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2025年12月の読書メーターまとめ

練りようかん
読んだ本
67
読んだページ
21685ページ
感想・レビュー
63
ナイス
1565ナイス
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2025年12月に読んだ本
67

2025年12月のお気に入り登録
2

  • あっぷるぱい
  • たかし

2025年12月のお気に入られ登録
3

  • かわすみす
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2025年12月にナイスが最も多かった感想・レビュー

練りようかん
少年法にまもられた者の個人情報はなかなか得られにくい。そんな前提を覆す事件が起き、密告者を探す展開。復讐されない者と命運を分けたのは何か、少年法は何を守っているのかと第二第三のお題が提示され、どこかには興味を覚え優先順位をつけさせることで最後まで失速しないよう工夫されているように感じた構成。感慨深いのは被害少年にとって少年法適用は悪かったと良かったの両方を感じるエピソードの積み重ね。贖罪を意識させるもっともな処置を考え続けた。殺した後悔より救えなかった後悔かもしれない。ある人物の激変が一番胸にきた。
が「ナイス!」と言っています。

2025年12月にナイスが最も多かったつぶやき

練りようかん

西澤保彦氏がお亡くなりになり、とても悲しいです。10月下旬に新刊を読んだばかりだったので尚更ショックでした。今後の追悼再読を計画中です。2025年11月の読書メーター 読んだ本の数:62冊 読んだページ数:19333ページ ナイス数:1368ナイス ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/843304/summary/monthly/2025/11

