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2024年9月の読書メーターまとめ

siro
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感想・レビュー
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ナイス
162ナイス

2024年9月に読んだ本
23

2024年9月のお気に入られ登録
2

  • harunoumi0131
  • 十六夜未来

2024年9月にナイスが最も多かった感想・レビュー

siro
★★★★☆/特にこの先の人生に影響してくるような凄みなどは無いが、エンタメとして見てこの250ページの本にはとても色濃い面白さが詰まっているように思う。文章はラノベちっくで読みやすい。展開は早く、たった百ページほどで物語の岐路に立つので驚いた。やはり映画監督だからか、演出の面が飛び抜けて良い。瀧の告白をあの場所に持ってくるのは、素直に涙ぐんだ。どうやって父親を説得したのかなど描写が足りないようにも感じたが、誤魔化されるだけ勢いのある感情描写が濁流のように続いて、そのまま読み終えてしまった。面白かったです。
が「ナイス!」と言っています。

2024年9月の感想・レビュー一覧
23

siro
★★★★★+/「自分は誰よりも特別な存在だ」という気持ちは、きっと誰もが持ち合わせているものだろう。少なくとも、他人を見下すことで生きることに快感を得ている人は数多く存在している。この物語の主人公は、その対象となる人物を幼馴染である少女以外すべてに設定しており、さし伸ばされていた手を彼は幾度となく跳ね除けてきていた。誰かに認められたい、認められるべき存在なのに、自分は社会の除け者にされ孤独。その主人公の人柄は弱者男性と揶揄される人々とよく一致しており、単体の魅力として見れば、作中で言われている通り、一生が
siro
2024/09/29 15:06

端金にしかならないレベルで無いと言えるだろう。だが、この物語はそんな彼を主人公に設定した上で、確かな感動と純愛話を繰り広げている。人生に絶望している人を救えるような力強さが存在している。「失敗を知っている俺ならば、これからやり直せばどこまでも上り詰めることができる」と言う人は現実が見えておらず、彼はようやくスタート地点に立ったところでしかない、といった説教じみながらも、現実に役に立ちそうな見解が作中にはある。人の価値とはなんだろう。はじめて幼馴染ではない誰かを受け入れて変わっていく主人公の姿を見るのは、

siro
2024/09/29 15:13

とても楽しく勇気を貰える。どんな人間であろうと、確実に価値のある存在になることは可能で、落ちぶれている彼らはまだきっかけが掴めていないに過ぎない。自分も幸せになる為に変わろうと思える、力強い話だったと思います。自分の価値は、自分が作り出すものなのだと感じました。そして等しく、幸せについても。

が「ナイス!」と言っています。
siro
★★★★☆/終盤の伏線回収からの話はとても面白かったし、演出面も素晴らしく泣けるものだった。だけど、中盤に暴力描写が長らく続いて、カタルシスを感じる前に読むのが少し苦しくなってしまった。全体的に見ると、「なかったことにする能力」を話を動かすうえで上手に活用しており、陰鬱とした話が続いた中でのタイトル回収に、よい余韻を残してくれていたように思う。中盤の中だるみを乗り越えてしまえば、絶望の内での微かな幸せだったり、人間という弱い存在のあり方が読めたような気がして、心地よかった。
siro
2024/09/27 13:36

いつでも絶望が付き纏うなら、無理に抜け出そうとせず淡く曖昧な安らぎを求める。「いたいのいたいの、とんでゆけ」と、それをした所で実際に傷は治らない。けれど、確かに届く思いはあって、彼らのその行いが無意味なはずなかったのだ。タイトルの言葉にとてもマッチした、苦しくも温かい話でした。終わり方が、とにかく美しかった。

が「ナイス!」と言っています。
siro
★★★★★/純愛もの。物語に関わりのない雑学かと思っていた寄生虫がらみの話が、終盤にかけて立て続けに繋がってきて良い。一見、気持ち悪いだけに思える寄生虫に対する意識が変わるような切なくて美しい見解や表現が素晴らしく、寄生虫に興味が湧いてしまった。操り人形でも、幸せならばそれでいいという結末は、表面的な部分だけでなく、周りから反対される恋だったりに対してのひとつのアンサーのような気がした。負の感情を食べるというのも、恋愛が持つ力を表しているのだと思う。結末は読者の想像に任せる形だったが、作中で描かれた二人の
siro
2024/09/25 16:30

