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源頼朝-武家政治の創始者 (中公新書 2526)

感想・レビュー
60

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Toska
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緻密な政治史の叙述を身上とする著者にとって、骨の髄まで政治的人間である頼朝は相性がいいのだろう。院をはじめとする既存の勢力は、様々な人脈を通じて武士の世界にも大きな影響を及ぼしていた。他方、「自力救済」の原則に従って生き、敵対勢力の殺戮を躊躇しなかった武士たちが新たな政治文化をもたらしたことも否定できない。この過渡的な時代状況を背景に、頼朝の政治的肖像を新書一冊のサイズで描き切った労作。
Toska

身内や部下を情け容赦なく粛清する冷酷さを持つ一方、政治家としての才覚に優れ強固な政権を残すことができた。と雑なまとめ方をしてしまうと、頼朝も朱元璋もスターリンもほとんど見分けがつかなくなる。頼朝が20世紀に生きていたら、周囲に及ぼす害悪は大変なものになっていたかもしれない。逆に、12世紀の統治手法を20世紀に持ち込んだのがスターリンという言い方もできそうだ。義経はトロツキーの役どころか。

12/08 12:05
Toska

本書の中では、『平家物語』や『吾妻鏡』を普通に情報源として使う箇所もあれば、「とうてい信じ難い」と切り捨てる箇所もある。この手の記述史料の難しいところだろう(系列としては『甲陽軍鑑』『三河物語』などが近そうだ)。怪しいものは最初から使いません、と禁欲的な態度を貫くのも一つの手だろうが、それだと内容が貧しくなってしまう問題もあるわけで。ただ、各々の部分がなぜ信用できる(できない)のか、ちょっと説明が足りないように感じた。これらの作品に基づく「通説」を批判するのであれば尚更。

