読書メーター KADOKAWA Group

2024年8月の読書メーターまとめ

講釈夫人
読んだ本
7
読んだページ
1917ページ
感想・レビュー
5
ナイス
360ナイス

2024年8月に読んだ本
7

2024年8月のお気に入られ登録
5

  • ひさま
  • ori
  •  norican
  • HARU
  • 823

2024年8月にナイスが最も多かった感想・レビュー

講釈夫人
終末の始まりを描いて面白く、とても考えさせられた。バージニア州出身黒人女性作家のデビュー作。五篇の短篇と表題作の中篇一篇。「コントロール・ニグロ」は、“息子を対照研究の標本とみなす父”黒人である以外は、全て白人少年と同じ環境を整えた場合、彼らは同じだけの成功が約束されているのか?聡明な白人少年の“二倍は穏やかであること”が求められることがデフォルトで、次々と現れる理不尽な障害物競争のような人生。耐え忍んでも屈辱は刻まれ、失敗すると白人少年には用意されるセイフティネットがない。他作品でも彼らには様々な局面で
講釈夫人
2024/08/18 01:06

大きな壁が立ちはだかる。表題作は、現在から僅か数年後の近未来。白人至上主義者に追われ、家を残し逃げ込んだ先がモンティチェロ、アメリカ合衆国第3代大統領トーマス・ジェファーションの邸宅と歴史的プランティーション。“建国の父の一人にして人格者”しかし黒人奴隷サリーと6人の子をもうけ、主人公はその傍系子孫。未来を見据えている筈が、合衆国の原点に戻ることで、過去を繰り返す地獄巡り無限ループの様相が現れる。2024年パリオリンピックのアジア人差別を目の当たりにした年に読んで、ずっと知っていた筈の世界の仕組みに慄いた

が「ナイス!」と言っています。

2024年8月にナイスが最も多かったつぶやき

講釈夫人

ガザやウクライナで戦闘(侵略虐殺)が続くなか、パリでは平和の祭典。日本は悪夢のような高温続きの毎日で電気料金の心配をしながらもエアコンはフル稼動。日焼け止めと日傘でも薄っすら日焼けで憂鬱。頭が沸いて本を読んでもいまいち入って来ない。かき氷を食べるため猛暑の八坂神社横の坂道を上るのは本末転倒だけど、今年も長楽館の白桃🍑かき氷は外せない。紅茶ミルク、紫蘇の花、ミント…複雑な味わい、美味しい https://s.tabelog.com/kyoto/A2601/A260301/26006416/

ガザやウクライナで戦闘(侵略虐殺)が続くなか、パリでは平和の祭典。日本は悪夢のような高温続きの毎日で電気料金の心配をしながらもエアコンはフル稼動。日焼け止めと日傘でも薄っすら日焼けで憂鬱。頭が沸いて本を読んでもいまいち入って来ない。かき氷を食べるため猛暑の八坂神社横の坂道を上るのは本末転倒だけど、今年も長楽館の白桃🍑かき氷は外せない。紅茶ミルク、紫蘇の花、ミント…複雑な味わい、美味しい https://s.tabelog.com/kyoto/A2601/A260301/26006416/
講釈夫人
2024/08/04 21:17

パリオリンピックの柔道男女混合団体戦決勝には色々思うところがあるけれど、旧植民地出身の黒人選手ばかりで、最近読んだ『夜、すべての血は黒い』と同様、フランスを背負わされ最前線で戦っている。かつては戦争、今は名ばかりの平和の祭典という違いがあるけれど、勝利であっても痛烈な批判であっても、誰かの思惑のために、彼らは代替え可能な存在として矢面に立っているようで、そんな世界の仕組みにはうんざり

