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2024年9月の読書メーターまとめ

リュウジ
読んだ本
8
読んだページ
2520ページ
感想・レビュー
8
ナイス
161ナイス

2024年9月に読んだ本
8

2024年9月にナイスが最も多かった感想・レビュー

リュウジ
★4 何が起こったのか、ではなく「なぜ起こったのか」。赤穂事件はお家断絶→討入りまでが話の花。今回スポットが当てられたのはその発端=松の廊下に至る今も真相不明ないきさつ。家臣の前では砕けた大阪弁を話す浅野内匠頭をはじめ、いやもう白蔵氏らしいトンだ想像力と筆さばきが炸裂。誰も悪くないけど誰もが悪い(無能な働き者と評論家野郎はいるけどね)。自分もこんな泥沼は経験しましたわ。道理が引っ込む状況だと、間に挟まれた人間は両方の顔が立つよう知恵を絞り無理を通さないといけないんだよな。ある意味、今に通じる宮仕えの悲話。
リュウジ
2024/09/19 08:47

(追記)P296『何一つ証拠のないそんな噂話が、市井における松の廊下事件の真実とされ(略)、ろくに証拠もなく「人々が信じたい物語」が簡単に真実になって(略)拡散していく』。それがいわゆる「忠臣蔵」。権力側の上級国民的な吉良は常にあくどく腹黒く、権力に命がけで挑んだ内匠頭や内蔵助たちは純粋でその行動は賞賛に値する。今もそんなにおいのする世論誘導的なマスコミ記事がありますよな。まぁそう感じるのも自分の「信じたい物語」があるのだろうけどね。

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2024年9月にナイスが最も多かったつぶやき

リュウジ

2024年8月の読書メーター 読んだ本の数:8冊 読んだページ数:3072ページ ナイス数:153ナイス ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/703986/summary/monthly/2024/8

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2024年9月の感想・レビュー一覧
8

リュウジ
★3子供にわかりよいのが児童文学と思っていたが、こいつは違った。もちろん読みやすいが物語に込められたテーマが深すぎるのだ。舞台はドイツ占領下のフランスの片田舎。その村から国境を越えようと逃亡してきたユダヤの子供たち。そしてその警備のために駐留部隊として派遣されたドイツ兵たち。憎むべき敵と思っていたら、実は自分たちと同じ家族思いの人間。それでも敵は敵として憎むべきものなのか。また人は自分の命を懸けてでも人の命を救うべきなのか。国家権力の前に人はただ祈る以外に何もできないのか。こんなの大人でも答えは出ないよ。
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リュウジ
★4何かと問題なNHKだが、教養番組は民放と一線を画す(時折偏向してるのもあるけどね)。その一番組企画から生まれた本。広重55枚の絵のディティール説明に加え、その地で生まれた「足元を見る」の語源や峠の話など12の蘊蓄コラム、そして絵に描かれた人から勝手に想像した小説が13篇。絵の中で静止していた人たちが動き出す。合戦絵巻と違い、広重は風景だけでなくその地で生きた名もなき人々を描いた。日本橋から三条大橋まで広重の絵とともに頭で歩き通すことで、名もない人々と我々は「地べた」でつながっているんだなと身に染みた。
リュウジ
2024/09/27 09:58

追記> 名もない人で思い出した。以前読んだ「正倉院」本の一節。“正倉院の宝物は全てが素晴らしい。同時にその宝物を時間や戦乱や災害などから約1300年も守り続けた名もない人々も素晴らしい”という趣旨。プロジェクトXではないが、名を残す人たちだけが素晴らしいのではない。次の世代へとつないできた日本人の心根こそが素晴らしいのだと思う。思えば奈良の鹿もそうだよね。たくさんの鹿たちとたくさんの国の人たちが一緒にいる光景をみると「平和とはこれか」といつも思う。まぁ、そんな鹿たちを蹴ったりする国の人たちもいるのだがw

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リュウジ
★3なぜ若い日本人科学者は、敗戦で平和になった日本を離れ米国の細菌兵器開発に係わったのか?物語の柱は一科学者としての探求心と良心のせめぎ合い。他国に戦争を仕掛けられる可能性がある限り、国が効果的&効率的に勝つための兵器開発をめざすその理屈は分からんでもない。ただ本当に「科学も科学者も戦争というイデオロギーの前には無力/P35」なのだろうか。思えば世界は「一人殺せば悪党で、百万人だと英雄だ」という1947年のチャップリン映画のメッセージを今も論破できずにいる。「正義の反対は別の正義」の戦争は今も続いている。
リュウジ
2024/09/22 23:02

