形式:新書
出版社:筑摩書房
市民による四日市憲法を基にして、日本人も民主的な憲法を作った時期もあった。
歪んだ公権的解釈を一層固定化することに他ならないからである。また防衛省など他の組織の名称がないのに憲法に自衛隊の名称のみが存在することも、法的にも政治的にも回避したほうが良い状態であるのは明らかであろう。その上で、篠田氏が加憲案として提示する「前2項の規定は、本条の目的にそった軍隊を含む組織の活動を禁止しない。」(245頁)との文言は筆者の挙げた問題点を巧く避けており、理想的である。加えて、政治による軍の統制(シビリアン・コントロール)についての条項も盛り込むべきではないか。(7/7)
仔細な点は法律で定めればよいが、法的にも政治的にもシビリアン・コントロールの重要性・必要性の根拠規範を憲法におき、対内的にも対外的にも宣言しておくことは意義があると確信している。最後に。本書はかなり語り口が難解で、学術書チックなので、理解するための補助線として篠田氏の著作「憲法学の病」(新潮新書)を先に読んでおくと理解が深まるであろう。(8/8)※想定が甘く、7では収まりませんでした( ; ; )
読まれましたね(^.^)。一言だけコメントしておくと、主流派の憲法学者の欺瞞ぶりが9条において甚だしい為、そこが中心になるのはやむを得ないと思います。本来、憲法全体を世界の潮流等大きな視点から分析すへきは憲法学者の仕事だと思いますけど、ご覧になった様にこの国の学界は東大法学部に牛耳られてますからね。何れにせよ、篠田先生の最近の活動は学界での孤立、軋轢を恐れない勇気ある本来の意味においての学者としとの振る舞いだと思います。
コメントありがとうございます。 僕個人の感想として9条だけでなく背景の現実含めた憲法全体をもっと考えるべきという考えがあったため、そう感じたというだけです。 学会は根拠さえあれば、統一見解だけでなく自由闊達な意見が認められるべきで、そういう意味で現在の憲法学に本著は一石を投じています。熱量のある著者だと感じました。
7-8年前に国連関係の講演会かなにかで見かけた際には、ここまでエキセントリックではなかったように思う。この数年、法学者(特に東大憲法学者)や法曹(特に弁護士)をやたらと攻撃しており、精神的に大丈夫ではない感じがする。国際法専攻者としては、法学部の中での国際法の扱いがとても低いことは十分知っているが、そもそも著者は政治学者。憲法や法律を体系的に理解して話しているのか疑問である。いい歳した大人のルサンチマンを見たくない。改憲はアリだと思うが、それを決めるのは現在の国民であり、1946年の国連の考えではない。
Wikipediaによると高校の軽音でオザケンと一緒だったとか。
それ言い出すと某盗んだバイクの人なんか学年同じなもんでどうやったらあれに感動できるんですか?(汗。というのが出てきたりする罠があります(でもオザケンとかこの人とか認めちゃうのは学年が地味に離れてるってのもあるんだろなぁ(何
ただし本書にはいろいろと問題があります。例えば「憲法典に書いてあることが憲法学の事項である」というのは誤りです。フランス憲法典はフランス人権宣言とあわせて解釈する必要がありますし、大日本帝国憲法に内閣に関する事項がないのは内閣令が先行していたためで、憲法典だけで憲法を理解することは誤りです。また日露戦争当時のアメリカが大国であったかのような記述もありますが、当時は中堅国といったところです。日露戦争の仲介をロシアから一蹴されたことからもわかるはずです。
さらに戦前に「軍部」が台頭していたかのような記述にも問題があります。陸海軍が対立していたことはよく知られているはずですし、陸海軍の内部でもさまざまな対立があったことからもわかるように「軍部」として統一した行動が取れていたとは思えません。関連領域の基礎知識が不足しているのではと疑わせる点があったのは残念です。
その目的は「正義と秩序を基調とする国際平和」であり、9条における禁止条項はそれを達成するための手段と解釈するべきである。9条1項は国連憲章2条4項が元であり、そこでは個別的・集団的自衛権および集団安全保障は例外とされている。自衛隊はこの例外に該当し2項の「陸海空軍その他の戦力」には当たらない。また交戦権なる概念は国際法上存在しない。結論すると『現代国際法に則って活動する限り、自衛隊および集団的自衛権は憲法9条に反しない』。改正については、自衛隊が9条でいう戦力に該当しないことを明記するだけで十分である。
・・・なんだかうまく丸め込まれた気分で「えっ、そんなんでいいの?」と感じるが、9条を礼賛して日米安全保障条約による核の抑止力を認めない学者とかよりは信用できるかな。
されていると。へぇー、だ。国民主権論については株主主権論に通じている。株主主権論を否定するには岩井克人氏の二階建て法人論の論理を援用すると分かりやすく解ける気がするのだが。
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