【読書に関係ないつぶやき】本日4日20時から。BS松竹東急で映画「砂の器」を放送するようです(調べてみたら、9月30日~10月5日にかけて、松本清張特集として、映画を放送していた模様)。今年の春ごろ、脚本を担当した橋本忍を書いた春日太一『鬼の筆』を読みましたし、以前から観たいと思っていたので、ちょうどいいタイミングです。
戦史上おそらく他に 例を見ないのではないだろうか。ハインツ・グデーリアンがまさにその人だった>と書かれている グデーリアンのこと、第三部では「電撃戦――その武器と方法」と、タイトルにもなっている 電撃戦について、それを可能にした兵士や兵器について書いています(Ⅳ号戦車など、ガルパンでもお馴染みの 名称が出てきて、おおっ!となりました)興味深い内容でしたが、現在の自分の頭では ???となる部分も多く、残念ながら3割も理解出来なかったなぁ、と。
<秋の日の ヴィオロンの ためいきの 身にしみて ひたぶるに うら悲し>ヴェルレーヌの秋の歌(落葉。上田敏訳で収録)は、ノルマンディ上陸作戦の際に、フランスのレジスタンスに送る暗号として用いられました。ドイツもその暗号をキャッチしていましたが、「どうやら何かが始まりそうです」、「ノルマンディー上陸作戦だ」…とは、勿論ならず。なってたら、歴史は変わったのかなぁ(続く
ヴェルレーヌの秋の歌を暗号に使ったというのは、「ガールズ&パンツァー 劇場版」で、聖グロのダージリンが各校に送った通信という形で出てきました(ニコニコ動画の配信で観ていて、コメントで ノルマンディ上陸作戦の際に使われたものというのを知ったのですが)閑話休題。 NHKの「映像の世紀 バタフライエフェクト 史上最大の作戦 ノルマンディー上陸」でも観ましたが 本によって、さらに詳細に知ることができました。
タイトルにも入っている 東京大空襲は、10万人もの犠牲者が出ました。何故、そうなってしまったのか?それは、ボマーマフィアが成果をあげられず 更迭され、方針が180度転換したため、というのが書かれています。多くの犠牲を出さずとも戦争を終わらせられるという方法は 戦争は決してなくならないというのも意味するような気がします。同時に、なくならないこそ、いかにして犠牲を減らすかを 先に考えるべきなのかな、とも。刊行当時に週刊新潮に掲載された書評で知った作品ですが、とても興味深い内容でした。
4ヶ月続いた冬戦争で、ソ連兵を少なくとも700人以上葬ったフィンランドの狙撃兵、シモ・ヘイへ(白い死神と恐れられた)も入っています。一番印象に残ったのは駆逐艦「雪風」の艦長・寺内正道。「俺が、お前たちを殺すために沖縄へ連れて行くと思ってるのか!ナメるのもいいかげんにしろ!!」、「1人も死なせない。みんなを連れて帰ってやる!」昭和20年。敗戦が濃厚となっている中、戦艦「大和」が沖縄へ向けて出撃。そこに「雪風」も随伴(続く
死を覚悟する部下たちにそう力強く言ったという寺内。有言実行し、しかも、「大和」沈没後は、海上に漂流する 将兵たちの救助を行い、800名以上を収容したそうです。「大丈夫だ。この艦は雪風だぞ」佐世保に戻る最中に 幾度か敵潜水艦の接触を受けて、恐怖する救助者に、乗組員はそう言って安心させたという逸話も 紹介されており、部下からの信頼が厚いというのがよく分かります。
現代の戦争までを書いています。自由で開かれたインド太平洋が英米系地政学の理論を体現、中国の一帯一路が新しい大陸系地政学の展開を予兆させるというのには、なるほど、となりました。ロシアのウクライナ侵攻について、<力の均衡状態の有無によって、停戦の持続性が決まる。 合意文書の文言ではなく、力による抑止こそがロシアの拡張政策を止める>(続く
<ウクライナだけが単独で ロシアとの間の力の均衡を見出すのは、簡単ではない。>と書いており、この辺は 猫組長『正義なき世界を動かす シン地政学』で書かれていた<話し合う意思もなく、暴力を躊躇なく行使する人を 話し合いのテーブルに着かせることができるのは やはり「暴力」しかない>を思い出しました。 今の自分にとっては、難解な部分が多数で、もっと勉強して、再挑戦したいです。
「結論」のところに出てくる、「戦争の一挙解決を夢想することの危うさ」は 優れた人が先頭に立って自分たちを導いてくれる、停滞した現状を何とかしてくれると夢想することの危うさと 同じなんだろうなぁ、と感じました。興味深い内容ではありましたが、現在の自分には難解な部分が多数で 2割も出来ていないだろうなぁ。いつか再読して、その時は半分以上は理解出来るようになっていたいです。
そうした戦争は「通常戦」どおりに戦われていない。テロリズム、民族浄化、非国家主体による他の暴力形態が蔓延し、通常戦タイプの国家間戦争を覆い隠してしまっている。>という記述に、なるほどとなりました。その他、<ルール8 「国家の関与しない戦争」の時代がやってくる>では<まもなく、メキシコ政府は麻薬カルテルに宣戦布告し、カルテルと軍が公然と戦うアカプルコなどの戦闘地帯は、 あたかも第三次世界大戦になだれ込んだようだった。>とあり(続く
この辺はドン・ウィンズロウの『犬の力』から始まる 三部作を読んでいたので納得。ただ、フィクションとして書かれていた内容が、決して大袈裟なことではなく 現実でも起こっているというのには、ゲンナリしましたが。十分に理解出来たとは言えませんでしたが、興味深い内容が多い本でした。
<料亭内での客と仲居の自由恋愛とすることで、売春防止法から 逃れている>と冒頭に書かれています。かろうじて名前を聞いたことがある&どんなことをやっているか知っている程度のレベルでした。そのため、女の子集めは 一苦労で、スカウトは一つ間違えると怖い人たちに〝拉致”されてしまったり、どれだけ美人でも自分勝手、お金のことしか考えないような意識の低さだと稼げない、「ちゃんとしたオバちゃんを長く確保していくことが、この商いの要や」と 他の店の親方に言われたとおり(続く
癖のある呼び込みのオバちゃんに苦しめられる様など、 書かれていることはどれも興味深かったです。<300万円稼いでもわりにあわない>、<浮き沈みだらけのジェットコースター 人生に耐えられる精神力がなければ、とても親方業などつとまらないのです>と書かれていますが、 本当、その通りだと思います。自分には絶対に無理だな、と思いました(そもそも、そんな縁は全くありませんが)
