シリーズの中でも案外好きかも。登場人物や館の設定も良い。伏線が散りばめられた手記からの推理で、すぐに気付くものから難易度が高いものまで、さまざまな切り口のものが豊富にあり、普段推理しない人からガチ勢まで幅広く楽しめそう。

あなたの魂に安らぎあれに連なる火星三部作の第二作。パーソナル人工脳がある世界における人間と機械の関係性や意識の問題が検討される。並列して、親子の物語、火星人と地球人の物語、異なる思想を持つ者たちの物語が神林節で語られる。　この間の読書会で喋っていたあれって、パーソナル人工脳のことだったのかもしれない。

伴名練の推薦書。＜言葉の魔術師＞といわれるジーン・ウルフの中短編集で、death、doctor、islandのパーミュテーション三部作に二作品が加えられている。確かに語りと文体の技巧がすごく、作品によってスタイルを変えてくるタイプで、この点は伴名練に通ずるところがある。雰囲気はすごくファンタジー風だが、出てくる概念は完全にSF。実に興味深い作家。　本書は読書にまつわる作品が集まっているということで、読書の愉しみを再確認することができる。

シリーズの中でも案外好きかも。登場人物や館の設定も良い。伏線が散りばめられた手記からの推理で、すぐに気付くものから難易度が高いものまで、さまざまな切り口のものが豊富にあり、普段推理しない人からガチ勢まで幅広く楽しめそう。

『宇宙消失』『順列都市』に連なる主観的宇宙論もの。映像ジャーナリストが万物理論発表予定の学者を取材する中で様々な事件に巻き込まれるのが基本ストーリー。万物理論が発表される人工島の学会周辺では反科学主義団体などが出没したり、疫病が流行したりと物語は展開。科学と宗教の対立が描かれていて、この辺の著者の思想が垣間見える。主観的宇宙論ものの中で特に長い作品だが、アイデアの詰め込まれぶりが凄まじく、読み応えがあった。原題はDistressで、その言葉はなかなか出てこないのだが、その正体はとんでもないものであった。

謎に満ちていた17年前の羽田浩司殺人事件が収録されている非常に重要な巻。数々の考察がなされてきた事件の状況が語れるとともに、ラム候補者三名の過去の姿が明らかとなり、それぞれの正体と関係性が一気に確定する怒涛の展開。三人のうち一人が主人公感あふれる好人物で中心的な役割を担っており、コナンは一時的に主人公の座を奪われる。物語のモチーフは表紙にもあるように「チェス」。これを読んでみんなでチェスしましょう。もちろんオープニングはクイーンズギャンビットで。　ラムの口から衝撃的な発言が飛び出す。まさか…いやまさかね…