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鬼に変貌できなかった奴が先に死んでしまう生存者バイアスのような。そして鬼に変貌した奴も鬼の宿命で殺されて行くというのが戦争の姿というもので、史思明の頬で象徴的に表現しているのが上手かった。また、軍隊の中に女や老人までも参加している様子が、人が死にまくった安史の乱の苛烈さを雄弁に語っていて、まさに三吏三別の世界だ。 そんな過酷な世だからこそ、熱い信念を持って戦争を終わらせようとする主人公たちの姿が熱かった。でもよくよく考えたら、主人公は女スモーレスラーだったけど、
真の主人公は表紙イラストの右下だったんじゃないか。 歴史物は女性キャラが少ないと最初に言いましたが、よく考えたら李麗はかわいかったし、それでいて芯も強くていいキャラでした。 ということで、全体的には、キャラの熱さを堪能できる作品でした。
市井にまで冒険の舞台が広がっているのが面白いところです。北宋の都の開封をモデルとした都の殷賑繁華ぶり鮮やかに描かれていて、巻末の参考文献一覧に、清明上河図に関する書籍もありましたが、まさにあの有名な清明上河図の世界を縦横無尽に冒険しているような感じでしょうか。描かれている多くの登場人物たちの中のどこかに主人公とヒーローも紛れ込んでいてサンザシ飴なんか食っているかもしれないな。 実際に主人公女なのにヒーロー女嫌いなのにアレなお店に潜入しちゃったりなんかして、市井の冒険はまさにハラハラの連続です。
文武両道というべきか、爽快なアクションシーンもありますが、その一方で地道な足での調査もあって、お役所での記録の調査の場面なんかもあって、地味ではあるけど通好みな見所だったと思います。 全体としては史料に基づいてしっかり作り込まれた世界観ながら、中華ものにあまり馴染みが無い人(自分も宋とか全然知識ありませんが)でも楽しめるエンタテインメント作品だと思います。★5
砂漠の中のオアシス国家だけではなく、遥か遠い東の国から西の国まで股にかけた壮大さも見どころ。巻末には参考文献も挙げられているので、歴史好きも充分に堪能できる内容だったと思います。 歴史といえば、書物が出てきたり、石碑が出てきたり、それ以外の方法だったりという、歴史を後世へ伝えるアプローチが登場して、そこが本作品のキモとして作用していたので、東から西への冒険の舞台の大きさに加え、歴史という深みもストーリーをいろどっていたと感じました。
総評としては面白かったです。やや不満だった点をしいて言えば、物語の舞台が広大であっちへ行ったりこっちへ行ったりするため、レギュラーがバディの二人だけで、女性キャラ要素がゲストでしか出て来なかったことでしょうか。★5
群像劇としては石国王子視点がほぼ唯一面白い箇所だった。 基本的に登場人物があまり機器馴染みの無い人が多い。というかほとんど。辛うじて高仙芝を知っているだけでも相当マニアックな部類だと思います。イスラーム側の人物なんて聞いてもピンと来ないので、どうしても作品に入り込みにくい。 というか、ここまでにしておきます。細かいことは忘れた。というか、覚えていたとしても、これ以上厳しくディスるのはやめておきたい。
最後に繰り返しますが、この作品は私は好きですし面白いと思ったのです。タラス河畔の戦い、という歴史に興味があるから、というのが理由の大部分です。なので、そこに特に興味の無い人にはあまりオススメはできません。★評価はしません。
なんにせよ、戴天というタイトル通りの真っ直ぐな生き方を突っ走る主人公たちの熱さを味わう時代小説作品。 世界史や唐の歴史について予備知識が無い人でも特に問題なく読めるものだと思います。 …………って、ここまでが、上っ面だけの無難な感想です。 これどんでん返し部門でしょ。 皇帝すら逃げ出した中で都に残って己の信念に従って可能な限り秩序の維持に努める者がいる。 最後に主人公たちがこの状況にしては比較的平穏なところに着地した時に、その平穏は誰の尽力により現出されたものだったのか。
そもそも単行本の表紙イラストに最も大きく描かれている人物は誰なのか。 オチのところで記述されている資○○○の内容。国とは何なのか、何が正義なのか。 この多角的な人物月旦こそが本当の持ち味なんじゃないのかな、というのが用管窺天な感想であります。★5
小ネタを盛り込んであとがきで解題していたりと、全体としてはオタク読者向けカラーが強かったところですが、それは読者対象をきっちりターゲットできているということでもあるので良かったと言えます。 この物語自体は、部門通りどんでん返しも上手く決まっていて(何がどんでんなのかは読んでみて初めて分かると思うのであまり事前には予測つかないので安心していい)、一冊できれいに完結しているので、この作品の続編というよりは、作者の別作品も読んでみたいところです。
諸々物足りなかった点も述べたりもしましたが、本質的にはラブコメでいちゃラブを楽しめればそれでいいものですし、イラストではヒロインの衣装バージョンが多数描かれていて楽しませてくれるので、評価は★4.5。
そして主人公は魔法で強化されていて、大量の精子を吐出できるだけでなく、普通の人間には不可能なアクロバティックな動きができる。それはそれでパワーと勢いがあるのですが、あまりにも人間にできることからかけ離れすぎているので、かえって気持ちが冷めてエロさを感じられなくなってしまう。 話の構成は、ヒロインを一人ずつ攻略した後、最終章でダイジェストの形式で色々なシチュエーションでのプレイという形。なんだけど、基本はやっぱり魔法で強化した主人公のパワープレイなのでわりと違いが分からないし、
ダイジェストなので一回一回のプレイがどうしても安いですよね。 ということで、なんかちょっと厳しい評価になってしまいましたが、馬路まんじ先生はラノベ界の鬼才で、SNSでのエゴサ芸も含めて象徴的な作家として活躍を期待していますが、本作品に関しては上記の理由からあまり良いとは思えませんでした。★2
主人公以外のキャラでいえば公主が良かったです。ある程度好き勝手できる立場と経済力とリソースさえあれば、ああいう活動に走るオタクは、いつの時代や場所でも存在し得るものだぞな。 主人公は、容姿や年齢などの面で言うなればある程度都合の良い恵まれた条件で人生やり直しの機会を実質的に与えられたということなので、そこで前向きな気持ちで向き合うのが良かったです。
なので、総評として言えば、異世界転生現代日本知識チートというトレンドに沿うという読みやすく楽しみやすい皮を被っているけど、中身はかなりガッツリとした中華王朝の時代ものなので、そこの香りの高さを味わうことができれば、より一層この作品を楽しめるのではないでしょうか。 なんだかんだいいっても、義務教育レベルの勉強と、高校世界史あたりは勉強しておいた方がいいのかもなあ。★5
読んだ本(マンガ除く)です。
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鬼に変貌できなかった奴が先に死んでしまう生存者バイアスのような。そして鬼に変貌した奴も鬼の宿命で殺されて行くというのが戦争の姿というもので、史思明の頬で象徴的に表現しているのが上手かった。また、軍隊の中に女や老人までも参加している様子が、人が死にまくった安史の乱の苛烈さを雄弁に語っていて、まさに三吏三別の世界だ。 そんな過酷な世だからこそ、熱い信念を持って戦争を終わらせようとする主人公たちの姿が熱かった。でもよくよく考えたら、主人公は女スモーレスラーだったけど、
真の主人公は表紙イラストの右下だったんじゃないか。 歴史物は女性キャラが少ないと最初に言いましたが、よく考えたら李麗はかわいかったし、それでいて芯も強くていいキャラでした。 ということで、全体的には、キャラの熱さを堪能できる作品でした。