まあ、飛田に関係しているのでは?という噂を聞いていたA組(一九九三年に指定暴力団に指定)に、直接訪ねて行って取材依頼をし、断られると組長宛に手紙を書くという著者が、生半可な気持ちでないというのも 分かりましたが。<一九一二年(明治四十五) 一月十六日に焼失した遊郭・難波新地乙部の代替地として、設置されたというのが通説である。>という飛田の始まり、「女の子十人おったら、十の事情がある」という飛田の中の喫茶店のママの言葉など 興味深いところも多く、また50ページ近くある文庫版あとがきも読みごたえがありました。
第七章「ドン・ファン、ついに結婚す」なのですが、その後の不審死を知っているので 複雑な気持ちになりました。なお、彼が死んでいるのを発見した家政婦が、『家政婦は見た! 紀州のドン・ファンと妻と7人のパパ活女子』 (木下純代名義)という本を、さらにゴーストライターをつとめていた吉田隆が、『紀州のドン・ファン殺害 「真犯人」の正体 ゴーストライターが見た全真相』 という本を出したようです。ただ、著作を読んでも、そこまで興味を惹かれなかったので、現段階で、それらを手に取ることはないと思います。
2017年放送の「アメトーーク 読書芸人」で東野幸治がオススメしていて気になった本。〝紀州のドン・ファン”と呼ばれる男の半生を、第三者が書いたものと思っていたのですが、本人が書いた風だったので(吉田隆という人物がゴーストライターをやっていたそうです)ソープランドというのはあまり好きではない、デリヘルを呼んだらグラマラスを遥かに超えたビア樽のような体型の人が来たので、以降はデリヘルを利用したいという気持ちにはならなかった的な 記述にあまりハマらず(続く
軽く興味がある程度では、読んでいてもそこまで面白いとは思えないまま、読み終わってしまいました。 1970年当時の平均的なサラリーマンの年収(100万円を超えたぐらい)の3倍くらいを稼いだコンドーム販売(当時は、コンドームを 入手するのが難しかったらしい)、そのお金を金貸しに出資したり、株の売買をするようになったという辺りは 面白かったのですが。
地政学の基本概念である「シー・パワー(海洋国家)」、「ランド・パワー(大陸国家)」も 紹介しつつ、世界の金融が米ドル基軸体制のため、それを崩そうと中国が画策するのはデジタル人民元(中国政府が発行する 法定デジタル通貨で、一帯一路の経済圏に使わせ、決済圏を広めようとする)。アメリカは中国との人、モノ、お金のデカップリング(切り離し)を行っている。ロシアは大量の資源が眠る北極圏と北極海航路(アメリカ海軍の存在しないシーレーン)を狙うが、北極圏に関しては中国が最も警戒対象となる。など、どの項目も興味深かったです
<もしあなたが本気で金儲けをしたかったら、金のあるところに近づかないと絶対に無理なのだ。たとえ自分の頭上を 素通りしたとしても、まず金が動いているところに行くのがスタートである。>、<ハイリスク・ハイリターンという言葉が あるが、私の選択肢に「ハイリスク」は存在しない。「リスク」はマネージ(管理)すべきもので、コントロールしうる限り 「リスク」ではないからだ。準備こそがリスクをコントロールする鍵である。>など、読んでいて響く言葉も多かったです (自分は実践出来ないでしょうが)
<アメリカ経済が強い理由はやはり武力によるところが大きい。言ってみれば アメリカ経済というのは「暴力の経済」なのです。>後に刊行された猫組長の本にも書かれていましたが、やはり 「力こそが正義」(by 北斗の拳のシン)なのか…<金払いの良さと行動力こそがヤクザ経済のアドバンテージ>というのが 実に猫組長らしい言葉だな、と感じました。そういう当時の話以外にも、北朝鮮の動向や、2017年9月12日に起こった 任侠山口組の代表のボディガードが射殺された事件、仮想通貨等の話題もあり、興味深かったです。
そして、資金を集められるようになったのですよ。合法的な資金を、表で。> <つねにインサイダーの情報が入って、上がる時は原資を入れて、おかしくなる前に逃げる。安全運用をされているというわけですね。>、<価格形成自体もやっていきますから、相場というより、いわば「人工的株価形成作業」であるわけです。 高揚感はない。はじめから当たりが確定している、くじを買うようなものですから。>こんな風に語っていた「山口組ファンド」、『ブラックマネー』という本の中でも出てきた<市場そのものを歪めていくこと>にあたるんだろうなぁ
猫組長の本に出てきた「確実に儲かると分かっている情報のある株取引でない限りやらない」というのよりは、マシか(マシじゃない)「経済ヤクザ」の大物として、山口組五代目体制で若頭だった宅見勝と稲川会の石井隆匡(本名:石井進)という名前が出てきますが、近年は<名前の売れたメジャーどころは減ってきているように見えるかもしれない(中略)表舞台に名前も 顔もさらして出てくることがなくなってきたというだけのことだ>という証言が掲載されていて、納得(続く
目立っても利点なんてないでしょうし。「ブラックマネーという言われ方をしますけど、お札が黒いわけじゃありませんから、 1億円は1億円なんですね。」というのが、暴力団のカネを海外ファンドで運用する〝共生者”の元証券マンの言葉に う~ん…とはなってしまいます。既に17年経っていますが、多少は変化していても、改善はしていないんだろうなぁ… (下手したら、もっと悪くなっている可能性も)
〝反社のレッテル”を貼って、信用を貶める、弁護士が増えたことで不良法律家が生まれてしまっている その例として、過払い利息返還特需の出来事が書かれているのですが、「過払い金の返還を頼んだ弁護士に払うカネが 足りず、ヤミ金に手を出してしまった」は本当に笑えない話しです。反社の手先となる弁護士、会計士、監査法人 なんていうのも出てきますが、新庄耕『地面師たち』にもそういう奴らが書かれていたな、と思い出しました。
「空からけん銃が落ちてきた、との通報あり」 という通報から始まる一連の出来事、他の所轄で行ったガサ入れで、発見を逃れるために 窓から投げ捨てられたというのが真相だったと書かれていますが、こんな事あるんだなぁ、と。 その頃、内輪のキャッチフレーズとして「けん銃1丁、組員30人分」というのもあったそうです。 東京都防潮堤工事談合事件での、逮捕した営業部長とのやり取りは、人間を相手にしているからこそ だな、と感じました。
