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2023年3月の読書メーターまとめ

Sakie
読んだ本
10
読んだページ
2722ページ
感想・レビュー
10
ナイス
360ナイス

2023年3月に読んだ本
10

2023年3月にナイスが最も多かった感想・レビュー

Sakie
意外に、最近の作品である。年頃の三姉妹を中心とした、京都に暮らす人々の日常。凛が眺める冒頭の鴨川から始まり、そこここに描かれる情景は著者の記憶だろう。暮らす人だけが見る京都、観光客に交じって見る京都の風景は現代的だけど雅だ。愛おしさがにじむ。家から徒歩一時間以内にある神社すべてに初詣に行くのが趣味で、十以上回るとか、京都に暮らしたことがない者には想像もつかない。生まれてからずっと『身体の中へ蓄え続けた京都の息吹』が素敵ね。凛の東京行きを両親が頑強に反対する辺りで万城目学的展開を予想したが、普通に外れた。
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2023年3月にナイスが最も多かったつぶやき

Sakie

久しぶりに読んだ本の冊数が買った本の冊数を上回る。つまり積読が減りました。それは端的に言って、AmazonのKindle本セールが刺さらないからです。気になって日本の古本屋さんから取り寄せる本は増えている気配…。2023年2月の読書メーター 読んだ本の数:15冊 ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/132173/summary/monthly/2023/2

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2023年3月の感想・レビュー一覧
10

Sakie
歳が離れゆくばかりの社員との対話について、時代や教育が変われば自分の年代とは前提条件が異なるだろうと、様子を知りたかったのが読む動機だった。まさか、日本に生まれ育った両親を持ちながら、母語である日本語を失った人たちがいるとは思わなかった。私たちは言葉のやりとりを通して他者とより深く意思疎通する。適切な言葉の力を持たなければ論理的に思考することはおろか、自らの気持ちを認識することもできないのだ。言語能力の個人差は以前からあることだし、機会があれば育てることができる。ただ、思っているより難しいと覚えておく。
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Sakie
水辺で石を拾う夢を見た。その後、この本を見かけて買ったのは必然だった気がする。思うに、石は丸っこいのが好ましく、"なんかいい感じ"のものを全身で探したく、なにより無為なところがいい。とするとヒスイ海岸はいずれとして、より身近では川よりは河口、海、瀬戸内海よりは太平洋、日本海なのだな。『そんな石、どこにでも落ちてるだろ、と思う者には、今後おそろしい災禍がふりかからんことを』とか『このいまいましい女が、石の素晴らしさを目の当たりにして打ちのめされんことを願い』など、ダーク宮田が顔をのぞかせる。んんん。
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Sakie
狂ってる。読むに堪えないと絶望しながら読み進めた。国家政府と巨大企業のタッグの前では、暮らしを守りたい個人の気持ちははあまりに無力に思える。このコロナ禍やウクライナ有事は、世界がこじらせた歪みを正す機会になるのだと私は思っていた。しかし世界のテクノロジー企業はほくそ笑んで着々と布石を打っていたのだ。私たちの「食べるものを選ぶ権利」は潰えるのか。終盤では癒され勇気づけられる思いがする。トップの姿勢がそれならば、私たちが正しい知識と倫理のもとにボトムアップでやっていくしかない。叡智がまだ残っているうちに。
Sakie
2023/03/28 11:56

『脱炭素なら牛と牧草のタッグが最強です』。牛の群れを自然の中を遊牧させる酪農は日本でもあちこちにある。正しく育てれば牛は救世主であると各国の人々が言う。誰が工場で培養された牛肉やら3Dプリンターで整形した寿司ネタやらコオロギやらを食べたいだろう。そして今生きている牛を潰せば補助金を出すと農水省は言うのだ。人工的な生産物で稼ごうとしている大企業の摺り込みは無視して、肚を据えて、正当に育てた野菜や肉を選ぼう。問題は、すでに食べ物の値段が狂っていて、これまでとの相対的な感覚で「高い」と感じてしまうこと。

Sakie
2023/03/28 11:56

なぜこんな表紙なんだろう。損をしているように思う。堤さんは真っ当なジャーナリストであり、アメリカ居住中に崩した体調を帰国して取り戻した体験がこの本を書くきっかけになったという。内容はいたって正当に事実を積み重ねたものである。ただ、どの著作も国家政府にも大企業にも不都合な事実満載なので、良い扱いを受けないであろうことは察せられる。伴侶は川田龍平参議院議員、ローカルフード法成立を推進しているとのこと。そう、志ある議員も企業もあるのだ。小さな活動に合流して、私たちの食べ物を取り返しましょう。

