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2024年10月の読書メーターまとめ

Sora
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感想・レビュー
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367ナイス

2024年10月に読んだ本
11

2024年10月にナイスが最も多かった感想・レビュー

Sora
ドア、おくるみ、産着、タルトック、霧など、一見バラバラに見える断章でも、読み進めるにつれ、ある一つの繋がりが見えてくる。生きること。死ぬこと。生者と死者。雪。白。生命の一瞬の輝き。哀しみと、そこから来る優しさと慈しみ。「しなないでおねがい」。早産で冷たくなっていく我が子に、著者の母は囁いたという。今もどこかで、同じ言葉が、同じ願いが、そっと囁かれている。深い余韻と哀しみ、優しさを感じられた読書だった。
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2024年10月にナイスが最も多かったつぶやき

Sora

2024年9月の読書メーター 読んだ本の数:20冊 読んだページ数:7059ページ ナイス数:436ナイス ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/623744/summary/monthly/2024/9

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2024年10月の感想・レビュー一覧
11

Sora
ドア、おくるみ、産着、タルトック、霧など、一見バラバラに見える断章でも、読み進めるにつれ、ある一つの繋がりが見えてくる。生きること。死ぬこと。生者と死者。雪。白。生命の一瞬の輝き。哀しみと、そこから来る優しさと慈しみ。「しなないでおねがい」。早産で冷たくなっていく我が子に、著者の母は囁いたという。今もどこかで、同じ言葉が、同じ願いが、そっと囁かれている。深い余韻と哀しみ、優しさを感じられた読書だった。
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Sora
ネタバレ前作と比べて、今作では短編ではあるものの、事件の黒幕の暗躍と、陰陽師同士での戦いが描かれる。前作と同様、ヒトと妖怪(もしくは亡霊)の対立と共存が今作のテーマでもあるが、僧に化けた山女魚や、蘇った鹿の王者の「伊佐々王」との戦いの裏には、「ガモウダイゴ」と名乗る陰陽師が暗躍しており、様々な怪異を通じて陰陽師兄弟に戦いを挑んでくる内容だった。本作では、「伊佐々王」の逸話や「温羅」という鬼の伝説、猿楽という芸術の話も詳しく記述されており、その点でも楽しめた。
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Sora
マキャベリによると統治者は冷酷でなければならず、誰からも恐れられる人物でなければならないということだが、古代ギリシア・ローマからトマス・アクィナスまで引き継がれた、理想の君主像はむしろ真逆だ。本書によると、マキャベリの理想とする君主、つまり「僭主の支配は人びとに忌み嫌われているので、僭主は人民から身を守るために多くの護衛を必要とし、このことが人民から掠め取る以上の費用となる」ので、財政破綻することになる。また、人民から憎悪されるその支配により、後世に悪名を残すことになる。
Sora
2024/10/17 23:43

一方、正義、勇気、節制、知恵と、信仰、希望、愛という徳を備えた君主は、本人の備えた徳により、人民から愛される善き統治を行うことができる。そして、臣民の忠誠と愛を勝ち取ることができるので、「善き王の統治が安定した統治になるということである」。マキャベリズムの理想とする冷酷な統治者が望ましいか、それとも、アリストテレスやトマス・アクィナスの理想とする統治者が望ましいか。対立と戦争が絶えない現代社会で生きる私たちだからこそ、あえて、考える必要があるのではないだろうか。

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Sora
本書は君主政、貴族政、民主政の三つの形態を分析するが、その前に自然状態と自然法、社会契約について述べる。スピノザの想定する自然状態はホッブズと同じくお互いに争っている状態であり、彼はこの状態を「人間は本性上敵である」という言葉で表現している。また、彼は自然法(自然権)において、各自が己の欲を満たすことが許されており(自己保存)、そのためにお互い相手の権利を侵害するので争いが絶えないと考える。そのため、互いの権利侵害を防ぎ、かつ、お互いの望みを実現するために社会や国家を形成するのだと訴える。
Sora
2024/10/19 22:13

彼の理想とする国家は人民の自由、平和、安全を保障する国家であり、「その平和が臣民の無気力の結果にすぎない国家、そしてその臣民があたかも獣のように導かれてただ隷属することしか知らない国家は、国家というよりは曠野と呼ばれてしかるべきである」として、人民を恐怖によって支配する政治体制及び国家を批判している。スピノザのこうした主張は、国家のために人民がいるのではなく、人民のために国家は存在するという論理に正当性を与えるものである。

Sora
2024/10/19 22:13

本書は著者の死によって未完となったが、それでも完成度の高い政治的論文となっている。また、国家の存在意義を考えるのに本書は適していると思われる。

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Sora
本書は、混沌(カオス)から始まる神々の誕生、主権をめぐる神々の争いとその終結を物語っており、混沌が次第に秩序付けられていく話になっている。この『神統記』にて、クロノスやゼウスによる父殺しと主権の簒奪、ゼウスの人間や神々との重婚等の罪が描かれているが、ヘシオドスはそれを罪とは考えていないようだ。正義や秩序、平和等の概念や、古代ギリシアにおける徳は人為的なものから生じたものではなく、神々(超自然的なもの)から生じたのだと著者は考えていたとも受け取れる内容だった。
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Sora
ゾロアスター教の聖典であるアヴェスターはヤスナ、ウィーデーウ、ヤシュトからなり、その中でも最重要文書であるヤスナを中心に選んで邦訳している。正信や善思、ダエーワ等の専門用語の頻出や、繰り返される善神への呼びかけが続き、大変読みにくい。しかし後半になると、神々に基づく善悪二元論や、死後における魂の行く末を比喩で説明しているので比較的わかりやすい内容になっている。祭儀において牛が重要な役割を果たしており、人は思い、言葉、行いによって善か悪を選択でき、善悪の原理は、善の神と悪の神に基づくという思想が読み取れる。
Sora
2024/10/12 13:09