が「ナイス!」と言っています。

2024年8月の感想・レビュー一覧
5

講釈夫人
とても面白かった。AD79年(日本は弥生時代)ヴェスビオ火山が噴火し、翌朝には火砕流によって古代都市ポンペイが壊滅、地中に埋もれてしまう。発掘物は全く損なわれていない往時のままで、展覧会ではその豊かな生活の一端に驚嘆した。物語は既に終末へのカウントダウンが始まっているが、誰もが知らずに生を謳歌している。作者はヴィクトリア時代の英国人作家。美女と青年貴族の恋、横恋慕するエジプト人魔術師。身分ある者の娯楽と剣闘士の死闘。ギリシャ人、ローマ人、エジプト人の民族の融合と相剋に宗教の関わり。享楽的で贅沢、
講釈夫人
2024/09/02 23:58

衒学趣味が溢れ、わくわくするゴシック小説。同時に平等を装いながらも解放奴隷を軽蔑し特権意識を持ち豊かさを享受する者たちと、彼らの娯楽のために命をかける末端の人々が対照的に描かれる。そしてそんな彼らを掬い上げるキリスト教黎明期の伝道者たち。多神教を信じる人々の“寛容性”の隙をついて、一神教で“非寛容”なキリスト教が席巻していく様に目を瞠る。狡猾な世界(支配)の仕組みは複雑で、自然は過酷。抗う術もないちっぽけな人間は日々精一杯生きるだけなのか?明日も知れぬ、早晩失われる生命を生きる意味が問われる。

が「ナイス!」と言っています。
講釈夫人
とても興味深く読んだ。始まりの10頁は一人の男の子の誕生からの幼少期のアルバムになっていて、そこにトカルチュクの言葉はない。タイトル通り“個性的な人”は、魅力的な“唯一無二の顔”でもてはやされるが…SNS時代、一度発信されると個性は均質化して、自己認識が曖昧になってくる。それに連れて画素は荒くなり段々と解像度の低い顔になる。とても綺麗な絵本で、解り易く描かれた現代の寓話には深い意味があるのか?と人と話をした。加齢による“顔の緩み”外見の変化はわかり易いけれど、内面の劣化に自分で気付けるのか?と
講釈夫人
2024/08/31 23:38

アイデンティティへの疑問や、その最盛期は若い頃の一時期に限定されるか?と頭の中はぐるぐる回る。昔の顔に固執しても、コピーである後発の追随者の方が若いため、衰えていくオリジナルを踏み越えて行く。そしてきっと彼らもまた…。SNSの写真については、対象物を撮るのは“観察者”だけれど、自撮りが入ると“当事者”になり、承認欲求にも濃淡がある。さて何処に“じぶん”の所在はあるのか?歴史を書くことを命題とするポーランドのノーベル文学賞作家が、“今”に最適化する現代人を描き、流されて行く歴史の一コマを捉えた作品だった。

が「ナイス!」と言っています。
講釈夫人
終末の始まりを描いて面白く、とても考えさせられた。バージニア州出身黒人女性作家のデビュー作。五篇の短篇と表題作の中篇一篇。「コントロール・ニグロ」は、“息子を対照研究の標本とみなす父”黒人である以外は、全て白人少年と同じ環境を整えた場合、彼らは同じだけの成功が約束されているのか?聡明な白人少年の“二倍は穏やかであること”が求められることがデフォルトで、次々と現れる理不尽な障害物競争のような人生。耐え忍んでも屈辱は刻まれ、失敗すると白人少年には用意されるセイフティネットがない。他作品でも彼らには様々な局面で
講釈夫人
2024/08/18 01:06

大きな壁が立ちはだかる。表題作は、現在から僅か数年後の近未来。白人至上主義者に追われ、家を残し逃げ込んだ先がモンティチェロ、アメリカ合衆国第3代大統領トーマス・ジェファーションの邸宅と歴史的プランティーション。“建国の父の一人にして人格者”しかし黒人奴隷サリーと6人の子をもうけ、主人公はその傍系子孫。未来を見据えている筈が、合衆国の原点に戻ることで、過去を繰り返す地獄巡り無限ループの様相が現れる。2024年パリオリンピックのアジア人差別を目の当たりにした年に読んで、ずっと知っていた筈の世界の仕組みに慄いた

