ロシア文学が面白いので、人名、地名等の原語の雰囲気を少しでも感じたいと思い、まずは文字から。いや、これはかなり難易度が高いです。英語との干渉が激しい上に、ギリシア語とかヘブライ語に通じる文字もあったり、斜体文字や筆記体が活字体とかけ離れていたり……。アルファベットだけでも挫折しそうなのに、翻訳家の皆様の凄さを思い知りました。暗号解読の様な楽しい教本です。

ロシア文学が面白いので、人名、地名等の原語の雰囲気を少しでも感じたいと思い、まずは文字から。いや、これはかなり難易度が高いです。英語との干渉が激しい上に、ギリシア語とかヘブライ語に通じる文字もあったり、斜体文字や筆記体が活字体とかけ離れていたり……。アルファベットだけでも挫折しそうなのに、翻訳家の皆様の凄さを思い知りました。暗号解読の様な楽しい教本です。

全3巻、一ヶ月ちょっと楽しめました。訳者の指摘する多くのメタファーを本文から掬いきれないのが惜しいですが、当時のペテルブルクの特殊事情を超えて、多様な登場人物たちに共感させられました。救いの有無に関わりなく、同時代を生きる人への著者の温かな視線に気付けばこちらが救われている。ロシア文学は長過ぎやしないかと思っていましたが、これなら納得です。ラストは？でしたが、大量の人物描写に埋もれる幸せな読書でした。人の幻想に寛容に、そして痛みには優しく出来たらいいなぁとまともな気持ちにおさめてもらいました。

最近のハルビンの様子を捉えた写真集。入手困難ですが、本屋さんが貸してくれました。街も人も黒ずんだ古い景色が、光り輝く高層建築群へと変化する様に既視感。四半世紀前の武蔵小杉を思い出します。開発で消えるものを記録する、梶井さんのいい仕事だと思います。原発建設予定地の写真は、ここに人が住めなくなるという切なさが感じられます。他人事ではないです。

心配をよそに飽きる事なく、殺人後の主人公を取り巻くあれこれが、不安定な意識のままに展開して行きます。狂気の主人公以外の登場人物もそれぞれ程度の差はあれ可笑しな信念に取り憑かれている様で、この多様な有り様を味わえるのは中々心地よい体験です。実際には余り関わりたくは無いですが……。これ程の知性を持ちながら、ルーレットや女性への挑戦が止められなかったとは、何とも人間的過ぎて、むしろ安心してしまいます。理解し難いのですが、借金達磨中で生まれる名作も有るのですね。さぁ、第3巻へ。