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中国の歴史4 三国志の世界 後漢 三国時代 (講談社学術文庫 2654)

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赤白黒
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前半は政治的・軍事的展開から三国時代を概観する。三国の駆け引きが面白く、長きにわたり様々なメディアで愛されてきた理由がよく分かる。文化、外交、思想史的観点からそれを更に解きほぐしていく後半がとても良かった。とりわけ孫権の海上戦略が印象的。脇役と看做されがちだが、六朝時代の繁栄の礎を築いた呉という国についてもっと知りたくなった。紙の普及による情報革命という視点も面白い。三国時代は様々な面で後世の萌芽が生まれた時代。現代の東アジア情勢と魏蜀正閏論を絡めて述べた終章も一読の価値がある。
赤白黒

『演義』と対比しながら述べるスタイルについて。演義が好きな人は楽しめるのだろうが、「三国無双」程度の知識しかない自分としては正直微妙、『演義』の内容を知りたいわけではないし…と初めのうちは思っていた。が、読み進めるうちにこれは『三国志』の受容史であり、終盤に至り『三国志平話』との対比から現代の情勢へと論を繋げる手法に唸ってしまった。なるほど。

01/21 13:28
赤白黒

卑弥呼の朝貢年について。本書は通説と異なり、正史のいうとおり「景初2年」説を採っており、挙げられた論拠も納得できるものだったと思う。歴史は別に高尚なものではなく、現代の我々が考えるよりもっと即物的で実際的で、生々しいものなんだろうなと感じた。

01/21 13:31
0255文字
たっつみー
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ネタバレ曹操や劉備が死んでからの長いその後についても細かく叙述。魏の強大な国力、呉(孫権)のスケールの広さと魯粛の先見の明などが面白い。後世の道教の浸透具合を考えると劉備よりも張魯の方が重要人物?
0255文字
coolflat
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36頁。魏王朝の実質的な担い手は漢王朝に見切りを付けた批判的豪族勢力であり、さらにその代表者である司馬懿の子孫が次の晋朝を創立した。その後の六朝時代はさらに門閥貴族化を強めた豪族勢力の天下であったが、儒教的知識人がさらに拡大した次の隋唐期に門閥貴族制が機能しなくなると、今度は科挙試験によって官僚となる士大夫が現れる。この士大夫層もやはり地方の地主勢力であり、彼らは様々な転変を経ながらも清朝滅亡まで皇帝体制の下での実質的支配層であり続けた。豪族勢力を背景とする儒教官僚がその後も中国の支配層となったのに対し、
coolflat

197頁。三国形成後、魏は中央集権の原則のもと、武将の私兵集団を極力解散させ、中央の軍隊に再編成する一方、軍屯制度の実施によって国家自前の軍隊を持とうとした。これに対して呉は国内の豪族が北方よりも強大で、かつ山越討伐という難問を抱えていたこともあって、配下の各武将の部曲をそのまま追認した。そのため呉の軍隊は私兵集団的な性格が強く、各武将の私兵は父から子へ、また兄から弟へと世襲される傾向があった。呉の政体は表面上は中央集権の官僚制をとりながらも、実態は豪族の連合政権だったのである。

08/12 05:33
coolflat

一方、蜀の軍隊は、劉備自身がもともと豪族出身ではなかったうえ、各地を転々と流浪したため、豪族部曲的な性格は薄く、むしろ流民による寄り合い部隊であったといってよい。蜀の現地人の目からみれば、その軍隊はほとんど外人部隊であったろう。蜀の軍隊、ひいてはその政権自体が魏や呉にくらべて脆弱であった理由のひとつはそこにある。