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Sakie
1977年の小説。主人公の言葉づかいも行動も現代からするとだいぶ違和感はあるも、時代も時代、女性が寿退社じゃなく退職して中東へ旅立つなんて、時代に先駆けた生き方を描いた。主人公の年齢設定は三十路。燃える「秋」って女性の年齢のことを暗喩しているのかな。この小説を手に取ったのは、私にもペルシャ絨毯に対する憧憬があるからだった。重量感のあるその存在を、見つめ、色に陶酔し、緻密さに驚愕し、携わる人々が費やした年月に尊崇の念を抱く。いいなあ、イラン行きたい。絨毯にまつわるイラン人の美学を想って、よしとする。
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Sakie
土についてもっと知りたくて2冊目。前作とアプローチが違う。地質や気候によって岩石から生まれた土が、少なくとも数百年の時間をかけて土壌になる。それは植物や昆虫、微生物、人間が足し算引き算でその土その土に適応してきたからなのだ。日本の土がどういうものか、なぜ山野は何もしなくても繁茂するのに畑には石灰を撒かなければならないか、ひいては農業、主食穀物と日本史、環境問題の根の深さなど、全てが繋がっていると理解できる。ここをふまえたほうが、本当に大事なものを見極められそう。「土」を考えるうえでの基本が理解できる良書。
Sakie
2023/03/22 18:10

『土の耕起は微生物の活動を活性化し、大切な土の有機物が分解されてしまった。さらに、休閑の間、作物の被覆がなくなるために、風雨による土壌侵食も深刻化した』。ここ、これから読む予定の本に繋がっていく予定。

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Sakie
メガバンク現職行員のぶっちゃけ話といえばシリーズとしては目玉かもしれないが、私にはシリーズで最もつまらなかった。なぜなら、銀行員は華々しい入社以来その世界に忙殺される。外界を知らない。支店の格とか出世レースとか俺の顔に泥とか、組織として病的とも思う。「客」の意味が他業種とは違うんじゃないか。他人様の生殺与奪の権利を握っていると誤解していると高慢さがにじみ出る。…私は銀行に恨みでもあるのか?あるんだろうな。真面目な銀行員の皆様、ごめんなさい。あなたに悪気が無いのは知っているんですけれど、共感はできません。
Sakie
2023/03/18 11:43

決算書類を取りに来る時しか顔を見ない担当とか、金融商品を売るだけ売って挨拶も無しに転勤していった上役とか、香川県で羽振りがいい方の地方銀行に入行した同級生と一緒に飲みに行ったときのこととか、嫌な記憶ばかりフラッシュバックするストレスフルな読書になった。深くお詫び申しあげますってどの件かしら。

Sakie
2023/03/18 11:52

『M銀行で30年近く働いていたことは、なんのプラスにもなりません。あなたの経歴や保有資格には魅力が感じられず、あなたの市場価値は高くありません』。人材派遣会社で言われたという。銀行のことしか知らない55歳が、自分にセカンドキャリアがあって当然と考えている事実に驚愕する。今、この状況の日本で。斡旋出向の受け入れ先が近年少なくなった理由は、他にもあると私は思いますよ。まあ、みずほ銀行ゆえの減点もあるでしょうけれど。

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Sakie
現代社会のキーワードとしておさえておきたかった本。近接分野にも触れているぶん、厚い。さて、広義に捉えてナッジは人間が一人いれば発生するので、著者の言葉を借りれば、全てのヒューマンはキュレーターである。他人に働きかけをするとき、言い廻し、伝える順番、表現方法などナッジは意識しているつもりだ。働きかけを受け取る場合も、相手の意図や世間の潮流、経済行動学的側面を読み取ったうえで決断することは多々ある。しかしそれでも、自分の意識しない領分でナッジし、またナッジされていることはあるんだなと気づき考え込んでしまった。
Sakie
2023/03/18 11:29

『持続可能性の領域などで、新しい規範が生まれつつあると人びとに伝えると、その結果として予言が現実になることがある。多くの人は歴史の流れに逆らいたくないと思っている。あることをしている人が増えているのを目の当たりにすると、それまではむずかしいと思っていたこと、不可能だとすら思っていたことを実現できると考えるようになるかもしれない。実現しないわけがないとさえ考える人だって出てくるだろう』。これは根源的に重要なことを指摘している。社会を動かすのがなべてナッジなら、他者が受け取れる形での表明は人の義務ではないか?

Sakie
2023/03/18 11:29

スラッジの塊のような行政事務処理は枚挙に暇ないが、その啓発についても「~しないようにしましょう!」「~やめましょう!」と広報カーを市内中走らせる、また警告ポスターをそこらじゅうに貼る行為を、仕事しました、ナッジでございと大きな顔をするのはいかがなものかと思う。ナッジとは人間工学同様、もっとスマートなものであるべきと私は考える。なんでもかんでも目に見える何かを予算立てて委託するのではなく、ほんとうに効果的な働きかけをこれら科学的根拠に基づいて議論し実行する、それを本来の仕事だと思ってほしい。

