塩野氏はタキトゥスを援用し、歴史家としては評価しているのだが、本巻の最後に、ローマ人なのにローマ皇帝の悪口ばかり書くのは、まるで先進国の左派知識人のようだと嘆息したのは面白い。

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かわかみ
昭和2年に雑誌「新青年」に掲載された鉄道ミステリー。時刻表ミステリーだが、一般には戦後に発表された松本清張の有名な「点と線」が元祖とされているらしい。それに対して鮎川哲也の「ペトロフ事件」の方がもう少し早いという意見もある。本作は短編ではあるけれど、松本清張や鮎川哲也よりも、ずっと早い昭和の初めに発表されているわけで、こちらが嚆矢であると言ってもよいのかも知れない。ただ、申し訳ないが、この作家の名前も登場する名探偵・上野陽太郎の名前も初めて知ったしだい。
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かわかみ
宮沢賢治の寓話二篇を収めたオーディオブックで市の電子図書館から借りて聴いてみた。あくまで一つの解釈だけれど、「ツェねずみ」は自分が弱者だという立場を強調して他人に償いをゴネることを正当な要求だと考える鼠が孤立して最後に自分の欲で身を滅ぼすお話。「どんぐりと山猫」は、人に上下や優劣をつけて考えることの滑稽さと同時に、あるがままでよいのだと競争や勤勉を否定することの無益さも示したお話。この作品は賢治の教員としての経験が反映されているらしい。なかなか味わいがある。
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ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2019/08/18(1779日経過)
記録初日
2007/05/13(6259日経過)
読んだ本
812冊(1日平均0.13冊)
読んだページ
203209ページ(1日平均32ページ)
感想・レビュー
812件(投稿率100.0%)
本棚
23棚
性別
現住所
東京都
URL/ブログ
https://note.com/mshr3033
自己紹介

会社勤めをリタイアして、東京の多摩地域で悠々自適の日々を送っています。 趣味として、クラシックギターを下手の横好きで習っています。

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