ネタバレ文句なしの面白さで一気読み、成瀬あかりの郷土愛、大津市民憲章どおり「あたたかい気持ちで旅の人をむかえて」、大津にデパートを建てて、200歳まで生きて、ずっとゼゼカラの漫才を続けてほしい。ラスト島崎みゆきの言葉に泣けた。祝本屋大賞。

ネタバレ「私はとんでもない鉱脈を見つけてしまった。」ひょんなことから「大人のピアノ」を始めてしまった稲垣えみ子さん。子供の頃習っていたとはいえ、先生はプロのピアニスト、動かぬ体、働かぬ脳に愕然としながら「月の光」など弾きたい曲に挑む。緊張せず無駄な力を抜いてラクに、こうでありたいというエゴを捨てて「今に全てをかけるのだ」という境地に辿り着くまで。とてもワクワク楽しく読めてためになる本だった。

ネタバレ2023年8月1日（火）〜2024年1月31日（水）行きつけの温泉は10日ごとに男湯女湯が入れ替わるのだけど、やっぱり間違う人が時々いてパニック状態に。それは大変、私も多分間違うだろう。野菜収穫は日々前進、味噌汁の出汁研究中で枕崎の花カツオ500g、香川の伊吹いりこ500g、利尻昆布500g発注。さすがスケールが違う。美味しい味噌汁をきわめたら知らせてほしい。サクくんがちょくちょく遊びに来て魚釣りに行ったりしているのが微笑ましい。

ネタバレミステリー作家室見響子の遺稿である未発表の習作「鏡の国」を最後の作品として出版することになった。担当編集者に「削除されたエピソードがあると思います」と告げられた著作権継承者の姪、桜庭伶は2063年8月「鏡の国」のゲラの第三校に目を通す。幼馴染との記憶、醜形恐怖症、相貌失認（ルイス・キャロルも?）、急転、反転する展開。凝りに凝った構造で私には少々長過ぎたがもう一つのラストシーンを読ませるためと思えば納得で、一気読みさせられた筆力でした。

ネタバレ共に毒親を持つ瀬戸内の島に住む櫂と暁海の17歳春から32歳夏までの物語。漫画原作を仕事として上京できた櫂と母を捨てられなかった暁海は遠距離恋愛に。すれ違い、別れながらも暁海は夢だった刺繍の仕事で自立、病気の櫂のために上京し、故郷の海の色を思わせる結婚指輪を受け取るのは感動的。脳内では「木綿のハンカチーフ」「リフレインが叫んでる」が繰り返し再生されて（個人の感想です）、環境と性格から回り道をせざるをえなかった二人の運命の軌跡はさすがの筆力で説得力があった。

ネタバレ「漢方小説」が心身に効いたおぼえがあり、久しぶりに中島たい子さんの本を読む。叔父がフランス女性と結婚して、いとこも三人いて、お互いの家を行き来した彼らとの交流の思い出と2014年パリ滞在の記。叔母ロズリーヌが焼く四角いバゲットの香りと歯応えがリアルに感じられる美味しいエッセイ（シスターのキッシュなど他の料理もレシピ付き）。自然体で人生を楽しむロズリーヌやいとこたちには憧れるなぁ。

ネタバレ島津郷子さんは絵柄が可愛くて昔から好きだったが、パーキンソン病とは知らなかった。読友さまのレビューによりこの本を知り、友人もこの病気なので、知識を得るためにも手をした。病名にたどり着くまで7年！そんなにも難しいとは絶句。作者は手術を受けることができ、「病とつき合う」境地に達しだとのことだが、ご自身の聡明さ、優しさもあり周囲（特に家政婦の方、担当編集者、入院中同室になった患者さん達（泣））に支えられて前向きに退院していく姿は感動的でした。私も時々話を聞いてほしい、という友人の少しでも助けになれば、と思う。

