2024年9月の読書メーター 読んだ本の数:23冊 読んだページ数:8448ページ ナイス数:162ナイス ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/1493209/summary/monthly/2024/9
ため魅力的に映った。主人公と彼の関係は、金で買われた偽物から本物に変わっていく過程が丁寧に描かれていた。最初は彼の行動の意味が全く明かされないため、疑念はありつつもそういうものとして読み進めるしかなかった。だが、その理由は然るべき時に明かされ、これがまたずるい。そして、主人公の答えがまた、彼のような人と普通の人の関係の理想系に見えて、心が温まった。「俺はお前と同じ形では好きにはなれない。それでもいいなら傍にいてやる」、彼の心の内がどうであろうと、幸せだった過去は消えないのだと。行動の意味が私利私欲であって
も、受け取る側が愛とするのならば、それは愛なのだと。本物の友人関係となった二人の間に流れる時間は、どうしても寂しくて涙してしまった。やはり人間には自分を思う気持ちが付いて回るのだろう。どれだけ他人の為だと取り繕っても、中には自己満足の意が存在し続ける。それを、愛と呼んでいいのか。愛とは何か。主人公は言っていた、「受け取る側が愛とみなせば、それは間違いなく愛なのだ」と。二人の間に確かに存在していた愛。始まりは不純なものでも、いつか関係は本物へと変わった。人生のもどかしさを救ってくれるような、優しい話でした。
部分だ。最近、増えてきているように思う人との関わりが苦手な子供たち。自己肯定感の低さ故に、自分なんかがと他人との接触を拒んでしまうそんな人。今作ではそれらと対象的な人物がメインにしっかりと存在し、比較や共存といった面で素晴らしく描かれている。だが、私が気に入ったのはそれじゃない。私は、その先に描かれた自己肯定感の低い者同士の「中」にある違いに、とても目を惹かれてしまった。曰く、他人との関わりを苦手とする彼らにも、「嫌われるのが怖い」と「僕なんてどうでもいい」という、二つの明確な違いがあるのだそうだ。
前者は、自分の苦手を理解しつつも人間関係を欲し、失うことに恐れている。後者は、自分の苦手を理解し、最初から諦めている。確かにと思った。一見、同じに見える人の中でも、これ程違いがあるのだと、読んでいて知れた。そしてこれは、タイトルの隠し事にも繋がっていた。人間の悩みは、思っているよりも複雑じゃないのだ。だから諦めず、怖さや苦手に抗うことの大切さを、同類の二人を通して感じた。そして、役割についても。どれだけ自分のことを信じてあげられなくても、そこに生まれた時点で意味はあるのだと思います。温かい青春物語でした。
感動した。私は、彼の取った選択は正しいことだと思う。自分の嫌な所を認めて、受け入れて、力がないことに直面して、選んだひとこと。ただの挨拶。でも、それが返されないだけで、人はどうしようもないぐらいに傷ついてしまう。やはり、原因があっても虐めに正しさなんてないのだ。恐怖に負けず、立ち向かった主人公はとても眩しい。人間とは誰もが残酷になれる。でもそれと同時に、優しくもなれる。本当の自分というものは、きっと言葉に表せられるような概念じゃない。心に思っていることすべてが、自分として存在しているのだろう。
だから、時には考えすぎないことも大切なのだと、心からそう思えました。序盤の女の子の「どうして人間に化けてるの?」というセリフが個人的にお気に入り。一発で人間像を掴めた。身を呈してクラスメイトを助けたのも良い。過去に人を殴っていた事に対する違和感がなくなり、好感だけを持てるようなった。ただ、警備員さんから注意されなかったの何故だったのだろう。笠井の残忍さはもう少し書いても良かったのではないかな。緑川と矢野の喧嘩は…などと、少々描写不足感が否めない。面白かったので尚更です。この本に学んで自分らしく生きたい!