08/12 05:34
11件のコメントを全て見る
0255文字
榊原 香織
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シリーズ4 手紙の偽造、て可笑しい。火の無いところに煙を立てた、文学作品て(敵国を混乱させるのが目的) 三国志は華 仏教、道教、儒教、が盛んになったのもこの時代
0255文字
ironimory
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三国時代を演義と正史を行き来しながら解き明かす本。演義では目立たない呉の、歴史的な存在感が書かれており面白かった。文学上の三国志も好きだが、本書では史料に基づいた政治的・経済的な思惑や駆け引きもあり、より生々しさも感じた。 邪馬台国や卑弥呼の話も興味深かったが、周辺国の朝貢の話から、現代中国の外交や東アジア情勢に繋がっていくのも目から鱗だった。
0255文字
kinoko-no
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司馬懿が主役の中国ドラマを見て、三国志が好きになった。横山光輝の漫画を読み、それからこの本を読むとさらにいろいろと分かって面白い。三国志好きにおすすめな本
0255文字
崩紫サロメ
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呉の視点から三国志の世界を描き直す、と言っても、三国志演義的な世界を呉から描くという意味ではない。呉と韓半島と倭の交通の可能性など、中国史、あるいは日本史の枠組みを超えてこの時代の結びつきを描いている。また、当時の正統性を巡る議論と現在分断情境にある東アジアの正統論を重ねて論じている点も興味深い。また、本書は中国・台湾版だけでなく成均館大学出版部から韓国版も出版されているという。機会があれば読んでみたい。
0255文字
k5
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7月の末にはじめて上海を訪れまして、私のなかでの中国への関心が高まっている昨今、馴染みのあるこの時代から読んでみました。やはり、登場人物のほとんどが知っている人なので読みやすい。物語として楽しんでいた世界を、歴史の複眼で読み返すのは実に面白い体験だったのですが、伊籍が孫権に一礼した直後、「無理して無道の君主に仕えることはあるまい」と言われ、「一拝一礼になんの苦労がありましょう」と答える場面など、外交の場での登場人物の皮肉のきいたウィットが強調されているのが私好みでした。
兵士O