愛からして、乗り越えられるのだと信じたい。面白かったです。

が「ナイス!」と言っています。
siro
★★★★★/語り口調の文章が最初から最後まで合わなかったのに、それなのに面白いと思ってしまった。終わり方に素晴らしく興奮させられてしまった。タイムリープもので、もう一度同じ人生を歩もうとする独創的な発想から続くのは、ただただ一周目の幸福から落ちぶれてしまう苦しさばかりの物語。半分以上は文章が合わないことと相まって退屈で、読むのが辛かった。けれど、物語に隠されていた謎が明かされてからは面白さが止まらなかった。環境が人を育てる、不幸を知っているから幸せになれる、幸せを知っているから不幸になる。人は、なにを見な
siro
2024/09/24 14:31

がら生きるべきなのか。ありえない事情が起こっている物語なはずなのに、人生に対する諭しの説得力が高くて、終盤は読んでいて終始感心していた。「幸せの欠片っていうのは、そこら中に落ちていたみたいなんだ」という作中の言葉に、ここまで納得させられる事があるなんて感動だ。綺麗事で、説教じみた話だったが、これは良い。今の環境をちゃんと愛して。もっと素直に、もっと前を向いて生きたいと思える、最高の一冊でした。

が「ナイス!」と言っています。
siro
★★★★★/嫌いな人はことごとく嫌いな話だと思う。作中で名言されている通り、主人公が人生においての綺麗事を信じるまでの物語だったから。私は凄く好きだった。自分らしく生きろみたいな綺麗事を信じていたから、刺さった。人はどうして変わってしまうのか。どうして嘘をついて生きるのか。好きの由来は何か。他人とは誰なのか。未成年から成年になっても続くはずの悩みが描かれており、ゆらゆらと不安定に感情を行き来しながら進む話が、苦しくもあり面白かった。誇れるような自分じゃなくても、自分でいていいんだと思える一冊でした。
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siro
★★★★★+/序盤はありふれた青春小説だなと思った。けれど、終盤の叩きつけるような展開の連続が凄い。小説を読み終えることは、死ぬのと同じ。小説という概念の素晴らしさというか、意味とか、現実との繋がりとか。確かに、小説内の登場人物に感情移入しながら物語を読み終えることは、死んでしまうのと同類なのだと思った。そしてでも、小説は完全に現実と交わらない。小説内では自然と殺人鬼などを受け入れる事ができても、現実は違う。この本を読んで、今まで考えたこともなかった思考に浸らされた。小説は虚構で、人が救いを求める世界。
siro
2024/09/22 15:47

だから死んだはずの吉野がそこには存在し、主人公染井も終わるまでは、そこで生きることができる。染井の行動がひとつのきっかけとなって、吉野は死んだのだろう。彼を肯定してあげることは難しい。彼は、やりすぎてしまっていたから。でも、彼が犯した行為は世界で何度だって行われてきた。憧れや嫉妬から、微かな模倣が生まれ、新たな作品が生み出される。小説を読むという行為に対して、これから何かが変わってきそうな、新たな価値観を得られた本だった。染井の心を、理解してあげられる人はきっと数多くいるはずだ。

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siro
★★★★☆/生きること自体が自傷行為。人は死ぬために生きている(傷ついている)という人生観は気に入った。この本には、ずっと苦しさが込められている。生き辛さ、死にたいのに死ねない矛盾、生きる意味など。答のない問題がどこまでも、答なく続いていた。三つの特殊能力は上手に利用されていて良かったと思う。死に近づく事や絶望からの無関心による快楽の暗喩だと読み取った。何も考えない事で生きるのは楽になる。けれど、それは辛さから目を背けているだけだ。人は死ねない、だったら生きるしかないじゃないかという思いを、ただ感じた。
が「ナイス!」と言っています。
siro
★★★★☆/短編集。一番長いのがサブキャラの香山のその後の話。香山はまみずを愛しており、岡田と同じ残された者に値する。だけど彼らには違う点がひとつあって、それは岡田が直接的にまみずに「生きて欲しい」と願われた一方、香山は勝手にまみずのことを想い続けているというもの。岡田の中にはいつまでもまみずの願いがある為に、生きる意味が存在していてる。けれど香山には、それがない。だからこの話は、淡々と意味もなく生き続ける香山の一シーンを切り取ったようなものだった。「生きるに決まってる」というラストはその通りで、
siro
2024/09/20 14:46