ある時、少女は学校で孤立する。それは、周りの人よりかしこいが為に、最初から壁を作って突き放していたから。他人を見下し、自分の中にある正義だけを信じきっていたから。そうして悩み、自分よりも人生を重ねてきた人々とふれあい、幸せとは何かを考えていくにつれて変わっていく姿は、読んでいてとても心地よい。人は皆同じであって、どこか違う。相手に寄り添うことの大切さ。本音を伝えることの大切さ。それらが何度も何度も書かれて、中盤の授業参観のシーンでは涙が溢れてきた。
自分にとっての「幸せ」はなにか。この物語から貰うのも良いし、全く違うことをあてても良いなと思います。出てきた比喩表現は度々読み返したい。とても温かい物語でした。
このまま突き進んでもワンパターンになるだけだったと思うので、この展開は期待しかない……が、デスゲーム運営と戦うようなことにはならないよな?個人的には、タイトルらしく死亡遊戯で飯を食うだけの参加者のままの話が見たいのだが。まあ、防腐処理を研究している組織に属する者やデスゲーム運営に似た殺し屋家系の存在が、どのような話を展開させてくるのか楽しみだ。初めからとんでもないことばかりの作品だったので、何が来ても受け入れて読めそうですし。新鮮で面白い七巻でした。
白玉の恋は先延ばしという形で一旦終えられたが、彼女の様子を見るに温水くんへ好意を抱いているのは間違いない。今後、どのようにして気持ちが移り変っていくのか楽しみだ。新たなクラスで温水に同性の友達ができているのも良い。最初はあざと犯罪者系ヒロイン白玉をどう落ち着かせるのか不安もあったが、まさかの妹枠で佳樹のライバルになるとはとんでもない。そしてそろそろ、八奈見さんに活躍の場を…今巻は少々不憫すぎた笑。温水くんが主人公として素晴らしい具合に活躍していたり、ぶっ飛び度が上がったりのよい七巻でした。
焼塩を引き止めたのだから、主人公として素晴らしく格好良かった。そして終盤、焼塩の「2年もあれば、あたしも髪も伸びるかな……て」発言は、温水争奪戦に彼女も加わったとみて良さそうだ。さりげなく小鞠の温水への思いが描かれたりもしていて、これはそろそろ、八奈見さんメインの話が読みたくなってきた。邪魔と食事ばかりしている彼女にも活躍の場を、どうか!卒業する先輩たちはそこそこの活躍で高校を去っていったが、槻之木先輩が焼塩に一言助言しており、どことなく積み重ねた日々を感じられて良かった。丁度いい切なさのある六巻でした。
コメディも最高に面白い。妹に男の気配を感じてストーキング、犯罪者朝雲さんの再来は嬉しいし、八奈見さんとはこれ完全にデートしてる。馬剃さんから貰ったマフラーを付けてこないのはどうしてなのか…。そして、前巻ほのかに描かれていた佳樹ちゃんの兄への勘違い。馬剃さんにリアルBLをダイレクトに投げかけるのはずるい。ちゃんと誤解は解いたのだろうか、誤解したままだったら面白い。温水くんの彼女フラグとしては志喜屋さんが一番なのかな。ラブコメ部分があまり進まなかったものの、謎だった佳樹ちゃんメインの話が読めて良かったです。
解決してしまってこれは何かと。当事者同士があっさりと話して終わるというのは、少々拍子抜けしてしまった。それに、温水くんから嘘のデートへと誘われ、体育館での好意の言葉を跳ね除けられた志喜屋先輩が不憫すぎる。今巻は「そういうとこだぞ温水くん」要素がかなり多かった印象だ。八奈見さんにしても何かと邪魔をしてくるし、なんだか彼らの関係が殺伐としてきたような気がする。まあ、コメディとしてなら面白かったが。負けヒロイン組の話が一段落落ち着いたあとの最初の巻で、本格的なラブコメの始まりを告げるよい四巻だったと思います。
その時点では、段々とバッドエンドに近づいていくような雰囲気があり、少々苦しくも青春小説らしさを感じられて良かった。少し先の千草絡みの話は素直に心が温まった。同時に、傷ついた者同士でしか分かり合えないことがある、というのがこの小説では数多くあるように感じられた。正直、この話を入れるなら終盤の千草の種明かしは辞めて欲しかったが、まあ納得のいく説明はされていたので受け入れるしかない。中盤は、ここでそれを入れてくるのかと困惑したものの、読み終えてから考えると、一度関係をリセットしておくのは必要だったろうなと納得。
初鹿野と深町の過去話でまたコンプレックス関連の話も出てきて、上巻の話も別に忘れられていなかったので良かった。ことの真相としては、「バッドエンドをハッピーエンドに塗り替える」という悪意のない思惑によってもたらされた、言わば茶番だったのだが、それでもしっかりと最高の気分のまま読み終えることができたのは、一重にその思いが最大に共感できるものだったからだろう。結局、人は幸せになることが何よりも素晴らしゴールであり、幸せを願い会うのが人と人の関係なのだ。そう心から思えるような、不思議で温かい話だった。
取り除いたことにより視野が広がり、それによる心情の変化が丁寧に描かれており良い。そして、人と関わるようになって彼が段々と痣を受け入れはじめているのが何よりも響いた。結局、誰よりも痣に囚われていたのは彼自身で、コンプレックスと上手く付き合う方法は既にあったのだ。終盤の彼の選択は、ただの傷の舐め合いだったかもしれない。でも、きっとそれでも良かった。結果、その選択は成されなかったが、手前にまで来ていたことだけで感動できる。誰かの為に、自分の傷を受け入れる。誰かの為に、自分の傷を見せつける。それは青春そのもので、
恋そのものだった。結局、コンプレックスとは取り除くことが叶わず、一生をかけて付き合っていかなければならない代物なのだろう。だからこそ、この物語はそれに対しての付き合い方を丁寧に描いていたのだと思う。要因をひとつに決めつけず、他人も自分と同じ人という事実を大切にして生きていきたい。上巻時点で、中々に楽しめました。
がきっかけだが、病気が無くとも僕は彼女から沢山のものを得ただろう、という作中で描かれたそれは、正にこの作品を表しているように思った。人間はそう簡単に変われないし、だからこそ憧れるのだ。そして、変わろうとしている主人公の姿はただ勇気をくれる。孤独な生き方を否定することはせず、主人公が別の生き方を選んだだけな結末は心地よい。温かく、前へと進む希望を貰えるような、一日一日を大切に過ごしたいと思えるような、そんな話だった。
熱い作品が好みです。若造がぼちぼち感想を書いてます。
あくまで個人的な感想であり、結局読書は人によって受け取るモノが変わってくるので、こういう意見もあるのだとしてあまり鵜呑みにはせずに。
★☆は個人的な楽しめた度。僕自身の好みで変わってきます。
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