頭のいい元ホステスが２０歳年上の高収入男と結婚して、金を気にせずコロナに負けず極寒の北京で遊びまくる話だ。このところ生きづらさを連綿と書いている純文学をいくつか読んで辟易していたのでぶっ飛んだ。いやあ元気な菖蒲さんがうらやましい。日本人向けの観光ガイドというか北京ショッピングガイドとしても面白い。ＳＮＳの誹謗中傷に対しても所詮電子の絵空事で殺意を抱いている変態「屑のために死ぬな」と斬って捨てるのも痛快だ。最後は魯迅の阿Ｑ正伝的精神勝利法で新しい生き方を目指す。この女性ただものではない。凄いです。

古代エジプトを舞台にミイラを主人公にした奇想天外なミステリーに挑戦している点は興味深くて面白かった。作者の計算の上かもしれないが会話が軽いせいで歴史の重厚さに欠けていることが残念でした。ミイラが実は○○という最後のオチは必要だったのだろうか。周囲がわからなかったとは思えない。

あの成瀬あかりの活躍がまた読める。すでに読んだ多くの人が絶賛している。ということで期待して読んだ。今回は彼女に関わる人々を主人公にしてあかりを描いている連作短篇だ。えっ、あかりってこんな人だったかなと首をかしげて思わず１冊目を読み返した。この違和感は何なのだろうか。今回は京都編で京大のキャンパスライフや京都での生活が描かれると勝手に思っていたら相変わらず滋賀の地元の話だったせいかもしれない。京大の変人学生や教授との対決とか社会に出てからの軋轢をあかりの天真爛漫さで突破する話をもっと読みたいと思った。

さすがベテランの作品はすばらしかった。読んでいるうちにまるでその場にいるような不思議な感じに襲われた。駅伝大会の喧噪、草野球の猛暑、そして若者の戦争の思い。表題作は、多くの人が大好きな野球の話＋戦争の悲劇＋京都の大文字焼きという組み合わせが絶妙でしみじみといい味を出している。すでに十作以上書いて何度も候補になり落とされてあきらめかけていた時に手にされた直木賞。本当におめでとうございます。

本書は小説が書けなくなった時に苦しみながら一歩一歩積み上げていった労作だという。行ったことのない国の知らない人の話だがなぜかなつかしく共感できるいい話だと思った。自分がパソコン黎明期を体験してプログラミングのまねごとをしていたせいかもしれない。この小説は読者を選ぶのではないだろうか。パソコンのプログラミングに興味のない人にとっては面白くないかもしれないと危惧する。残念なことに直木賞の選者には良さがうまく伝わらなかったようだ。

頭のいい元ホステスが２０歳年上の高収入男と結婚して、金を気にせずコロナに負けず極寒の北京で遊びまくる話だ。このところ生きづらさを連綿と書いている純文学をいくつか読んで辟易していたのでぶっ飛んだ。いやあ元気な菖蒲さんがうらやましい。日本人向けの観光ガイドというか北京ショッピングガイドとしても面白い。ＳＮＳの誹謗中傷に対しても所詮電子の絵空事で殺意を抱いている変態「屑のために死ぬな」と斬って捨てるのも痛快だ。最後は魯迅の阿Ｑ正伝的精神勝利法で新しい生き方を目指す。この女性ただものではない。凄いです。