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2024年5月の読書メーターまとめ

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2024年5月に読んだ本
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2024年5月にナイスが最も多かった感想・レビュー

NAO
勇気には、きっと、神去村の人たちの「なあなあ」と共感できる素質があったのだろう。なにしろ、強く拒否することもなしに、わけが分からないままにも神去村まで行き、一度は逃げ出そうとしたもののいつの間にか神去村に馴染んでいたのだから。それにしても、神去村の自然描写のなんと美しいことか。山に暮らす人々がなんと活き活きと描かれていることか。作者の父親が、モデルとなった美杉村で林業を営んでいたとか。作者は、父親が生まれた山村のことを、その美しさを書き残しておきたかったのだろう。
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2024年5月の感想・レビュー一覧
24

NAO
真鶴の数奇な運命の背景として、阿片戦争後国力が衰えた清と薩摩藩のどちらにつくかという難しい舵取りが求められている琉球国の困難な政情、そんなことなどおかまいなしの役人たちの腐敗が描かれている。さらには、主人公の真鶴が性を偽っているがために起きる恋の騒動、真鶴の秘められた恋、王宮に住む女性たちの権力争いなども描かれていて、そのあたりはちょっと昼ドラのように濃厚で、ドロドロしている。その王宮で、一人の女性が男になったり女に戻ったりを何度も繰り返すというのだから、これはもうドタバタコメディというしかない。
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NAO
舞台は、江戸時代末期の琉球王国。男を凌ぐ才能を持ちながら女性だというだけで父親から見向かれもしなかった真鶴が、宦官と性を偽り王宮の役人となる。真鶴は寧温と名を改め、清には朝貢貿易を薩摩藩には年貢を納めるという形でなんとか独立を保っている琉球王国の改革を進めようとしさまざまな反発に遭いという、予想通りの展開。まだまだ波乱はありそうだ。
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NAO
障害者の苦しみは障害者にしかわからないとひとみはいう。確かにそうだ。だが、健常者だからといって全く悩みや苦しみがないわけではない。とても他人には話せないことだってある。実は伸行もまた、人には言えない苦しみを経験していた。障害者の苦しみを健常者は理解できるのか。そんなことを言い出したら、双方すれ違ったままで近づくことさえできなくなってしまう。自分自身も心に深い傷を負っている伸行だからこそ、ひとみの心を動かすことができたのだろう。
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NAO
作者の息子の公立中学には、いろんな人種、民族、宗教の生徒たちが通ってくる。そのため、センシティブな話題はタブーだし、ちょっとした会話にも細やかな気配りが必要だ。そして、自己主張が強くなり反抗心が芽生える思春期をそういった繊細さを求められる環境にいるということについて、いろいろと考えずにはいられない。それでリベラルな意識を身につけていく作者の息子のような子もいれば、そんな環境にあっても親の偏見をそのまま引き継いでいる子もいる。親の子どもへの影響って、本当に恐ろしいほどだ。
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NAO
『ドクトル・ジバゴ』出版にまつわる歴史ミステリ。1950年代の東(ソ連)と西(アメリカ)が交互に描かれ、東の主要人物はパステルナークと彼の愛人オリガ、西の語り手はCIAで働くタイピストたちだ。 東の場面で描かれているのは当局の厳しい監視オリガが体験した矯正収容所の過酷さやパステルナークの葛藤、西の場面で描かれているのは不当なまでの男女差別と行き場のない女性たち行き場を無くした女性たち。そういった淀んだ世界を、『ドクトル・ジバゴ』は密やかに渡り歩いていく。⇒
NAO
2024/05/27 07:03

冷戦中にCIAが『ドクトル・ジバゴ』をソ連崩壊の道具にしたのは事実で、作者は2014年に父親が送ってくれたワシントンポストの記事に興味をひかれ、CIAが機密解除した書類に目を通し、不足している部分をフィクションで埋めることにしたのだという。西の語り手はCIAのタイピストたちだし、東もパステルナーク自身よりオリガの方に重きが置かれている。政治に翻弄され、その陰でひっそり息づく女性たちを作者は書きたかったのかもしれない。