12/08 12:06
0255文字
預かりマウス
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堅実な頼朝一代史であり、読みやすい。平家物語のみならず吾妻鏡も虚構や誤謬があり信用にならない部分が多いという。吾妻鏡は北条氏支配正当化のために源氏将軍時代を遠回しに貶めているようだ。また、玉葉や愚管抄等の公家側の記録類も著名ではあるが当然九条家視点なので割引いて考えねばならない。また、特に義経との対立について、本書では通説的な理解とはだいぶ異なる説明がされている。なお著者はかつての公武対立史観が近年復活していることに警鐘を鳴らしているが、大河ドラマのような通俗分野はともかく学界でもそうなのか気になった。
0255文字
ずず
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いやー政治だ!面白かった
0255文字
オルレアンの聖たぬき
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『鎌倉殿の13人』を見てから読んでみたが、事実は小説よりも奇なり。佐殿と呼ばれた王者の凄まじい人生がドラマを見たことによってさらに深まった。あの場面はあの心理描写だったか!と。特に義経が『伊予守』に叙任される件のドラマの描写の背景にあった史実が衝撃的だった。ドラマを楽しんだ人は是非読んで欲しい
0255文字
こじこじ
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「河内源氏」と違い、論拠とする著書等を都度明示しており読みやすかった 気になった個所: ・義経が屋島攻撃したのは頼朝の意思と合致→川合康「源平の争乱と公武政権」は頼朝意思と反する ・奥州征伐は源氏家人藤原経清を討った先例を利用→前掲川合は源頼義の先例に倣う ・公暁の読み「くぎょう」→鎌倉殿(おそらく坂井孝一説か)は「こうぎょう」 ※川合「源平の争乱と公武政権」は本書の10年前(2009年)のため比較対象として適当ではない可能性
0255文字
Tomoichi
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武家政治の創始者なのにイマイチ人気のない源頼朝。河内源氏について読んだので頼朝でフィナーレを迎えようと読み進めるが、人気がないだけあって英雄的な話はなく、ラスボス的に邪魔者を消していく。そしてそれは源氏将軍が3代で滅亡に繋がる。因果応報か?教科書的にはあっと言う間に滅ぶ平氏ですが、当然歴史はそんなに単純ではないが、偶然の朝なりが歴史を生むのも事実。義経は結局頼朝に遅かれ早かれ粛清されていただろう。そして後白河はやはり大天狗(笑)騒乱の元凶です。
0255文字
ずん
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ネタバレ今年の大河『鎌倉殿の13人』。なかなかの名作なので、やっぱり頼朝のことをしっかり知っとかなければと読み始めたが、大河ドラマに追い越された。知っていた頼朝像とはいくらか違っており、日々歴史解釈が変わっていることを実感した。そしてやはり頼朝の存在は大きいものであったと再認識した。《愚管抄》が九条家側の慈円著であり、対立していた源通親と頼朝観に注意が必要であるのはなるほどと思った。また征夷大将軍就任は戦時から平時への移行過程では重要な契機だったと思う。一時期頼朝像の写真をスマホの背景にしていたのを思い出した。
0255文字
孤独な読書人
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ネタバレ頼朝の人格形成には長い流人生活の影響が大きかった。通説では頼朝と義経の対立を検非違使就任に求めるが本書ではその説をとっていない。
0255文字
yucco
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頼朝の人生をじっくり読んだのは初めてだったのでとても面白かった。流人だった頼朝が武家政治を初めて確立したのは凄い事だと思うのだけど、それを成し遂げる為に失われた命を思うと背筋が寒くなる…重代相伝ではなく婚姻関係や乳母関係で家人を形成したことで外敵討伐後に家人相互の対立が表面化、内紛が連発したことが3代で滅亡する理由の1つとなったのですね。家族を立て続けに失いつつも鎌倉幕府を守り続けた政子の人生にも触れてみたくなりました。
0255文字
しゅうえい
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昔学んだ頼朝像とは違う面も多い。大河ドラマの予習として。
0255文字
はちこう
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少し前に司馬遼太郎の「義経」を読んだが、義経の奥州落ちや、泰衡に討たれる場面等が余りにも駆け足で物足りなく感じていた。本書は、義経の足取りについても書かれており、また「吾妻鏡」だけではなく、「玉葉」や「愚管抄」等も参考にしており、より史実に近い内容になっている。流人だった頼朝が武家の棟梁になる流れや、頼朝と奥州藤原家の関係が悪化していく様子等、これらの背景についても理解が進んだと思う。最後の章で、頼朝死後の政子の功績にも触れられている。政子悪女説は見直しが必要かもしれない。
0255文字
しゅー
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★★★源義経は、子供向けの伝記から歌舞伎まで様々なフィクションの題材となっている。その中で頼朝は、義経の冷酷な兄(異母兄)と言う役回りでしかない。どうも素人受けするドラマに乏しいのよね。てなわけで、大河ドラマでイメージがわきやすい今のうちに読んでおこう。印象に残ったのは、奥州藤原氏の存在感の大きさだ。頼朝と義経の関係にも影を落としているし、鎌倉から頼朝がなかなか動けない理由にもなっている。また、義経との決裂のタイミングが俗説とは少し違う(=タイミングが少し遅い)と言うあたりの説明も説得力があった。良書だ。
0255文字
翔亀
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【中世5】新旧読み比べ。旧は1958年の永原慶二の岩波新書、61年後の2019年の本書で何が変わったか。冷酷で猜疑心が強いといった頼朝の性格から考えてはいけない、歴史的な状況から考えなければいけない、という点では全く同じなのが面白い。では歴史の見方は変わったのか。■両者の手法的な違いは明らかだ。旧著は社会の構造の変化から歴史を見るから、頼朝は王朝を倒すという革命を起こしながら最後は王朝と妥協した、という評価だった。一方、本書の特徴は、登場する人物の背景、それは親族・姻族の関係を、さまざまな史料により↓
翔亀

→3)依存したのは当然だとする。あの義経を滅亡に追い込んだのは、源平合戦で頼朝の言うことを聞かなかったからでも、安徳を見殺しにしたからでも、後白河による任官を勝手に受けたからでも(以上は通説)ない。頼朝が源氏の家長として亡父の供養式を開催したのに義経が出席しなかったことが契機となった、という。これって全くの新説なんだろうか、驚きである。ひいては義経が後白河と組んで、頼朝軍とは別の軍を組織するのを防ぐためということが、根底にはあるのだろうが、要するに、親族ネットワーク=家の論理というわけだ。なかなか↓

02/20 02:03
翔亀

→4)面白かった。しかし、、■本書を読んでいて、マヤ文明のあの驚異の魅惑的な文明の神秘が、発掘調査によってベールが脱がされ、都市国家の王家の戦争の歴史であったことを知った時の幻滅を思い出してしまった。本書の描く歴史は、細部を積み重ねることで、説得力がある。しかしロマンがないなあ。理想をもって歴史を動かすというロマンが歴史を誤らせる、ということはわかっているつもりなのではあるが、寂しい感じも拭えない。