また著者が刺された(犯人は見つからず、時効を迎える)というのも 驚きですが、「FRIDAY」に書いた署名記事が原因で副編集長が襲撃される(血を流して倒れている写真が掲載されていますが、かなりショッキングです)、さらには息子も刺されたという記述に一番驚きました(幸いにも大事には至らず、犯人も逮捕されたとのこと)この件に関して、「息子さんの刺傷事件はヤクザのすることとして言語道断だ」と深くお詫びしたヤクザもいたらし(続く
く <ヤクザのなかにも物のわかった人は何人もいる。私の人脈はそういう人たちに恵まれているのかもしれない>と 書いていて、何故か納得してしまいました。『週刊現代』に掲載した「細木数子 魔女の履歴書」(後にタイトルそのままで書籍化された模様)に 関して、「細木数子は暴力団最高幹部に私の原稿つぶしを依頼した」、<単に彼女の人脈がヤクザ世界に広がっているというだけでなく、 彼女自身がほとんど女ヤクザだった。>とあり、もう10年遅かったら、TVに出れていなかっただろうな、と思いました。
にはなるほどとなりましたが、大組織のメリットが無くなってきた、 組長になるのも運が必要、<子分たちが親孝行しても、親分はそれに対して見返りを提供できない場合が圧倒的に多い> ともあったので、金稼げる人はその辺上手く立ち回って、上に行こうとは思わなんじゃないかな、と感じました。 『教養としてのヤクザ』に比べると、もの足りない内容でした。
と思ってしまいました(本には立地も店構えも店員も、暴力団経営には 見えず、たぶん働いている人も暴力団のフロント企業だとは思っていないと書かれています)また、この本の刊行前に大きなニュースとなった吉本興業の芸人が闇営業をしていたニュースについても反社会勢力の側に突っ込んだ記事が全然ないのがおかしい、暴力団の宴会だったら普通はバレない(芸人を呼ぶ時は厳戒態勢を敷くらしい)等には、へぇーとなりました。ヤクザとスポーツについて、 ボクシングや相撲はヤクザとの関係をよく聞くが(続く
柔道と剣道は〝警察のシマ”になるから、あまり聞かない。 山口組系の竹中組が、野球賭博をシノギにしていたが、その時ハンデ表を作っていたのは 四代目山口組組長・竹中正久の姐さんだった(野球には詳しくないけど、勝負勘が良かったらしい)というのには 笑ってしまいました。ラストの方に出てきた<本来警察が 意図していたのは暴対法だけだったのに、暴排条例までできたために、ヤクザがどんどんいなくなって、警察は やることがなくなってしまった。お客さんがいなくなっちゃったんだ。>というのが印象的でした。
「闇カジノで客数が減っている現実がある」と 出てきますが、それから年数が経って、オンラインカジノが隆盛してきてるっぽいので、どうなったんだろう? と思います。金輸入商売(海外で買った金を届け出なしで日本に持ってきて売る。消費税分が儲かるという仕掛け)を 行っていた人物の章のラストが<まるきり新しいニッチ産業の発見とその定着化を喜びとしているようである>で そういう人物が、常人には思いつかない(思いついても実行まではいかない)ことで金を儲ける方法を 生み出すんだな、と思いました。
〝人斬りジム”と呼ばれる男との対決も凄まじかったですが、力道山と対峙した 場面には震えました。結局、この〝対決”は実現しなかったものの、ビビってしまった力道山と、「力道山をやってみたかった」と言っていた花形。結果は火を見るよりも明らかですね…安藤については、横井英樹とのエピソードが印象深かったです。後年、ホテルニュージャパンの火災での対応に批判が集中した際、「あの時、殺しておけばよかった」と安藤昇が言っていたらしいです。横井、この本の中でも なかなかにクズでした(続く
三船敏郎が酔って、安藤昇の顔を手で叩いたという事件、市川海老蔵と関東連合のようなことが 昔もあったんだなぁ、と思ったんですが、一緒にしたら三船敏郎と安藤昇に失礼か。あとがきで、書かれていた 古参の組員が言ったという「安藤は花形がいなくても安藤だが、花形は安藤がいてこその花形だ」という言葉が とても印象的でした。
松田組組長宅を空爆しようとしていたという記述があり、もし、彼の存命中に ドローンがあったら、もっとひどい事になっていたのかな…?と感じました。〝素手喧嘩(ステゴロ)”で 最強と言われた花形敬(グラップラー刃牙に登場する花山薫のモデル)の、力道山を恐れさせたエピソードなどは 読んでいて面白いですが、直接関わりたいとは絶対に思わないですし、抗争の部分は、特に一般の、全く関係ない人が 巻き込まれて亡くなっているというのを読むと、辛くなりました。
07年8月警察庁長官を退いた漆間巌が、四課が弱体化したころに県警本部長だったものや、2011年の島田紳助絡みの記述の方が興味深かったです。04年の女性社員殴打とか、今だったら確実にそれで引退だと思います。(ネットを調べると、女性社員の方にも問題があったというのが出てきましたが、真偽不明) 引退の理由となった山口組系極心連合会・橋本弘文会長との交際(続く
そのきっかけが、TVでの発言を右翼に咎められ、 TV局に街宣車が来るようになってしまったというのを読んで、竹下登と石井隆匡の関係を思い浮かべました。 <紳助は頭に血が上って凄むとき、「俺のケツ持ちを誰と 思ってるんや。極心連合会の橋本会長やぞ」と怒鳴り、恫喝した。(中略)紳助は橋本会長から借りが出来たことを 気に病まず、むしろ継続的に庇護者になってくれたと受け取った節がある。>とあり、引退も当然と思いました。
四分五裂状態になって、「関東連合」を名乗る集団は実質的に機能しなくなったのだ>とありますが 〝半グレ”で目立つ存在だったものがいなくなっただけで、事態は余計に悪化したのでは?と思ったり。かつて 警察白書に<暴力団の威力、情報力、資金力等を利用することによって自らの利益拡大を図っており、いわば暴力団と 共生する者となっている>と書かれた「共生者」、現在は暴力的威迫力は必要なく、個人的なカネや人脈を 利用するようになっていると書かれており、賢い人間は、その辺を上手く利用しているんだろうな、と。
