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2024年8月の読書メーターまとめ

Sora
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2024年8月に読んだ本
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2024年8月にナイスが最も多かった感想・レビュー

Sora
権力闘争、独裁制への移行、法や罪の捏造と改変、プロパガンダ等、独裁の恐ろしさがリアルに描かれている。しかし、一番恐ろしいのは、独裁者に自発的に服従するという動物たちの愚かさとリアルさだ。自分たちの自由や財産が不当に制限され、奪われても文句ひとつ言わずに従う。それどころか声を上げる動物たちを非難さえする。最後の場面では、指導者の「豚」と独裁の象徴だった「人間」がともに食事をしており、もはや見分けがつかなくなったという描写で終わる。ハッピーエンドではない結末もリアルで後味が悪い。
Sora
2024/08/18 22:11

訳者あとがきによると旧ソ連の政治体制や権力闘争がモデルだそうだが、ソ連崩壊後の現在でも十分に通じる内容。独裁を支えているのは、暴力や悪法だけでなく、被支配者層による自発的な服従であることがよくわかった。このような政治の腐敗は政治体制に関係なく生じるので、本書の警告には普遍性を感じられた。

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2024年8月にナイスが最も多かったつぶやき

Sora

2024年7月の読書メーター 読んだ本の数:20冊 読んだページ数:5760ページ ナイス数:632ナイス ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/623744/summary/monthly/2024/7

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2024年8月の感想・レビュー一覧
15

Sora
プロメテウスは鎖で体を縛り付けられ、鷲に臓器を喰われるという残酷な罰を受ける。神話ではヘラクレスによって解放され、アイスキュロスの劇ではジュピターとの取引に応じている。シェリーは、その結末は権力と暴力に屈することだとしてこれを認めず、本書を執筆したという。プロメテウスはジュピターを憎悪していたが、アシアによって憎悪から解放され、自由を得る。一方、権力と暴力によって君臨していたジュピターは、己の力によって破滅する。暴力と権力は破滅をもたらし、優和、高徳、叡智、堅忍によって善、美、自由に至るのだと訴える戯曲。
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Sora
今昔物語の逸話や、映画や漫画等で描かれる安倍晴明の虚像を紹介しながら、信用できる文献に残されている実像に迫っていく内容。若い時から都で活躍した陰陽師というイメージを持っていたが、それは言わば二次創作によって作られたイメージであり、史実では40代から活躍し始めたようだ。そもそも陰陽師の仕事は、占いによって原因を突き止めるまでであり、お祓いまではしていなかった事、また風水という概念は平安時代には存在しておらず、風水は、現代日本でのオカルト的な概念ではなく、現代の地理学に近いものだった事等、興味深い内容だった。
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Sora
日本のキリスト教徒は、織田信長がキリスト教を保護していたことで織田信長を肯定的に描き、豊臣秀吉や徳川家康を否定的に評価しがちだが、著者は違う視点から三者を描いている。まず織田信長は、「利用できるものは利用する」という徹底的な合理主義者であり、彼がキリスト教を保護したのは、ヨーロッパによる東洋植民地政策をまだ知らず、国内の統一が最優先課題だったこと、また一揆を含む仏教の軍事的な勢力に危機感を持っており、その仏教に対する宗教的な対抗として利用することを目論んでいたと分析している。
Sora
2024/09/01 17:37

また、晩年の豊臣秀吉に関する批評、高山右近と小西行長の違いについて、細川ガラシャへの苦手意識、『侍』の主役の一人として描いた支倉常長についての批評もあり、面白く、かつ読みやすいエッセイだった。

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Sora
ネタバレ幻界は現世の人の想いから無数に生まれ、訪れる旅人によって姿を変える。優しさ、勇気、知恵、信義だけでなく、憎しみや悲しみ、差別といった負の想いも、幻界の世界に影響を及ぼす。幻界になり損ねた世界である「魔界」と魔族。その魔の存在を封じた「常闇の鏡」の存在。最後の宝玉を求めて、ミツルは北の帝国の皇都を破壊。常闇の鏡の封印を解き、魔族を解放してしまう。そのミツルを止め、旅に終止符を打つために、ワタルは運命の塔を登る。旅の果てにワタルが導き出した答えとは。「変えるべきなのは僕の運命じゃなくて、 ──僕自身なんだ」。
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Sora
ネタバレ水人のキ・キーマとネ族のミーナという、幻界での旅の仲間を得たワタルは運命の塔を目指す旅を続ける。そんな中、ハルネラの時が近づいている事を知る。ハルネラは現世と幻界を守る「大いなる白き光の境界」の事。ハルネラには幻界と現世の者、それぞれ一人ずつ犠牲になるという。そんなヒト柱などなくしてしまえ、運命の女神を倒せ、と「甘い声」をした魔物がワタルを誘惑する。自分の願いと「ハルネラ」の間で迷い、運命の女神を信じられなくなるワタル。そんなワタルに、サーカワの長老は告げる。「神を信じぬ者に、神は倒せぬ」。
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3巻目となる本書では、財産と経済について、技術、職業、学問を分析している。商人に対する偏見が散見されるものの、物価の下落は商人(企業)に損害を与えるという話や、追従は出世や財産を増やす事に役立つ事等、現実的で今でも通用することも書かれている。学問では農業、建築、医学、数学、論理学、音楽等、様々な分野について書かれているが、中でもクルアーンや思弁神学について詳しく分析している。
Sora
2024/08/19 01:00