が「ナイス!」と言っています。

2025年12月の感想・レビュー一覧
63

練りようかん
16店を紹介。異なる2つの空間を持つ六曜社は、どう過ごしたいか想定を裏切られたことがない。同じ感覚をもった人たちが集まる場所という言葉が答えに思えてハッとした。店主が変わり新しいメニューが加わり改装もある変化の中で、奥深く大切にしていることが興味深い。建築物として愛でるカットに目を奪われ、詳細レポートが楽しく、“具がパンになじんでしみっとしたのが好きな人もいる”のところでお腹がぐーっと鳴った。行ってみたいのは石貼りのレジカウンターとシャンデリアの天井がドストライクな「珈琲翡翠」。情緒を味わえて面白かった。
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練りようかん
妻のお腹の子の父親は誰なのか、ママ友は相手も偽札のことも知っているのかが気になった上巻。つまりにつまった情報にクラクラしながら下巻に入ると人間関係の隙間ができて読み進めやすくなる。その隙間とはある人とある人の統合や明確になった相関なのだが、神隠しや郵便局員失踪事件など直木賞作家の津田がこんな関わり方ある?と思う事実の表出で面白い。重要になる絵本の思考影響、津田が書こうとする小説というつくりや名前は示唆を汲み取る楽しさがあった。津田が買った一役が決定的と言えるかが佐藤正午ワールドで、物事の流れの怖さを思う。
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練りようかん
昭和100年の今年のうちに読みたかった1冊。時効廃止前の事件でも時効にならないケースがあると知り興味引かれた。犯行時の動きは中々明確にならず、被害者も併せて素性は次々明らかになり、また見当がつく展開で塩梅の良さから高まる集中力と、昭和からの事件史や警察の歩みに対する俯瞰の目の両方を感じながら読むのが楽しい。なぜ自分に担当させるのか?と聞く場面が印象的。永遠に解決できないかもしれない不安を抱えながら、見えない信頼で繋がった昭和・平成・令和だと思った。しかし解決を長引かせたのもその組織。親子関係が重なる。
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練りようかん
ルーブル美術館の新館長がモナ・リザの修復を発案。若者の芸術品離れや人流コントロールと経営バランスなど楽観視できない業界事情が興味深く、マーケティングを理由にした修復に内輪では否定反発がおこり、イタリアに返還すべきなんて主張も出てきてそりゃ国の一大事だよなと思い頭の中が熱くなった。しかし掌編を連ねるように風景や小道具、身体の色彩を動向とともに描くスタイルがその熱を穏やかな情熱へと変え、絵画の工程と重なるここが本作の味に感じられた。アートは誰のものか。忠実という言葉はどこにかかるのか。問いが深く面白かった。
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練りようかん
豊中市にあるパン屋で働く主人公。バイト仲間やヘルプで入った有能スタッフの隠し事を日常の謎系で解き明かしていく展開。フィリングやクープを伏線にし、本来の意味や喩えなど豆知識も書かれていてこの手のジャンルの基礎を踏まえつつ、人間の暗部より救いの方に寄せた作風がこのミス受賞作としては外しているところが面白い。驚いたのは主人公の症状で、小説家志望でもいいのにと思ってた設定がここに掛かっていたのかと納得。連作形式で特に好きなのは「恋するシナモンロール」。綺麗なアイシングが“こなをかける”と重なって膝を打った。
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練りようかん
詩、短歌、散文、小説が表紙の花のようにニョキニョキのびて、読み進めていくうちに花弁ごと回るイメージを抱いた。2028年首都直下型地震を想像させる出来事が起こり、そんな状況の中『現代詩人界』に載せるためグミの詩を書く。駄作は心から湧き上がらせるものがあり、推敲版は心に入ってくる感じがしてまるで違うことに驚いた。神宮前の立体交差、カフェーパウリスタ、芦屋の記憶映像が浮かび、こめかみをつつく言葉が横切っていった。祖母の家と今のわたしを接続するケーベック。クッキー缶を買い、口にした時この作品に戻ってくる気がする。
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練りようかん
ミステリーランキングきっかけ。防犯カメラを売りに行ったらその家は殺人現場と化していた。時既に遅しの商材と、ピンチもこれは商談だと切り替える思考が面白い。殺し屋が属する会社の長所と短所で算盤をはじき、ノルマ達成の難しさに主人公のテンションも上がるのでおいおい大丈夫かよと思いながらテンポ良く物語に巻き込まれていった。中盤に同業他社の強者が登場し、終盤主人公から視点がそちらに切り替わる構成も暗雲を完全なダークモードにして良い。ああ、ここで咲いてしまった。才能の開花を目の当たりにした敗北感が余韻となった。
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練りようかん
机の引き出しが百年前とつながる超空間だと気付く主人公。危機を知らせる展開を予想し、大正時代といえば関東大震災が浮かんだがお相手は神戸のお嬢様だ。手紙とメッセージアプリの中間速度で“文通”し、iPhoneも活用しちゃう柔軟さに舌を巻き、往復書簡の発展系が楽しく危機については忘れていて、ある地点でハッとすることに。清らかな甘い香りや花びらを連想させる百合ものの世界観に、歴史を歪める功罪やウイルスが運ばれた謎要素、報告・通書が時空スパイのムードを帯びて、それらの融合が素敵だった。面白かった。
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練りようかん
あなたにとって幸福とは何かを22名にインタビュー。『結婚への道』が前段としてあり、岡村氏の結婚妄信を依然として感じるも、職業や仕事実績を起点とした対談は仕事の喜びを幸福とする帰結になりやすい面もあり、今回の媒体のカラーもあるのかなと感じた。コロナ禍、宗教を背景とした元首相の死、今も続く戦争と連載期間は幸福から遠いところを意識させられた6年間で、その特有さから探究がさらに深くなるのが面白かった。とても納得した回答で印象的なのは伊藤蘭さん。また人間興味としては高村薫さん、写真家宮島茂樹氏の体験談が心に残った。