他の方も書いていますが、タイトルにもある〝最強の経済ヤクザ”と 呼ばれるような、経済絡みの記述は少なく、そこは肩透かしをくらいました。終盤に出てくる石井の秘蔵っ子・ 井の上孝彦と、その〝兄弟分”であるポール牧のエピソード、ポール牧の経営するクラブで井の上がヤクザの友人と 呑んでいたところに、大物組長が来店。酒に酔っていた友人が組長に絡んだため、井の上は近くの馴染みの料理屋に 行き、小指を…という部分は、まるで映画のようでした(料理屋が不憫すぎますが)
このルポ内にある、歪な文字の意味に気づいてゾッとしました(その他にも様々な支障が出まくっていて怖すぎます)。転売のために並ぶ人を手配する「並ばせ屋」は、仕事の内容はともかく、暑い日にはアイス、寒い日には缶コーヒーやホッカイロをポケットマネーで差し入れするなど、人員を大切にしているなぁ、と感じました。その他、バキュームカー作業員や食肉処理工場など、仕事内容がかなりキツいものの方が(続く
第1章に出てくるファストファッション店長や餃子のOなどよりも、長く働けているというのが、ある意味怖いです (本人の適正もあるでしょうが)。終盤の都内のたばこ屋、店での利益だけでなく、出張販売許可を申請して通れば 店舗から離れた居酒屋やクラブといった飲食店にも置くことが出来、その売上も得ることが出来るというのには 驚きました。「犬ヲ殺ス仕事」は、動物愛護センターでのルポですが、動物好きは読まない方がいいです。
次にやって来たベテランと思しき人は、こちらの話の尻を取るのが上手く 会話が続いていったと書いており、<一般のビジネス社会の営業マンにも話が上手な人と下手な人がいるが、やはり 会話の中で、この「しりとりシンキング」ができているか否かが大きい>と繋げていて、なるほどな、となりました。 「騙しをする上では、1位も2位もだめで、3位以下になるのがよいのです」など、興味深いものも多く こういう手口に遭遇したら、気を付けようとなりました。
ここで書かれている事が全てで当てはまるなんてことはないわけで(当然だけど)。 この本の中で書かれていた、大手保険会社の勧誘業務について、保険の代理店は、加入者だけでなく 保険勧誘の営業員を増やすノルマも課せられているというのは知らなかったので、へぇーとなりました。 ただ、芸能エキストラに関しては、大部分が怪しそうだな、と。高額なレッスン料を取るところは 間違いなくアウトでしょう。
宝島編集部<政治家、俳優、タレント、大企業経営者 テレビ局 「有名人の子息」入社リスト>がとても興味深く、「コネは確かに有効だが、最近は本人の力量、適性が相当なければ 採用に至らないケースが多い。」とのこと。石原伸晃が日本テレビにいたのは知りませんでした(父と裕次郎の〝14光”という 記述には笑ってしまいました。足すなよ)鈴木智彦の<〝密漁団のボス”がすべて語った 100億円「ナマコ密漁」産業の裏側>なんかは、後の『サカナとヤクザ』になっていったんだろうなぁ、と思ったり。
<ザペッティは十万円を賭けた。彼が 雇っているウェイターの六ヶ月分の給料だ。ところが、テーブルを見渡すかぎり、彼の賭け金が最低らしい> <ザペッティは力道山の賭け金をこっそり合計してみたが、ざっと一億円はくだらない>なんていうのがあり 今の貨幣価値に換算すると…なんて考えただけでクラクラしてしまいました。日本で、こんな混沌とした時代は 二度と来ないだろうなぁ…来てほしくないですが。ニコラス・ザペッティの拓いたレストラン「ニコラス」、 椎名誠がアルバイトしていて、三島由紀夫を目撃したところのようです。
著者は、バブル期のヤクザ、そして、関東連合などの半グレなどの歴史も入れつつ 現在のデフレ型の犯罪がどのように誕生したかを書いています。特殊詐欺の源流が、五菱会系ヤミ金融組織で取り立ての電話をかけると、「また借りたのか」と家族が借用書を見せろとも言わず金を振り込んでくれる、返済された後に電話しても振り込まれることもあった、孫と勘違いする高齢者には、勘違いさせたまま 振り込ませるなど、そういうのが一部にあったそうで、確かに〝オレオレ詐欺”の源流と言えるな、と(続く
そして、五菱会系ヤミ金融組織にいた若者は、求人広告で集められた普通の若者で、その若者の一部が そのノウハウを身に着け、新たに…という流れに、なるほどな、となりました。 連続強盗の指示役に死刑判決を、と警察は考えているが、多分難しいのでは?という元弁護士の見解が ラストに出てきます。是非とも、死刑判決が出て、こういう犯罪を行った場合、指示役も実行役も 厳罰がくだされるという認識になっていって欲しいです。
個人的には、AURAという店をマネジメントしていたA・Nが特撮モノの俳優と書かれていたので、誰だ?と調べてみたら、ビーファイターカブトに出演していた 安達直人、現:足立直久でした。「芸能人や起業家のほうが、暴力団やヤカラではない、ギャングスタ―としての僕らと飲むことをある意味、ステータスのように感じていたんです」最後の方で、関東連合元関係者が そう語っているのが、2019年の宮迫博之らが絡む騒動の要因となった一つなんだろうなぁ、と(続く
ただ、今は芸能人や実業家が、それっぽい人と付き合っている、もしくは一緒に写っているものが 出てくるだけで、大変なことになるでしょうから、ステータスでは無くなっているんじゃないかな、と。 そういう方面に詳しいジャーナリスト等以外は、迂闊に近づかない方がいいのでしょう。近づかなくても トーヨーボール事件や六本木フラワー襲撃事件のように、人違いで襲われたら、たまったものじゃないですが。
大阪のミナミで「アウトセブン」という グループを率いているKとTは、普通に取材を受けたそうですが、放送後に2人とも逮捕されたというのには 苦笑しました。ただ、この2人に憧れる人や、第1章で加担していたものの、逮捕はされなかったために 特に悪いと感じてなさそうな人(月村了衛『半暮刻』の主要キャラの一人は、そういうタイプ) などは危ういな~と思います。
ただ、『半グレと芸能人』もそうでしたが、ゴシップに 詳しくない自分は、誰だ?となる部分が多く、検索をしてもよく分からなかったり。まあ、分かった ところでどうしたとなるのですが。その他の部分は申し訳ないですが興味がなく、500ページ超えの 厚さにする必要あったのか?と思います。関東連合に関わっていた人ということで、この人だからこその 情報があるのも分かりますが、もうちょっと書くのが上手いライターに、代わりにまとめて貰った方が 良かったんじゃないかな?と思います。
