河鍋暁斎の娘とよの話。兄、妹ともに偉大な父のしがらみを受け、悩み苦しんでいる。その生きざまが胸を打つ。現在の日本画ブームのこともあり、絵にも流行り廃りがあることを実感。若冲も読みたい。

「つまみかんざし」という伝統工芸もはじめて知りました。描かれている東京の下町光景も素敵でした。でも架空の街なんでしょうか。政と清子さんの関係、身につまされました。老いと若さの対比が楽しくもあり、切なくもあり。

河鍋暁斎の娘とよの話。兄、妹ともに偉大な父のしがらみを受け、悩み苦しんでいる。その生きざまが胸を打つ。現在の日本画ブームのこともあり、絵にも流行り廃りがあることを実感。若冲も読みたい。

相変わらず笑って泣かせる三浦しをんの文章で楽しめた。文楽の世界もサクッと紹介してもらって、日本人だったら一度は文楽も見に行かねばならないなと思った。果たして健大夫のような衝撃を受けるだろうか。

現在、過去、未来を行き来しながら、いくつかのうねりがひとつにまとまるラストには感激。しかし筑豊の時代の話は読んでいて辛くなるほど。重い話だった。

カウントダウンが終わった後半から一気に物語が動き怒涛の展開に圧倒された。自分自身も少なからずこの登場人物たちと同様な言動をとったことがあり、身につまされる部分も多々あった。悲しい話ではあるが、最後の描写が美しくそれが救いだった。