但し、「点や線がもつ本源的な力を把握すること。そうしてこそ、それらが平面の上に置かれたときに相互に共鳴し合い、生きた作品としての“コンポジション”が実現する」という結実としての作品群は感じるものが少なからずある。作品に結実することで点や線や曲線などが生き始めリズムを持ちアニメーション(?)し始めるのである。
「イスラム嫌悪の諍いの裏で、ポルノ映像出演という最悪の事態に見舞われた著者が赤裸々に描く自己分析的エッセイ」…フランス…パリのイスラム教事情やマスコミ事情は分からず戸惑うが、それはともかく、ウエルベックがポルノ出演にびっくり。彼ならさもあらんなのか。実に馬鹿げていて愚かしくて、その意味で実に面白かった。ウエルベックらしいと云えばそうなのかも。ファンなら楽しめるかも。
本書を読んで、ふと、昨年だったかに読んだ、ポール・ナース 著『WHAT IS LIFE?(ホワット・イズ・ライフ?)生命とは何か』(竹内 薫 訳 ダイヤモンド社)のことを思い出してしまった。
そんな中、本書はやや毛色が違う。数式を使わずには同じだが、「感染症の蔓延から検査の偽陽性・偽陰性、ブラック・ライブズ・マター運動や刑事裁判のDNA鑑定、結婚相手選びまで。数々の事件・事故のウラにある数学を解説する」というように語る題材を社会や政治、経済、風俗など我々に関わる事象を通して、まさに「事件・事故のウラにある数学を解説」を示してくれる。
扱い方理解の仕方を過つととんでもない陥穽に嵌ってしまう統計の詐術。感染症とワクチン注射の是非、テレビなどの宣伝広告の危うさ…。 それはともかく読んで興味深く書いてあって数学読み物として楽しめた。 (以下、略)
パブロ・エスコバルやらメデジン・カルテルなどが<活躍>した麻薬戦争の舞台コロンビア。あまりに悲惨苛烈な戦争の舞台。化粧…整形…行きつく先の宇宙整形! 女性は苛烈な整形志向。脂肪吸引。ボトムアップなのか過激なバストアップ。男性は暴力に突っ走る。背後に欧米の影がちらつく。”おとぎ話”の舞台のコロンビアとして描く手法を選んだのだろうか。
「大正時代、蛔虫退治で評判を取った初代。軍医としてフィリピン戦線を彷徨った二代目。高齢者たちの面倒を見る三代目。そして肥満治療を手がけてきた四代目の「ぼく」はコロナ禍に巻き込まれ――。」というもので、「現役医師でもある著者が、地方に生きる医師四代の家を通じて、近現代日本百年の医療の現場を描く」
ドキュメント風な一族の記録の書か。 町医者という存在は、今や貴重な存在じゃなかろうか。勤務医も大変だろうが。 小説新潮での連載だったようだが、解説も何もないのが味気ない。
長くキリスト教の桎梏下にあった。旧教下にあっても学術や芸術の積み重ねはあったが、ルネサンス期、権力者らに抗いながら、古代ギリシャやローマ文化の精華を懸命に再発見し向き合おうとした。読書は古代の偉人との対話であり勇気を以て知や美の先端に立つこと。 読書は偉人らとの対話である以上に自らとの対話、想像力の渦中に生きること。
高校時代だったか、ショーペンハウアーの『読書について』を読んで、ある件にショックを受けた。彼曰く、「「読書とは他人にものを考えてもらうことである」! 当時は反発心すら覚えたものだったが、今ではそれすら難易度の高いこととつくづく自覚させられている。油断するとすぐに安易な発想に溺れ込む軟弱なる自分。世の先賢の𠮟咤激励を受けつつ、今日も読書に励むのだよ。
海外での勝ち組…みんなが成功するわけもなく。とはいっても、日本では埒があかない悲惨。ラーメン店、寿司屋など日本での倍の売り上げ。とにかくチープな日本の現実は、海外からの旅行客増大に歴然。
彼らの論調を嫌う向きもあろうが、筆者らは、誹謗中傷は元より命懸けで言論活動してる。実際テロに見舞われた論客も居る。こういった硬派な方々はテレビなどには呼ばれない。本を買って読むのは、吾輩なりのささやかな応援でもある。
とにかくどちらも素養の広さ深さがとんでもない。ロヴェッリには古代ギリシャ哲学者らの斬新な理解で蒙を啓かれたし、グリーンには物理学や数学の本筋を外すことなく、「なぜ物質が生まれ、生命が誕生し、私たちが存在するのか? 進化する宇宙は私たちをどこへ連れてゆくのか? ビッグバンから時空の終焉までを壮大なスケールで描き出す!」といった探求を果てまで導いてくれた。意識や精神、哲学や音楽などの芸術、宗教を追求しつつも、間違ってもスピリチュアルな安易な道に逸れて行ったりしない。
まあ、文学ではないのだが、どちらも詩的文章が堪能できるのも他では得難い書なのである。吾輩などが感想を書くなど僭越である。単なる一般向けサイエンス本を超える本を読みたいなら、読んで後悔はしないだろうとだけ断言しておく。
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彼らの論調を嫌う向きもあろうが、筆者らは、誹謗中傷は元より命懸けで言論活動してる。実際テロに見舞われた論客も居る。こういった硬派な方々はテレビなどには呼ばれない。本を買って読むのは、吾輩なりのささやかな応援でもある。