名簿屋自身が〝騙り調査”により様々な付加情報を強化してから名簿を提供するようになったというのも凄いですし、その情報が詳細なことで、被害者は 「詐欺犯罪者が家族に危害を加えたらどうしよう」と不安を覚え、お金を払ってしまうという構図には驚きました。とても興味深い内容でした。が、「彼ら犯罪者があなたたち高齢者を狙うようになった原因が、あなたたち自身にあると考えたことはありますか?」や(続く
<若い世代を追い込んでしまった結果が、この老人喰いの跋扈だ。 恐ろしい世の中になってしまったと他人事のように嘆くのは、あまりにも無責任ではないか。> <若き老人喰いプレイヤーたちには、今後30年40年といったスケールの現役時間が残されている。貴重な日本の 生産人口に他ならないのだ。>という記述は、老人たちは頷けないんじゃないかなぁ、と思いました。
振り込め詐欺の第一世代は<脇が滅茶苦茶甘くて、思いつきで始めて、関わる人間全員が現場に手ぇ出してて(中略)何て言うか、普通の商店街とかのお店ですよね。社長自らレジに立つって感じの。トップまで現場に面出すんじゃ、捕まって当たり前だし、上が持ってかれたらグループは即崩壊じゃないですか。> こういう事から、第二世代は「組織を分断」したというのに、へぇーとなりました。<大手五紙の記事、そしてテレビのワイドショーで詐欺の手口が報道されると、別のシナリオに対応できるベテランプレイヤーを集めてチームを作り(続く
それができないチームはベテランチームのアポイントを見て 研修代わりとするという思い切った作戦に出たのだった。>、さらに警視庁が発行しているメールマガジン 「メールけいしちょう」も参考にしているという記述など、唸る部分が多かったです。 と、順調にいくかと思いきや、勿論そんな事はなく、独立しようとすれば、それなりの〝代償”が… というところには、やっぱり裏社会だな、と感じました。
話を聞いています。「このまま人生終わるのはつまらないな」建設会社の 正社員になって、現場仕事の監督をやっていた人間がそんな想いを抱いていた時にスカウトされ、後に自ら詐欺グループを主導する立場になり、勤務先の会社が倒産、次の職場がなかなか決まらない中で、闇サイトで 出し子の求人を見かけ募集した人と、一口に〝振り込め詐欺”に関わった人間といっても、立場は様々。 主導するなど、上の方にいる人間は「騙される方が悪い」というスタンスが多かったのに対し(続く
〝出し子”をやる人間は 罪悪感はあるけれど、自身や家族の生活のためにという想いを持っていると感じました。 被害者の証言は読んでいて辛く、「詐欺の犯人たちっていうのは殺人者だと思うよ」という言葉が重かったです。 ただ、「みんな若いんだから汗水垂らして働いてほしいんですよね」という言葉は、届かないだろうなぁ、と感じました
ばたやん@かみがたさん、コメントありがとうございます。まえがきで<政治的な意図はないが、その極端さ、陰惨さ故にテロル(恐怖)が社会に対して影響をもたらす犯罪を広義のテロリズムと解釈するならば>と書いていますし、 <高齢ドライバーの運転する車がまるでいつ爆発するか分からない自動車爆弾であるかのような不穏なイメージ>というのもあったので、〝テロ”にしたのではないかと思います。
後に大きな話題となったタックス・ヘイブンもそうでしたが、大金が絡むと、本当に色々な人間が錯綜して、突拍子もない方法で儲けていく んだな、と感じました。終盤で書かれている東京地検が仮差し押さえを認めた三億円のうち、一億円が東京国税局によって差し押さえられてしまった (ヤミ金融被害者対策弁護団が、被害者に返済すべきであるため差し押さえの解除を申し入れるも聞き入れられず)東京国税局も えげつないことをするなぁ、と。
銀座の老舗料亭の社長がバカラ賭博にのめり込むように罠をしかけていたり、ライブドアの前身であるオン・ザ・エッヂ時代の 堀江貴文の側近の一人であった野口が那覇のカプセルホテルで怪死した事件などが取り上げられています。 冒頭に著者が取材した暴力団の組長がメガバンクの一角を占める大手銀行から、融資されていると得意気に 語られたというのが出てきます。暴排条例後、この組長をはじめ、ここで書かれている暗躍したメンツがどうなったのかが気になります。
単行本の方の感想で書いている方もいましたが、文章が読みづらく感じ、十分に理解出来たとは言えませんでした。田中が辞めた後、首相となった三木武夫は、自民党が割れることを承知で、民社党と協力してというのも考えていたが、結局は踏みとどまった。というのを、側近だった海部俊樹が証言した 部分はとても興味深かったです(海部が何故やらないのか?と聞くと、三木は独裁者じゃないから、と答えたそう)(続く
解説は、自身も『ロッキード』という本を書いた真山仁。この本が、『ロッキード』の執筆に重要な影響を与えたそうですが 『ロッキード』を読んで、この本の著者・奥山も、気になった事を調べ始めたとのこと。さらに、真山も、今回改めて 読んで、今度はロッキード事件を小説で書きたいという思いが膨らんでいるとあり、互いの著作が 影響し、新たな作品が生まれそうな感じがあり、とても興味深かったです。
未だ謎の多いこの事件を、著者は〝再検証”しようと決意し、書かれたノンフィクション。ロッキード事件、勿論名前は知っていますが、詳細はほとんど知らず、1974年に『文藝春秋』に掲載された「田中角栄研究――その金脈と人脈」と ごっちゃになっているレベル。その「田中角栄研究――その金脈と人脈」について、<新聞が『文藝春秋』の特集記事に追随しなかったのは、彼らのメンツを守るためでもあった。つまり、総合誌とはいえ、新聞とは格が違う。奴らは、人の不幸を面白おかしく書く輩だ。新聞の記事には、モラルと品格が求められる(続く
雑誌の追随記事など誰が書くか。二〇二〇年の現代では、信じられない話だが、当時は新聞とは、 それほど高尚で傲慢な存在だったのだ。>と書いていますが、近年だとジャニー喜多川の性加害報道で、同じようなことが露呈し、〝言い訳”も ほぼ一緒でした。閑話休題。田名角栄が総理大臣になった際の熱狂が、糾弾の際はそれ以上の熱狂となったというのは、〝アメリカ”と それに繋がりの深い人々にとって、好都合だったんだろうなぁ、と。600ページ超えの大作で、十分に理解出来たとは言えませんでしたが とても読みごたえがありました。
