鬱陶しい梅雨時。欧州は今頃が一番良い季節。円安で行けないけれど笑。水上勉『良寛』段々と人物像が浮かんで来た。オースター『ブルックリン・フォリーズ』何れの本も工夫が有って面白い。井上荒野『照子と瑠衣』意外なタッチが楽しめた。今月も宜しくお願いします。2024年6月の読書メーター 読んだ本の数:9冊 読んだページ数:3317ページ ナイス数:1349ナイス ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/815148/summary/monthly/2024/6
上向く。『孤独の発明』を書き出す。この辺りまで来てもしかしてこれは自伝ではないかと思い出す。それまでは最後のどんでん返しは何だろうなどと思いながら読んでいた。父親より母親の記憶が沢山有る。父母が離婚して母親と一緒に住んだと言う事も有るが母親が随分魅力的な女性であった様だ。二度目の結婚では良い男に出会うがこの人が早死する。それから母親の精神が狂う。作者自身も色んな精神性の病気を患う。パニック障害が一番苦しそうだ。一方で母親の誕生日の次の日に彼が生まれた。つまり彼は母親に対する誕生日プレゼントだった→
と言う記述に驚く。そりゃマザコンから抜け出せないだろう。『冬の日誌』と言う題名が示す通り本書は家族、親族、友人の多くの死を書いている。その度に彼には何らかの病状が現れる。64歳になり゙人生の冬を迎えたと自覚する作者が頼りにするのは聡明で頼り甲斐がある(母親の様な)二度目の妻なのだ。やれやれ男ってアホだ。
ただ一つ明らかな間違いをした。不思議なテクスチャーの黄色。鉛錫黄は現代には無い顔料でエリーはそこまでの知識は無かった。本書では17世紀のサラと1957年のニューヨークのエリーと弁護士、2000年にシドニーで大学教授をしているエリーの物語が交互に語られて進んで行く。17世紀のオランダと1957年のニューヨークが特に時代の雰囲気が上手く書けていて物語の中にどっぷりと浸れる。意外なロマンスも🐜〼
で大正15年44歳の時に「解すべくもない惑ひを背負うて行乞流転の旅に出た」。乞食坊主をしながら只々句作に励む所存なのだ。その時の句が「分け入っても分け入っても青い山」。元々山口県の金持ちのぼん。ただ父親が女好きで散財する。母親は山頭火が10歳の時にそれを苦にして井戸に身投げする。結婚しても商売が下手で上手くいかない。挙げ句の果てに離婚する。自身は大酒飲みで気を失う迄飲まねばいられない。「解すべくもない惑い」とはそんなこんなな事柄だった。ワタクシが山頭火に接したのは高校の国語の授業だった。
「分け入っても、、、」とか「うしろ姿のしぐれてゆくか」を習った。尾崎放哉の「咳をしてもひとり」も同時に習った。教師がどの様に説明したか忘れたが何れにせよ高校生の柔らかい魂にはズンと響いた。自由律俳句凄い!今は余り流行って居ないようでプレバトの夏井先生は正岡子規直系の季語を活かす俳句をお薦めだが自由律俳句は正岡子規→河東碧梧桐→荻原井泉水→尾崎放哉や種田山頭火という系譜。俳句はもっと自由であって良いのではないかと言う運動で荻原井泉水の『層雲』を主な発表媒体とした。と言うお勉強も有ったが捨て身の俳句を感じた。
かつて結構罪作りであった。島の家で待っていたのが小学校1年生の宙太の母親で元料理人の仙崎みやか30歳。住み込みの家政婦として働く。野呂が探して来た。これも訳有り。訳有りだらけの小説が大変面白い。
組み合わせを記述する。それが1番めの群になる。次にその群を部分群に分ける。分ける時にいくつに分けられるかが問題でこれが素数分の一に分けられなくてはならない。その様にして群を段々細かく分けて行くとただひと通りの解の組合せになる。「ガロア群の行の置換が恒等置換のみになった時方程式が代数的に解ける。ただし前の置換の個数は後の置換の個数の素数倍でなければならない」と書いてある。具体的に言うと5次方程式では最後の恒等置換(1個)
の前の置換の個数が60個でこれは明らかに素数では無いので5次方程式は解けない、と言う理屈。ああそうですかと言うワタクシのレベル。X∧p-1=(X-1)(X∧p-1+X∧p-2+...X+1)と書けて右辺の右側=0とするとこの式は正多角形の頂点を示す式になるんですと。X=cos2π(k/p)+√-1sin2π(k/p)ただし(k=0.1.2...p-1)でp=7の場合確かに正7角形になっている。古くからある正多角形をコンパスと直線定規だけで書けるかどうかと言う問題と関連する。数学は訳がわからないが面白い。
レモンさん、こんばんは。この本は世界史苦手と言う人にも面白く読める本だと思いますよ。作者は大変な読書家でそれが一端作者の中で咀嚼されエッセンスが出ている、と感じました。お薦めです✨
巧みだ。『日曜画家』は父親が日本画の画伯であった竹村天州。自身は抽象画を描き、売れないので普段は会社員をして日曜日に描く。妻は義父が有名画家と言う事で結婚した実利に敏い女。七瀬が雇われたのも見栄の為。この天州の思考が抽象画になっている描写は面白い。結果はつまらない事になるが。最後の『亡母渇仰』はマザコン夫とその母親の為いじめ抜かれる妻の話。さすがに最近では姑が無茶苦茶威張ると言う事は少なくなったろうがこの時代には普通に有った。七瀬が女中業をやめる決心をする事柄が起きる。
元夫の借金をがむしゃらに返していたところ既に返し終わってなおかつ1千万のお金が余った。これで別荘を買うのがヨロシイと勧めたのは知り合いの日高の競馬馬牧場主。なんやかんや有ったが見晴らしはとても良いのだと。体はヨレヨレだと言うが90歳過ぎてヨレヨレで無い人を知らない。口だけは達者だと。本書で断筆すると書いているが、はて?
共に有名作家とも知り合いになると言う幸運を得たかに見えたのだが。作中作は決して完結しないし治療費を払うべく書いた映画シナリオはボツにされるし碌なことが無い。そんな時妻グレースが妊娠したとわかる。シドニーは喜ぶがグレースは産むかどうか悩んでいる。何故悩むのかなあと言う辺りから物語が急展開する。最後は怒涛の様な終わり方。円熟味と言うのだろうなあ。2003年の作品。
ガラスの文鎮というニックネームですが文房具フェチな所があってそういう意味の文鎮です。文鎮と呼んでください。嫌いな作家は百田尚樹なのでそのレビューだけはナイスをパスします。悪しからずご了承ください。
(好きな作家、敬称略、順不同)
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巧みだ。『日曜画家』は父親が日本画の画伯であった竹村天州。自身は抽象画を描き、売れないので普段は会社員をして日曜日に描く。妻は義父が有名画家と言う事で結婚した実利に敏い女。七瀬が雇われたのも見栄の為。この天州の思考が抽象画になっている描写は面白い。結果はつまらない事になるが。最後の『亡母渇仰』はマザコン夫とその母親の為いじめ抜かれる妻の話。さすがに最近では姑が無茶苦茶威張ると言う事は少なくなったろうがこの時代には普通に有った。七瀬が女中業をやめる決心をする事柄が起きる。