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練りようかん
シリーズ第2弾。16才のフィギュアスケーターが殺され、捜査する主人公は妊娠7カ月目に突入。表彰台には有利な性格が日常では軋轢を生み、フーダニットの出口は簡単に見つかりそうになく、警察は性犯罪者や母親のストーカーに目を向けるが、主人公は早々に事件の重だるさを感じ取っていた。しかし重だるいのはそれだけじゃない、ハラスメントいっぱいの職場環境も辛い。おまけに中途半端な仕事が新たな殺人を生み、胎教が心配になる展開。複数の犯罪が絡む真相に、罪の受け入れ方というテーマが浮かんだ。前作より手応えがあったため次に進む。
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練りようかん
高二の夏をむかえる前に学校に通えなくなった薫。ジャズ喫茶を営む大叔父のもとに預けられるのだが、憂鬱が膨れる通学路の景色と太平洋岸の町の描写ははかなく確実性があって、氏の文章が好きだなという嬉しい実感と、岡田がたった一人の従業員になる流れにとてつもなく引き込まれた。物語は半世紀前で、昭和の学校教育と大叔父が回想するシベリア捕虜の日々が点と点でありながらひと続きに感じられる。深くわかる二人とあまり語られない岡田の強弱がよく、浮上した謎がふつっと消える解の得られ方もいい。短いけれど没入の満足度高し。面白かった。
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練りようかん
長編ホラー。距離の詰め方がおかしい転校生の言動を、刺激しないようにおさめたい女子高校生。覚えのあるトラブル苦慮だが、相談した相手の方がヤバい奴に思えてきて、これもまた既視感のある展開で人間関係の沼が上手い。団地、会社、小学校と章によって舞台は移り、パワハラを受ける歳上部下は“背中をおす人”、二子は『チャイルドプレイ』の人形を連想させる怖さだ。全章がつながると人物や性別への違和感は間違ってなかったと肯定でき、この肯定による充足感が人をおかしくさせる闇の入り口だと気づいてブルっときた。
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練りようかん
母の望む死に方を拒んだ主人公。自由死を選んだ本心を知るため、母のVFを作り親しかった人に接触する展開だが、最も気になったのは主人公の本心。他者への想像力や精神的にも未熟さが強く感じられ、所謂母探しの旅で成長する物語なのかなと心を整理。母子の生まれた世代からリアルアバターという職業が成り立つ近未来格差、他国では死ぬ権利を法律でどこまで認めるか議論されており、個人の気力と国の体力が複雑に混ざり合い、その行動の根源は何かを問うているのが興味深かった。日本で議論が進んだ時この作品はどう位置づけられるのだろう。
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練りようかん
いじめの対応を迫られ、納得させられていないとわかりながらもその場しのぎで弁をふるう主人公の中学教師。しかし娘がいじめ被害者だとわかると、納得したいがためにマスコミや警察にぶつかっていく。理知的だった人間の豹変に、教育者にとっていじめは対岸の火事であることを痛感。加害者と被害者の入れ替わりという中山氏らしい皮肉の利かせ方で、無責任報道とネットの世論迷走を織り交ぜカオス化する展開。ミステリーの常套句、“この中に犯人がいる”のこの中とは家庭であることが面白い。みな弱者。核心をしっかり伝えるところが流石だった。
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練りようかん
ゲーム制作の天才セイディと商業面でのプロモーションに長けたサムの30年間。表紙の北斎と結び付かず池田さんの訳だしと思い手に取った。1974年生まれのファミコンドンピシャ世代。出会いと絶交は瑞々しく酸っぱく、再会は若い実をもぎるときの期待と少々の後ろめたさがありトントン進む。ゲーム開発は成功と挫折の繰り返しで、バランサーの人物視していたマークスが、1番心を占めていたことに気付く展開で辛かった。ゲーム業界の殆どが男性であること、主人公の性別をめぐる交渉テーブルがとても印象的で、業界モノとして興味深かった。
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練りようかん
本屋ではじめて見た時、佇まいと存在感に意識を奪われた。表紙を開けばその第一印象に違わぬ世界が広がっていて、好奇心を掻き立てられた。となりまちまで続く商店街では、人間の欲と人間ではない生きものの記憶が押し寄せ、第九章はその第一章のアンサーにも思える言葉が散りばめられており、所有することに人生の多くを費やすことは、生命の本質とは、がぐるぐる頭の中を駆け巡った。旅館の畳で座布団を枕にうたた寝するシーンが良い、弛緩と解放の愉悦だ。特に好きなのは第二章の気配と残像。帰属意識やタイパとは真逆の極地に思えた作品だった。
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練りようかん
アニメを観るのもカラオケ店でバイトするのも出会う声の数を稼ぐため。主人公の目的に興味を引かれ、そもそものお話で眉間にシワが寄った。協力するのは声優探偵で、悩みの組み合わせがユニークだ。そして伯母がのこした未完成の自主映画は魅力的。物語も作中作も喪失とアイデンティティの探求でわかり易い分、そこに声を挿入するとメディア、形骸化などの言葉も浮かんでわからなくなるのが面白い。不和だった従姉妹や伯母の友人も加わり、伯母を悼む“長いお別れ”が主人公の体感で結ばれる落着に納得。「声は文脈が大切」という一言が心に残った。
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練りようかん