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Sakie
「100分deフェミニズム論」で紹介された小説。引用された『不覚な違算』は、女性が自らの意志に反して背負わされる家庭内の責務を指している。先日内閣府が発表した調査結果で、育児と介護が女性の活躍を妨げる最たるものと発表していた。それは比重が大きく、挙げやすいだけであって、個人や身内で負担しなくてよい社会システムを構築するのは重要である一方、自身の愛着や同じ女性による反感の部分が小さくないことを伊藤野枝は指摘する。自分を活かしたい根源的な欲求を満たすことの障害を含め、変わっていかないかんだろうとは思うけれど。
がらくたどん
2023/03/15 13:22

大杉栄と神近市子との三角関係から一時期浮気性とか野放図なイメージばかりが先行した野枝ちゃんの真面目でひたむきな悩みと覚悟が伝わる大好きな文章です(*^^*)「自身の愛着や同じ女性による反感の部分が小さくない」ゴルドマンに憧れながら自分の中にも解放への大きなブレーキがある事に思い至れるって凄いですよね。野枝ちゃんを読む方がいらっしゃるのが何だか嬉しいです♪ご紹介ありがとうございました(*^。^*)

Sakie
2023/03/15 17:49

良い作品でした。ほぼ自画像かなと感じました。真剣ですよね。本人の書いたものもたくさんあり、また人物像を描いた本も色々出ているので、どこから取りかかろうかと思いながらこれが初コンタクトになりました。私も野枝ちゃんて呼ぼう。かわいいお名前^^

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Sakie
『私が唾棄するのは紋切り型の理解である』。著者は福島を縦横に、歩きに歩く。人の声になった被災地の思いの聞き役に徹し、目に見えないものに耳を澄ます。一人の人の記憶にも年月の奥行きがあり、さらに先祖の記憶、集落の記憶も背負った言葉を、一人の身体で受け止められると思わない。我が事ではないゆえに感じる責務と無力感。しんどい。受け止められない事実を骨身に沁ませて、祈りはその先にあるのだろう。生き残った人間は何かをしたいと思うという。それぞれの鎮魂の作業。遺さなければ消える。だから碑であり野馬追であり紫陽花なのだ。
Sakie
2023/03/13 15:16

でも、碑すら人の都合で遷され忘れ去られるのだ。ではこの、作家の業みたいな、言葉にぐるぐる囚われたような文章なら遺るだろうか。何でもいい。大きなものじゃなくていいから、いろんなものを数多く遺しておけば、どれかは後世に伝わるのではないかと、これは複次的に言葉を受け取った者の、ささやかな祈り。

が「ナイス!」と言っています。
Sakie
意外に、最近の作品である。年頃の三姉妹を中心とした、京都に暮らす人々の日常。凛が眺める冒頭の鴨川から始まり、そこここに描かれる情景は著者の記憶だろう。暮らす人だけが見る京都、観光客に交じって見る京都の風景は現代的だけど雅だ。愛おしさがにじむ。家から徒歩一時間以内にある神社すべてに初詣に行くのが趣味で、十以上回るとか、京都に暮らしたことがない者には想像もつかない。生まれてからずっと『身体の中へ蓄え続けた京都の息吹』が素敵ね。凛の東京行きを両親が頑強に反対する辺りで万城目学的展開を予想したが、普通に外れた。
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ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2011/09/01(4644日経過)
記録初日
2010/02/14(5208日経過)
読んだ本
2340冊(1日平均0.45冊)
読んだページ
663547ページ(1日平均127ページ)
感想・レビュー
2058件(投稿率87.9%)
本棚
14棚
性別
血液型
B型
職業
役員・管理職
現住所
香川県
自己紹介

本は買って読む派。
本棚とKindleの両方で積読しています。

<ジャンルの配分目標>
フィクション(小説)45%
ノンフィクション(エッセイ)10%
ノンフィクション(ルポ、学術、趣味実用)45%
環境、自然、動物、人間、武術に関心があるみたいです。

歳を重ねるごと興味が広がり、読みたい本が増える加速度との板挟みです。できるだけ偏らないように、1冊読み終えたら違う種類の本を選ぶようにしています。
その結果、一見しっちゃかめっちゃかな選本ですが、大切にしたい核はしっかり一貫していることに、自信を覚えはじめています。

お気に入りは関心の似た方、感想に尊敬の感を持った方にしています。お義理では返しません。読み友さんの感想やつぶやきを読むのは楽しみですが、本に関係ないつぶやきが余りに多い方には、そっとさよならします。


<好きな作家リスト>
◆国内◆ 内澤旬子 内田樹 小野不由美 開高健 小松左京 佐野洋子 高野秀行 田口ランディ 種田山頭火 恒川光太郎 寺田寅彦 中島敦 中島らも 南木佳士 半藤一利 福岡伸一 森下典子 養老孟司
◆国外◆ アゴタ・クリストフ イーユン・リー オリヴァー・サックス ケン・リュウ サキ サマセット・モーム ジュンパ・ラヒリ ショーン・タン スティーヴン・キング マイケル・クライトン メイ・サートン (50音順)

<好きな出版社リスト>
亜紀書房 英治出版 光文社(古典新訳文庫) 草思社 築地書館 早川書房 ポプラ社(百年文庫) みすず書房 (50音順)

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