何もしなくても死んでしまう人もいれば、生き続けてしまう人もいる。いつかは無になる人生での生き様のひとつを見られた話だったと思う。「君は月夜に光り輝く」の続編として見ると、もう少し夢のある話でも良かったと思うが、これはこれで悪くない。前巻でも煙草とか生徒と先生の恋とか汚い部分は存在していたし、多くの人は許容できるだろう。

が「ナイス!」と言っています。
siro
★★★★☆/序盤はよくある難病余命ものだと思ったが、死ぬ前にやりたいことを代わりにやってもらうというのは個性的だし、終わり際のヒロインの告白に繋がってくるので既視感もなく良かった。死ぬのが怖くない、彼女の為に死んでみせるという主人公に「生きたい、生きて欲しい」と願うヒロイン。それは、行く者―残される者という関係においてありふれた展開であったが、どこか淡々としているのにじんとくる心情描写とそこに着くまでに敷かれたレールが綺麗に繋がって、素直に泣けた。サブキャラの香山も、この手の話で珍しくノイズになってない。
siro
2024/09/19 22:22

物語に主張しまくるわけでも、突然にそれっぽい人生感を語るでもない彼には好感が持てる。性格も人間らしい良い人で気に入った。作者には反出生主義があるように思えるが、でもだからこそ響くものもあるように感じる。クサイけれど、愛があれば人生に意味が生まれるみたいなものだ。実際この本にはそんな話が書かれていた。少々雑というか適当だろという部分があるのも、そんな青臭い話の味になっていたと思う。若ければ間違いなく刺さる。この一冊を読んで、生きたいと思えた人がきっといるはずだ。面白かったです。

が「ナイス!」と言っています。
siro
ネタバレ★★★★☆/基本的に理解しようとして読むものじゃない。暗い雰囲気を楽しめるのならそれで。読書経験が豊富で人の思考に詳しい人ならもっと読み解けるのだろうけど、私には難しかった。殺人衝動をもたらす遺伝子を意図的に組み込まれた若者たちの話。わかりやすい伏線に真逆のもの、ダミーだったりも仕込まれていて、物語の謎を解きながら読み進める楽しさがあった。ラストの愛は少々唐突に感じたが、反出生主義的な話は若干理解できるので、ここらから先は個人的に読み解いたもの。
が「ナイス!」と言っています。
siro
★★★★☆/思ってたよりもファンタジーだった。序盤は、ありふれた日常を嫌う主人公と特別からの脱却を願う少女の出会いから始まる。軽快な口調が行き交う会話劇は楽しい。中学生ならではの夢見がちな所だったりカッコつけたりする所の解像度が高く、物語にすんなりと没入できた。でもだからこそ、中盤から唐突に始まる異能力系が混じる政治関係の話を受け入れるのに時間がかかった。秘密組織は必要だったのだろうか。作品の美しい雰囲気のノイズになっているように自分は感じた。宮本さんとユリの関係が良いだけに、個人的に惜しいものだ。
siro
2024/09/17 16:22

何かを消すかわりに、自分の大切な何かが消える。その残酷な能力から来る過去の話は素晴らしく悲愴的で、苦しい。あくまで逃避行。ありふれた少年には誰かを救う力など無かった。でも、だからこそ、彼にしかできないことは存在している。最初の展開とは中々違う方向にいったり少々駆けだったりしたものの、美しく最後まで突き進んだ純愛の話だったと思います。

