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2024年10月の読書メーターまとめ

火星人碧
読んだ本
11
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感想・レビュー
11
ナイス
116ナイス

2024年10月に読んだ本
11

2024年10月のお気に入られ登録
1

  • ヒスイ

2024年10月にナイスが最も多かった感想・レビュー

火星人碧
ネタバレ9/10。満点をつけられないのは狂ったような犯人が自分を正当化しながら残酷な殺人を繰り返すからで、最後の犯人の手記に至るまで何の救いも見いだせないからだ。それでいて9点をつけたのはミステリとして存分に愉しめたからに他ならない。この作品のあと、遺族であるカミーユを主人公にして続篇が書かれたことが色んな意味で凄いことだと思う。裏表紙の紹介分には「あまりにも悪意に満ちた犯罪」とあるが、これは悪意ではない。犯人は英雄のように振る舞い、良心は少しも震えていないのだ。この犯罪こそが犯人にとって芸術みたいなものなのだ。
が「ナイス!」と言っています。

2024年10月の感想・レビュー一覧
11

火星人碧
ネタバレアメリカ育ちだから漢字が分からない小太郎。転校が多くて、この1年で3回目だ。いままでクラスで笑われてばかりだった。今度は森の中の小学校。緊張して投稿した小太郎だったが、そのちいさな学校は担任の先生もクラスメイトも変なやつばかり。初日の自己紹介はクラスメイトから始まり、誰もが笑いをとろうとする。先生も自己紹介で笑わそうとして生徒たちからブーイングを食らう。森の中の学校は、学校ごと小太郎を包み込んでくれた。小太郎は日本にきて初めてやすらぎを感じるのだった。クラスメイトはいいやつばかり。
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火星人碧
戦時中の話となると読んでみたくなるこのごろ。舞台が広島だとよけいに読んでみたくなる。本のなかに母がいる気がするからかもしれないし、必死に生きている人に共感するからかもしれない。挿画がとてもいいと思った。広島に原爆が落とされなければ、わたしの人生はだいぶ変わっていただろうか。
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火星人碧
ネタバレ九十九一家がピクニックに行くことになり、お弁当持って勇んで出かけたはよかったが・・・・・・。やまんばおばあちゃんがおにぎりを取り落としたことが原因で7人は201年前の化野原にタイムスリップしてしまう。7月10日が新月にあたるという201年前との扉が開いたせいだが、38年前の7月10日もやはり新月で、少年がひとり紛れ込んでくる。これで少しリアリティが出てくる(妖怪にリアリティがあるかどうかは別にして)。少ない言葉でタイムスリップを説明するその方法に工夫がある。
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火星人碧
ネタバレ遺作だそうだ。文庫が出て存在を知った。デビュー前のことから死の直前まで描かれ、時折、幻想・幻視のようなシーンが挿入される。娘がいつの間にかテイニーと呼ばれる瞬間移動を会得しており、それは珍しいことではないと言う。旧知の編集者もテイニーで訪ねてくる。さらに生き物は本来死なないものだとまくしたてる始末。ラスト3章は合わせて3頁しかなく、ここに死の直前の眉村卓の諦観がある。そしてSF作家としての意地を見るような気がして泣けてくる。大好きな眉村卓様、最後にこんな作品を遺していただき有難うございました。
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火星人碧
ネタバレハリネズミは気が小さくて、他人の目をいつも気にしていて、何かしようと思い立っても悪い結果を先ず想像してしまって、何もやりだせずにいるのだ。こういう人はたくさんいるはずだ。森や海の様々な生き物に手紙を送って、ハリネズミは自宅に招待しようと考えるが、もちろん気分を悪くされたり怒られたりするのを想像して何もできない。もう誰もこなくていい、こないほうがいいんだと呟いてみるが、それは自分についた嘘。リスだけが訪ねてきてくれて、帰り際に「また会おうね」と言ってもらった。ハリネズミは心が温かく満たされるのを感じたのだ。
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火星人碧
今の子どもたちには素直でいることは難しくなっているのだろうか。昔もそんな面はあったと思うが、今はそんなものではない。政治家みたいに派閥をつくったり勢力争いを続けたら20歳になる前に疲れてしまうし、10代にして社会に希望を失うのかもしれない。ここに出てくる詩音は実は傷つきやすい子なのだろう。黒岩さんのような孤高の子がいて、このクラスは繋ぎ止められているのだ。しかし2学期だけクラスメイトだった詩音が、そこに何か置き土産を残したのだろう。短歌や俳句をたしなむ子が出てきたらいいなと思う、この本の読者から。
