ネタバレ「ランティエ」2023年9月～2024年7月隔月に連載、加筆修正し2024年9月角川春樹事務所より単行本。浅草寺正顕院で寺子屋を開いて1年の、旗本350石御膳奉行・大滝左衛門尉の妾腹の弟・大滝信吾。彼を巡る下町の人々の人情、日々の生活を舞台に、綴られる短編6話。最終話：錦木では、隠されていた信吾の出生の秘密が明かされる。旗本と深川芸者との妾腹の男子という設定がミソ。砂原氏の神山藩シリーズ他の武家小説を読んでいるが、こんな市井の時代小説も良い。大滝信吾の江戸出発からのその後を読んでみたい。

ネタバレ2022年7月幻冬舎より単行本。2024年9月幻冬舎文庫。毒島シリーズ3弾。毒島真理（まさと）元警視庁捜1敏腕刑事。第2弾の事件で依願退職、週1回刑事技能指導員として再雇用の傍ら、ミステリー作家として活躍。《刑事犬養隼人》シリーズの捜1麻生班エース・犬養隼人の新人教育係だった。今作は急進革マル派の影①改新社（出版社）放火事件②東朋大学、邦画倶楽部部長・舘の転落殺人③居酒屋《鶴民》従業員の連続過労自殺？④辺野古抗議活動、作家・瑞慶覧万平殺人⑤狂言爆破テロ。相棒は警視庁公安1課（極左暴力集団担当）・淡海奨務→

ネタバレ「小説トリッパー」2023年冬季号～2024年夏季号に連載、加筆修正し2024年9月朝日新聞出版から単行本。群馬県鈴ノ宮ダムを巡る人々の憎悪と因縁の歴史。物語は①プロローグ（現在）井上衆議院議員地元事務所、秘書・杉原を人質にとっての立てこもり事件。2人の犯人②第1部（33年前）鈴ノ宮町でのダム建設の町長選。賛成派VS反対派。僅差で賛成派町長。鈴ノ宮旅館組合副会長のリゾートホテルは3年で破綻。派閥のボス・永見衆議院議員関係者が乗っ取り③第2部（13年前）ダム反対派町長が選出、しかし、事務所Ａ女を使った→

ネタバレ2024年10月廣済堂新署。文春オンラインの本書紹介記事がきっかけ。旧知の林真理子氏が2022年7月1日に日本大学理事長に就任。その縁で、2022年7月に日大常務理事に就任した和田秀樹氏（評論家、精神科医）が、2024年1月12日に辞任するまでの怒涛の1年半を、中にいた人として実体験を、精神科医として冷静な視線で分析している。2018年5月悪質タックル問題から背任脱税事件、薬物事件、私学助成金3年不交付、最近では重量挙げ部の幹部が奨学生の奨学金を私的流用。まだまだ林理事長の改革も茨の道。→

ネタバレ「小説幻冬」2022年6月～2023年3月連載、加筆修正し2024年9月幻冬舎より単行本。中山七里先生（本人は否定しているが＝作家刑事・毒島真理氏）の《フィクションだったらいいなぁ》の、作家が赤裸々に語るノンフィクションらしい5編の短編集。作家刑事毒島シリーズ4弾。P266には【読書メーター】が登場する。捜1課麻生班の犬養隼人と高千穂明日香コンビが毒島（再雇用、刑事技能指導員）と組む①新人賞受賞作家と出身小説講座講師②なろう作家のブックマークを巡る闇③プロ書評家と文学ユーチューバーの軋轢④売れない作家→

ネタバレwebマガジン《考える人》連載、加筆修正し2024年9月新潮新書。京都市下京区の浄土宗龍岸寺24代目住職・池口龍法さん（44）のシンパパ奮闘記。京都大学卒業後→知恩院→2014年より現職。7年前に離婚、一男一女を育てる。7歳年上の薬剤師の方と27才時に結婚。お寺の奥さんには向かないぞ。跡継ぎ出産の諸事情をはねのけ、結婚した結果、家庭をとるかお寺をとるかの究極の選択を迫られる。お寺の住職は凡人と違い、仏様について修業をしているのだから、嫉妬、悩み、欲などの煩悩とは無関係の生活だと思い込んでいた。→