が「ナイス!」と言っています。
講釈夫人
2023年PEN /フォークナー賞受賞作。『理由のない場所』が、16歳で自死した息子、作者自身を思わせる母親が痛切極まりなく、その後の『もう行かなくては』を読めないまま新刊へ。随所にイーユン・リーらしい鋭敏さを発揮しながら、リアルと空想が混在する。貧しい農家のフランス人少女二人の友情を、14年後一人の死をきっかけに振り返る。“子どもの死”を描いて作家デビューするアニエス、本当の作者はファビエンヌ。女校長に才能?を見込まれたアニエスは、英国のフィニッシングスクールに招待されて、ドラマティックに急展開する。
講釈夫人
2024/08/11 21:05

協力者の郵便局長をそんな簡単に葬れるのか?素養がない13歳が小説を完成させられるのか?そもそも何故フィニッシングスクール?それも隣国スイスではなく英国なのか?など現実的な齟齬は、設定そのものを重要視しないイシグロのように寓話的。その一方で、人は生き伸びるために創作し、現実を直視するためにフィクションを介在させる必要など、他者の人生を読み続ける読者にとっても切実な問題を突きつける自己決定権の物語だった。初期作からのファンとしては、違和感を抱えつつ読み続けたが、最後の頁で息が出来なくなった。素晴らしかった。

講釈夫人
2024/08/12 02:41

【追記】バブル期の終盤、日本の大学を卒業後スイスのフィニッシングスクール(最上のFS)で仕上げる知人が何人かいて白目を剥いたが、本作でわざわざ“英国”のFSにしたことで2番手感を、女校長の野心と胡散臭さを表したのか?また英国作家ミュリエル・スパークの学園小説が念頭にあったのかも?そして『悪童日記』や『エンジェル』的な、虚構に着地してからの現実を書き換えてしまうほどの真実は、マキューアン『贖罪』にも通じる。イーユン・リー、やはりすごい…けれど類似作が次々と浮かぶ…次作は独自性が前面に出ることを期待してしまう

が「ナイス!」と言っています。
講釈夫人
ブッカー国際賞、高校生が選ぶゴンクール賞受賞作。ヨーロッパの集団自殺、世界の覇権がアメリカに移る、ヨーロッパ終わりの始まりと言われるWW1に否応なく参戦させられたセネガル人兵士の物語。極限状態で狂気に陥り、意識を上書きしながらリフレインする。せん妄状態で語るあれこれは、『慈しみの女神たち』のような脱線を見せ始め(仏文のパロディ?)…昨年末読んだセリーヌ『戦争』は、大義も美しい物語もないWW1を身も蓋もなく描いていたが、1966年生まれセネガルとフランスの混血である作者にとってWW1はどんな意味をもつのか?
講釈夫人
2024/08/03 00:23

そして不可解なラストを咀嚼しきれないまま読み終えた。同じセネガル系仏人作家モアメド・ムブガル・サール 『人類の深奥に秘められた記憶』もそうだが、セネガルはオランダからフランスに引き継がれた奴隷貿易の拠点で、隷属させられ掻き消された彼らの小さな声を、口承文学(一人称)の体で現代作家が再構築する。また主人公が自身について“他者の欲望の対象になる美しい存在”だと繰り返し言及するが、美の評価基準を変えて反発を引き寄せることで、常に“野蛮な黒人”から欲される側としての、自己愛に満ちた仏文学を反転させたのも面白い。

が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2016/01/14(3170日経過)
記録初日
2015/01/01(3548日経過)
読んだ本
1853冊(1日平均0.52冊)
読んだページ
560412ページ(1日平均157ページ)
感想・レビュー
154件(投稿率8.3%)
本棚
18棚
性別
自己紹介

2016年1月から、読了本のタイトル登録を始めました。それ以前のものについても今後思いつくたびに登録予定です。
2023初めくらいからの感想を少しあげてみようと思いますが(2023.9.4)不具合ならすぐやめます。
また本の感想に何かコメントされるのはご遠慮ください。本人の中では完結しています。

それとDMは基本お断りします。

読書メーターの
読書管理アプリ
日々の読書量を簡単に記録・管理できるアプリ版読書メーターです。
新たな本との出会いや読書仲間とのつながりが、読書をもっと楽しくします。
App StoreからダウンロードGogle Playで手に入れよう