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火星人碧
ネタバレ9/10。満点をつけられないのは狂ったような犯人が自分を正当化しながら残酷な殺人を繰り返すからで、最後の犯人の手記に至るまで何の救いも見いだせないからだ。それでいて9点をつけたのはミステリとして存分に愉しめたからに他ならない。この作品のあと、遺族であるカミーユを主人公にして続篇が書かれたことが色んな意味で凄いことだと思う。裏表紙の紹介分には「あまりにも悪意に満ちた犯罪」とあるが、これは悪意ではない。犯人は英雄のように振る舞い、良心は少しも震えていないのだ。この犯罪こそが犯人にとって芸術みたいなものなのだ。
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火星人碧
ネタバレどうしても口が動いてしまう腹話術師のフレディに、ユダヤ人のこどもの幽霊がとりついた。名はアヴロム・アロス。通称ディブクは自分を殺したナチスの将校を探している。最初は嫌がりながらも、フレディはディブクに友情のようなものを感じている。利用し合う関係から、徐々に助け合う関係になってゆく。やがてディブクが探していた将校を見つけ出し、天才フレディの身体から抜け出て、将校を地獄に突き落とすために乗り移ってゆく。フレディはディブクをきっと、一生忘れない。
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火星人碧
睡眠は必要だなあと今になって思うし、昔は誰もそんなことは思わなかったのに、今は誰もが何も分かりもせずに大事だと思っている。必要だと思うなら何がどう必要なのか調べればいいようなものだが、そこまでの努力はみんなしないのだ。必要と知っていることと、思っていることとは根本的に違うのだ。
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火星人碧
ネタバレさすが富安陽子だ。そんなに長い話ではないのに、場面転換が巧みで、ページを繰る手を止めさせてくれない。老人が子どもに還ってしまうという設定はつまらないと思いつつ(だってたくさん手垢がついているのだ)読んでいると、77年昔に戻ると言う設定が気になる。戦争によって果たされずにいた約束を、今こそ元少女たちが解き明かして果たすという物語。その約束というのが、とても古いものを題材にしながらも斬新だと思った。
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火星人碧
「蜜蜂と遠雷」の後日談も含めたスピンオフ短篇集・・・・・・と思っていたら、後半は音楽エッセイで、横組みにして裏表紙から開く仕組みになっていた。短篇小説のほうは、「蜜蜂と遠雷」を読んでいないとあまり面白くないだろう。読んでいるからこそ分かる部分が多い。エッセイの方も本編に関連して制作時のエピソードなどが書かれている。こういうのを手放しで喜ぶファンもいると思うが、自分は面白い小説が読めればいいし、これは余計だと思うのだ。
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ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2013/10/12(4064日経過)
記録初日
2013/12/13(4002日経過)
読んだ本
1031冊(1日平均0.26冊)
読んだページ
248299ページ(1日平均62ページ)
感想・レビュー
1022件(投稿率99.1%)
本棚
11棚
性別
血液型
O型
職業
サービス業
現住所
兵庫県
自己紹介

SFとミステリが好きですが、時代小説以外はだいたい読みます。好きな作家はたくさんいるので書ききれません。寸暇を惜しんで読むというほどの読書家ではありません。月に10冊程度です。
大長篇の多い昨今ですが、短篇小説をこよなく愛しています。企画モノではなく、雑誌に発表されたものを編集してつくった単一作家の短篇集を読みたいです。
本は図書館で借りたものか、書店で買ったものを読みます。ネットショップを利用するのは入手困難な古書のみです。書店の棚のあいだを回りながら、これから読む本を探すところから、読書は始まっていると思うのです。
本をお薦めしたり、されたりするのはあまり好きではありません。だから私が面白かったと書いても単に個人的な感想の域を出ません。

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