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2024年8月の読書メーターまとめ

うえぽん
読んだ本
10
読んだページ
3011ページ
感想・レビュー
10
ナイス
489ナイス

2024年8月に読んだ本
10

2024年8月のお気に入り登録
9

  • 野鳥の庭
  • HDK
  • たかちん
  • アン子
  • シトリン
  • suma2021
  • singoito2
  • msykst
  • サゴウ

2024年8月のお気に入られ登録
5

  • シトリン
  • suma2021
  • singoito2
  • msykst
  • サゴウ

2024年8月にナイスが最も多かった感想・レビュー

うえぽん
計量社会学者が、データや分析の「ある程度妥当」と「いい加減」を見分けるために必要な数量化、比較、因果、確率、分析に係る「センス」を紹介した書。職業や民族など分類自体が難しい場合の数量化の複雑さ、比較のために条件を揃えると有意味な比較が困難になる「比較のパラドックス」、原因以外を徹底的に同じにすると原因と考えられるものが限定される「処置のジレンマ」、コイントスなど自然発生的偶然には偏りを含みやすいこと、要約・予測・因果の分析手法の違いを認識すべきであることなど、ビッグデータ時代に一般人にも必須の知識が満載。
が「ナイス!」と言っています。

2024年8月の感想・レビュー一覧
10

うえぽん
美術史学者による、主に西欧美術と比較した場合の日本美術の特徴に関する論考集。全体の空間構成ではなく「縮小された世界」に美的喜びを見出す点、西欧の「ものの思想」と異なる伊勢神宮の式年遷宮に象徴される「かたの思想」、人物像表現に見られる「平面化」の傾向、モネも論じた「影によって存在を、部分によって全体を暗示する」美学、旅そのものの体験の絵巻的表現、四季の変遷を一枚に表現する手法など、日本美術とその背景にある美意識がその独自性ゆえに世界に寄与できる可能性を論じる。今後の日欧美術の鑑賞に奥行きを与えてくれる良書。
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うえぽん
超ひも理論、素粒子論が専門の理論物理学者が、暮らしの中に入り込む物理学的思考法を伝授した本。レゴと迷路描きを好んだ子供時代から、奇人変人揃いの研究室を経て、ハンカチをズボンのポケットに入れたまま洗濯することに拘ったり、炊飯後にできる穴の配列の特徴を考えたりする家族との微笑ましい日々を綴り、大阪人らしいオチも各章に満載。自然より数学論理を美しいと感じ、理論物理は社会に役立てるための研究ではないとの感覚は、万人受けはしないが理解でき、少しの違いで大きく変化し、あらゆる可能性を尽くすカオス的な人生の参考になる。
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うえぽん
比較文化学者による中華料理史の解説。時代小説等で時代に関わらず似た食事が出てくる不思議と、日本での中国四千年の味との宣伝文句が好奇心を生んだという。フカヒレ、北京ダック、唐辛子入り四川料理、ピータンなど現代中華料理の定番はいずれも百年程度から長くても四百年程度の歴史だという。孔子の時代は粟や黍が主食で、麦は粒食から始まり、西方から粉食文化が入ったらしい。箸も宋代から元代に掛けて横置きが縦置きになったが、ナイフを縦に置くモンゴル文化の影響だろうとする。異文化を受容し続けた食文化史に中国の新たな側面を知る。
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うえぽん
「パワーエリート」で有名な著者による米国等の英語圏で社会学初学者向け指定文献とされる書。原著初版は65年前だが、今も社会科学系の諸学を学ぶ姿勢を説く基本書として十分通用する。パーソンズらの「グランド・セオリー」や、ラザースフェルドらの「抽象化された経験主義」を酷評し、個人史と歴史との結びつきの発見を助けるため、官僚制的組織の歯車としての科学者ではなく、独立した研究を行う職人たれとする。特定の生活圏・時代を超えて、歴史を作る覚悟で、自由と理性という理想に従って世界を再編成せよとの示唆は実務家にとっても重い。
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うえぽん
ホルモンと行動学の専門家が、テストステロンの心、身体、行動への影響を科学的根拠を基に詳述し、性差が生物学的に形成されることを示した書。性差は文化、社会のみによって構成されるとする社会化仮説への反論も随所にある。男女の生殖器は両能性の生殖腺から分化したものでテストステロンなしに男性生殖器は発達せず、多くの種でオスは性淘汰のために攻撃性で勝ることが進化上の利益になっているとのことだが、そうしたホルモンの影響を冷静に受け止めた上でどう公平で安全な社会を作るかは別問題であり、現代を生きる上で必要な学びが得られる。