ネタバレ2024年9月幻冬舎より書下ろし単行本。またうど＝愚直なまでに正直なまことの者。「意次はまたうどの者なり」徳川家重が意次を評して言った言葉から。9代家重と10代家治の許で側用人を務め、田沼時代を築いた田沼意次（遠江相良藩の田沼家初代藩主）。本書を読むと、これまでの意次のイメージとは異なり、先を見通し事業を推し進め、商業活性化、土地開発、財政改革に邁進した愚直の人が浮かび上がってくる。天変地異や疫病が続く中、息子・意知の刺殺事件。小説というフィルターを通して見たら田沼意次という人物はこうなるという村木本。

ネタバレ「ランティエ」2023年9月～2024年7月隔月に連載、加筆修正し2024年9月角川春樹事務所より単行本。浅草寺正顕院で寺子屋を開いて1年の、旗本350石御膳奉行・大滝左衛門尉の妾腹の弟・大滝信吾。彼を巡る下町の人々の人情、日々の生活を舞台に、綴られる短編6話。最終話：錦木では、隠されていた信吾の出生の秘密が明かされる。旗本と深川芸者との妾腹の男子という設定がミソ。砂原氏の神山藩シリーズ他の武家小説を読んでいるが、こんな市井の時代小説も良い。大滝信吾の江戸出発からのその後を読んでみたい。

ネタバレ「透明な螺旋」2021年9月文藝春秋より単行本。「重命る」オール讀物2023年12月号。ガリレオシリーズ10弾。帝都大学教授・湯川学。警視庁捜1係長・草薙俊平と部下の内海薫①秋田出身で千葉・紡績工場勤務の秀美。バーテンの矢野と同棲、妊娠、矢野の急死、出産後女の子を児童養護施設前に遺棄②児童養護施設で育ったシングルマザー・嶋田千鶴子。一人娘・園香を残し急死。園香は上辻亮太（フリープロデューサー）と同棲、酷い束縛とDV被害、園香を金策に利用③末期癌の銀座・クラブVOWMのママ・根岸秀美が探す女性→

ネタバレ2024年9月中公文庫書下ろし。鳴海桜子シリーズ4弾。玉堤署刑事課・鳴海桜子（相貌失認）と捜1・音喜多弦（39）の玉堤署特捜本部召集4度目のペア①㈱カシモトフーズの社長令嬢・皐月（小5、ヴァイオリン教室に通う）の誘拐事件②防カメと目撃証言から捜査線上にヴァイオリニスト・蛯沢多聞（33，著名指揮者・薬丸昭司の息子という噂、薬丸は鳴海の実父、両親は離婚）が浮かぶ③捜査すると蛯沢には腹違いの弟・佐久間大地、事故による所在不明中。虐待していた住友章一殺しの疑い④鳴海は捜1課に推薦される。うーん今回は、何だかな。

ネタバレ2021年9月KADOKAWAより単行本に加筆修正し2024年9月角川文庫。狩野雷太シリーズ2弾。狩野は元捜1「落しの狩野」殺人事件の捜査ミス、被疑者自殺の責任を取り左遷、神倉駅前交番へ①鎌倉市のマンションで育児放棄による幼児死亡事件。母は吉岡みずき（本名・松葉美織）死亡児は真昼（女児）残された夕夜（男児、7）。美織は著名コメンテーター・松葉修（64）の長女。実兄・由孝。15才で狂言誘拐に加担→失踪（すでに夕夜妊娠）②アサヒ（小塚旭）とユウヒ（正近雄飛）の男児2人、住所不定のおとうさんを名乗る男と暮らす→

ネタバレ2024年9月幻冬舎より単行本書下ろし。海上保安庁特殊警備隊SST・アサルとチームリーダー・デウスが果たすべき使命を《ピースキーパー》最終目標と言い切る。開戦の大義を与えない事。次々とSSTに出動命令①水産庁漁業監督官を銃撃し拉致、逃亡したニセイカ釣り漁船②小樽から出航のクルーザー「エメラルド・ルナ」小樽港付近のジャミング電波。乗船の永瀬康輔が不明③苫小牧→名古屋のカーフェリー「ジャパン・オーシャン号」爆弾の脅迫電話。駐車車両内に爆弾を装着した永瀬康輔。カウントダウンと起爆装置。船尾にも爆発物。→

