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2025年1月の読書メーターまとめ

Sakurakunnn1
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感想・レビュー
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2025年1月に読んだ本
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  • 青乃108号

2025年1月にナイスが最も多かった感想・レビュー

Sakurakunnn1
ネタバレ波多野の一人称視点が進む過程で、事件当時を振り返るインタビュー者は波多野か嶌だと透ける。巧妙なのは読者の思考が真犯人は=その人物しかありえず、波多野ではないから嶌、と誘導されていくところ。時間軸が現在となり嶌の視点で自身が犯人ではないと“自白”が入るところで驚嘆する。さらに物語は嶌の調査により、貶められた学生たちの名誉を回復するところまで至る。逆転につぐ逆転に、言葉もない。作品の伸は一貫して人の評価の難しさとブレない。歩みの遅さや乗る車を選ぶ点、部屋のどこかが暗いといった細かな伏線の散りばめと回収も見事。
が「ナイス!」と言っています。

2025年1月の感想・レビュー一覧
15

Sakurakunnn1
ネタバレ密室からの脱出トリックは心理的に実行が疑わしく、見立ての大時計のくだりは機能していない。意味ありげに出てくる霊能者も活躍せず。霊の存在は冒頭で示されているが、真相に直結しない、故にだからどうしたという感じ。後半のスプラッターも意味不明で、ならば皆が寝ている間に事に及べば良い。そもそも類に疑いを向けても、警察を欺けない以上無意味では。終盤は推測のオンパレードと、ここも感心しない。何よりもカーの名作をトリックも上げてネタバレしているが、一体どういうつもりなのか。先にカーを読んでいて良かったと心底思う。酷過ぎ。
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Sakurakunnn1
ネタバレメタ読みで男の正体が石岡であろうと見当を付けるも、「益子秀司」の免許証が出てくる下りで混乱させられる。記憶喪失の彼が自身を益子だと思い込まされ、良子と異邦の生活を営むうちに植え付けられていく、偽の過去と復讐心…という話は壮大で、本格とはかけ離れているものの、評判通り面白かった。特に「既に一人殺している」と誤認させることで、殺人のハードルを下げるという発想は悪魔的だ。出会って間もない友人のために命をかけ、鉄の馬に跨って現れる男、御手洗。本作はそんな御手洗の漢気への、石岡の謝意が込められている。
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Sakurakunnn1
ネタバレ四拾年前の未解決事件への挑戦。冒頭の手記の記述者(とされる)平吉が殺された後、手記の通りに娘たちが殺され、身体の一部が切り取られた六人分の死体が見つかる。娘の身体を使って完璧な女を造るという悍ましい計画が刷り込まれている為か、読者は“平吉生存説”を引きずり、死体の数を誤認させられていることに気が付かない。別人の死体の偽装とは違う、異色のトリックであろう。終わってみればシンプルな大技を悟らせず、終わりまで一気に持っていく作者の力が凄い。「金田一少年」でネタバレを喰らっていなければ、人生ベスト10かも。残念。
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Sakurakunnn1
ネタバレ登場人物と設定の情報量が多く処理に難儀した。今回の争点は「どちらの探偵の推理が尽きるか」であり、「何が真実か」は問題ではない。よって事件が不実咲を陥れるために“作られた”ことも問題とされず、都合の悪い証拠の隠蔽が正当化されているのが面白い。なりすまし行為が禁止されているのはアカデミーの「生徒」だけであり、既に退学していた生徒を利用することで人数誤認トリックを成立させる作者の手腕は素晴らしいし、不実咲が他クラスとの共闘し、ぐうたら娘・祭舘の世話を焼いたことが陰謀を打ち破る突破口となるのは良く出来ている。