が「ナイス!」と言っています。
siro
★★★★★/王道をどこまでも王道に描ききっており熱い、熱すぎる。今巻はルプスの亡命の守護者という役目を終えたことによりあやふやになっていた二人の関係の描写から始まり、ほのぼのとして楽しい日常と二人の掛け合いが心地よく面白い。中盤ではすぐに前巻の事件で残された遺恨が垣間見え、復讐の為にとツシマへある六帝剣の男が襲いかかる。そこから進むのは、ツシマのはるか昔から続く夢やルプスへと抱く思い、そして過去からの別れ。丁寧に積み重ねられていくルプスとの描写は再び主と騎士の誓いを交わすシーンの納得感と興奮を確かに生み出
siro
2024/09/16 23:06

していた。最終決戦の戦闘描写は少々分かりづらかったが、終わったあとに書かれた種明かしでようやく理解。これについては戦闘中にわかりやすく明かして欲しかったかな。なんとなくで読み進める戦闘シーンほど難しいものは無い。あとは、貴族達のぽすぎる会話が多くて文章を読み解くまでに時間がかかることも少々気になった。これはまあ、雰囲気づくりとして役立っているため好みの問題かもしれないが、私は難しく感じはするが嫌いじゃない。だから、そこそこに楽しめた。

siro
2024/09/16 23:06

恐らく、今巻の話はまだまだ序章に過ぎないだろう。そうにも関わらずこの二巻は、キャラクターの過去を明かしては現在と比較し、一冊の中で起承転結をどこまでも熱く描き切った。作品世界観の中で最大限に、主役二人の関係の魅力を増幅させたよい二巻だったと思います。

が「ナイス!」と言っています。
siro
★★★☆☆/心を許したミゼリアとのコンビが解消されたからか…全体を通してローグのテンションが低く、鬱蒼とした雰囲気が続いている。揶揄うミゼリアも基本不在でいるために、前巻と比べてまるで別の物語を読んでいるかのような感覚になった。好評だった聖女様の活躍はそこそこ。ローグの悩みを解消するのは良かったが、もう少しそこに着くまでの過程を描写して欲しかったと思う。まあ、門だったり魔女に関する世界観が広がってきて、今後への期待は膨らんだ。ミゼリアとローグの絡みは安定して良い。物語の序章と見れば悪くなかったと思います。
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siro
★★★★★+/結果的にはまた停滞。だけど、千歳朔はまたヒーローとなり、自分の生き様を誇れるようになった。だからこそ確実に彼らの恋路は進んでいるのだと思う。物語は序盤から学園祭の開幕となって、ここ暫く繋ぎの話が続いていただけに楽しさが爆発している。ここで優空のアンサーを持ってくるのには驚いた。やはり彼女は母親が、音楽が、千歳が好きなのだとわかり、たとえ一番の願いが叶わなくとも残る想いがあるのだと感じ心に響いた。中盤の応援団演武はもう高校生のやるレベルをとうに超えていたが、チラムネらしいと言えばらしい。
siro
2024/09/15 22:58

なんでもありで眩しすぎるものの、現実味が凄まじいのはやはり詩的な心情描写のおかげなのか。人生において明確な終わりがあるものは少なく、だからこそ青春は美しいのだなと思わせられた。終盤の紅葉については当初想像していたよりもぬるい着地をしたが、それは私が彼女に騙されていたにすぎなかったようだ。紅葉は千歳だけでなく、周りにいる皆、その空気だって好きだったらしい。その停滞こそがまず彼女の求めていたものだったらしい。彼女の人柄が見えて、なんだか一番好きなヒロインになってしまった気がする。そして、着地の仕方は言わずもが

siro
2024/09/15 23:06

な最高だった。前巻、七瀬悠月が七瀬悠月を誇れるようになったところでのこの返し。しかも、今まで度々描写されていた私だけが特別じゃないに対するアンサーまでもが加えられており、並々ならぬ感動に満たされてしまった。どうしようもなく優しいのが彼らなのだな、ぬるいのがチラムネなのだな、そう物語を振り返らせてくれるシリーズに相応しい終わり方を迎えた学園祭編・九巻だったと思います。…ただ、これからどう物語を動かすのだろう。もう場を掻き乱す新キャラは出せないだろうし、ますます答えを出しづらくなってしまっているが。期待です。