シリーズ2作目。失踪した少年は生きているのか。依頼のやりとりで2つの疑問がわき、失踪前の不可解な行動は謎めいて、そろりそろりと物語に入っていく感覚。事件現場に残された印で少年時代のひと夏が思い起こされ、過去と現在で展開。応援したいと思ったキャラが意外な正体で心掴まれるテッパンの仕掛け、少女誘拐事件が外皮になり冤罪被害者家族の人生毀損は遮断される予感を抱かせて苛立ちが増す。たった12歳で背負ったものの大きさに目頭が熱くなった。決着が気になりラスト100頁は手に力が入り、シメの情景が決定打だった。やるせない。
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練りようかん
徐々に身近な存在になっていると実感する外食タコス。もちもち食感の正体やトマティーヨはトマトではないなど、基本のキは勉強になり、サルサの水気やアボカドはつなぎといった役割理解が面白い。紹介された7店舗はおばんざいタコスからコースの1品として凛とした佇まいなど特色の違いが楽しく、テーブルサルサの有無が店によって違うのも興味深かった。心惹かれたのは四谷「エル・カラコル」の牛タンタコスで食感が想像つかない新鮮な組み合わせがいい。また、自宅で作るアレンジのヒントも得られて嬉しかった。思った以上に幅広いぞタコス!
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練りようかん
祖母の消息がわからなくなり、家族が心配する行方が祖母の繰り返す整形の行く先に重なる出だしに興味引かれた。家族視点で物語る整形の着想、家の近くの川が女性性の搾取をイメージさせ、骨格を削ったのは失敗だったのではと思う祖母が自分らしさの基準を確たるものにしたカッコよい存在に見えてくるのが面白い。グラビアアイドルの主人公は写真の修正を受け入れ活動には心を削られる日々。対照的である一方で変わりたいも変わりたくないもどっちもしっくりこない、ありのままが良い。手が花瓶になった中表紙が内包する空気とマッチして素敵だ。
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練りようかん
久しぶりの金城作品。高校生時代の活動を知る者から友人捜しの依頼を受ける大学生の主人公。600人もの大所帯サークルに潜入、調査の進展も気になるが主人公に興味を覚える内実で、世界観や文体はハードボイルドや端正な印象を受けるけれど正統からはちょっと崩ずところが独自性と魅力になっていて上手い。向こうも馬鹿じゃない、部長の手下を次々襲う別の勢力もいる。カッコいいフレーズだなと思っていた“過去が跳ね返ってきた”が、ストーリーにおいて楔の役割だったのかと気付かされるのも面白かった。次はザ・ゾンビーズシリーズにいこう。
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練りようかん
幼いころから遺伝による目の病を意識しており、ついに来たかと思ってから二十年。持病とその周辺のエッセイ、瞳を巡る短歌に加え、主治医の後藤先生や精神科医の春日先生との対談が収められている。「今まで治る病気にしかなったことはありませんでした」という言葉が胸を刺す。不安は大きく、しかしそのことで結婚と専業という選択ができた。良い悪いの二項対立ではなく、矛盾と抱き合わせの観察また告白にとても人間味を感じた。特に印象的なのはベンチプレスの伏線回収。そして「生きる」と「生きのびる」の一編が素晴らしかった。
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練りようかん
シリーズ第二作。梓が警察官だった時で盗犯係に配属されて半年、取り柄は足が速いことだが一人前と認められたくてその足は浮足立っており、通読すると深刻になりすぎた警察の見立てに重なるというあり方で面白い。訪日中に失踪した中国人夫婦を捜すうちに、同行する領事館のワンが日本でいう公安的なポジションなのかと猜疑心を擽られる展開。死体が出ても、件の夫婦ではないことが更に謎を深める。一本の新しい糸からずるずると漁網をイメージさせる犯人の像に気が引き締まり、終盤の格闘シーンは集中力が増した。業が松嶋さんらしくて良い。
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練りようかん
美しい装丁に惹かれた。著者紹介にコミュニケーション専門のデザイナーとあり、意思疎通の知恵と白の概念が如何にして結びつくのかに期待した。興味深い問いと提示、潜在する特性、具体的な言葉から脳内でイメージの連想が次々起こって楽しい。特に印象的なのは万葉時代の色は赤いや黒いなどの形容詞四つがあり、黄色いや茶色いは色がつくから例外としたこと。日の丸がシンボルとして優れている理由、空白の意味が情報の無ではなく機前の可能性であることも学びで白が奥行きを持ったエネルギーの永久運動に思える。見方が変わった。面白い。
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練りようかん
スリラー九編。親友が意識不明の状態で三週間。「湖ー別の人」はその恋人の言動が怪しくぞわぞわがずっと続き、こびりついた疑念がどう変わるか興味を引いた。階段から突き落とした男と結婚目前の表題作も不安をふるいにかける運びが上手く、大丈夫という言葉によって大丈夫じゃない事実が輪郭を持つ心理的圧迫がクセになる。相手が不気味なら語り手も不気味だ。翻訳もまた良くて、う・す・るからる・る・るの文末変化が暗さの閉塞感と脱出、また迫り上がる恐怖を演出して酔った。犯罪や暴力が匂う編とは一線を画す「あたに似た歌」も面白かった。
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練りようかん
日記エッセイシリーズ。日付順ではなくテーマ別に並び替えているので、とりとめもなく続くという印象を抱かず目的意識がはっきりして気持ちが乗りやすい。TSUTAYAレンタル等の日常リバイバル体験もあればスーパーの移動型セルフレジ等の初体験もあり、非日常じゃないけれど精神的な飛距離はすごくて楽しい、特に35年ぶりに買った『なかよし』はあまりの懐かしさに没入。『きんぎょ注意報』とか付録が紙製じゃないとか詳細レポのセンスがツボ。また息子さんと娘さんの性格が少しわかってる分反応や行動の違いに面白さが増す。良い日々だな。
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練りようかん
