ああ、伊与原さんだなという短編集。日本の各地を舞台に、いつもながらの科学的な蘊蓄が織り交ぜられる。歴史的なことも含めて、知らないことって多いなと思った。

ああ、伊与原さんだなという短編集。日本の各地を舞台に、いつもながらの科学的な蘊蓄が織り交ぜられる。歴史的なことも含めて、知らないことって多いなと思った。

短編集。全体に毒は控えめ。新しいかはともかく、いろいろな恋愛の形。最後の「いくつも数える」は毛色が違い、モヤモヤした。じぶん的には、人が誰と結婚しようが、それが同性だろうが、歳の差があろうが、気にもしないけれど、この短編の登場人物には、歳の差がある結婚に嫌悪感を抱く人が出てくる。その嫌悪感は理屈でない。本人的にも、説明がつけられない。大袈裟かもしれないけれど、思うに、そういった理屈ではない嫌悪感って、いじめとか、差別とか、そういったものの根源のように感じた。

「自分の仕事をつくる」の補稿。一般的には目標を持つことが重視される傾向にあるけれど、目標というものが苦手というか、しっくりこない。この本は、それでもいい。むしろ、その方がいいと言ってくれているように感じられた。「やり方が違うから結果も違う」。「見えない部分」。「どうやるか」。「目標よりプロセス」。「道の掃除からはじめた」。などなど。

鮮烈な物語。幼少期の強烈な体験、どうにもならなかった別れ。繰り返し思い出す、同じものは再び手に届かない、背負ってしまった業のようなもの。それは幸せなのか、不幸なのか。