ネタバレ2016年8月実業之日本社より単行本。2019年8月実業之日本社文庫。針と剣シリーズ1弾。八名川小町と呼ばれる深川の縫箔屋《丸仙》の一人娘・おちえ。お針の腕は今一つだが、榊道場に12才から通う凄腕女剣士。その丸仙に新入りの弟子・吉澤一居（剣名高い佐竹道場、二千石旗本の三男、自ら望んで勘当され、執念の懇願で弟子入り）おちえの父・仙助、母・お滝。今回は、一居（一さん）が弟子入りする経緯、本所深川の親分・仙五朗（剃刀の仙）に探索の才を見込まれ、おちえと共に連続女子殺人事件を解決するまで。面白くハマりそう。

ネタバレ2024年9月小学館より単行本。オズヌシリーズ3弾。神奈川県警少年捜査課、高尾勇巡査部長（仕置き人の異名）と丸木正太巡査長のコンビ。県立南浜高校・賀茂晶（霊能者・役小角の降臨）赤岩猛雄（同級生、元暴走族、オズヌの後鬼）水越陽子（賀茂、赤岩の担任、オズヌの前鬼）。今回は、人気カリスマボーカル・ミサキ（白河沙月、17）を巡るマネジメント騒動。横浜と川崎、半グレ集団と地元ギャングの抗争からミサキの誘拐事件勃発。少年事案とオズヌの霊能力のコラボ。面白かった。オズヌに名前を呼ばれるといとも簡単に繰られる、要注意。

ネタバレ「小説宝石」2023年9月～2024年7月連載《イレイザー》を改題し2024年9月光文社より単行本。2024年6月《暗殺》に次いでの《抹殺》①2016年南スーダン首都ジュバ、南スーダン政府軍大統領警護隊が、国連職員やジャーナリストらが滞在するホテルを襲撃。国境なき医師団の長谷川麻衣子（29）からの救援要請で、第10次PKO部隊に秘密裡に派遣されていた習志野駐屯地特戦群五班が出動、3名救出、1人殉職、襲撃者3人銃殺②2023年4月～当時五班8名の内、3名が2週間で殺人で抹殺され、生残り4名（風戸、村田、→

ネタバレ2024年9月（株）興陽館から単行本。今年83才になったみつはしちかこさんのエッセー集。昔から親しんだ特徴ある文字とイラスト、何より優しい文章に癒される。平凡な暮らしの中の小さな発見を楽しむ。青春を長生きする。読んでいると元気が湧く本。

ネタバレ2024年8月幻冬舎文庫書下ろし。警視庁捜1・犬川椋巡査部長（27，父はキャリア警視長で三重県警本部長）日野中央署刑事総務係長・司馬礼二警部補（48，降格された元警視庁総務部理事官、元警視→警部補、降格時に離婚）のコンビ①八束杏里（21）アルバイトの帰途失踪、実は拉致事件②今野泰治（81）強盗？事件、証言が曖昧。河川敷で一人息子・治一郎（44）の刺殺体③日野中央署生安課相談係長・江角警部補（多額借金で戒告）。杏里からストーカー相談の書面を発見④杏里の父の会社元従業員・玉置宅放火事件⑤犬川と司馬、捜査中→

ネタバレ2024年9月ポプラ新書。歴史作家・河合敦さんの城初心者のための入門書。10人の城名人厳選？武将たちが建てた城作りと発注方法を解りやすく解説。明治6年の廃城令、太平洋戦争の空襲、様々な困難を経ての、現存の城。内容は知っていることも在ったが、復習としても良書だった。

ネタバレ月刊「パンプキン」2022年3月～2024年7月連載に加筆修正し2024年9月潮出版社より単行本。佐々木京子（80，夫・雅彦は病死）長男・真司（アパレルメーカー勤務、妻、留学中の息子）長女・陽子（美容サロン経営、娘2人）次女・瞳（パート勤務、夫は食品会社勤務、一人娘は結婚、現在夫婦2人暮らし）。突然の京子が打撲で救急搬送。その後、瞳宅に同居、そして京子の虚血性心疾患で突然死。その後の子供たちのドタバタ遺産相続。離れた実家の沢山の荷物の遺品整理、空き家になった古い家屋の処分の大変さ。さて、自分事になると？