ミステリーランキングきっかけ。保養地イーストレップスの地図に六件の事件現場が記されており、意外と広範囲にわたっている印象を受けた。同じ手口で同じ時刻という不可解さに頭を悩ますのだが警察は動機のない連続殺人として捜査、一番気になったのはなぜこの町で起こったのかだった。目撃者により犯人の特徴はわかるけれど、どこか胡散臭く何かが間違っているという感触がページを捲らせた。呆気なく有罪判決が出て予想していたキーマンを外し、読めない展開が楽しい。一番の驚きは動機と被害者選びの逆順で符合の面白さを味わった。
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練りようかん
第二歌集。凍星や変若水という言葉が目の奥に残り、厳しい寒さの空や奈良の月を見上げる感覚、イスタンブールやプラハ城など海外に立っている感覚、白居易の訳詩集や「おとうとの語彙」に命の舟が進む感覚を抱き、色々なところに意識が運ばれる楽しさがあった。特に好きなのは“祝祭は尽きぬ泉にあらねども花冠を食む子馬たち”で花冠が果敢になるダブルミーニングの画が浮かび、“スノードームの雪が降り止むように世は消え音のないスタッフロール”の転じる発想力が良い、透明感のある情景が素敵だ。そしてオフィーリアの一首に胸が熱くなった。
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練りようかん
父親が殺人犯かもしれない。証拠らしきものを見つけてしまった13才男子が、息をするように脅迫をする同級生女子と真犯人探しをする展開。北海道、昭和の終わり、妹、家族の終わり、性悪説と札が揃ってくる感じが楽しい。久々に鏡家サーガを想起して、同級生女子のロウでアッパーなテンションが不条理とエゴの後半を予感させ、期待を裏切らない捩れに突入。面白かった。また、男の子の表紙が良い。目を瞑ってしまいたいよな、そんな現実ならと思うし、視界半分で歩かされてる読感でもあった。
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練りようかん
エッセイや自身が翻訳した作品の序文などをまとめた1冊。頭の中にはベンガル語を話す人がいて、英語で物語を書きイタリア語に“留学”してまた英語に戻った著者が考えてきたことが綴られている。なぜイタリア語を選んだのかより、どうしたら上手く話せるかに関心を向けていたとあり、言語の魅力は理屈じゃないなと再確認。謂れのない言葉もぶつけられるが、翻訳行為に文学的価値を強く感じていることがひしひしと伝わる。特に『靴ひも』のスタルノーネについて、研究者の如く深化させているのが印象的。小川氏の訳者あとがきがとっても良かった。
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練りようかん
短編集。赤と青と白の抽象画に動揺する表題作は、これまでを語る主人公に薄ら寒いものを感じて没入。愛されたかった、不倫していた父。執着と渇望は心の中で可視化でき、みえるみえないが殺人の匂いを強める展開で意外な落着だった。同じく芸術がみせる罪悪感の記憶がテーマの「幻の蝶」も面白かった。過去に向いてる男と未来に向かう女という対比、それでいて心地よくフィットする関係性が引き出しの取手を思わせて先が気になった。通読して囚われからの解放をしっとりと描く筆が良かった。痴情が絡んだ女の七変化ほど怖いものはない。
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練りようかん
たくさんのようかいがやってくるようかいまつり。歓迎のデコレーションで陽気な商店街や路地をねりあるく様が描かれていて、本編に入る前に160もの顔イラストがあり既に気になるようかいはチェックしていたので、あのようかいはどこ?と探しながら読み進めるのが楽しかった。亀が甲羅を富士山化したように思っていた“せなかふじ”、“ぎょたくうお”の実物大、“シウマイおとこ”の全身など、顔だけじゃわからなかったところに意外な発見が多くてビックリ。いざ会場入りした観音開きのページが素敵。賑やかで平和な世界観がいい余韻を残した。
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練りようかん
『抱擁家族』の30年後という紹介文に惹かれた。長年住んだ家の間取りが全く浮かばないと妻が言う。彼女は再婚相手で、家から入るのがらしいなと思うのと、またもや居ありて実の喪失を描くのかなと期待が膨らんだ。なんと、あの長男が戻ってくるのである。離婚し財産を失いアルコール依存で脳にも影響が。ありがとうなんて絶対言わない継子を妻は介護して疲弊。もし自分が先に死んでしまったらと危惧する主人公は80過ぎ、妻は70手前で息子は55歳。これも「8050問題」ではと興味深く、喜悲劇の手触りとあの家の設計士の詫び状が良かった。
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練りようかん
第10弾。女の子が行方不明になった場所は30年前に似た事件が起こっており、その詳細に興味が湧いた。だがややこしくさせるのは外国人排斥論。近くには難民施設があり警察に脅迫状まで届く明らかな過熱状態。仕事増やしてくれるなと思っていたが、通読すると本筋より肝だったのかもと感じさせる構成の要点だった。捜査をリードするエリカの取材、何かで繋がってると思われる別軸の挿話、メルバリの愛らしさと失態などお馴染みの要素に加え、今回面白かったのはマーティンのターンで祝祭の心休めだった。継承が副次的テーマに感じて効いていた。
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練りようかん
瀬戸内の島で同級生になった男女2人。親の恋愛沙汰でケアする側に回らされているという共通点があり、距離を縮めるも余計な経験則が幸せの道を阻んだ17才からの15年間を描く。同じ場面の心境をタイムラグで知らせるSideASideB方式が、ズレを明確にしてぴったりだ。依存と自立、経済的な担保で変わる人生精神、気遣いと合理性のバランス。物語に散りばめられた指針がこれからを生きる人の胸に多くのことを残す作品だなと思いながら読み進めた。編集者の植木さんが素晴らしくて、神の前の人間部分も知りなくなった。スピンオフに期待。
ふじわら ちづる
2025/12/16 21:36