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siro
★★★★☆/ifをテーマにしたアンソロジー本。魔法科高校以外の話は前提知識がなくても楽しめた。SF世界観はどうにも短編と相性が悪く、用語など話の大筋をよく理解できぬまま読み終えてしまい…。他の話の方は、キャラを知らなくともSAO世界について知っていれば楽しめるシリアスやコメディだったり、お馴染みのキリトやシリカといった本編キャラがメインとなる話だったので、素直に面白かった。基本的にはなんでもありのコメディである為、すべてを受け入れるつもりで読むと良い感じ。SAO好きなら、まあありかな。シリカ好きなら特に。
が「ナイス!」と言っています。
siro
★★★★☆/特にこの先の人生に影響してくるような凄みなどは無いが、エンタメとして見てこの250ページの本にはとても色濃い面白さが詰まっているように思う。文章はラノベちっくで読みやすい。展開は早く、たった百ページほどで物語の岐路に立つので驚いた。やはり映画監督だからか、演出の面が飛び抜けて良い。瀧の告白をあの場所に持ってくるのは、素直に涙ぐんだ。どうやって父親を説得したのかなど描写が足りないようにも感じたが、誤魔化されるだけ勢いのある感情描写が濁流のように続いて、そのまま読み終えてしまった。面白かったです。
が「ナイス!」と言っています。
siro
★★★★☆/前巻から感じていたが、少し千歳が置いてけぼりのように思える。それぞれの恋に向き合うと決めたからなのか、作中でも言われている通り自分だけが停滞していて、望紅葉の思惑に気づけずヒロインを傷つけ、自分も傷ついて。もう彼はヒーローじゃない、どこか頼りない普通の千歳朔でいるのかと、少し寂しく思った。そして、今巻では紅葉に当てられた悠月が千歳を翻弄していく。正直、前巻の引きからもっと望紅葉と熱いバトルを繰り広げるのかと期待していので、肩透かしを食らった。相変わらず千歳が置いてけぼりで進むのは、紅葉と悠月の
siro
2024/09/12 11:54

対比の為のように感じる。紅葉は途中から混じってきた部外者で、悠月は既に彼らの大切。だから結局誰も傷つけず、傷つけられず、悠月は夜にあのような行動を取ったのだろうか。最後、今まで振りまかれてきた七瀬悠月の不安が解消され、また彼らの関係は振り出しに戻ったが、確かに変わった何かはある。七瀬悠月を正しく誇れるようになった彼女の演劇が素直に楽しみになった八巻で、個人的に期待していた話とは違ったが面白かった。恐らく、次巻が最大の答え合わせなのでしょう。演技の上手さとうたいつつも、役柄は、彼ら彼女らそのものなのだから。

が「ナイス!」と言っています。
siro
★★★★★/物語が一段落した所で場を掻き乱す新キャラが登場する、という展開は割と他作品でもよく見たことだ。そして、そのキャラは多くの読者から嫌われて、結局最初から最後まで負けヒロインのまま散り行き、なんだかんだ和解してハッピーエンドに落とし込まれる。だけど、今巻で初登場した望紅葉は、そんなヌルい結末にはならないような予感がした。なぜなら彼女は、いままでどこか遠くで場を俯瞰してみていた悠月に宣戦布告し、戦場に引き寄せた。彼女は本気で恋をして、本気で叶えるか撃たれるかの瀬戸際に立っている。
siro
2024/09/09 16:22

恋なんて、結局すべてたまたまの寄せ集めなのだろう。誰もが、時と場所を関係なしに魅せられる可能性がある。それを紅葉は受け入れて、自分を誰かの悪にしてまで恋を掴み取ろうとしている。物語の都合的に、恐らく彼女は勝てない。多分、完全な和解もできないくらいの暴れ方をするのだろうし、もうしている。こうもヒロイン達の恋心をえぐってくるラノベがあるのか。長らく停滞していた話がようやく動き出したような気がして、とても面白いがどこか苦しい七巻だった。悠月の覚醒にとにかく期待しまくりです。

