「何かを築き上げることのできない者たちは、何かを打ち壊すことで自尊心を満たすものだから(L’orgueil de ceux qui ne peuvent édifier est de détruire)」(第9章)。大デュマは共和主義者なのだろうが、描写を見る限り見境のない暴力や過去への毀損には抑制的なようだ。小道具がうまく時代を偲ばせる効果を作っているが、グレゴリスカ夫人の話は細かい箇所がオリエンタリズムっぽい。あと「ポーランド人にとってはフランス語は母語みたいなもの」は、今はどう思われるんだろう。