本書以外にも全訳はここ最近になって翻訳・出版されているが、頁数が多く、かなりの値段のため、ゾロアスター教に興味のある初心者は、本書をまず読んでから全訳に進んだ方がいいと思われる。

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Sora
本書はアシジの聖フランシスコの著作から、祈りと賛歌を中心に選んで翻訳している。太陽や月、火、水、大地等の自然の美しさを認め、自然と美を創造した神を讃える『兄弟なる太陽と造られたすべてのものの賛歌』や、『平和の祈り』も収録されている。後者の祈りは彼自身によるものではないが、彼自身の思想がよく反映されている祈りとして評価されているという。私たちが聖フランシスコと同じように「憎しみのあるところに愛を、罪のあるところに赦しを、争いのあるところに一致を……絶望のあるところに希望を」もたらすことができますように。
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Sora
ヒンドゥー教の聖典である本書、『ヴァガヴァッド・ギーター』は元来、『マハーバーラタ』の一部として挿入された物語であり、王族同士での争いに躊躇するアルジュナに、クリシュナが教えを説くというものである。クリシュナはインドの神々の1つであり、すべての生き物の根源、世界を満たす存在であるという。また、様々な神々は、クリシュナが姿を変えて顕現したものであり、その現われに限りはないとされる。また、見返りを求めることなく、義務を遂行することによって平安に至るのだとしており、ガンディーの思想と独立運動に影響を与えた聖典。
Sora
2024/10/12 18:46

バラモン教と、それを受け継いだヒンドゥー教の負の側面としてカースト制度が挙げられる。ゴータマ・シッダールタやガンディーはカースト制度を強く非難しており、インドの歴史においてもやはり非難されるべき悪しき風習である。本書の解説によると、今では法的な差別は撤廃されたということだが、差別撤廃の実現というものは、東西関係なく困難なのかもしれない。

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Sora
全体主義の構造と支配の仕方を分析して、力を持たない市民、「力なき者たち」が、権力にどうやって抵抗していくのか、その方法とあり方を述べたエッセイ。本書は社会主義体制における全体主義に抵抗するために書かれたものだが、本書の解説にもある通り、ハヴェルの言葉と警告は「技術文明、産業社会、消費社会」の世界で振り回され、日々を生きる私たちに対しても向けられている。また、資料として「憲章七七」も収録している。
Sora
2024/10/24 18:12

著者によると、全体主義はイデオロギーという「見せかけ」を必要とするが、イデオロギーは現実から乖離するだけでなく、現実を「偽の現実」とすり替えてしまう。そのうちイデオロギーはただの「見せかけ」の儀式、支配するための口実となっていくが、誰一人、その儀式に反する言動は許されなくなる。その支配体制の指導者も例外ではなく、個人が権力闘争に勝利するには、イデオロギーという儀式や口実に逆らうことは許されない。違反した者は異端者として組織から追放されることになる。

Sora
2024/10/24 18:22

全体主義という構造は虚偽で成立しているため、その世界が成り立つのは「人間が嘘の中で生きようとする時に限られている」。市民の普段の行動(例えば、スローガンが書かれているものを店のショーウィンドウに置くといった行動)によって体制が維持されるので、窓に旗を掲げない、形式だけの選挙に行かない、体制を擁護する上司に意見を言うといった、普段の何気ない、しかし、意志のある行動によって崩壊していく。

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Sora
3巻目に続いて、本書は主に学問の考察と言語について記述している。学問については、錬金術、形而上学、占星術への批判と、言語学の分析を述べる。占星術に関しては迷信である事と、星々の変化と政治を結びつける傾向があるので、人々に不安を抱かせると警告している。言語学では、アラビア語を例として挙げて、ある言語を日常的に使用していた人よりも、第二言語として学ぶ人の方がその言語の習得は難しいと述べ、アラビア語に関係する学問として文法学と修辞学を挙げている。
Sora
2024/10/19 21:25

最後に詩論を述べて終わりとなる内容。歴史学の序説で言語学や詩論について記述するというのは珍しいが、その理由は著者であるハルドゥーン自身が学問の世界と政治の世界のはざまで活動していたという事と、本書自体が学術書というよりも君主の教育のために書かれたという事のようだ。また、ハルドゥーンが波乱万丈の人生を送っていたようなので、興味がある方はハルドゥーンについての文献を参照することをお勧めする。

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Sora
ラテン語の名句を、ラテン語と邦訳で紹介・解説する辞典。キケロの演説やセネカの文書、ローマ法やラテン語の格言だけでなく、ラテン語訳聖書からも引用している。たとえば、高い地位にある者は相応しい道徳的責任と義務を負うべきであるという、「名誉は重荷を背負う(ホノース ハベト オヌス)」。ある本が後世に残るかどうかは、読者の理解力次第という「本は自分の運命を持っている(ハベント スア ファータ リベッリー)」。他にも「民の声は神の声」、「不正に獲得されたものは不正に失われる」等、名言や格言が多く収録されている。
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ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2015/11/01(3312日経過)
記録初日
2015/11/01(3312日経過)
読んだ本
683冊(1日平均0.21冊)
読んだページ
211030ページ(1日平均63ページ)
感想・レビュー
673件(投稿率98.5%)
本棚
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