というのもあり、そうでもなければ取引されている45%のアワビが密漁なんてことにならないよなぁ、と。築地市場でのアルバイトをやることで「築地でも密漁アワビが売られている」と聞いたり、鰻絡みでは台湾や香港まで出てくるなど スケールが大きくなり、読みごたえがありました。文庫化にあたり、その後を書いた新章も追加(続く
令和2年(2020年。この本が刊行されたのは2018年)に改正漁業法が成立、取り締まりが厳しくなり、著者が取材したチームも解散が多かったそう。また、海保のドローンはかなり高性能で、それも取り締まりに一役買っている模様。福島第一原発の処理水放出で、中国が日本産の水産物の 全面禁輸を取ったというのがありましたが、この本読むと、あれも裏社会に影響が出たのかな?と 感じました。こういう書き下ろしがあるので、単行本読んだからと、文庫も読んだ本登録するのは どうかと思いますよ。
冒頭のページのこの文言、奥付に取材協力として鈴木智彦の名前が掲載されていますが、正直、参考文献として、鈴木智彦の著書 『サカナとヤクザ』をあげるべきでは?と思いました。密漁をさせる人間を〝下請け(バカ)”と呼び、自分達は 「リスクをとらずにやれる」という辺り、オレオレ詐欺に近い構図だなぁ、と思いました。現状、密漁をやらせている ヤクザの熊澤が、清々しいまでの悪役なので、こいつをどう上手く出し抜く、もしくは破滅させる展開にしていくのか。 楽しみです。
社長から目的も教えられず潜入させられたことも含めて 有道が不憫です。その他にも、公安部外事二課の警察官から、姿を消した情報提供者(エス)を 探して欲しいという依頼や、富裕層を狙う凶悪な強盗集団を壊滅させるために動くなど 人材派遣会社・NASに持ち込まれる依頼は物騒なものばかり。そして、その依頼を有道や柴、美桜を 請け負うも、一筋縄ではいかぬことばかり起きてというのが読みどころ。アクション満載で楽しめますが 以後も、このペースでの刊行なら、申し訳ないけど図書館で借りて読むになると思います。
内容紹介にある言葉が、決して大袈裟ではないというのが分かります。浅田は2004年、BSE対策として行われた国産牛肉買い取り事業を悪用したとして逮捕されるのですが、驚くのは、この文庫の元となった本は2003年刊行ということ。「単行本あとがき」にも<浅田氏と部落解放同盟、山口組とは切っても切れない関係にある(中略)知りたくても知ることができない一種のタブーとして遠巻きに眺められていた>と書かれているように、そんな扱いの人物をよく扱ったな、と思います(続く
牛肉偽装に関しても、<(一日二億円の収益があると豪語していた)浅田満が危ない仕事に手を 染める必然性はまるでなかった。察するに浅田は国や自治体の補助金を食うことが習い性になっていた。>という記述があり 納得。こういう人物、〝欲”に底は無いんだな、と感じました。ウィキペディアによると、ハンナンは現在、ハニューフーズへ 商号変更しているそうですが、浅田一族が代表を務める同族企業らしく、それにも驚きました。
武井保雄、まさかの「ナンバー2不要論」だったとは…(ただし、銀英伝のオーベルシュタインのように、ナンバー3が 互いにけん制することで権限の均衡を、というのではなく、単なる独裁体制だった模様)。 裏社会との繋がりも凄くて、日本皇民党とのトラブルの解決に 稲川会系の右翼団体の会長に相談なんていうのが、竹下登の〝ほめ殺し”の時と、ほとんど同じだなぁ…と。 メディア封じの広告費、マスコミへの「アメ」と「ムチ」なども納得です。
(会社に送付し、秘書らが握りつぶしたりしないようにするため)、話し合いとなっても、自ら企業には行かず 相手が自分の事務所に来るという形にする(その際、相手が現金や換金できる商品券を持ってくる) 芳賀の妻の証言が掲載されています。『総会屋とバブル』で読んだ時も思いましたが、こんなことをやってれば そりゃ総会屋がのさばるよなぁ、と。ただ、肝心の西武の部分に関しては、インパクトのあるタイトルほどの 内容があったかというと、う~ん…となってしまいました。この辺に関しては、文章があわなかった という事もありますが。
ソニーの5代目社長・大賀典雄がそう宣言すると、「ソニーの総会に集まれ」を 合言葉として、総会屋があつまり、株主総会が午前10時開始で、終わったのが何と午後11時半と、13時間半かかったというのを読んで、うわぁ…となりました。「会社(組織)ぐるみでない」というトップの言い分はいくら何でも無理があるだろ、と思う事多数で、特に警察官から味の素に入り 総会屋対策をしていた石神隆夫の、交際費は青天井、会社から持たされていた法人名義のクレジットカードはひと月に990万円まで使用が認められていて(続く
さらに個人の銀行口座に会社から年間約1億円の 〝工作資金”が振り込まれていたとあり、唖然としました。巨額の損失補填をしていたという野村証券、 その好き勝手っぷりに、よく今でも会社が残ってるよなぁ、と思います。 自分は総会屋というと、90年代半ばに連載していた魚戸おさむ『斗馬』を思い浮かべるのですが 総会屋を描くには、ちょうどいい時期だったのかな?と思います(全3巻ですが、うちには2巻までしかない…)
第3章「大和銀行ニューヨーク支店事件」も 凄まじかったですが、一番インパクトがあったのは、やはり第1章「尾上縫と日本興業銀行」でしょう。 大阪・ミナミの料亭の女将に、日本興業銀行が2000億円以上の融資が行っていたといのは、その他の銀行も含めて 累計の借入額が1兆円を超えていたというのは<だれの目から見ても、一個人への 融資としては常識から大きく外れていた>と書かれているように、バブルが、いかに狂っていたかが分かります。
被害金額の規模が凄いというのもありますが、その分、手も非常にこんでいます。積水ハウス以前に、ある不動産会社が仮契約寸前までいくも、なりすましの地主との会話、そこでちょっとした違和感を覚え、思いとどまったというエピソードが出てきますが、それがなければ騙されていたということを考えると巧妙です。積水ハウスが騙された事件の他、新橋の繁華街の一角を所有していた地主の女性が、自宅と隣の家のあいだにある僅かな隙間で白骨死体として見つかるというのも、地面師詐欺の方も犯人が摘発出来ていない事も含めて、だいぶ闇が深いなぁ、と
