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「信仰の守護者」は先述の二篇とは好対照で、ずる賢いやつが最後には痛い目にあってスカッとする。しかし、ただスカッとするだけではなくて、そこにはユダヤ人だけに許された悲しみがあるのではなくて、戦争という状態にあっては平等に悲しみが降りかかるという含意がある。兵営で太平洋戦線への準備をする新兵たちを描く最後の場面は印象的だ。
各篇に一貫した「不運な男をユーモラスに描く」という特徴は裏を返せば女性が排除されているということに他ならない。表題作の「狂信者イーライ」では妻のミリアムが妊娠していて出産も間近というのに、主人公のイーライは妻をケアする気が全然ない。こういう所でミソジニーという批判を受けるのだろう。でもこの時代なら仕方ないのかも。古さは感じるけれど、楽しめる短篇集ではあった。
アラヴ系の人は出てたからアフリカ人に触れてない訳ではないか。
読む本と読みたい本が増える一方な日々。
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「信仰の守護者」は先述の二篇とは好対照で、ずる賢いやつが最後には痛い目にあってスカッとする。しかし、ただスカッとするだけではなくて、そこにはユダヤ人だけに許された悲しみがあるのではなくて、戦争という状態にあっては平等に悲しみが降りかかるという含意がある。兵営で太平洋戦線への準備をする新兵たちを描く最後の場面は印象的だ。
各篇に一貫した「不運な男をユーモラスに描く」という特徴は裏を返せば女性が排除されているということに他ならない。表題作の「狂信者イーライ」では妻のミリアムが妊娠していて出産も間近というのに、主人公のイーライは妻をケアする気が全然ない。こういう所でミソジニーという批判を受けるのだろう。でもこの時代なら仕方ないのかも。古さは感じるけれど、楽しめる短篇集ではあった。