追記>日本では見られないがNetflixに今「火垂るの墓」が上がっている。日本のブロガーなどが訳した世界の人たちのこの映画の評が、自分の中でこの小説とリンクしてむちゃくちゃ興味深かった。目を引いたのは年齢も性別も立場も文化も歴史も異なるのに共通するのは「戦争はいけない」ではなく「こんな悲しいことはたくさんだ」ということ。で、作り手だった宮崎駿氏の評価はさらに刺さった。以下引用。――「火垂るの墓」は反戦映画ではない。生命の尊さを訴えた映画でもない。帰るべき所のない死を描いた、恐ろしい映画なのだと思う。――

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リュウジ
★4 何が起こったのか、ではなく「なぜ起こったのか」。赤穂事件はお家断絶→討入りまでが話の花。今回スポットが当てられたのはその発端=松の廊下に至る今も真相不明ないきさつ。家臣の前では砕けた大阪弁を話す浅野内匠頭をはじめ、いやもう白蔵氏らしいトンだ想像力と筆さばきが炸裂。誰も悪くないけど誰もが悪い(無能な働き者と評論家野郎はいるけどね)。自分もこんな泥沼は経験しましたわ。道理が引っ込む状況だと、間に挟まれた人間は両方の顔が立つよう知恵を絞り無理を通さないといけないんだよな。ある意味、今に通じる宮仕えの悲話。
リュウジ
2024/09/19 08:47

(追記)P296『何一つ証拠のないそんな噂話が、市井における松の廊下事件の真実とされ(略)、ろくに証拠もなく「人々が信じたい物語」が簡単に真実になって(略)拡散していく』。それがいわゆる「忠臣蔵」。権力側の上級国民的な吉良は常にあくどく腹黒く、権力に命がけで挑んだ内匠頭や内蔵助たちは純粋でその行動は賞賛に値する。今もそんなにおいのする世論誘導的なマスコミ記事がありますよな。まぁそう感じるのも自分の「信じたい物語」があるのだろうけどね。

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リュウジ
★4 夢は破れても叶っても人生を分厚くする。早見氏の野球系作品に感じるのはいつもそれだ。一球に託すという野球というスポーツが持つ「はかなさ」と「ひたむきさ」を描くからだろうか。この小説もそうだった。東京六大学野球を柱にした6つの連作短編。6つの大学の選手だけでなく、それらの大学に所属する就活生やOGの母親、女子大生たちが登場。みんな自分の生き方/生きる意味に答えを出していく様はカタルシス。だれもがある意味エースピッチャーのように傲慢に、かつ屈せずタフに挑んでいく気持ちよさ。ただラストの1篇は好きじゃない。
リュウジ
2024/09/16 08:05

追記1>東京六大学野球、そして甲子園。海外から輸入されたものを日本の文化として築いていったのは野球だけではない。カレーやラーメンなどの食もそうだし、ある意味、切支丹という宗教もそうだ。日本人は自分たちのアイデンティと言えるまでに自分たちのなかに取り込み独自に進化させていく。その日本人の独創性や国民性は、移民政策が叫ばれるいま、「今後、維持することができるのだろうか?」。心配しても仕方がない時代のうねりを横目で見ている。

リュウジ
2024/09/16 08:06

追記2>東京六大学野球に当たるものは関西にもある(ただ知名度も盛り上がりもイマイチかな。リーグ結成のゴタゴタもあったしね)。自分は数十年前に入学した春、立命館の学生らしく応援歌「グレーター立命」も覚え立同戦を見に行った。西京極のスタンドには立命館の学生たちが同志社の学生よりもずいぶん早くやってきてスタンドを埋めていた。小説に登場した明治大学生同様、第一志望の同志社に不合格で立命に入学した奴が多く、この試合で溜飲を下げたいと願う(祈る?)1回生が多かった。でも試合はころっと負けた。わろた。