ネタバレ2020年4月（株）CCCメディアハウスより単行本。著者の「義父母の介護」新潮新書2024年7月刊行に引続きの本書。絶縁状態の実兄の突然死からの怒涛の5日間、その後の顛末を、赤裸々に淡々と記録した一冊。実兄夫婦の離婚後、上の子供たちを元妻が、末っ子の息子を実兄が親権。以来、実兄と末っ子が同居、多賀城市に居住。息子が帰宅すると脳出血で既に死亡、第1発見者は末っ子。生活保護受給中。妹・村井さんや親戚に金の無心。妹は仕事をやり繰りし、元妻と共に兄の後始末。読んでいるだけのなのに、大変さが想像できて重い気持ち。→

ネタバレwebマガジン「考える人」の連載《村井さんちの生活》を基に構成、大幅に加筆修正し改題。村井さん初読み。翻訳家でエッセイスト、琵琶湖畔に双子の男の子、夫の4人家族。近くに義父母。まずその義母が8年前に認知症、そして義父が5年前に認知症。結婚以来、何かとギクシャクの関係だったが、腹をくくり、積極的ではない夫の尻を叩き、仕事の傍ら、ヘルパーやケアマネ、医師、看護師らの協力を得ての七転び八起き苦難の介護生活。大変な介護だが、義理の父母という少し距離を保った、そして作家という冷静沈着な観察眼の文章が読みやすかった。

ネタバレ2005年3月幻冬舎文庫、2008年4月新潮文庫、2024年9月幻冬舎文庫（新装版）。樋口顕ｼﾘｰｽﾞ2弾。警察+家族小説。捜査2課主任・島崎洋平警部補は日和銀行捜査情報を、大学柔道部後輩で日和銀行員・富岡から脅迫され漏洩する。その後富岡の他殺遺体が発見され、ﾏﾝｼｮﾝ前で島崎の次男の目撃。島崎は漏洩の秘密がばれずに安心するが、富岡殺害容疑者に次男が浮上。否定する息子に、犯人と思い込んだ父の選択。父親の期待に応えようと懸命な長男と、反発し自分の道を探し求める次男。相変わらず職場の人間関係に敏感な樋口が→

ネタバレ2012年11月ハルキ文庫「破談　独り身同心2」を改題、大幅加筆修正し2024年8月コスミック時代文庫。北町定廻り同心・伊原伊十郎。縁談相手はバツ2の旗本柳本為右衛門の娘・百合（美貌だが得体が知れず我儘）。周囲には、音曲師匠・おふじ、料理屋女将・おせん。①次々を盗みを重ねる盗賊・ほたる火の探索。ある事情から女だと知る伊十郎。おふじか又は元軽業師・おりつか②与兵衛店の泰吉宅、残された母おしん。3年前の悪事で泰吉は逐電。自称泰吉の嫁・おひさが転がり込んでくる。泰吉の生死不明、持参の50両の謎③破談の話は→

ネタバレ2024年8月双葉文庫書下ろし。日経新聞「野崎六助氏が選ぶ一冊」で紹介されていた作品。タイムリーな刊行①衆院本会議場での臨時国会の初日。首相演説の途中、鈴木尚之が倒れ、救急隊に偽装したテロリストが国会に乱入、国会議員、秘書ら、傍聴人、報道関係者、衛視を人質にとり占拠②TV中継は、そのままテロのLIVE映像に。サブマシンガン、5人のテロリスト。主犯は《コッカイくん》国民参加裁判のネット投票、選択肢に死刑あり。ポリグラフを駆使し、文書改竄隠蔽、官房機密費、カルト教団、世襲議員・・・次々と処刑される議員③人質→

ネタバレ上巻より。④伊豆原は病院内関係者から証言を集め続け、残された娘2人を守る。野々花に手弁当での私選弁護人を申出。仁科栞弁護士も選任。老獪な老人の妄執に絡めとられた枡田。自らの正義にぶれない伊豆原。長い裁判の結末は。伊豆原と仁科が霧をはらったあとに見えた真実の景色。作家デビュー20周年を迎えた雫井さんの渾身の作品。

ネタバレ2021年7月幻冬舎より単行本。2024年8月2分冊にして幻冬舎文庫①古溝病院小児病棟点滴死事件。4人部屋の子供の点滴にインスリンが混入され2名死亡1名昏睡状態からの後遺症。無事だった小南紗奈（小6）の母・野々花の逮捕。取調べで一時犯行を認めたが、その後否認。東拘に収監②国選弁護人・枡田実と貴島義郎（著名な刑事弁護人、自ら志願、末期癌）枡田の誘いで同期・伊豆原柊平も参加③病院内での野々花の評判、エキセントリックな性格、状況証拠と精神鑑定。流れは野々花有罪。上巻は、後に小南の裁判を伊豆原と→