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NAO
前漢時代が舞台の歴史ミステリ。このミステリの鍵は、楚の風習を伝える観氏当主の娘・若英と、斉の風習に則った特異な立場にある葵という2人の女性の生きにくさ、だろうか。2人はどちらも厳しい条件の中で育っているが、その反動からか、傲慢で他人の意見を聞き入れようとしないところがある。何でも知っていて何でもできる葵に露甲が嫉妬しながらも惹かれるのはわからなくはない。作者は葵のキャラクター作りに何より力を注いだのだろう。だが、わたしはその葵に魅力を感じなかったし、惨劇を起こした犯人の心情もリアルに響いては来なかった。
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NAO
アメリカの黒人文学の魁リチャード・ライトの青年時代のエピソードを絵本にしたもの。当時、図書館で本を借りることができたのは白人だけだでお使い黒人が入館するのも、嫌がられていた。そんな状況でも、リチャードは、一人の同僚に「図書館カードを使わせてほしい」と言わずにはいられなかった。彼なら大丈夫だろうと思っていても実際に貸してくれるかどうかはわからない、とんでもなく生意気だと告げ口され職を失うかもしれない。リチャードにとっては、本当に勇気のいる申し出だっただろう。そして、頼まれた同僚にとっても、⇒
NAO
2024/05/24 08:46

黒人に図書館カードを使わせるというのは、非常に勇気のいることだった。それでも貸してくれる同僚が身近にいた幸運。何かを新しく始めるには、本人の強い勇気だけでなく理解者と運が必要なのだと改めて思った。

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NAO
図書館に通い、自由に本を読み、たくさんの本から知識を得る。そんな誰もが当たり前にできる権利、その権利を黒人は認められていないという時代があった。ラングストン少年の両親(特に母親)の、息子を唯一誰でも入れる図書館があるシカゴで育てたいとの願いは、当時の全てのアフリカ系アメリカ人の母親の思いだっただろう。そして、本当は、誰よりその図書館に通いたかったのはラングストンの母親だったに違いない。
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NAO
フランスの片田舎で仲良く育った2組のユダヤ人3姉妹。彼女たちはフランスからアウシュビッツへと移送されていった人々の波の中にいた。何度も何度も収容所を移動させられ、その度に、6人の少女たちは合流したり別れたりを繰り返した。作者は、2組のうち生き残れなかった3姉妹の姪に当たる。小さな伯母たちの名を探し、連れて行かれた場所を特定し、ほんのわずかでも「小さな伯母たち」の痕跡はないかとその場に足を運んだ。生き残った3姉妹の長女は、アウシュビッツを生き残った作家の文章を作者に読み聞かせた。⇒
NAO
2024/05/22 08:31

「彼女たちのうちの一人が、家に六ヶ月の赤ん坊を残してきた、という」そして、彼女は余白に鉛筆で「ママ」と書いた文字を指さす。ここに私のママがいる、と。自分の家族が確かに生きていた証を探したい。作者の思いも、同じなのだ。

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NAO
1933年年秋に連載がスタートした江戸川乱歩の『悪霊』は、わずか連載3回で中断し、休載を続けた挙げ句ついには中断されることになった。その未完の作品に芦辺拓が再構成と補筆を行ったのが、本作『乱歩殺人事件』だ。『悪霊』の連載3回は、祖父江進一という新聞記者が友人である岩井坦に送った書簡2通分に当たっている。『乱歩殺人事件』では、書簡の綴りを持った男がある作家のもとを訪れて話のタネとして買ってほしいと申し出、書簡を読んだ作家は強く興味をひかれてそれを買い、求められていた連載小説に、人名を変えただけで内容はほぼ⇒
NAO
2024/05/21 08:31