思弁神学では、イスラーム教における神の定義と教義、スーフィズムについて記載している。神は理性を超えていること、また、神は全知全能で意志を持ち、生者の運命を決定し、また復活させる存在であることが述べられている。また、イスラーム教の中でも、連鎖している原因を遡れば神に行き着くという、トマス・アクィナスと同じ主張をしている点や、神は肉体を持つと主張した宗派が存在した点、神の全能性と人間の自由意志をめぐる論争があった点が興味深い。

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Sora
権力闘争、独裁制への移行、法や罪の捏造と改変、プロパガンダ等、独裁の恐ろしさがリアルに描かれている。しかし、一番恐ろしいのは、独裁者に自発的に服従するという動物たちの愚かさとリアルさだ。自分たちの自由や財産が不当に制限され、奪われても文句ひとつ言わずに従う。それどころか声を上げる動物たちを非難さえする。最後の場面では、指導者の「豚」と独裁の象徴だった「人間」がともに食事をしており、もはや見分けがつかなくなったという描写で終わる。ハッピーエンドではない結末もリアルで後味が悪い。
Sora
2024/08/18 22:11

訳者あとがきによると旧ソ連の政治体制や権力闘争がモデルだそうだが、ソ連崩壊後の現在でも十分に通じる内容。独裁を支えているのは、暴力や悪法だけでなく、被支配者層による自発的な服従であることがよくわかった。このような政治の腐敗は政治体制に関係なく生じるので、本書の警告には普遍性を感じられた。

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Sora
本書は、アシジの聖フランシスコと弟子の聖クララの祈り、手紙、会則、遺言等を翻訳したものである。残されている文書を読む限り、彼は、のちにフランシスコ会を代表することになるボナヴェントゥラのような思索の人というよりは、実践家であったようだ。本書に収録されている文書は、トマス・アクィナスの『神学大全』のような形而上学的論文ではなく、いずれも、ミサに与り、祈りと謙遜、悔い改めと赦しを通してイエスに倣うように勧め、願う内容となっている。
Sora
2024/10/26 23:51

聖フランシスコは、私たちは「自分の咎の故に、哀れなもの、腐敗したもの、悪臭を放つもの、虫けら」となっているが、隣人愛を実践し、祈り、「御父の業の意志を行うとき」、私たちはイエスの配偶者であり、兄弟であり、母になることができるのだと手紙で訴えている(『すべてのキリスト信者への手紙二』より)。また彼は隣人を愛し、隣人を愛せない場合は「せめて、その人は悪をもたらすことなく、善を行いましょう」とも述べている(同上)。

Sora
2024/10/26 23:51

聖クララは師の思想を受け継ぎ、「貧しく、苦しむ、謙遜なイエス・キリストとの一致」を願い、神秘的生活を送っていた。また、彼女と親交のあった者にも、「貧しく自らを低くされたイエス・キリストのみ跡に倣って歩む」よう勧めている。「あなたの精神を永遠の鏡の前に置いてください。あなたの魂を栄光の輝きのうちに置いてください。あなたの心を神の本性の現れのうちに置いてください。そして、観想によって、あなたご自身のすべてを、あの方の神性の似姿へと変えていただきなさい」(『プラハのアグネスへの第三の手紙』より)。

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古代ギリシャ・ローマにおいては沈黙よりも雄弁である事が美徳とされたが、中世ヨーロッパにおいては、「心の耳」を澄ませ、沈黙して神の声を聴く事が美徳とされた。しかし、それは徳の向上のためだけに望まれたわけではなかった。時にはジェンダー的偏見によって沈黙させられ、時には身分によって沈黙させられた事もあった。本書は中世ヨーロッパにおいて、「沈黙」はどう考えられてきたかを説明し、また、沈黙よりも雄弁に思想を語った者達の軌跡をたどったものである。
Sora
2024/08/10 18:50