が「ナイス!」と言っています。
siro
★★★★★/長篇集らしい刻みの巻。メインとなる恋愛話が進むことはなかったが、それぞれのキャラクターの課題に合わせた迷いだったり成長だったりが描かれていて、別に箸休めというわけでもない。いつからかチラムネは恋愛が主軸となって、青春とはそれだけじゃないみたいな意見を見たりしたが、この巻を読んでやっぱり青春と恋愛は切り離せないのだと感じた。個人的に一番好みだったのは明日姉の話。夢に憧れて、一歩進めただけでまるで追いつけたような気持ちになって、失敗して、そこで挫折をしてしまう人は数多くいる。それでも彼女は諦めず、
siro
2024/09/08 11:28

涙を自分だけに見せたのちに、今日という辛い日を糧にまた進んでいく。そんな姿はまっすぐと誰の心にも突き刺さってくるように思うし、青春の良さとからさがいい具合に絡み合っていた。陽の話と繋がってくるが、やっぱり全部掴み取りたいものだ。自分もこんな風に頑張り続けて、辛い日を乗り越えた先にある夢を叶えたい。まだ過程でいられる時期だからこそ、彼らはこんなにも悩めるのだと感じました。青くて最高の長篇集だった。

が「ナイス!」と言っています。
siro
★★★★★+/六巻、まとめ方が上手すぎる。前巻で夕湖が告白し、関係が崩れてしまった八人。他人から離れられるのが怖い。大切なものを失いたくない。そして、大切だった日常を失い、蓋を開けてみると、千歳朔はとても弱い人間だった。一人ではただ自堕落に閉じこもることしかできず、周りの優しさに甘える日々。千歳朔はヒーローで、今まで救える者にはすべて手を差し伸べてきた。だから大切なものが増え続ける。失えないものたちが彼を包み込んで、ヒーローにも限界が訪れる。全部が大切などバカげてる。けれど、千歳朔はどこまでも優しいヒーロ
siro
2024/09/04 14:16

ーだから、この状況を引き寄せた。そしてそれは、周りの彼女達も同じ。皆が互いを思い、すれ違った。そんな彼らへのアンサーは多分、もっと愚かでいい。大切で親しいからこそ、迷惑は掛け合うもの。それはヒロインの一人である優空の家族の話と共に語られた関係性であり、愚かな千歳朔も変わらずヒーローだとする彼らの告白シーンはまさに青春素晴らしかった。これからは皆が恋心を認め合い、譲り合いなしにぶつかっていくのだろう。まだまだ荒れると思われるが、それはきっと清々しく青い争いな予感がする。終始納得させられっぱなしの六巻でした。

が「ナイス!」と言っています。
siro
★★★★★+/青春って難しい。彼らはまだ、大人でも子供ない高校生。ちっぽけな世界が人生の全てで、いつまでもこの幸せな時間に浸っていたいと願う。今巻はそんな想いが終盤まで何度も、何度も、今までの物語を振り返るように描写されていて、各キャラクターが抱える気持ちに幾度となく胸を打たれた。同じ人を好きになってしまった。千歳朔という人間を、彼女らはしょうがないくらいに好きになった。理由は様々。誰もが千歳と二人だけの特別を持っていて、誰が勝ってもおかしくない。千歳は誰を選ぶのか。そんな疑問のまま明かされたのは、一巻か
siro
2024/09/03 15:17

ら謎だった夕湖が千歳へと惚れた理由。それは、今まで大切に育て上げられてきて、純粋すぎた彼女へと最初に突きつけられた一筋の牙。普通ならば嫌いになってもおかしくないのに、夕湖はその出来事をきっかけに千歳朔へ一目惚れしたのだという。正直、夕湖はわがままだと思う。自分の立場を利用して優位に日々を過ごして、はじめにぶつかる。「告白」、ずっと気になっていた彼らの有耶無耶だった恋路は、八人全員の前で輝き、消える。恋は儚く、青春も同じ。丁寧に、丁寧に積み上げられていった彼ら八人の関係の綻びは、ついに最後崩れてしまった。

siro
2024/09/03 15:22

原因は間違いなく、告白をした夕湖だ。けれど、彼女を責められはしない。恋・青春とはそういうもので、勝者と敗者が存在し、また主役の影で薄らと傷つき去っていく者もいる。結果は芳しくなかったが、確かに進んだ何かはある。彼ら八人はこれからどうなってしまうのだろう。もう二度と元通りにはなれないし、ヒーローでいる千歳は誰か一人を選べるのだろうか。まだまだ謎の多い彼である為に、次巻以降の掘り下げに期待だ。美しく儚い心情・情景描写と共に描かれた最高の青春物語でした。切ない。