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Sakurakunnn1
ネタバレ冒頭の一文に居住まいを正す。男の無実を証明し得る「幻の女」はどこにいるのか。死刑執行というタイムリミットが、作品に緊迫感を与えている。男の親友と恋人は女を探し奔走するも、あと一歩というところで手がかりを持つ者が死に、望みが潰えていく。メタ的な視点を持てる読者は、ロンバードに疑いの目を向けるだろう。本書が巧妙なのは、真犯人であるロンバード自身も「幻の女」を本気で探していることが煙幕になっているところだ。最後のキャロルの活躍は痛快で、刑事の纏めも見事。…三二歳の男は、二五歳の時に友達だった男とは別人だ。ああ。
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Sakurakunnn1
ネタバレ戦前、戦中、戦後三つの時代に存在した三軒の妓楼で起こる、三つの連続身投げ事件という括りと、初代「緋桜」として生きた桜子の日記から始まる物語に惹き込まれた。二代目、三代目の「緋桜」が同一人物、つまり一人三役が判明することで、不可解だった点と点が結ばれる。二代目・染子が妓楼の間取りを把握している描写や刺青など伏線も十分だし、章ごとに語り手を交代させることで煙幕を張るのも良い。但し優子が目撃した幽女の正体や、多くの身投げ事件が事故、自殺に過ぎないのは肩透かしを喰らう。その後の桜子の人生に幸あれ。
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Sakurakunnn1
ネタバレ言耶の仮説により、巫女は生死に関わらず、自身又は犯人、つまり「人の働き」で祭壇の間から出たとミスリードされていき、巫女がヨガの知識を活かして脱出したという仮説に一応の説得力が生まれる。しかしそれも巫女自身の体系の変化が指摘され、現実性を喪失する一連の流れが興味深い。また、“犯行後”は雨により余計なモノが大烏の口に流され、“後始末”が為される点や、先々代が儀式を行わなかった点など、結末を補強する情報は周到に準備されている。しかし…鳥葬って本当に綺麗に骨だけ残るんか。匂い禿鷲の集まり方でバレそうである。
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Sakurakunnn1
ネタバレ事件の鍵を握る龍璽宮司が情報提供を拒み、警察への通報の妨害、偲の監禁により事件の密閉と期限が作られる。儀式の“緩やかな生贄”はダミーで、鶴子が蔵の中に入れられていないことから即効性のある“本当の生贄”が浮かび上がる点、樽に入れられた小夜子が本人も意図しないまま犯行現場への侵入を果たしてしまう点が素晴らしい。反面、正一が見る怪異は(本人の能力の弱さもあり)はっきりしないこと、龍璽からすれば犯人と真相が明らかであり、言耶に依頼するまでもなく、配下に命じて捜索すれば良かったのではという疑問がしこりとなった。
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Sakurakunnn1
ネタバレ言耶と事件の中心人物たちが面識のないまま連続殺人が進み、解明を遅らせる。また、犯人側でなく被害者側が一人二役を演じていること、立一らの消失と殺害時期のずれが、ダミーの真犯人(将夫)を経由して浮き彫りになる所がキモ。他作品と比べ、忌み山という場所への恐れが核のため、山魔が本当にいるかもしれない怖さは薄かった。また、郷木靖美を真犯人とするのは力業に感じる。靖美を知る人物は胆武と会っていない(ハズ)なので、整合性は見事に取れているのだが。他の女の話になるとご立腹な偲さんが可愛い。
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Sakurakunnn1
ネタバレタイトルから既にミスリードされている。早々と仕訳表を作り満足する者は、冒頭で嵌められてしまう訳だ。とはいえ読者に明かされていない札がJOであることは見抜きようがない気がして、後出し感を抱いた。交換殺人の綻びが「行き掛けの駄賃にと奪った金が偽札だと気付かない凡ミス」であること、楢崎が「口だけの根性なし」だから担当の殺害が未遂に終わったという推測を行うのはしんどいことがイマイチこの作品に乗れなかった理由かと思う。安楽椅子探偵が結論を出すのではなく、ああかもしれない、それとも、と推論を重ねるのが好みではない。
