支持するものでした。しかし、この本で強調してきたのは、その同一性と差異の二項対立にもさらに脱構築がかけられていて、必ずしも「差異バンザイ」なのではなく、差異と「仮固定的な同一性」の共存が事実上問題にされているということです。 p199.「人間は過剰である」という人間像な現代思想においてデフォルト。p244.現代思想は、秩序を仮固定的なものと見なし、たえず逸脱が起きながらも諸要素がなんとか共存する状態を考察している、というのが僕の見方なのです。そのような秩序と逸脱の関係は、僕にとっては芸術の問題、「芸術的
に生きるとはどういうことか」という問題であり、それが子供のときからのテーマなのだと思います。/本書は「こうでなければならない」という枠から外れていくエネルギーを自分に感じ、それゆえこの世界において孤独を感じている人たちに、それを芸術的に展開してみよう、と励ますために書かれたのでしょう。本書が人生をより活力あるものにするために少しでも役立つことを願います。
p179「どうして、そこまできちんとさせようと思ってしまうんだろうね」と問いかけると、彩さんはかつて実家で暮らしていた頃の生活について話した。彩さんは、支配的な親から心理的虐待を受けて育った人だった。自分の気持ちよりも、まず父親や母親の気分はどうか、夫婦喧嘩のとばっちりが飛んできはしないか、下のきょうだいばかり可愛がる親から、不当な言いがかりをつけられはしないか、いつも身構えて暮らしていた。顔色をうかがい、事態を先読みして、母親が喜びそうなことをしたり、文句をつけられないように家事や下の子の世話をしたり
→していた。そこには、下のきょうだいや親を喜ばせたいという純粋な気持ちもあったが、親の不満な顔や攻撃という罰を受けたくないという思いの方も強かった。彩さんの愛情や世話には、人を気遣う優しい気持ちと同時に、自分の義務を怠って罰を受けたくないという恐れの気持ちも入り混じっていたのである。
仕事をしながらでも本を読み続けたい。
生きやすくなるように知識、経験を得たい。
いろんな考えや感想を知りたい。
@関西
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支持するものでした。しかし、この本で強調してきたのは、その同一性と差異の二項対立にもさらに脱構築がかけられていて、必ずしも「差異バンザイ」なのではなく、差異と「仮固定的な同一性」の共存が事実上問題にされているということです。 p199.「人間は過剰である」という人間像な現代思想においてデフォルト。p244.現代思想は、秩序を仮固定的なものと見なし、たえず逸脱が起きながらも諸要素がなんとか共存する状態を考察している、というのが僕の見方なのです。そのような秩序と逸脱の関係は、僕にとっては芸術の問題、「芸術的
に生きるとはどういうことか」という問題であり、それが子供のときからのテーマなのだと思います。/本書は「こうでなければならない」という枠から外れていくエネルギーを自分に感じ、それゆえこの世界において孤独を感じている人たちに、それを芸術的に展開してみよう、と励ますために書かれたのでしょう。本書が人生をより活力あるものにするために少しでも役立つことを願います。