自由交易は相互の繁栄を生むが保護主義は貧困を生む。マルサスの危機は人口増加ではなく専門化の衰退で起こる。化石燃料がなければ19世紀のイギリスの奇跡は不可能だった。現代の二大悲観主義-アフリカと気候変動。交換と専門化によって自発的に起きる秩序、カタラクシー（ハイエク）は21世紀も拡大し続ける。急速で過激な気候変動が起きる確率、一番可能性の高い気候変動による正味の損害の生起確率、人類が何も適応しない確率、長期的に見て新たな低炭素エネルギーテクノロジーが一つも出現しない確率は何れも低い。人類は繁栄を続ける。

お金の増やし方について書いて欲しいと依頼され「減らし方」を本にする森博嗣さんw 天邪鬼と自己評価しているがお金の本質は減らし方にあると考察した結果だろう。減らし方とはつまり、「使い方」であるから至極当然だ。また「消費」についても自分の満足を得ることが最終目的であり仕事とはそもそも自分のエネルギーと時間を提供し、お金を得る交換である。お金の話は自分にとっての「価値」の話だ。必要だから買うものより欲しいから買うものが価値が高いのでは？お金の増やし方として最も有効なのは自分自身の仕事能力を高める、つまり勉強。

再読。また泣けた。以下引用「人生で起こるどんな問題も、何か大切なことを気づかせてくれるために起こります。そして、あなたに解決できない問題は決して起きません。あなたに起きている問題は、あなたに解決する力があり、そしてその解決を通じて大切なことを学べるから起こるのです」ゆるすためのステップ【1】“ゆるせない人”をリストアップする【2】自分の感情を吐き出す【3】行為の動機を探る【4】感謝できることを書き出す【5】言葉の力を使う【6】謝りたいことを書き出す【7】学んだことを書き出す【8】「ゆるしました」と宣言する

説明のリーチ/実在に近づく/われわれは口火だ/進化と創造/抽象概念とは何か/普遍性への飛躍/人工創造力/無限を望む窓/楽観主義(悲観主義の終焉)/ソクラテスの見た夢/多宇宙/悪い哲学、悪い科学/選択と意思決定/花はなぜ美しいのか/文化の進化/創造力の進化/持続不可能性（見せかけの持続可能性の拒否）/始まり-並行宇宙の解説が白眉。「代替可能性」こそ量子物理学の革新、時間とは「もつれ」現象である。実証主義・言語哲学・ポストモダンを一刀両断。政治に関しては比例代表制より相対多数制を。問題から「より良い問題」へ

再読。心の中の思いが私たちを創っている/私たちは自分の思いによって創り上げられている/人間は思いの主人であり人格の制作者であり環境と運命の設計者である/あなたはあなたがなろうとする人間になる/気高い心は時間を従え空間を征服する/疑いや恐れはいかなる達成にも役立たない。それらは私たちを常に失敗に導こうとする/私たちの環境もまた他の誰でもなく私たち自身のもの/搾取する人たちと搾取される人たちは互いに協力し合っている/成功を手にできないでいる人たちは自分の欲望を全く犠牲にしていない/穏やかな心はこの上なく強い/

人類ホモ属の出現を促したのは火の使用と料理の発明であった。料理は食物の価値を高め、私たちの体、脳、時間の使い方、社会生活を変化させた。私たちは「料理をするサル」である。ホモ・サピエンスは生食に適応しておらず生の食物を容易に消化吸収できない。料理は噛みやすくするため、消化をより速く容易にするため。歯のサイズ減少、胃腸の容量減少、体のサイズの大型化、木登り能力への適応を喪失。料理の始まりはホモ・エレクトスが出現した時期と一致する。料理が食物の栄養価を高め消化しやすくし、火の使用が地上で眠ることを可能にした。