人と人との距離が近づいたり、離れたりすることには、 はっきりとした理由がない場合もありますよね。 ただ、時間や置かれた状況の流れの中で、 少しずつ変わっていく。 だからこそ、 特別に強調されていない分、 そうした変化が、いっそう現実的に感じられるのだと思います。

練りようかん
2025/12/16 21:43

そうですね。問いと答えをいただいたことで 物語をさらに深く味わえました。ありがとうございます。

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練りようかん
謎解きアイドルのオーディション合宿に参加したクイズ研究会に所属する高校生と、アイドル志望の二十代女性の視点で展開。クイ研二人の名前がなないろとそらで運命づけられてるコンビだなと思ったり、孤島の所有者はプロデューサーできな臭さを感じ、物語の入り口が楽しい。当初予想していた運営側との駆け引きや心理戦よりも、女子たちのわちゃわちゃが印象強く、人数は一桁なのだから全員合格でも良くないかと思うのも納得。仕掛けの殺人も探偵解決編も言葉の端々はゆるく、犯人動機の中心部はキツい金子味。杉尾さんが一番良かったな。
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練りようかん
全寮制の名門校を舞台にした五つの連作。特別な才能のある生徒と一般の生徒は分けられ、本来は交じり合くことはなく、厳重な警備でまもられている子どもたち。奇妙なルールに興味を引かれ、早々な正体明かしでさらに好奇心をかきたてられた順調な運び。編を重ねると意図せず相互扶助のような形を感じさせ、貧富や年齢差を超えたソウルメイトになっていく様に胸がキュンとさせられる。物語世界は東欧をイメージさせるが「木曜日は真夜中に」からイギリスの『トムは真夜中に庭で』を想起させるのが面白い。“学校は生きもの”にほんとだなと思った。
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練りようかん
五反田のフラヌール書店で購入。訳者きっかけ。男が建物の周りを歩くひっそりとした緊張感、構図を立体化させる脳内の筆は騒がしく、ああこれは面白い作品だという予感に包まれた。男は欧州屈指の富豪に雇われた暗殺者。ターゲットとの会話で驚きの提案をし、妻と娘の写真の何が男の心を捕えたのかが気になるも、絵画の隅から隅までを描き込むような描写スタイルによって自然とじっくり読むことになった。男の論理や光と道が照らし分ける情景は精確。しかし受ける印象は真逆でゾワゾワした。堀江氏の訳者ノートも良かった。また再読したい。
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練りようかん
タイトルきっかけ。3年間付き合った別れ話をなんでカフェでするかなと怒る32歳の主人公。どこだったらよかったのかと違和感を抱いたのだが、理想のカフェ像といざ開店の展開で、よくよくわかってくる顛末が良かった。店舗デザイン会社勤務で、店が流行るか以上に経営者向きか否かがわかってる内輪の会話が面白い。噂を聞きつけ備品や食材の売り込みはやってくるし、おばは物言う株主状態でバックアップは十分。でも、難しい。同時期に開店する人々のその後も興味をそそった。コンセプトと客観視は大事。店経営者を目指す人におすすめしたい作品。
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練りようかん
少年法にまもられた者の個人情報はなかなか得られにくい。そんな前提を覆す事件が起き、密告者を探す展開。復讐されない者と命運を分けたのは何か、少年法は何を守っているのかと第二第三のお題が提示され、どこかには興味を覚え優先順位をつけさせることで最後まで失速しないよう工夫されているように感じた構成。感慨深いのは被害少年にとって少年法適用は悪かったと良かったの両方を感じるエピソードの積み重ね。贖罪を意識させるもっともな処置を考え続けた。殺した後悔より救えなかった後悔かもしれない。ある人物の激変が一番胸にきた。
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練りようかん
表紙からつづくカバーイラストがタイトルとマッチしてとても素敵だ。出会ってすぐに恋に落ちたと自覚する主人公。勢いよくダイブしたのに、もう上がらなきゃだめなのか?条件でみればダメだけど、選択した意識はなく告白したわけでもなく、折り合いつけるの難しいなと思い先が気になった。気持ちを語っていないようで結構語ってる、場面運びと後出しみたいな会話に引き込まれていく。特に木戸部屋で過ごす時間が好い、木戸さんのキャラと小道具の使い方、妹の回転で駆け上がるラストに気持ちがどんどんシンプルになるのを感じた。良かった。
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練りようかん
エンジンの漢字変換が面白い。しかし可笑しみを楽しむ系ではなく、シリアス度高し。母が理想とした幼稚園教育は人々を不安にしたのではないか、閉園理由含めあまり良い答えが返ってこなさそうな疑問ばかりが浮かんだ。かつてそこの園児だった男性が「エンジン捜し」に加わり、点のつながりと証言から仮説を組み立てるのだが、1960年代後半から10年間の事件・事故の大事を“戦後日本の折り返し地点”と書かれていて、昭和史の捉え方が興味深かった。父の正体より出生の肯定がしたいというのも頷ける。知ることの複雑さを熟々感じる作品だった。
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練りようかん