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リュウジ
★3現実味はある。しかしリアリティはない。なのに登場する人物たちには血が通っている。遠田さんワールドたっぷりの小説だった。街にも時代にも捨てられた大阪の廃墟のようなビルに住む生活力も幸も乏しい3人の男たち+2名。まるで朗読劇を演じるように彼らが語るのは一人の女性とその娘との係わり。愛する人を守りたいという、男たちの一途な願い。ただそれだけなのに、男も女も登場人物それぞれが抱えた人の業の深さをとことん描くところも遠田さんの小説らしい。こんな風に生きる目的をつくり、生きる満足感を得ようとする人生もあるんだな。
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リュウジ
★4黒澤ら「天国と地獄」の4人の脚本家は原作をどのように料理したのか――。それを確かめようと読んだ本作。映画では両極にいる社長と犯人の対比を原作以上に浮きだたせ、そこに多彩なアイデア・登場人物たちを付加することで原作にはない面白さが生み出されていたことを知った(同じ立場に立たされたキングと権藤の行動と心理描写、さらには最後に対峙した犯人への行動の違いも味わい深く)。といっても原作には原作の良さ!立場も地位も違うものにキングと犯人、キング嫁と犯人嫁がある部分では相似形になっていたことは映画になかった面白さ。
リュウジ
2024/09/07 11:35

<追記>クロサワ作品「天国と地獄」の方をスパイク・リー&デンゼル・ワシントンでリメイク中。あの「天国と地獄」をどう料理するのだろうね?シナリオだけでなく「天国と地獄」での映画のギミックや身代金の受け渡しなどをどうするのか、むちゃくちゃ気になる。

リュウジ
2024/09/07 11:43

(追記2)原作は原作の良さがあり、映画は映画の良さがあり。ひさびさにそれを感じた一冊だったかな。

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リュウジ
★4医学生が6年間、死ぬ気で勉強し山ほどの知識を蓄えないと医師になれないのは知っている。けど学生のうちに備えるべき【もの】があるとはこの小説を読むまで知らなかった。それは医師になる覚悟だ。一つ間違えば患者を死なせる。どちらを助けるかなど、正解のない答えも求められる。生だけでなく死とも向き合い考える(献体による解剖実習もそう)。医師になる技術も知識も意味も伝えようとする教授たちとその前に青ざめる学生たち。小説には覚悟のないダメな医師(というよりダメな人間)も登場する。小説は本当に知らない世界を見せてくれる。
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ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2016/08/31(3037日経過)
記録初日
2007/03/12(6497日経過)
読んだ本
1056冊(1日平均0.16冊)
読んだページ
360227ページ(1日平均55ページ)
感想・レビュー
1049件(投稿率99.3%)
本棚
2棚
性別
血液型
O型
職業
クリエイター系
現住所
奈良県
URL/ブログ
http://blog.livedoor.jp/ryucere/
自己紹介

2020.06.20.更新 2020.12.08.追記 2021.01.04.改訂
2022.11.05.更新 2023.08.23.更新 2024.01.15.更新

子育て&会社の経営責任から離れて5年目に入った。
嘱託社員で気楽な身分だったが、そろそろその先のことも考えねば・・・
という時期になってしまった(年金制度ってホント、ややこしいぞ)。

趣味はあいも変わらず、「読書」「山」「セレッソ大阪」。


【読書】
幼いころから本好きで。童話「泣いた赤鬼」はその頃の愛読書。
中学2年の時に友人より大量に譲り受けた星新一で読む楽しさを覚え、
大学に入って生協で本が10%割引で買えることから、さらにどっぷり。
以来、本とともに生きてきた。

読後は次の本に移る前に読書メーターに必ず感想を。
制限文字数255字できっちりと収めることをおのれに科す。
「東京會舘とわたし」部門で
第4回 レビュアー大賞 優秀レビュアー賞をいただきました。
次の機会には最優秀をと思うが、いまだ夢は叶わず。
・・・というか、この催しは終わったのかな。
今年も年間最低100冊をめざす。

【山】
脊柱管狭窄症と椎間板ヘルニアの術後後遺症(左足裏と臀部にシビレ)に
悩まされながらも、山歩きは続行。

2023年の夏に「息子の嫁と一緒に家族4人で北アを登る」夢を
息子がかなえてくれて、燕岳・大天井岳縦走。
また、秋には手術や台風などで4度予定をキャンセルした
折立から黒部五郎岳→双六岳→新穂高温泉を実現。

ただ足が辛かった。いつまで登れるか・・・と思いつつ、
今年も北アルプス、苗場山、八幡平を構想中。


【セレッソ大阪】
始まりは、2002年のW杯。
ダフ屋から10万円で買ったチケットを手にスタジアムで見た
チュニジア戦でのモリシのゴール。
そこからが自分のセレッソサポーター史スタート。
居場所はメインスタンド中央より北。
2023年は優勝できる戦力だったのに、失速。
3つ目の星は生きている間に拝めるか。

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