02/20 02:04
3件のコメントを全て見る
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ごん
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源頼朝は関東に武家政権を確立した人ですがあまり人気のない人です。この本を読んでも人気は上がることはないでしょうけど武士の世の中への流れを決定づけた日本史の最重要人物の1人です。この本を読むと頼朝でなけれは武士による継続的な政権の成立はなかっただろうと思います。(朝廷と交渉したり関東武士を束ねたり新たな統治機構を組織したりする政治能力が必要なので義経、義仲、他の源氏では無理ですね。)まあ、そうだとしても頼朝の人気がこの先上がることは多分ないでしょうけど。 でも、僕は意外と好きですけどね。
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あいあい
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大河ドラマを楽しむために再読。『頼朝の武士団』読んだ後だったので、めっちゃ理解出来おもしろかった。ほんと奇跡のような人生。せっかく拾った命なので、薄氷を踏むような思いでなんとか生き延びようと智恵を絞ったんだろうな。やはり偉人だと思う。これで大河もっと楽しめるわ♪
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ジュン
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何度も殺されかけたゆえに猜疑心の強い頼朝が何ゆえ武士の世を打ちたてたのか?そこには平家打倒の分け前を求めて集まった武士たちの思いを汲む先見性があった。『鎌倉殿の13人』で大泉洋演じる頼朝の冷酷さを良く解剖した一冊といえる。全部、大泉(頼朝)のせい。
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餅屋
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河内源氏の嫡男から流人の「佐殿(すけどの)」を経て、武家政権を樹立した頼朝の評伝です。『吾妻鏡』『玉葉』等の記述も「結果から訴求するのでなく、その時の妥当な判断」を検証して語っています。『荘園(伊藤俊一)』を踏まえると〈寿永二年十月宣旨〉時点で王権に復帰したことが分かります。令外の官的に公認された「敵方所領の没収」と「新恩給与」で勢力を拡大、戦いの基本は「敵を分断、内紛を煽る」やり方で、武家政権を樹立します。内部粛清を進めますが、平時体制への移行完遂前に亡くなり、その後が大波乱となりました(2019年)
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アヤリョウ
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大河予習。「弟たちはいとこの義仲くんや平家を退治に西へ、お兄ちゃんは鎌倉に残って地盤を固めました」的な説明の、地盤固めって具体的になにやんの?という長年の疑問が解けた。やっぱ権力って人事だね。(小並感)
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辻井凌|つじー
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この時代、武士が権力を握り維持し続けることがいかに難しかったか。それをやり遂げたから頼朝は偉大だった。一見、周りに振り回された人とも見えるが間違いなく特別な政治家。『鎌倉殿の13人』の副読本におすすめ。
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氷柱
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779作目。11月14日から。頼朝の歴史について詳しく知ることができる。読めば読む程に関連する人物が増えて行き、探れば探る程に収拾がつかなくなってくる。それ程までに様々な人物が登場しては敵になったり味方になったりしている。軍記物というよりも政治劇と呼んでしまった方が早いのかもしれない。また今作では独自の論も展開されていて、頼朝の性格や義経との関係などについての新説を垣間見ることができる。古典を否定する部分が象徴的であった。第二部に当たる作品とのことなので第一部にも是非当たっておきたいところだ。
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冬子
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10歳で保元の乱、父が敗者の祖父と叔父を処刑。13歳で平治の乱、父が敗者となり、14歳で伊豆に配流。その後20年間流人生活。34歳で挙兵。平家を滅ぼし、幕府を樹立し、53歳で急死。冷たい印象のある人物だったが、正しく薄氷を踏むようなその人生を辿るとやむを得ない判断の連続だったのだろうと感じた。義経との対立の理由、頼朝死後の幕府内の内紛の実情なども理解しやすかった。
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エムパンダ
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2022年大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の予習として。義経滅亡の原因が自由任官問題だとする通説を虚構とし、ではなぜ義経が挙兵に至ったかを史料から再検討している。大姫入内問題や九条兼実・源通親との関係も丁寧に説を広げている。参考文献の量の膨大なこと!これは2019年刊行だから、ほぼ最新の学説を提示しているのだろう。とにかくドラマが楽しみです。
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Go Extreme
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頼朝の登場―河内源氏の盛衰:父義朝まで 平治の乱の悲劇 流刑地の日々―頼朝挙兵の前提:流人頼朝 北条時宗と源頼政 以仁王の乱と頼朝の滅亡 挙兵の成功―流人の奇跡:挙兵の決断 武士団の糾合 富士川合戦 鎌倉幕府の基礎 義仲との対立―源氏嫡流をめぐって:後白河院政の復活 木曽義仲の入京 義仲との抗争 十月宣旨と東国支配権 頼朝軍の上洛―京・畿内の制圧 平氏追討―義経と範頼 義経挙兵と公武交渉―国地頭と廟堂改革 義経の滅亡と奥州合戦―唯一の官軍 頼朝上洛と後白河の死去―朝の大将軍 頼朝の晩年―権力の継承と失政
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cineantlers
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ネタバレまさに激動と形容するに相応しい源頼朝の人生を語る。頼朝の人生は半分は朝廷に対する謀反人としての人生だった。父・義朝以来の家臣のいない彼がなぜ南関東の武士団を束ねることが出来たのだろうか。それは朝廷が統べる平時とは異なる軍事政権として独自に所領の支配を管理する機関を整備したからだ。そして国内の敵対勢力を駆逐した頼朝は朝廷と折り合いをつけながら軍事政権を平時の運営体制に作り替えようとする。その結実が後世我々が「幕府」と呼ぶ体制である。武家が政権を確立する過程を頼朝の人生を通して見る
0255文字
Hiroshi
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「河内源氏」の続編。どのようにして源頼朝は幕府を開いたのかを見ていく本。◆1147年に生まれた頼朝。平治の乱(1159)で伊豆流配となった。それから20年。以仁王の挙兵失敗により平家の受領が伊豆に決まり、伊豆の武士に危機が訪れ頼朝が挙兵した。石橋山合戦で敗れるも、安房に渡り北条氏・三浦氏に続き上総介広常・千葉常胤らが合流した。頼朝の降伏者への寛容な態度が多くの東国武士を集めた。上総、下総、武蔵、相模と進み、鎌倉を拠点とした。富士川合戦では平家追討軍が敗れ、平氏政権の権威は崩壊した。この時義経と会っている。
Hiroshi