そのままその書簡を使用した、としている。『悪霊』は書簡だけなのだが、『乱歩殺人事件』では、書簡の差出人である祖父江という新聞記者が語り手として書簡の前後を埋める役割をし、最後には書簡を買った作家江戸川乱歩も登場。そして、なぜ『悪霊』は連載中止の理由が明かされる。全体的な暗さ、隠微さが、江戸川乱歩っぽく、書簡に散りばめられた伏線もかなり上手に回収できているように思う。また、『悪霊』執筆中に泊まっていたという張ホテルも登場して、そこでの出来事がまた妖しげな雰囲気を醸し出している。

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NAO
腕に奇妙なタトゥーを入れた少女の失踪事件を捜査するのは囮捜査の後に別のアイデンティティを与えられ生まれ故郷のスウェーデンに戻ってきた元FBI特別捜査官ジョン。新たに同じタトゥーをした女性の死体が発見され、タトゥーの意味が明かされる。 生きづらさを感じてドラッグに溺れた少女たち。タトゥーの真の意味は、あまりにも悲しい。ラストでは、ジョンを追う組織の動きにゾクッとさせられる。
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NAO
ルクレツィアがある目的で連れてこられた砦での話とルクレツィアが生まれてから以降の話が交互に描かれていく、なんとも不穏な物語。この時代、ルクレツィアに限らず、女性はみな後継ぎを産むための道具に過ぎなかった。カトリックは離婚を認めないから、後継ぎが欲しかったら子どもを産まない妻は殺すしかなかったのだろう。ルクレツィアは、そんな女性の不自由な生に抗い続けた。死ぬと分かってからの、彼女のなんという強さ、美しさ。自分の心だけは誰にも渡さないと決意さした者の強さの、なんという貴さ。ただただ胸が苦しくなる。
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NAO
この物語の主人公は2人いるようで、やはりメインは鏑矢なのだろう。天才であるがゆえに努力する必要性を感じず、ついには自分がボクシング部に誘い常に上から見ていた木樽に負けてしまう。木樽に負けてしまった鏑矢が自分のプライドを保つためには、稲村を倒すという目標を持つしかなかったのだろう。天才的な才能を持って生まれた少年の輝きと挫折。天才とはこういうものかもしれないけれど、鏑矢は好きじゃない。彼は、何より謙虚さを教わるべきだったのだろうが、そういったことを受け入れないのも、天才たるゆえんなのだろう。
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NAO
大阪のどちらかというとレベルの低い私立高校のボクシング部を舞台に、天才的なボクサー鏑矢義高と、ボクシング初心者の木樽優紀、彼らとは1学年上でボクシング強豪校の鏑矢とは違ったタイプの天才的ボクサー稲村。3人のボクサーが登場する青春物語。
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NAO
この作品は、昼の出来事が文章で、夜の夢がイラストで描かれている。夢は、ロールプレイングゲームの中の世界だ。ロールプレイングゲームの世界で戦士たちを導いているのは、ハシビロコウ。だが、このハシビロコウがなかなかの曲者。作者は、文章とイラストが融合した作品を描きたかったのだという。だが、それだけではないだろう。ハシビロコウは、ラテン語名を「クジラアタマの王様」という。作者はその奇妙な名前にインスピレーションを得て、この作品を書いたのだろう。
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NAO
松尾のような教祖はきっといるのだろう。頭がよく、難しいことを語り、それでも居心地のいい場を作る。それでも、頭がよすぎるし、もっとエキセントリックなものを求めたい者には、確かに佐渡のような教祖がいいのだろう。あまりにも品のない性描写も、きっとそういうカルト教団もあるのだろうなというリアルさはある。読んでいて、不快でしかないけれども。この作品は、評価が分かれているようだ。私は嫌いなタイプの話だったが、カルト教団の不気味さ不穏さは見過ごしてはいけないものではないかと思う。
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NAO
ミラとレマーの話に私立探偵になったばかりの初老の私立探偵マット・ジュベールの話が加わり、さらに、テロ組織を追跡するPBIという組織の動きが絡むという複雑な構成。禁止されているクロサイの密猟、ダイヤモンドの密輸といかにもアフリカ的な犯罪だけでなく、あっと驚く人物までが登場する。ただ、アフリカのことをあまりよく知らない身には、ややこしいばかりで今ひとつわかりにくかった。