エッセイ集。初出は『ル・キモノ2』や『早稲田文学』など様々。歌舞伎や浮世絵の参考資料を載せある時急に2段組みになる自由度と、専門的な中にひとすくいの汎用を見つけるのが楽しい。特に『摂州合邦辻』や『東海道四谷怪談』の動機はあって心理がない悪い女と、江戸時代は男社会だけどそれ以前に契約社会が面白く、江戸文化は生活現実と無責任性がある、とはじめの方に書かれているのだが読みながら何度も思い出す言葉だった。米本位制は令和の米騒動を経験したゆえに興味を引き、徳川幕府と明治政府の違い、農村の望んだ未来が勉強になった。
が「ナイス!」と言っています。
練りようかん
第2弾。ベルリン映画祭でとんでもない映像が流れ、生贄の父親は市長。想像させるものはあるが簡単に口を割りそうにない。捜査する2019年の現在と、演出に触発されたジータの記憶を描く2001年のパートで展開。まず面白いなと思ったのは2人とも数字に拘りを感じるがベクトルは異なることで、トムが出会う妹似の少女がよきおさらい役になっており、前作既読で深読みすればその後の表層も深層まで見抜けるのではと期待させた。目の前で死んだと思った赤毛の少年がまさかの人物で、19を聞き返すのもわかる、辿り着いた時の高揚感が良かった。
が「ナイス!」と言っています。
練りようかん
平積みされてたら買っちゃうよと思う、装丁装画引きのあるタイトルの組み合わせが素敵だ。平仮名を多用した文章がわたしの人間性と、手術の影響と言われる機械化の両方を感じさせて面白い。死ぬ権利と不老のテクノロジーを可能にした物語世界で、2123年までの100年間に何があったのかが気になり没入。家族の中では嫌われものだった父とわたし。この父が本当に最悪なのだが、罪深さという刃が予想外の方向にいく展開。虐待の側面として搾取の連鎖があると意識したのが発見で、タイムマシンのIFに胸が詰まる。行けるとこが増えること、大事。
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練りようかん
書いたものが先で、身体が後か。服バカの主人公が何かと文字を書く習字の行為が興味深い。一日お金を使わなければ達成感を覚えるような、日々の営みが描かれているのだが慎ましさの中にヒヤッとする危うさがあって目を離せない。九才で自己主張がぱたっと消え、バイト先ではまあまあ嫌われていて、通り魔犯罪の被害者になる。箇条書きにしたら結構厳しくないかと思うのだが、不穏とか浮ついた感じはしなかったのが後半、失踪癖がつくと主人公の生活が見えず不安に。実家から母が出て父が出て、順番の逆が書くと身体に重なる。意識の家が心に残った。
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練りようかん
理瀬シリーズ。ゴシックムードを充満させる序章が良い、祭壇の供物を思わせる死体はなぜ胴体を切断されたのかが気になった。ケンブリッジ大学に留学中の理瀬は、孤島の屋敷で開かれたパーティに参加。毒物の混入や新たな死体が脇筋のように感じられるほど建物一帯への考察が面白い。全体像がわかった時はクリアになり、爆発でちぎれた獣の肢で濁り、真の姿を知った時は堅牢に立ち現れる脳内映像の変化が楽しかった。三宅さんの解説で、秩序を愛しながら混沌の予感にうちふるえる像が浮かんだのも印象的だ。決壊の一瞬を描く。確かにと心に刺さった。
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練りようかん
日本文学を愛し、ゆくゆくは小説を書きたいと思っているクニオの一生を描く。軍人の父と読書を心の糧とする母を持つ。くだんのゆくゆくをずっと先に見据えた人生のグランドデザインが素敵で、両親の影響も感じた。日本が好景気のときに出版社に就職、出来事のひとつひとつが興味深く抜き出して書きとめる文章が沢山あり、業界ものへの好奇心もくすぐられて楽しい。そして「文学はどこまで人のためになるのだろうか」という問いと、余生を実りある暮らしにしつらえることが並走し、固有の主題として育つ面白さを感じた。充実感たっぷりの読書だった。
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練りようかん
第7作。ずっとヴィクのことを気に掛けてくれている隣人が満を持して依頼人に。頑張って!と思うけれど恐らくその友人はもう亡き者にされていると感じる聞き込みの反応で、代わりに重要度が増すのは犬好き老女を取り巻く怪しい動き。はじめに謝辞があるので何があったかは想像がつくのだが、このシリーズは会計や財務のリテラシーがあるともっと面白がれるんじゃないかと改めて思う。探偵ものとしてはそんなに複雑ではなかった分、周りに頼ることを覚えなきゃという心理のドラマ部分が深く感じた。小宮悦子さんの解説が良い、知っ得でツボが的確。
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練りようかん
ゴッホに憧れ続けた棟方志功を原田さんが書く、流れの滑らかさや組み合わせの符合に表紙を開く前からうんうん頷いた。妻チヤさんのインタビューに始まり、物語は60年前に遡る。幾つものエピソードで彼の人物像が立体的になるのは勿論だが、散らばる墨や大量の削り屑をチヤさんが掃除する時の描写で親子3人で暮らした部屋が浮かび上がり、生活と芸術のやりくりが肉体的に迫ってくる読書だった。やっぱり彼の要はパワフルなエネルギーなんだなと感じ、わたしが後押しすると呟くチヤさんの底力も感じられて良かった。あぁまた作品展が観たいな。
nonpono
2025/12/08 22:43

