「バスカヴィル家の犬」自分の読書始めの一冊なので、こういう本は捨ておけない。次の次に挑む。
二度目のベルが聞こえなかったり、聞いてもドアを開けない人生もあるけれど、うっかりドアを開けるとたいへんなことになるんだなあ。かっこいいタイトルだ。今日初めて意味が分かったよ。
初読時に面白さが分からなかったのは、おそらく自分の「獣性」のようなものに気づいていなかったからだと思う。異性に対する激しい思慕には憧れていたが、それがどこからくるものなのかが体感できていなかったというか。「悪い」主人公たちに共感しないことは健全な社会人として暮らすのに役立つが、そういう人が二度ベルが鳴るのを聞いてドアを開けてしまうとロマンが始まる。
作家さんのXを、きっかけは忘れたけれど、フォローするようになって、ご本人の文庫化宣伝を読んだ後、無人書店で見かけて手に取った。Xでは、作家生活のリアルを読ませてもらっている。本書を読んで義理を果たした気分。
今回よりよく読めたのは、前回の後、マリー・アントワネット、ジョセフ・フーシェ、暗黒事件など、この時代を書いたをいくつか読んで知識が増えていたこともあるだろう。歴史が背景で激しく動くことも本作の大きな特色で面白さの一つなのだ。
いわゆる「抗日戦」について書かれていて登場する鬼子こと日本人は酷く醜悪すぎて、あの国の一部の人々が我が国を絶対に許さないのも仕方ないという気にさえなる。一方、中国側の醜悪な面もきちんと書いて日本憎しを殊更に言い募るようなことはしていないのも確かだ。その中で、ある残酷シーンが「ねじまき鳥」を思い出させるところがあるんだけど、「ねじまき」がひたすらにやられるだけだったのに対し、こちらはもっと複雑な事情が加味されており、その辺の味わいもこちらの方が深いと思うのでした。
本書の話は出てこないけれど、「ねじまき鳥」を含む、アジアにおける暴力性について、訂正論の東浩紀さんと経済学者の梶谷懐さんの対談、面白いです。https://webgenron.com/articles/article20221017_01
書き落としていた感想として、サピエンスの他の人類にはない組織的な動きを支えている重要な要素として「噂話」が挙げられていたのが、実はちょっとショックだった。まったく軽視して生きてきたからなあ。モリエール「人間ぎらい」の主人公を自分はバカにできないや。
小学生のころ、学級文庫にある本をどんだけ読んだか競争させられた時に本読み(名探偵ホームズ大好き)にはまりましたが(なんだ?その競争?!)、受験勉強で事実上頓挫。文学部に行ったくせに大学でもほとんど読書らしい読書をせず。20年以上前のパソコン通信参加時のミステリーフォーラム加入をきっかけに読書熱が復活して(チャンドラー&87分署!)一時1年200冊ペースで読んでましたが、今度は仕事が忙しくなりペースダウン。しかし、全く読まなくなる、というわけではなく、興味関心に従ってマイペースでやってました。
今年(2020年)のステイホーム禍をきっかけに読書メーターに出会い、再びペースアップ始めたところです。レコーディングダイエットじゃないけど、記録が残るって大切ですね。
というわけでよくいま読む本は、
経済学周辺
社会を切り取る新書類
海外文学
海外ミステリー
です。
好きな作家は…、いまは上げられないなあ。
前は素直に村上春樹(第1期全集そろえた)、って言ってましたが、アンダーグラウンド、がだめで、ダンスダンスダンスから積むだけになっちゃったんですよねえ。
プロフィール画像は、北海道旅行中すぐ近くにとまったのを撮った写真で、オオセグロカモメ、だそうです。サンダーバード@読メ野鳥の会・怪鳥さん、ご指摘ありがとうございました!
この機能をご利用になるには会員登録(無料)のうえ、ログインする必要があります。
会員登録すると読んだ本の管理や、感想・レビューの投稿などが行なえます