ネタバレ文句なしの面白さで一気読み、成瀬あかりの郷土愛、大津市民憲章どおり「あたたかい気持ちで旅の人をむかえて」、大津にデパートを建てて、200歳まで生きて、ずっとゼゼカラの漫才を続けてほしい。ラスト島崎みゆきの言葉に泣けた。祝本屋大賞。

ネタバレ元NHK安倍晋三番記者岩田明子氏にによる「安倍晋三実録」。第三次政権の夢を抱いていたこと、トランプとのゴルフ外交、父晋太郎とゴルバチョフ書記長との日ソ交渉をプーチンに語り、お互いの父親の思い出話に花を咲かせたこと、妻昭恵の内助の功など、政治家、人間安倍晋三の実像が心に沁みた。

ネタバレ「トモエ学園」後のトットちゃん、戦争、疎開、香蘭女学校、音大生時代からNHK専属俳優へ。スルメ欲しさに出征する兵隊さんに向かって「バンザーイ！」と叫んだ子供時代、大人になってから背負わなければならない「戦争責任」だと思い知る。私の母にも似たようなことがあったと聞いた。渥美清、向田邦子達との交流、歴史の生き証人として、まだまだ語ってほしいし、様々な年代の人達に読んでもらいたい本です。いわさきちひろの絵が嬉しい。

ネタバレ12人のきょうだい（男10女2）のうち6人の息子が統合失調症と診断されたコロラド州ギャルヴィン一家を中心としたノンフィクション。一家のファミリーヒストリーと「遺伝か、環境か」研究する科学者達の章が交互に巧みに構成され文章（翻訳）も読みやすかった。病気と診断された息子を症状が落ち着けば（常時ではないにせよ）自宅に住まわせた「不屈の幸せな戦士」（美談にしてはいけないのだが）母であるミミ、兄に虐待され自身も発症の不安に脅えながらも難題を受け入れ突き詰め解決していった末妹メアリー（リジー）が最も心に残った。

ネタバレ鎌倉の文士達が経営していたという貸本屋「鎌倉文庫」の本の行方を追って昭和、平成、令和の智恵子、栞子、扉子が謎解きするシリーズ最新刊。『みんな金が欲しいのだ』『さうして金より外には何も欲しくないのだ』（夏目漱石「道草」）。「金」を「本」に置き換えたらぴたりと当てはまる登場人物たちの意外（私だけ？）な行動、「鶉籠」「袖珍本」など芳しい言葉、何よりあの智恵子さんの過去、昔から優しかった大輔さんとも会えて、私的にはシリーズの中で一推しです。

ネタバレ巨匠筒井康隆による最後の挨拶？25の掌編からなる「カーテンコール」。入院中の著者のもとに「時をかけて」芳山和子や唯野教授達が訪ねてきて展開される小説論争にニヤニヤしてしまう「プレイバック」、見栄もここまでいけば立派？「花魁櫛」、大女だったねえやの短い一生を綴る「お咲の人生」、ブラックファンタジー「手を振る娘」、夢と現のはざまで亡き息子と語り合う「川のほとり」には胸を打たれた。「コロナ追分」は本当にその通りで流石です。

ネタバレあおくんときいろちゃん、なかよくくっついてとうとう緑色になっちゃった。おともだちもさまざまな色であらわされていてその豊かな色彩の世界にワクワクしながら楽しく読んだ。

ネタバレ東村アキコの人生における漫画と電話（父が電電公社社員で本人も104番号案内に勤めていた）にまつわるエッセイ。卓越した記憶力と明快な文章で綴る、幼少期の思い出、銀メダリストの森下選手、空港ライナー遅延事件など抱腹絶倒、そして電話というツールについて考えさせられる。私は十歳まで宮崎で育ったので、県民の穏やかで優しい気質は懐かしくてよくわかります（どこに捨ててきたんだ、私？）。韓国で縦スクロール漫画を連載した初めての日本人漫画家となり彼女は電話のようにどんどん進化していく。私も携帯で漫画読んでみようかな？