こんばんは。わたしもまた、迫力があった作品展が観たいです。

練りようかん
2025/12/10 13:15

コメントありがとうございます。そうですね、観たいですね。

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練りようかん
放火事件に加わった親戚のお姉さんが出所した。光州・米国・民主化についてよく知らなかった為、意味を汲み取ろうと没入。遠いところに何かがある自分の未来と、普通の人と同じ仕事や結婚は無理だと主人公が思い描く姉さんの未来から、不自由を通して見える自由を感じた。韓国と日本を行き来出来る彼女たち。しかし民族の将来と彼らが決定する望んだ未来は行き来出来ない。未来という言葉の反復に意識が傾く運びで、円やかに且つ強さを滲ませる文章が素敵。特に釜山の聖堂でドーナツ片手に“歩き、また歩く”が好きだ。翻訳者の力が大きいと思った。
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練りようかん
身元隠しの印象が強い死体や、比較的狭い範囲で起こる殺人事件にこれらがひと続きなのだろうなと思ったが、不審者対策の投稿がどう絡むかのかが気になった。組織のルールに則りながら地道に捜査する男性が、だんだん焦れったくなってくるのが大きな展開を期待させる。オビに「本物の伏線回収」とあるが、撒かれた情報が土から芽を出している畑の画が浮かぶ読み口で、遺棄した場所などから土の存在は脳内にずっとあり、既読作との積み重ねで土や茂みと強く結びつく作家のカラーを感じた。真相は後半予測がつき、子どもの救いの無さが辛かった。
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練りようかん
半年前に初めて会ったのに、ずっと深い関係にあったと思える女性。確信と警告のどちらを男性は取るのかに興味を引かれた。鶴の恩返しを想起したり否逆バージョンかと思ったり、マジかと顔が白くなる展開。気になったのは母の死を乗り越えられず水商売の世界に入った男性の弟で、はじめはつなぐ役に思えて幸せになってほしいなと願った。しかし終盤ちょっとちょっと相関図!と焦るほどのつながりようで、真相の真相に高熱のふるえが読んでる体に伝わってきた。猫神様も弟のその後も、良いとも悪いとも言えない感じが物語世界を集約していると思った。
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練りようかん
初期短編集。エロホラーや青春ミステリーなどテイストの異なる六編が収められ、編集者の要望をきくという信条ゆえに四苦八苦したことが自作解説で書かれている。こぼれ話だが『夕やけニャンニャン』時代のフジテレビは、本は扶桑社で雑誌は集英社がルールだったとあり、深掘りしたい部分だった。短編ではタイトル回収が際立った「ぽきぽき」、最も引き込まれた「ガールフレンド」が印象的。努力や根性とは無縁な人間の超越した力が、身を滅ぼすこともあればチート活躍することもあり。著者のエッセンスが散りばめられていて拾うのが楽しかった。
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練りようかん
新宿御苑の近くに東京タワーに次ぐ高さの塔を建てるという冒頭に緊張が走り、賛否を表明しないスタンスの建築家の心の声に業界内部を抉る内容なのかなと期待した。頭の中に校閲が棲んでいる者とそれを洞察する美しさを買われた者の対話、さらに生成AIの文章が挿入され、考慮した上での言葉が並んでいるはずなのにフラットではなく、三つの位相が芥川賞的展開を予感させて面白い。特に前半はめっちゃわかるの連続で、2010年以降日本の建築ラッシュに感じている違和・絶句・不安がぶくぶく浮かんだ。金閣寺の部分も良い、作品が持つ力を感じた。
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練りようかん
第3弾。アランの死後シリーズ続編を若手作家が書くことになり、作中作と現実の混合、編集者との関係性を冷ややかに語るなど馴染みのある風向きで物語は進む。距離を取りたかったスーザンだが、気づくとがっつり関わっている展開はテンポよく、スーザンもテンポよくイライラして、それがリーダビリティにつがっていると思えるのが面白い。真相を知ると誰もが動機を持つという共通点にもっと踏み込んでいればと少々後悔、滑らかに読みすぎた結果だった。またイアン・マキューアンの2作品が示唆してる?と楽しい小ネタだった。次も期待。
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練りようかん
谷崎潤一郎賞きっかけ。六短編収録。突然でも、病気で死が迫っていても、人が必ず死ぬのは自明であるのにずっとぽかんとしている。金沢、台北、ヘルシンキ、ローマなどを喪失を抱えた者たちが訪れるのだが、その移動が今に浸らせ遠い過去にも浸らせて面白い。身近な人の死が前と後で一方向に時間意識は流れず、それが潜在意識っていうものかとある時ハッとした。なんて技巧的、なんてファジー、その抽出表現力がすごいと思った。また、孫を期待してる八丈島編が通読すると意味深くて好きだ。命が生まれないこともずっとぽかんよ。
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練りようかん
文庫再読。仕掛けの大きなところはよく覚えていて、こんなにヒントが沢山あったんだと見える景色の違いを楽しみ、物語に没入した。驚いたのは杉江松恋氏の解説。中断して検索につぐ検索。ひょぇーと信じ難いまま解説に戻り、気持ちがふわふわしたまま落ち着かなかった。「解決にはいろいろなパターンがある」と言った彼に、「完結にもいろいろなパターンがあるのですね」と返したい。
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練りようかん
ネタバレ窓面一杯に広がる橘の木。伐られまいとする生存本能を感じさせちょっと不吉な木だなと思った。しかしちょっとどころではないと掻き消す展開。両親と兄妹の四人家族は子を授かるという言い伝えと事象に絡め取られていく。物語は昭和・平成・令和の三つの時代が流れ、男性不在の異様さ、妊娠をのぞむバランスの欠いた切実さを抱える者と、それを怖いと感じる者が境界を移動する様に引き込まれた。妹の頬の傷は橘の種子を思わせたのが面白い、最後には橘がもう終わりにしたいんじゃないかと感じ、中盤からずっと辛いばっかり呟いていた。三島賞も納得。
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練りようかん
シリーズ2作目。教会で死体を発見した女性は犯人に心当たりがありそうで、厄介な揉め事が長らく続いていたのかなと想像。被害者の評判は賛否分かれ、コミュニティも2つに分裂していたとわかるのだが事態が動いたと感じるまでがとても長い。8割がた読み進めると被害者が如何に厄だったかを強く意識させられ、狩猟や狼の保護にスウェーデンらしいなと感じるほどの余裕は生まれる。しかし救いのない展開を予感させる北欧ミステリー特有の重さが錘になった。終盤は声にならない悲鳴がこだましていた。主人公の精神が持ちこたえられるか心配だ。
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練りようかん
考察文化はなぜ発展したかに興味があった。ただ面白いや感動したでは駄目、意味のある時間にしたい行動原理に若者のより良い子化を感じ、報われたい欲の謎が浮上した。まず考察と批評の違いを明確にしたことが大きく、多様な解釈より発信者の唯一無二な正解をとることからコミュニティの規模縮小が印象づく。「ググる」から「ジピる」でよくわかった陰謀論との相性の良さが怖い。また=Loveのくだりは深い紐解きで、様々な引用とツッコミが冴える心地良さと空恐ろしさを同時に味わった。批評家の個性から文脈を読むのは楽しいよと言いたい。
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練りようかん
結婚で苗字を奪われ育児で名前を奪われ、40代でシングル通告。彼女が何を取り戻すのかに期待した。新しい職と住まいは京都のゲストハウスで、生き方も国籍も異なる人たちとの交流が描かれるのだが、人としては受け入れても家族だったら難しいかもという微妙をはっきり口にするのが面白く、主人公の家庭での在り方を想像させて上手い。昔の同僚含め共有にじわじわ系だな、美味しそうな食べ物にあったまるなと思っていたが、近藤さんだものこのまま終わるわけないかと没入。害意、毒気、類語が浮かぶ。そんなとこまで行けるんだ!ラストに救われた。
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練りようかん
第一回柴田錬三郎賞きっかけ。主人公は金沢大学名誉教授。心の奥底に眠っていた教え子に会いに行くと働かず結婚せず十六年も司法試験を受け続けているではないか。拘る理由に興味を持つのは当然、過去を調べると責任の一端が次々あらわれ、大迷惑な人から肝心なところで運が使えない可哀想な人に印象が変わる。証言で集まる断片が整合性という名の鞠に思える展開力で、戦後ドサクサ期の教育制度を濃い背景に人間のどうしようもない本質が丹念に描かれていて、著者の作品を読むのはだいぶ久しぶりだったがやっぱり面白いとぐいぐい引き込まれた。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2018/02/26(2872日経過)
記録初日
2018/03/01(2869日経過)
読んだ本
5787冊(1日平均2.02冊)
読んだページ
1889807ページ(1日平均658ページ)
感想・レビュー
4983件(投稿率86.1%)
本棚
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