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うえぽん
年々加入率が低下し、担い手不足に悩む町内会を、明治地方自治制以降の統治技術と民衆運動との微妙なバランスの下で維持されてきた財産だと一定の評価をしつつ、今後は協議・要求機能に特化すべきと論じた書。明治期に国政選挙権は寄生地主層に限りつつ、豪農層に旧自然村の区長や区長代理として活躍の場が与えられたとの見方は新鮮ではあるが、戦後の基盤を都市自営業者層のみに限定して論ずるなど、全般的に階級社会的語彙で説明している点に限界があるとの印象。町内会は協議機能に特化して事業はNPO等にとの処方箋も、実現性に疑問符が付く。
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うえぽん
世界の知をリードする人類学者が、負の側面を含めた従来の人類学の流れを辿った上で、今後の人類学は、人々と共に学び、現生人類全体を対象とし、生の過程に沿って進みながら作動する学問とすべきとした書。人間を遺伝子と環境の間で起こる相互作用の産物ではなく、直面する条件や瞬間に反応しながら作られる自らの生の産物だとする。人類学は、経済学、政治学、神学が別々に見る市場、政府、教会の人間経験への影響を、相互関係を含め一体的に示すものだと言う。現代思想やアートに影響を与えた人らしく、詩的かつ論理的な書き振りにも価値がある。
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うえぽん
計量社会学者が、データや分析の「ある程度妥当」と「いい加減」を見分けるために必要な数量化、比較、因果、確率、分析に係る「センス」を紹介した書。職業や民族など分類自体が難しい場合の数量化の複雑さ、比較のために条件を揃えると有意味な比較が困難になる「比較のパラドックス」、原因以外を徹底的に同じにすると原因と考えられるものが限定される「処置のジレンマ」、コイントスなど自然発生的偶然には偏りを含みやすいこと、要約・予測・因果の分析手法の違いを認識すべきであることなど、ビッグデータ時代に一般人にも必須の知識が満載。
が「ナイス!」と言っています。
うえぽん
幕末忍藩の下級武士石城が描いた絵日記を再構成した作品。貧すれども鈍せず、足るを知るを地で行く武士だが、和尚や町人も多数登場し、幕末の一般的な暮らしの理解に資する。住宅に詳しい歴史家の著者らしく、絵日記の分析に加え、中下級武士の住宅を指図(見取図)や現代に残る住宅から分析しており、方位よりも道側との表裏の関係性を重視した江戸家屋の良さを強調。武士町人や男女の垣根なく寺や自宅で酒を酌み交わす姿、普段は質素でも祝い時には豪勢な食事、日本古典から老荘思想や儒教まで幅広い読書など、現代にも通じる生活の知恵がある。
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うえぽん
コロナ禍に早大公共政策研究所で実施された連続公開講座の編纂出版本。同研究所の招聘研究員らによる共著であり、出自の多様性を反映したオムニバス。現場発の知恵を政策形成に活かすことは重要だが、提案のエビデンスを明確化することが必須なのは勿論、法制度、予算、組織等を作る側の前提知識との擦り合わせが十分かどうかの問い掛けも重要である。その上で興味深かったのは、我が国の政治インフラの未熟性、公共サービスの効率的提供を超えた「地域の持続可能性」の本質、地方の課題解決企業の可能性等があったが、更に深める議論に期待したい。
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ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2014/10/02(3623日経過)
記録初日
2014/10/02(3623日経過)
読んだ本
481冊(1日平均0.13冊)
読んだページ
133379ページ(1日平均36ページ)
感想・レビュー
206件(投稿率42.8%)
本棚
30棚
自己紹介

ノンフィクション中心で、仕事柄、社会科学系が多いが、生命科学や心理学、人類学などにも関心。旅行、街歩きが趣味なので、軽いエッセイや紀行文も好きだが、詩や短歌、俳句の世界にも入っていきたい。

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