頼朝の下に集まった武士は、重代相伝の主従関係のある武士では無い。本領安堵(味方と認定して攻撃対象外とする)新恩給与(敵から没収した所領を恩賞として戦功者に与える)の関係だ。平清盛が亡くなり、後白河院政が復活した。頼朝は後白河に和平提案をした。木曾義仲が挙兵し、甲斐源氏と入京する。頼朝との連携はない。平家は太宰府を目指し都落ちした。後白河が逃げたので平家は朝敵になった。後鳥羽が安徳に代わり天皇になる。だが京都は大飢饉で戦は進まない。院との関係が悪くなった義仲は西海の平氏追討、法王拉致に失敗して討ち死にした。

04/09 21:27
Hiroshi

範頼・義経が頼朝軍を入京させた。頼朝は東北の押さえで鎌倉に残った。頼朝軍は一ノ谷の戦で勝つ。だが兵糧問題で進めない。範頼は山陽道を進撃する。義経は京で待機。1185年2月になり義経は阿波に渡り屋島を襲撃し、3月に平家を壇ノ浦で滅ぼした。吾妻鏡によると義経は鎌倉に入れなかったが、事実は頼朝と会っている。後白河が義経を京に置きたく検非違使留任させたことで兄弟が決裂となる。唯一の官軍を目指した頼朝にとり、第2の官軍は入らない。同じ理由で奥羽藤原を滅ぼし、1190年に上洛した。平時は官位を使い主従関係を維持した。