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NAO
舞台は、南アフリカ。夫と息子の横暴に耐えきれずに家出し情報部の事務職に採用されたミラの話と、密かに隣国から運び込まれた貴重なクロサイの護衛を依頼されたプロのボディガード・レマーの話。全く異なると思われた事柄が繋がっていたことが明らかになっていくのだが、冗長だし、分かりにくい。
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勇気には、きっと、神去村の人たちの「なあなあ」と共感できる素質があったのだろう。なにしろ、強く拒否することもなしに、わけが分からないままにも神去村まで行き、一度は逃げ出そうとしたもののいつの間にか神去村に馴染んでいたのだから。それにしても、神去村の自然描写のなんと美しいことか。山に暮らす人々がなんと活き活きと描かれていることか。作者の父親が、モデルとなった美杉村で林業を営んでいたとか。作者は、父親が生まれた山村のことを、その美しさを書き残しておきたかったのだろう。
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NAO
アールは殺人をなんとも思わない名狙撃手だが、依頼を受け誰でも殺すわけではない。太平洋戦争での殺戮のトラウマも残っているし、弱者に寄り添おうという気持ちもある。そんなアールと、正真正銘冷酷無比な権力者やただの暴れん坊との違いは大きく、だからこそアールには悲哀と悲壮感さがつきまとう。この作品は、ベトナムから帰還したアールの息子ボブ・リーを主人公とする話から始まりボブ・リーものを何作か書いたあと父親アールの話に移るというスワガー・サーガの一つ。『極大射程』のボブ・リーが初めて鹿撃ちに挑むシーンが印象的だ。
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NAO
時は1953年、キューバはアメリカに搾取されるがままになっていたが、ある若者が注目を集め始めていた。まだ何かをしたというわけではなかったが、共産主義に傾いたらアメリカの脅威になるその若者を今のうちに消してしまおうと、キューバアメリカ大使館在勤でCIA職員であるフレンチー・ショートはその若者カストロの暗殺を計画。狙撃手としてアール・スワガーがキューバに呼び寄せられた。太平洋戦争の帰還兵アールが巻き込まれた国際的陰謀。アールは、胡散臭い登場人物たちとどのように渡り合っていくのか。
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NAO
脇役明智先輩ののりは軽いもの内容は本格ミステリ(だって明智や主人公葉村は王道の本格ミステリファンだし)だろうと思いながら読む。合宿先のペンションでは映研がホラー映画を撮るというし、近くでは大きなイベントが開催されるというし、それらがどのように絡んでくるのかと期待も膨らむ。ところが、そこから全く予想しなかった方向へ。最近のミステリは、何でもありの、なんとも大仰な話だった。
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NAO
最初はボブを追っていたFBI捜査官ニックが味方になり、2人で真相に近づいていったものの、犯行に使われた銃はボブのもので、ボブの無実を証明するのは不可能に近い。と思われた。敵と対峙したときのボブの沈着冷静さも凄いが、裁判所の場面は圧倒的な迫力だった。これほどの用意周到さがないことには、名スナイパーにはなれないのだろう。
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NAO
ボブ・リー・スワガーはヴェトナム戦争で87人の命を奪った伝説の名スナイパーだが、今はライフルだけを友に世間から姿を隠すような隠遁生活を続けている。そんなボブのもとに、ある依頼が舞い込んだ。精密加工を施した新開発の308口径弾を試射してもらいたいというのだ。弾薬への興味からボブはそれを引き受けて長距離狙撃を成功させたが、その後大事件が起こり、ボブはその犯人としてFBIから狙われることに。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2015/03/18(3386日経過)
記録初日
2015/03/01(3403日経過)
読んだ本
3554冊(1日平均1.04冊)
読んだページ
1271969ページ(1日平均373ページ)
感想・レビュー
3547件(投稿率99.8%)
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