どれくらい自分が困っているかが、その人の能力なのである/わからないことを沢山抱えている状態はけっして悪くない/歳を取っても自分の知識に立脚せず、経験を活用しないような思考を心がけることがよろしい/稚拙であれ、未熟であれ、幼稚であれ/僕の親父は子供の頃の僕に「頑張るな」と教えてくれた/多視点から観測し、それら其々の立場から考えることが客観的な思考となり、「総合的」あるいは「科学的」な考察が可能になる/革新的なアイデアをいつも思いつく人は自分とは関係がないもの、反対のものを見ている/生きることは虚しく楽しい。

宗教とは行為形態である。俗なるものと聖なるものとの区別を意識した合目的的な行為の形態である。行為形態には世界観、手段、目的の三つの要素がある。「空の思想」はインド仏教において生まれた。二～三世紀の大乗仏教の大成者竜樹によって仏教の中心的思想となる。「中観論者」神もなく自己も世界もない。「縁起なるものをわれわれは空性という。それは、仮説であり中道である」般若心経の「色即是空、空即是色」は俗なるものとしての色が否定されて聖なるものとしての空性に至り、空性の力によって色が聖化された俗なるものとして生まれ変わる。

「事件」とは原因を超える結果。全ての安定した図式を覆すような新しい何かが突然出現する。世界の内側で起きるものではなく、我々が世界を知覚し世界に関わるときの枠組みそのものが変わること。キリスト教は最初唯一の〈事件〉の宗教である（キェルケゴール）。急進的な脳科学と無我という仏教の観念は繋がっている。自由意志を持った自己などない。西洋哲学史上、重要な哲学者はプラトン、デカルト、ヘーゲルしかいない。この三幅対は客観-主観-絶対に対応する。ラカンの三幅対は想像界-象徴界-現実界。過去の完結性と遡及的な変更する力。

自由交易は相互の繁栄を生むが保護主義は貧困を生む。マルサスの危機は人口増加ではなく専門化の衰退で起こる。化石燃料がなければ19世紀のイギリスの奇跡は不可能だった。現代の二大悲観主義-アフリカと気候変動。交換と専門化によって自発的に起きる秩序、カタラクシー（ハイエク）は21世紀も拡大し続ける。急速で過激な気候変動が起きる確率、一番可能性の高い気候変動による正味の損害の生起確率、人類が何も適応しない確率、長期的に見て新たな低炭素エネルギーテクノロジーが一つも出現しない確率は何れも低い。人類は繁栄を続ける。

私たちの善意はなぜ空回りするのか。多様性＝ひとり一人がそれぞれの物語を生きている。ケアとは他者の大切にしているものを共に大切にする営為全体。利他とは自分の大切にしているものよりも他者の大切にしているものを優先すること。傷とは大切にしているものを大切にされなかった時、大切にできなかった時に起こる心の動きおよびその記憶。他者とは異なる言語ゲームを生きてるため、善意は空転するが言語ゲームを続けることで間違いではなくなる。＜新しいもの＞はそれ自身の可能性、原因を遡及的に創造する。踊れ跳べ。言語ゲームを書き換えよ。

進化軸を通して人間の理解を統合する試み。進化心理学。著者は「普遍的な人間の本性」の探究において自然科学の概念的一貫性をもって新たな仮説創出を展望する。三項表象の理解と共同幻想が文明を可能にしたと考察。ハラリのサピエンス全史の「認知革命」では 虚構として論じられた観点である。ヒトの生物としての潜在寿命は昔から長い。繁殖戦略のK型（少産少死）とr型（多産多死）。三次元空間認知と物体配置記憶には性差がある。進化ゲーム理論により個体同士の競争戦略が説明されるが問題は利他行動である。ヒトは非常に協力的な種である。

コロナ禍の時に度々参照されたイタリアの政治哲学者アガンベン。パンデミックに対する倫理的・政治的な論考は賛否両論。著者は外出・移動禁止や集会の禁止、近親者が亡くなっても葬儀もできない「例外化措置」を激しく批判。主権的権力はコロナ騒動を好機とし、例外状態を成立させ（行政権が立法権の代わりとなった）、継続させようとしている。医学と結託し私たちの生を純粋な生物学的な実体と社会的・文化的・政治的な実存に分割した。健康教とも言うべき「バイオセキュリティ」が今まで実現したことのないレベルで自由・人権を制限したのである。