青山美智子さん２冊目。情熱を持てない婦人服売り場で働く20代の女の子、副業で骨董店を開きたいと思いながらも踏み出せない家具メーカー経理部の30代男性、出産・育児で第一線から外されたと感じている40歳の元雑誌編集者の女性、大好きなイラストを仕事にできない30歳ニートの男性、定年退職後居場所がないと感じている65歳の男性…人生に迷える彼らがコミュニティハウスの図書室のユニークな司書小町さゆりから読むべき本と手作りの羊毛フェルトと大切な何かを与えられる。登場人物達が巧みに繋がる、ハートウォーミングな良書。

「創作者の家」の管理人の僕は傷ついた小さな生き物を保護し、サンスクリット語で「謎」を意味するブラフマンと名付け、ひと夏を彼と共に過ごす。題名から彼がいつ、どのように死ぬのかハラハラしながら読み進んだが、泉の中に姿を消した時でもなく、泉泥棒へと突進して行った時でもなく、こう来たかと思った。淡々とした死の描写に透き通った悲しみを感じた。ブラフマンの生態が生き生きと描かれ、目に映るよう。僕や碑文彫刻師や雑貨屋の娘などの登場人物、風景や季節の描写も秀逸。すべてが幻のような…久しぶりに小川洋子さんの文章を堪能した。

青山美智子さん２冊目。情熱を持てない婦人服売り場で働く20代の女の子、副業で骨董店を開きたいと思いながらも踏み出せない家具メーカー経理部の30代男性、出産・育児で第一線から外されたと感じている40歳の元雑誌編集者の女性、大好きなイラストを仕事にできない30歳ニートの男性、定年退職後居場所がないと感じている65歳の男性…人生に迷える彼らがコミュニティハウスの図書室のユニークな司書小町さゆりから読むべき本と手作りの羊毛フェルトと大切な何かを与えられる。登場人物達が巧みに繋がる、ハートウォーミングな良書。