本書によると、ジェンダー・身分によって沈黙させられた事はあったものの、「神の器」となる事を選んだ男女もいた事や、富裕層出身である事と豊かな教養を活かして、自分の思想を語り、教え合った人々もいた事等が記されており、勉強になった。

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ネタバレ主人公のワタルは普通の小学生だった。口数は少なく厳しいが、曲がったことが許せない父。お喋りでワタルの事を一番心配している母。弟とは対照的にガサツだが、人一倍優しいルウ伯父さん。親が居酒屋を経営している親友のカッちゃん。ある日ワタルは親友のカッちゃんと一緒に幽霊ビルの探検に行くが……。ストーリー自体は王道で異世界冒険譚だが、ワタルの父親の浮気と離婚、一家無理心中という転校生芦川ミツルの重い過去等、子供が読むには重い話が続く。現実を変えるため少年達は幻界へ旅立つ。子供向けに見えて実際には大人こそが読むべき本。
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Sora
「わたしたちは言わなければいけなかった/日の丸の波に送られて/たたかいに行く兵士たちに/きょうだいを殺しに行ってはいけないと」(「きょうだいを殺しに」より)。戦争のない世界にするにはどうすればいいのか。平和のために何ができるのか。私たちにまずできることは、話を聞くこと。忘れないこと。前の世代から引き継いで、次の世代に伝えること。「安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから」という誓いを胸に刻むこと。
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人の弱さや劣等感、人種差別的意識、戦争と宗教という、難しく、できたら目を背けたいものに焦点を当てた短編集。戦争で人を殺す事は正当化できるのかを問う『従軍司祭』と、浦上四番崩れを題材にした『最後の殉教者』がおすすめ。特に後者では、弱さのために転んで否定しても、無条件で許して受け入れてくれるイエスという、著者のイエス観が描かれているので本書の中では一番好きな作品。『沈黙』や『死海のほとり』といった作品のテーマにも通じている短編なので、特におすすめ。
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Sora
怖いもの知らずの二人、平太郎(後の稲生武太夫)と権八は比熊山で肝試しをしてみようと思い立つ。触れば祟りに合うといわれている巨岩に縄を結びつけてみるものの、特に何もなかった。次に降霊の儀式として百物語をしてみようという話になる。二人で百物語をしたが、特に怪異が現れることなく、二人は拍子抜けする。しかし、その後一か月間にわたって平太郎に怪異が襲い掛かる。少しも動じることなかった平太郎に怪異が根負け。自分は「山ン本太郎左衛門」だと名乗り、事の次第を語る。また怪異があれば助太刀に参ると言い残して去っていく。
Sora
2024/08/04 15:54

祟り岩での肝試し。降霊術としての百物語。大男の頭から飛び出す、10人の血まみれの赤子。宙を舞う香炉。むき出しの臓器がくっついている女性の生首が宙を飛ぶ。様々な怪異や謎めいた存在の山ン本太郎左衛門など、非現実的ながら怖さと面白さもある内容。眠れない夏の夜におすすめの、江戸時代から伝わる古典。

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Sora
本書は、日本にキリスト教がどのように伝えられたかを知ることのできる文献である。祈りの心構えと祈りの言葉、使徒信条と三位一体論、十戒と信徒としての在り方など、基本的な教義を問答形式で説いている内容。三位一体のとらえ方として、アウグスティヌスの理論を紹介している。一人の人間の魂(心)に「記憶」、「知解」、「意志」(本書の訳では「認識」、「悟性」、「意志」)の3つの能力が備わっていながら、なお一人の人間であることに変わりがないように、神は、父と子と聖霊という三つの位格でありながら、本質は一体であると述べる。
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Sora
ネタバレ物語の最初では他人に興味を持とうとすらしなかった巧だが、話が進むにつれ、豪や青波、吉貞など近しい存在の事を理解したい、関わりたいと思うようになっていく。豪は、野球を楽しめなくなるかもしれない事を承知の上で、覚悟を決めてバッテリーを組む。物語のクライマックスでは、いよいよ新田と横手の試合が描かれる。あえて試合を最後まで描く事なく、読者に想像させる結末なのも良いと感じた。また、それぞれのチームの選手だけでなく、大人側にも魅力的な人物が多く、楽しい読書になった。
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ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2015/11/01(3312日経過)
記録初日
2015/11/01(3312日経過)
読んだ本
683冊(1日平均0.21冊)
読んだページ
211030ページ(1日平均63ページ)
感想・レビュー
673件(投稿率98.5%)
本棚
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