取引所間の実際の取引速度と、理論上可能な取引速度の間に〝差”を利用した超高速取引。その超高速取引を行っていた業者が、タイトルにもなっている「フラッシュ・ボーイズ」と呼ばれたそうです。(解説で阿部重夫が、勝率100%じゃんけんロボット、そのからくりは、人間の出した手の形を認識し 一ミリ秒後にそれに勝つ手をロボットハンドが出すという例を紹介していて、なるほどとなりました)(続く
トム・スタンデージ『ヴィクトリア朝時代のインターネット』でも、電信が利用され始めると、<銀行家がオペレーターを買収し 事前に株式市場の情報を得ていた>なんていうことがあったそうなので、この本の中で書かれていることは それをさらに高度にしたものといってもいいきがします。人間、そうそう変わらないし、金儲けが絡んだ時に とんでもない発想をして、それを実現させるんだな、と思います。自分の頭じゃ、この中に書かれていることを 十分に理解出来たとは、とても言えませんが、それでも興味深く読むことが出来ました。
こういうショートメッセージやメールが届いたという経験がある人は 多いと思います。しかし、企業でも似たようなことが起こっており、しかも日本航空が航空機リース料約3億6000万円、ドイツの大手電気機器メーカーは約4000万ユーロ(当時の為替レートで約50億円)という、とんでもない被害金額に なっていてビックリしました。「誰もが被害者になりうる危険性」という項目がありますが、まさにその通りで 自分だけは騙されないと思っていたら、絶対に危ないだろうなぁ、と改めて感じました(続く
GACKTコイン(正式名称はSPINDLE)を始めとしたグレーゾーンの生息者が絡んだ仮想通貨に関するトラブルの数々。 <筆者は仮想通貨やブロックチェーンというテクノロジーに対して決してネガティブな考え方を持っているわけではない。 (中略)新しいテクノロジーが普及していく過程においては、どうしても情報の非対称性が拡がってしまうため、その差を 悪用されることが多いという点だ>というのも注意すべき点でしょう。
それらの例をあげつつ、<サイバー犯罪の主戦場はインターネットの奥底に移りつつある。>と序章で書いています。検索エンジンの届かないダークウェブでは麻薬だけでなく、偽造パスポートや児童ポルノ等の違法ポルノの取引が行われ、またそれらが発展した大きな要因として「ビットコイン」の登場があった、と書かれています。「一人分の個人情報が記録されたデータは概ね一ドル程度」だそうですが、(続く
医療機関や保険会社のデータベースにある 個人情報は金になる、つまりピンポイントに狙いやすくなるというのが怖いな、と感じました (2024年7月に、東京海上日動グループが最大6万3200件の情報漏洩があった、というのがありました) 今の若い子はメールをほとんど使わないので、スパムメール業者は衰退しているという記述があり、納得。 木澤佐登志『ダークウェブ・アンダーグラウンド』よりも、ダークウェブについて平易に解説しているので 入門としては、こちらを読むほうがいいと思います(刊行も、こちらの本の方が先)
その閉塞感の中で〝自由”を至上として、「ダークウェブ」は形成されていると序章で書かれています。ただ、「ドラッグのeBay」(eBayは、世界最大のインターネットオークションサイト)や「闇のAmazon」と呼ばれるような 「シルクロード」、コカイン、ヘロイン、LSDなどのドラッグ、発禁本、宝石類、デジタル機器など様々なものを扱い支払いは全てビットコインで行われている <詐欺を根絶するための洗練されたシステムを実装していた(続く
しかし現実には、「シルクロード」にはTony76を筆頭とする 詐欺師が常に跋扈していたし、悪質な荒らしや恐喝、ハッキング攻撃も日常的に行われていた>なんていうのを読むと 思わず顔をしかめたくなります。殺人請負やヒットマンなどは詐欺や都市伝説としてのみ存在と書かれていますが 児童ポルノの部分は、顔をしかめるなんてレベルではなくて…特に思想部分など、十分に理解出来たとは言えませんでしたが 知らない世界(ただし、近づこうとは絶対に思わない)を知れたという意味で、とても興味深く読めました。
1972年、ジンバブエでポール・コールダー・ルー・ルーは ネットで処方薬を販売するというグレーな仕事で得た多額の儲けをもとに、ブラックな事業を次々と 展開させていきます。モザンビーク、香港、ソマリアなど、それらは多岐にわたり、解説で木澤佐登志が <これらの途方もなく多方面にわたり細分化されていく事業が相互にどのように関係しているのか、誰一人として わかる者はいなかった。――もちろん、ル・ルーを除いては>と書いている通りで、その凄まじさに圧倒されました。
(変な?人気のあるワンピのウルージは、今後出てくることはあるのだろうか?) <二一世紀に入り、海賊の存在がにわかに現実問題として注目を集めることになった> として、現代のソマリアの海賊にも触れています。海賊の歴史をざっと知るにはいい本だと思います。 ただし、「はじめに」で書かれているように、日本を含む東アジアの海賊は扱っていません。
クナ族の王に請われ、要塞を襲撃する(バッカニアにとっては スペインの金銀財宝目当て)。「日中に風のおかげで稼いだ距離を、夜間に潮流のせいで失う」ということから 船員同士の苛立ちがつのり、決闘が行われたり(ただし、海上では乗員が分断されてしまうので、行われるのは陸上) 終盤には裁判の様子も書かれています。この本に登場するウィリアム・ダンピアは、トマトスープ『ダンピアのおいしい冒険』でも お馴染みの人物。『ダンピアのおいしい冒険』も最初ぐらいしか読んでいないので、続きを読まないと。
その「バッカニア」について、やっている事が海賊行為でも本人たちは〝バッカニア”と名乗っていたというのが出てきます。〝バッカニア”と名乗っていた中には バーソロミュー・シャープという船長がいたそうです。また、フランス海賊の主要な本拠であるサン・マロをイギリス人船乗りは「蜂の巣」と呼んでいたとあり、『ONE PIECE』の黒ひげ海賊団のいる場所は、ここが元ネタか、と(続く
また、史上最も有名な海賊であると言ってもいいだろうと書かれている〝黒髭”エドワード・ティーチ、 その最後が<黒髭の息の根を止めるためには、二五の銃弾と刀傷を浴びせなければならなかったと報告している> とあり、『ONE PIECE』の白ヒゲの最期を思い出しました。また、『ONE PIECE』では現状、名前しか出てきていない 王直(黒ひげより前にハチノスを拠点としていた海賊)も、倭寇のところで名前が出てきて、ここから取ったのか、となりました。