が「ナイス!」と言っています。
siro
★★★★★/「どうせ人間なんて、みんなちょっとずつおかしい」この言葉の通り、とても良い人とは言えないどこか欠落している何人かの視点で、主役二人の恋路を描いた一作。客観的な事実としてあるのは、高校教師とその生徒の禁断な恋愛。健全じゃないのはその通りで、作品の一番のテーマとしてまずそれがあるために、物語の全てが人間の汚い部分ばかりで埋められている。鬱蒼とした雰囲気で綴られる現代社会の苦しみの数々は、読んでいて胸を直撃してくるものだ。個人的には兄の話がお気に入り。夢に敗れた大人というのは王道でよく見るが、
siro
2024/09/02 16:24

その大体は何か大きな出会いがあって救われたりする。でも彼はそうでなく、苦しみ続けた果てに荒れて、大切な人に嫉妬し当たり散らかし、そして見捨てられるのだと思えば…違う。彼に八つ当たりされた彼女は彼を受け入れて、彼に再起のきっかけを与えた。それはまさに「どうせ人間なんて、みんなちょっとずつおかしい」であり、後に別の人物の視点で見えてくる彼と彼女の幸せそうな姿は、未完成な人々のよい付き合い方なのだと感じた。その他の話も、一つ間違いを犯してしまった人々の事情が細かく明かされて、恨むに恨めない人間像を描いている。

siro
2024/09/02 16:45

一人は兄と違って大切な人と別れ。また一人は間違えたままで。理解し難い話も存在していたが、どの話を読んでも分かるのはやはり「みんなちょっとずつおかしい」だった。物語に登場した人間の多くが正直酷い性格の持ち主であったものの、なぜか受け入れてしまう。なぜか感情を揺さぶられる。他人由来の苦しみを受け入れるのか、受け入れないのかで未来の行き先は変わってきて、そして主役の二人はそれを受け入れた同士で、惹かれあったのかな。雨の美しい景色を思わせる文章の元に描かれた、人々の苦しみの話だったと思います。

が「ナイス!」と言っています。
siro
★★★★★/もはや別作品なのではと感じるほどの展開で締められたものだ。七層編下巻となる今回は引き続きカジノ関連の話。NPCはもう本物の人間と変わらぬ形で描写がされており、各々のバックボーンや想いがしっかりと明かされ、自分の命か仲間の命かという駆け引きによい味を足していた。残念ながらラフコフ一行について一文も触れることなく終えられてしまったものの、ダークエルフ側の掘り下げが幾つか行われたので全く話が進まなかった訳では無い。やはり今巻で気になるのはキリトの身に起こったことであるが…今後本編と合流できるのだろう
siro
2024/09/01 18:14

か。まあ、七層・八巻も続いたシリーズで、展開がクエストNPCの掘り下げ→マップ探索からクエスト攻略→クエストから発展してフロアボス討伐と、パターン化してしまっている。それを良い意味で変化させる要素としてのキリトの「それ」は、今までにない面白さが確かに存在していた。遊びではないにせよカジノに参入したり、既にアスナがキリトへ好意を持っていると感じえない匂わせ描写があったりと、楽しさハラハラ共に素晴らしい八巻でした。SAOはゲーム世界なのだから、今後もどんどんごちゃ混ぜ世界が見れそうで楽しみです。

が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2024/05/18(189日経過)
記録初日
2024/06/01(175日経過)
読んだ本
204冊(1日平均1.17冊)
読んだページ
67795ページ(1日平均387ページ)
感想・レビュー
131件(投稿率64.2%)
本棚
12棚
性別
年齢
18歳
職業
小/中/高校生
外部サイト
自己紹介

熱い作品が好みです。若造がぼちぼち感想を書いてます。
あくまで個人的な感想であり、結局読書は人によって受け取るモノが変わってくるので、こういう意見もあるのだとしてあまり鵜呑みにはせずに。
★☆は個人的な楽しめた度。僕自身の好みで変わってきます。

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