ネタバレ2024年8月ダイヤモンド社より単行本。元文春記者でフリーランスノンフィクションライター・甚野博則氏の力作。文春オンラインやダイヤモンドオンラインの記事で興味を持った本。ここ最近で一番読んで為になった一冊。私の周囲では《超》（←表紙では金の箔押文字）高級老人ホームに入居している知合いはいないので、本や雑誌、TV番組等で得る情報しかなかった。本書を読むと想像していた以上の現実と思い違いがあった。カネさえあれば幸せに死ねるのか。入居者カーズト、老人は2度死ぬ（悪徳施設への潜入取材）、遺産目的の連れ去り事件→

ネタバレ「小説推理」2021年9月～2022年2月。2022年5月双葉社より単行本。2024年9月双葉文庫。13階シリーズ5弾。4弾より、2020年天方美月衆議院議員宛の宅配便爆発で重傷、犯人・13階所属の鵜飼真奈巡査自殺。13階組織解体⇒内調・内外情報調査部へ移管。校長・藤本乃里子は降格、在コロンビア大使館参事官。古池慎一秘書官と古池（黒江）律子工作員は懲戒免職。息子・慎太朗と共にインド領ポート・ブレア在住①コロンビアで邦人女性惨殺遺体、外務大臣が現地へ。ダミーの藤本参事官の拉致誘拐、身代金30億円、→

ネタバレ2024年8月光文社書下ろし単行本。刑事・花房京子シリーズ4弾。1年ぶりの新刊。警視庁捜1刑事・花房京子と捜1係長・綿貫良平、後輩刑事・矢部宏①田中精一（40）が葛飾区閉鎖中の自動車修理工場での爆死事件。田中は米で刑期12年、3年の刑期を残し釈放強制送還。遺留品にテロ組織《緑の天使》②元公安刑事・犯罪評論家・コメンテーターの角松麻由子。姉・美也子は14年前自死③帰国して田中は極秘に角松に連絡。隠しておきたい米での接点と角松の殺意と殺人計画④花房は持前の勘と明晰で合理的思考で、元公安刑事に迫る。面白かった。

ネタバレ2018年9月小学館より単行本、加筆修正し2024年8月小学館文庫。「真犯人」の続編。静岡都市銀行浜松支店長・村木貞務の娘・千夏が誘拐され身代金１億円要求の電話。母親の清美は1億円を持ち犯人の指示でタクシーを転々。爆発したタクシーから千夏の遺体。著者は読者心理を上手く衝いていて、のめり込むような気持ちで読み進める。捜査が進む中、日下悟警部補は千夏の両親・貞務と清美に怨恨を持つ関係者を調べ始める。「真犯人」の日下警部補が裾野署から浜松中央署に異動し活躍。また、熱海に隠遁する御意見番OB・重成成一郎も健在。→

ネタバレ2024年8月文春文庫書下ろし。助太刀稼業2弾。豊後国海部郡の佐伯藩毛利家の徒士並・神石嘉一郎（23）。毛利助八郎（19，毛利家九代目藩主高誠の妾腹の三男）の奸計により、職を追われ故郷から出奔。嘉一郎が突き放すほど、ベタベタとストーカーの如く付きまとう助八郎。プライド高い割には、生活能力がないうえ社会生活でのルールも配慮もせず、何とも厄介者。助八郎が毛利家から持出した家宝の刀《古備前友成》著名の刀剣商備前屋に持込むと、もどきの判定。嘉一郎は剣の腕を見込まれ、備前屋の裏家業の助太刀稼業。多額の貸金回収。→

ネタバレ2024年9月講談社より書下ろし単行本。内館牧子さんの「高齢者小説」第５弾。今回の主役は原英太（75）礼子（71）夫妻。長女長男孫あり。弟夫婦・昭次（72）珠子（再婚妻）連れ子あり。実母・キヨ（92）当初、弟夫婦が同居、その後横浜の英太宅に引取り、熱中症であっけなく急逝。さて、その後の英太の終活。本来は自分が死亡した際に周囲に迷惑をかけないための終活だが、英太は自分のための自己中心の終活を推し進める。曰く《やり残したことにケリをつけるのが、本当の終活だ。》ほとほと迷惑なこの御仁、昔の憧れの少女や不倫相手→