訳者あとがきでそんな風に書かれていましたが、不思議な感じがしました。興味深い内容でしたが、自分の頭&読解力では ついていけない部分も多く、十分に理解出来たとは言えませんでした。下巻帯にもデカデカと書かれている <レオナルド・ディカプリオプロデュース、ベニチオ・デル・トロ主演映画化!>、邦訳刊行から2年経過 していますが、軽く調べた限り、まだ劇場公開(もしくは配信)はされてないようです。
こちらはキューバ絡みの話しで、しかもノンフィクション。ノンフィクションとはいっても、汚職警官、反カストロの 2506旅団に参加、虜囚生活の後にアメリカに戻り、違法賭博や麻薬等で成功し…と、小説に負けないくらい ド派手な展開が繰り広げられます。<本書口絵には暴力的な内容が含まれます>と注意書きが全く大げさではない 冒頭のカラーページ掲載の写真、迂闊にページを捲ったら、うわっ!となる写真があり、慌てて閉じました。
4番隊隊長のサッチが、エースに覇気の色についてアドバイスをしたり、現在CP-0に所属するカクが食べた悪魔の実、ウシウシの実 モデル麒麟の前の持ち主らしき者が出てきたりと本編で描かれなかった部分も楽しめます。「スケスケの実」を男のロマンだ、と意気投合するサッチとティーチの姿は、後のことを考えると、複雑な気持ちになりました(目的のためなら こういう関係だったサッチを殺す辺りが、ティーチの恐ろしいところなのでしょう)(続く
特に親子杯の儀の時の「おれの探してきた何かが ここなら見つかるかもしれねェ…そう思えたんだ この何もねえ背中にあんたの印を背負いてェ!オヤジの〝髑髏”を」という言葉に目頭が熱くなりました。 故に、白ひげもエースもいなくなってしまう事を知っているだけに、読み進めるのが、とても辛かったです。 前巻に続き、巻末にはカリファとナミの対決をBoichiが描いたものが収録されており そちらも読みごたえがありました。今度は青雉と赤犬のタイマンを描いてくれないかな…
本編の方では、そんなに細かくは描かれなかったエースのスペード海賊団時代やジンベエとの対決、そして 白ひげとの初めての戦いが詳細に描かれており、ファンとしてはとても嬉しいです。Boichi画の レイリー、白ひげ、シャンクス、ジンベエは、迫力が本編の3割増し(笑) (シャボンディ諸島でエースはレイリーと会っていなかったのか…) さらに巻末には、ゾロとミホークが初めて対峙した回を、Boichiが描いたものが収録されており そちらも読みごたえがありました
エースが、白ひげ海賊団のメンバーとの交流等を通して、白ひげを知っていく、そして、自分のこれからを決めていく様が書かれています。エースと主に交流するのは、四番隊隊長のサッチ(四番隊は白ひげ海賊団の台所を預かっているというセリフがあります)とマーシャル・D・ティーチ。ティーチに関しては、終盤の、やりすぎかというぐらい容赦なく敵を痛めつける様や、コタツ(スペード海賊団の一員で、巨大なオオヤマネコ)が、ガタガタと震える描写があるなど その不気味さがよく分かりました(続く
「この〝S”に×印は、死んだ兄弟の旗印だった。それだけだ」 エースの腕の刺青、AS(Sに×がつけられている)CE、てっきりSはスペルミスだと思っていたのですが そういう意味があったとは知りませんでした。とても読みごたえがあり、面白かったのですが、それ故に ティーチがサッチの見つけたヤミヤミの実を…という部分等も読みたかったなぁ(かなりハードな描写になりそうですが) そういう部分や、ティーチの後を追っていた時のエースの話など、本編や扉絵でチラリと描かれた部分を 読みたいです。
こちらの方だと、エースが「デュースにしろ、エースに響きも似てるしな」と言います(エースというのをペンネームにしようとして、という流れがあります。デュースは、カードやサイコロの二のことでバッドラックという意味があるので、嫌がるのですが)このように、漫画の方とは違う部分が結構あり、漫画の2巻あとがきで、ネーム構成の石山諒が、全4話構成と決まっていたため キャラクターやエピソードを泣く泣く削ったと書いています。その削られたうちの1つが(続く
〝釘打ち”の二つ名を持つ 海軍少尉・イスカ。「あいつ、いいやつだな…」エースたちの船を追う最中、岩礁地帯に突っ込み、船から落ちた部下を助ける イスカを見て、エースがそう言います。また、イスカの方も「私には、お前が悪人には思えないんだ…」と、エースに 海賊をやめろ、海軍に来いというぐらいで、互いに認め合っている関係。彼女とのエピソードが、この巻の終盤になるのですが 認め合っていても、互いの立場が…という展開は、目新しいものでは無かったですが、それでも十分に切なかったです。
<〝パンク”という海賊的な文化が 生まれている>などの記述は、とても興味深かったです。海賊とパンクを結びつける考え方として、マット・メイソン 『海賊のジレンマ ユースカルチャーがいかにして新しい資本主義をつくったか』を紹介しており <メイソンは、古いシステムの新しい形として〝パンク資本主義”ということばをとりあげる> <ネット社会が海賊の侵入を避けられないと見て、それをとりこもうとしている傾向があらわれているのだ>などに へぇーとなりました。
シロップ村のカヤ、バラティエのゼフなど、懐かしい面々が登場する話もあります。 個人的には、チョッパーに見入られてしまった〝波頭の仁王”の異名を持つ海軍将校の話が好みでした。 『ONE PIECE magazine』掲載のサイドストーリーとして考えると、どれもサクっと読めて、微笑ましい話なので 大満足!とまではいきませんでしたが、及第点にはいってると思います。『ONE PIECE novel A』のような 濃厚なサイドストーリーを求めている人には物足りないでしょうが。
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また、メッセージは基本、返信しません。
現在の本棚は以下の通りです。
「2011年ベスト」
「2012年各月ベスト」
「2012年上半期ベスト」
「2012年ベスト」単行本・文庫・マンガ
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