04/09 21:30
0255文字
代理
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政治の戦いとは婚姻関係の戦い。今もそうかも知れないが。非常に狭い世界で繋がっており、石を投げれば身内に当たる時代では、『身内に冷たい』のもしょうがないかなと。
0255文字
m__akiyoshi
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この前読んだ『承久の乱』と共に購入。東国と源氏の繋がり…と言うけど、後の「御恩と奉公」みたいに代々主従関係を結んでたわけではない、というのは意外だった。平氏の伊勢・伊賀のような基盤が少なかった事が源氏方の層の薄さに感じる。その上、源氏内で佐竹・甲斐・木曽・兄弟と仲が悪すぎ…。互いの主張がぶつかって外敵がいなくなったら、恩賞を求めて内部に敵を求めるという…。
0255文字
眉毛ごもら
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そういえば頼朝の評伝まともに読んでなかったなと思い。前半ジェットコースターで後半も波乱万丈。事情があるのはわかるけど河内源氏ほんとに仲悪いわ。とはいえ、フリーダム平安武士をまとめ上げた手腕はすごいなーと。政治力という点ではやはり河内源氏の中では突出してたのではなかろうか。元々都勤めという経歴があったのも強いのだろうけれど。あと曽我兄弟の仇討事件にも触れられてるのでちょっと嬉しい。大姫や、三幡の頼朝の姫君が好きなので顛末がかわいそうでかわいそうで最後の方はしんみりしてしまった。
0255文字
ちばっち
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頼朝が世間一般から思われている様々な事柄についてきちんと証拠を提示して反論しているのが良かったです。義経が勝手に官位をもらった事に怒ったとか、征夷大将軍を望んでいた訳ではなかったとか、元木さんが挙げた証拠を誰も検討しなかったのかなぁと不思議に思う位でした。こんなに明確な証拠があるのに…。
0255文字
寝落ち6段
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敗者だった源頼朝が、どうやって最大の権力者になったのか。常に死線をくぐり抜けてきた頼朝には、そのときの最善の選択が生死を分けるものだと分っていたのだろう。だからこそ、丁寧に予防線を張りながら考え抜いたのだろう。唯一の官軍という絶対的な権威を得るために、敵を徹底的に潰す事が必要だったのだろう。平家、義経、奥州藤原氏・・・それが現代では冷酷と呼ばれようと当時の価値観で考えれば妥当というわけだ。頼朝の行動を丁寧にたどり、その理由説明もとてもわかりやすく、納得できる人物評伝であった。
0255文字
onepei
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ちょうどよい簡潔さ
0255文字
アメヲトコ
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源頼朝の評伝。冷徹で非情なイメージがある彼ですが、確かにそういう面は否めないものの、『平家物語』や『吾妻鏡』などにもとづき巷間に流布した俗説を再検討している点を面白く読みました。しかし大姫はほんと気の毒。
0255文字
夏草
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平家贔屓の私にとって頼朝さんはあまり興味がない人物だったが、元木さんの文章が好きなので購入。大姫入内の辺りとか、面白く読んだ。
0255文字
本人
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血で血を洗う出入りと怒涛の粛清の嵐。仁義なき戦いに勝利した大親分・源頼朝は朝廷にヤクザ権力を公認化させて、日本を変えた。あと河越氏は義経に連座して滅亡していませんよ。勝手に滅亡させないで下さい。頼朝の負った業は源氏将軍三代に降りかかる。因果応報と盛者必衰の理による断絶は『平家物語』の続き、名付けて「源氏物語」が書けそう。
0255文字
剛田剛
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「武家もまた王権のもとで行動する軍事貴族であって、必ずしも王権から自立した存在ではなかった」という「河内源氏」から一貫している著者の指摘は、確かに保元・平治・治承・承久と続いた戦乱における武士たちの行動を説明するために必要な補助線であると感じた。また、個人的にはそれに加えて「女系」の持つ影響力の大きさが印象に残った。
0255文字
連盟
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源頼朝の一生を追った評伝。義経との確執の原因や、征夷大将軍に拘泥していたわけではないなど、これまで別の機会に得た知識を覆す記載もありなかなか面白い。
0255文字
みこ
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本書の主人公は言うまでもなく頼朝。頼朝目線で治承・寿永の乱を見ると巷間伝えられる義経や後白河との確執が違ったものに見えている。というより、そもそも後白河とは対立すらしていなかったかもしれない。後白河の死後頼朝が将軍となって鎌倉幕府を開いたという錯覚が誤解の原因だろう。さらに、新政権を打ち立てたにも拘らず国家ビジョンが不鮮明であと数年生き永らえていたら世の中の在り方が変わっていたかもしれないという点が信長に類似していると感じた。
0255文字
ばたやん@かみがた
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一読して思うのは、頼朝の権力基盤の脆弱さである。一族累代の譜代的な者は少なく、乳母の実家(比企氏)や婚姻関係(北条氏)が頼みの綱であった彼は、院の権威等を借りながら敵対者や謀反した(とされた)者達の所領をニンジン代わりに東国武者達を絶えず糾合しなければならなかった。内乱においては対平家の第一人者と見なされていたが、義仲、甲斐源氏、奥州藤原氏等ライバルと競い合う存在であり、義経も何時それに転化するか判らなかったと言える。親族を中心に冷酷な姿勢を崩さなかったのも、その立場からやむを得ないものだったとしている。
0255文字
あいあい
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やはり日本人、判官贔屓があるのだけれど、こうしてじっくり評伝を読むと、苦労した人なのだな。やっぱたいした人物だと思う。
0255文字
不純文學交遊録
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ネタバレ鎌倉幕府の成立は「いい国」でも「いい箱」でもなく、上洛した源頼朝が右近衛大将に任じられ統治権を公認された1190年ではなかろうか。頼朝は征夷大将軍を望んではおらず、1185年に設置された「国地頭」は臨時的な職だった。頼朝をめぐる通説・俗説、とりわけ挙兵成功の要因とされてきた東国武士との重代相伝の主従関係を悉く否定する。所領も家人もない流人の頼朝に味方したのは平氏政権で冷遇された武士で、独立性が強い。源氏一門も一枚岩ではなかった。義経の任官問題、晩年の対朝廷関係についても納得のいく見解が得られた。
0255文字
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