ネタバレ大学受験直前の小鳩くんが轢き逃げされ大腿骨を骨折。小佐内さんからのお見舞いはボンボンショコラの箱とメッセージカード。そこにはふたりが互恵関係を結んだきっかけとなった事件と今回の件とのつながりが記されていた。回想と現実の構成が絶妙で真相が知りたくて一気読み。みんな生きていてよかったよ。「来年小鳩くんが来るまでの間に、京都に迷路を作ってあげる」またふたりに会えなくても、私にはこの言葉でじゅうぶんです。賢しらな小市民を装う深層心理を深読みしたい気もするけれど。

ネタバレ小説家萱野千紘は鎌倉で幾つかの出会い、タガが外れたようになったあと血縁の家族はいないという会社員清野と関係を持つ（「秋の通り雨」）。祖父の蔵書を裁断自炊していたのに、東京に戻り母から受け取った祖父からの三十歳の誕生日プレゼントは千紘の小説を特装本にしたものだった。そして恋心を自覚しながらも心の中で別れを清野に告げる（「冬の沈黙」）。幼い自分を傷つけた磯和を訪ねて出した結論は？（「春の結論」）以前単行本で読了、読友さまにより加筆された文庫本を知り、心配していた？千紘の再生を見届ける事ができ満足、感謝です。

ネタバレ谷口由美子訳で再読。ディコンのヨークシャー訛りが語尾変化で表され、会話にリズムが生まれ、動植物と親和できる彼の特性が強調。メアリーとコリンも訛りを真似するところが微笑ましい。ネグレクトされてきたメアリーがディコンの力を借り秘密の花園を再生させ、病弱な従兄弟コリンにも生きる意欲を見出させるのはやはり感動。ディコンの賢い母、亡き妻を想うコリンの父、庭師ベンら大人達も各々頑張っています。荒野（ムーア）の神秘性、命をつなぐ花園の魔法に触れたい、コマドリくんの声も聴いてみたくて折々に読み返したい。ピュララララ〜♪

ネタバレ幻想的な童話「白い人びと」、「わたしはコマドリを飼っているのではなく、わたしが彼に飼われているのです」イングリッシュ・ロビンへの愛を綴った「わたしのコマドリくん」、庭の中で書いたという遺作「庭にて」には、ガーデニングのよろこび、庭への愛に満ちていて、それはそのまま人生、作品につながって‥‥。「小公子」「秘密の花園」の作者バーネットから美しい贈りものを頂けて幸せです。

ネタバレAIに話しかける母とインターナショナルスクールに通う社会派YouTuberの十四歳の娘はタワーマンションに住んでいる。「女生徒」は読み直さねばだけど、どこまでもかみ合わないふたりの会話がとても怖くて面白かった（表題作）。中学の音楽教師ソナタは合唱祭で金賞を獲りたいというクラスの生徒かのんに指導者の座を追われるのだが、本番ではまさかの事態に（「悪い音楽」）。言葉と音楽と表情筋と声。聞く耳を持たない生徒に芸術を理解させるのは難しい？言葉遊びがふんだんな後者の方が好み。

ネタバレ大学受験直前の小鳩くんが轢き逃げされ大腿骨を骨折。小佐内さんからのお見舞いはボンボンショコラの箱とメッセージカード。そこにはふたりが互恵関係を結んだきっかけとなった事件と今回の件とのつながりが記されていた。回想と現実の構成が絶妙で真相が知りたくて一気読み。みんな生きていてよかったよ。「来年小鳩くんが来るまでの間に、京都に迷路を作ってあげる」またふたりに会えなくても、私にはこの言葉でじゅうぶんです。賢しらな小市民を装う深層心理を深読みしたい気もするけれど。

ネタバレ脚本家木皿泉によるエッセイ。何気ない日常の風景も脚本家の目で見れば思わぬ世界が深く広がっている。名文ばかりで本は付箋だらけ。「今日も私は誰かとこの街で生きてゆく。会ったことのない人と、死んだ人と、生きている人と一緒に。」

ネタバレ1991年12月に発生した前代未聞の二児同時誘拐。ひとりは翌日保護されたが、もうひとり内藤亮は三年後七歳になって犯人不明のまま祖父母宅に戻ってきた。2021年人気画家となった亮は被害者としての過去が暴露され、当時担当していた新聞記者門田、亮の同級生里穂が各々空白の三年の真相を追う。作者お得意の群像劇で没入するまで時間がかかったが、「生きている」重み、「生きてきた」という凄みはじわじわと実感できた。写実画、画壇の構造、布団の温もり、ピアノ、電動イーゼル‥‥視覚聴覚五感を研ぎ澄ませてもう一度読み返したい本。

ネタバレ何てこった！あのピップがストーカーされ薬物（抗不安薬）依存に？「きみが行方不明になったら誰がきみを探してくれるのかな」解決済みとされた連続殺人事件と類似点を見つけたピップは「自分自身を救う」ために立ち上がる。「クリミナルマインドFBI行動分析課」の英国JK版のようでラヴィや友人達の助けはあるとはいえほとんど一人でやってのけたピップの超人ぶりは驚くのみ。「最後までおつきあいくださって、ありがとう」思いは巡れど衝撃的な結末を見届けて、ここにたどり着くための長い長い道のりを再読必至の忘れられない三部作となった。

ネタバレ映画を久しぶりに見て、違う結末だという原作を初読み。「ミス・ホリデー・ゴライトリー　旅行中（トラヴェリング）」はやはりカッコいいよなぁ、と無責任にも憧れる。語り手の「僕」も翻弄されながら、ホリーが去った後、行方不明だった彼女の分身のような「猫」を発見、その様子から同じように、彼女も落ち着き場所を見つけたことを願うのには心打たれる。ホリーから贈られた鳥かごは、言いつけ通りに生き物を入れないまま一生大事にするんだろうなぁ。他に「ダイヤモンドのギター」など四篇所収の村上春樹訳ティファニーブルーの装丁が素敵な本。

ネタバレ一度旅行して大好きになった台湾。実際住んでみたらどんな感じなの？という好奇心から手にした本。台湾でシングルマザーとして働き、現地で再婚、次男を出産した筆者の暮らしを綴ったエッセイ。スルー能力が高くストレートな物言い、困ったらみんなで助け合う。そして社会を動かしているのはおばちゃんだ！もちろん欠点もあるけれど、また行って、その暖かさに触れて美味しいものを食べたいなぁ、という気持ちになりました。

ネタバレエスケンス2作目。高級住宅街での女性殺人事件で刑事マックスとボーデｨ教授が法廷で対決することに。くー、ソシオパスに騙されました。「たとえ天が堕ちようとも」に尽きる。ライラの活躍が嬉しかった。