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Sakurakunnn1
ネタバレ作中作の著者自身(高屋敷妙子)は犯人でないことが「はじめに」で明言されるも、これ自体伏線である。二四章からの“犯人による著者交代”には、完全に虚をつかれた。顔の無い死体の定石を警戒して読み進んだはずなのに、首切りの必要性も、誰と誰が入れ替わっているのかも全く掴めなかった。完全密室と入れ替わりにつぐ入れ替わりにより複雑に絡み合った事件が、作中の言耶(?)も示す「たった一つの真実(長寿郎と妃女子の入れ替わり)」に気づくことで、糸がほつれる様に解決するのが素晴らしい。読み終わってから編者の記に戻ると、再度驚愕。
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Sakurakunnn1
ネタバレ読者は「回し書きの作中作」と作品にリンクした「手記」「イブや小枝の戦中戦後の日常」を読んでいく。書き手を誤認させようという作者の意図は何となく察せられるものの、書き手の正体が誰であるか、そして物語の本筋が何であるかを真に悟れぬまま、項を繰る手だけが進んでいく。暗中模索の読者に無中で読ませる、その力が物凄い。年頃の少女故の妖しさ、心の内の怖さ、同級生への人物評の厳しさは、女性作家にしか書けないだろう。「塔」の作者が示す”貴女”に見当がついた瞬間、真相へ直結し、最後の設楽の”断罪”に衝撃を受ける。
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Sakurakunnn1
ネタバレ本筋と関係の無い蘊蓄、まわりくどい地の分と台詞に辟易。世界の料理長を集めただけあって登場人物の数は多いものの動かしている駒が少なすぎ、容疑者として機能しているのは僅か。白人が黒人に仮装していたので「姿を見たが特定出来ない」という逃げ道も納得しかねる。「ダンスの曲が鳴っている間は殺害現場に人が入って来ない」という犯行計画だが、心理的に犯行が可能か甚だ疑わしい(実際に目撃者が出ている)。初のネロ・ウルフものだが次を読むか迷う。グダグダと長い会話にユーモアを感じ取れず、本当に人気の褪せない古典なのかも疑問。
が「ナイス!」と言っています。
Sakurakunnn1
ネタバレ波多野の一人称視点が進む過程で、事件当時を振り返るインタビュー者は波多野か嶌だと透ける。巧妙なのは読者の思考が真犯人は=その人物しかありえず、波多野ではないから嶌、と誘導されていくところ。時間軸が現在となり嶌の視点で自身が犯人ではないと“自白”が入るところで驚嘆する。さらに物語は嶌の調査により、貶められた学生たちの名誉を回復するところまで至る。逆転につぐ逆転に、言葉もない。作品の伸は一貫して人の評価の難しさとブレない。歩みの遅さや乗る車を選ぶ点、部屋のどこかが暗いといった細かな伏線の散りばめと回収も見事。
が「ナイス!」と言っています。
Sakurakunnn1
ネタバレコロナ禍において、外に出られない鬱憤が溜まる中、せめて本の中でも旅の気分をという作品か。旅情の描写は美しく、火村とアリスが立った地に行ってみたいと思わせるほどだが、一方で本格要素は薄い。アリバイを精査すれば疑わしきは絞られてくるからだ。また、マンションの監視カメラを搔い潜ったトリックもフィジカル一本勝負的なもので好みではない。タイプの違った美女・歌島と黛の書き分けは流石だ。作中では窮余の策と評されているものの、黛の「髪を切りファッションを変える」アリバイ工作は面白かった。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2020/01/09(1878日経過)
記録初日
2020/01/10(1877日経過)
読んだ本
254冊(1日平均0.14冊)
読んだページ
96202ページ(1日平均51ページ)
感想・レビュー
254件(投稿率100.0%)
本棚
6棚
性別
年齢
34歳
現住所
愛知県
外部サイト
自己紹介

遼来、遼来!

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