2024年2月の読書メーター 読んだ本の数:14冊 読んだページ数:5097ページ ナイス数:179ナイス ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/1038892/summary/monthly/2024/2
しかし、三代目カリグラは家光というわけには行かなかった。彼のポピュリズムにより財政は危機に瀕し、外交面でも一神教徒であるユダヤ人の統治に失敗するなど、失政の内に親衛隊により暗殺された。まだ28歳であった。四代目皇帝には歴史学者であり政治にも軍事にも経験がないクラウディウスがティベリウスの血筋からカリグラを暗殺した軍に推戴されて就任した。50歳の学者皇帝は地味ながらカリグラによって傾いた帝国の財政を再建し、ブリタニア遠征ほか安全保障に心を砕き、港湾の整備に力を注いだ。13年の治世は突然の死で途切れた。⇓
クラウディウス帝の突然の死は、妻による毒殺ともされるが、後を継いだ若い皇帝ネロを最後にアウグストゥスが始めた「ユリウス・クラウディウス朝」は崩壊した。ネロは悪政ばかりではなかったが享楽的で政治的に暗愚な面があり、元老院と市民が権力委託の承認を取り下げ、軍団が忠誠宣誓を拒否したことによってタダの人になり自裁に追い込まれた。塩野氏はタキトゥスを援用し、歴史家としては評価しているのだが、本巻の最後に、ローマ人なのにローマ皇帝の悪口ばかり書くのは、まるで先進国の左派知識人のようだと嘆息したのは面白い。
会社勤めをリタイアして、東京の多摩地域で悠々自適の日々を送っています。 趣味として、クラシックギターを下手の横好きで習っています。
この機能をご利用になるには会員登録(無料)のうえ、ログインする必要があります。
会員登録すると読んだ本の管理や、感想・レビューの投稿などが行なえます