k5さん、上海には三国志の香りは少しでもありましたかな?('ω')ノ

09/10 17:24
k5

なかったですねー。。。

09/10 17:26
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おはぎ
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「演義」との違いや呉の動向の重視など新たな視点から三国志を見られた。
0255文字
北之庄
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以前より気になっていた本書、漸く読了した。さすが講談社学術文庫、三国志演義と三国志を切り分けながら、呉の視点より目から鱗の学術的考察を展開する。外戚、宦官と清流三つ巴の争いと、朝鮮・日本への影響。三国間で共通の世論を形成した名士層。魏呉とは全く異なる、よそ者劉備・諸葛亮政権の軍備偏重政策による蜀の民への影響。蜀呉同盟で提示された二帝並尊、五行思想と正統論。卑弥呼に与えられた親魏倭王の意味。そして現代東アジアに色濃く残る影響。興味は尽きない再読必至の好著です。
0255文字
aki
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おそらく日本で最も人気のある三国志の時代を『三国志演義』と史料とを比較対照しながら描いた通史。未来永劫続くかと思われていた劉氏王朝の終焉が当時の中国社会に何をもたらしのか、その劉氏王朝が400年で潰えたのか何故か、などとても興味深く読み進められる。魏と蜀による正統性問題と禅譲、魏の九品官人法による豪族社会の確立、呉による南方の開発、儒教・道教・仏教の三教の鼎立、魏晋での詩文の誕生など中国社会の原型が出そろい宋の頃までの中国を形作る。紙の普及による情報革命と名士社会との関係も現代を考える上で重要なトピック。
0255文字
Tomoichi
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馴染み深い三国志の時代を後漢から晋の成立まで一通りの説明と宗教・文学・邪馬台国と解説されるのでザ・歴史って感じで好感の持てる構成でした。この時代はまだ道教も中国仏教も黎明期なので、何か少し不思議な感覚になります。だって新興宗教みたいなものってことでしょ(笑)
0255文字
サケ太
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ありがたい。非常にありがたい一冊。三国志というと、漫画媒体(横山三国志、蒼天航路)やゲーム(三国無双)でしか知らない時代なので、かなり興味深かった。全体的な流れ、赤壁以後については無知と言っても良かったので、確認できたのは良かった。魏、呉、蜀の土地ごとの特色や比較、特色なんかも面白い。この時代に起きた文化的な変化の数々。詩というものが変化した時代とは知らなかった。
0255文字
しょう
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三国時代は、「三国志演義」で大まかな歴史の流れを知っていましたが、改めて物語ではなく実際の歴史がどうだったのか?を知りたくてこの本を読みました。中でも印象的だったのが、呉の孫権です。曹丕に表向きは服従しておきながら、息子を差し出せと言われたときには、のらりくらりと返事を先送りにし、曹丕が亡くなったら魏を攻めるなどと、「三国志演義」では脇役扱いの呉ですが、孫権の外交面での強かさが印象深いです。本書は中国史のシリーズ本となっているので、他のシリーズも読んでみたいと思いました。
0255文字
きさらぎ
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歴史の流れは勿論、諜報戦や手紙の偽造といった工作の発生、儒教や仏教の影響、曹操・曹植らによる文学の話、邪馬台国や朝鮮半島と魏国の関わりまで目配りしてあって楽しめる。漢王朝から正式に禅譲を受けた魏と、劉一族が建国した蜀が正統性を争う傍らで、彼らと少し異なる価値観を持つ呉の存在感が独特で興味深い。蜀の遺臣が晋に遣えて魏を正統とする『三国志』を書き、異民族の圧迫を受ける南宋に生まれた朱熹は蜀の正統性を主張、そして異民族を退けた明代は蜀びいきの三国志演義が生まれる。史実と虚構、歴史背景が透けて見えるのが面白い。
0255文字
じょあん
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三国時代のことで卒論を書いたのももう昔。さらっと三国時代をおさらいするのに本書を手に取りました。演義と正史、実態と思われるところの比較や政治的な流れ、文化的な動き、国際関係などなど、わかりやすく書かれています。改めて三国時代が画期になっていることは多くあると実感しました。それだけに、三国時代にシリーズの1冊がまるまる割かれているのはうれしい限り。本当に良い入門書です。
0255文字
ほうすう
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三国志演義と比較しながら実際の歴史ではどのようなものだったのかを解説してくれる本。名士の影響力の大きさから蜀に関しては建国当初北伐に至るまで在地世論としては案外冷めた目であったという解説は中々世知辛いながらなるほどなあと思わされた。所詮は劉備も諸葛亮もよそ者による政権ですものね。また漢中争奪戦における鶏肋について、人口を強制的に移住させた後での空の土地である漢中はたしかに「鶏肋」であろうという指摘も面白かった。
0255文字
しゅー
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★★★「学術」文庫ながら『三国志演義』をベースに実際の歴史と対照させていく語り口なので親しみやすい。特に前半は三国志ファンへ大いにおすすめできる。『演義』であつかいが軽い呉にスポットライトが当たっているのが面白い。呉が蜀と魏のどちらと手を結ぶかが戦況に大きく影響すると言う視点だ。(それぞれの国力を考えれば自明なのだが▪▪)また、各国の外交使節が丁々発止の舌戦を繰り広げる部分はもっと演義に取り入れて欲しかったな。別の新書で知った「名士=知識人」の影響力も、演義の出来事に沿って説明されており、改めて納得した。
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さとうしん
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演義の専門家による歴史本ということになるが、史実と演義との比較によって流れをつかむという点で演義の影響力というか効用を再認識させられた。時代史の展開のほか、外交・情報戦略、儒仏道三教の成立、書道史、邪馬台国も含めた国際関係など、関連の話題で触れるべきものをあらかた網羅しており、気配りが効いている。
0255文字
OKB
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『吉川英治三国志』に熱中した日々を思いながら読んだ。ありがちな『演義』の世界の切り捨ては避け、史実と比較しながらその形成過程や特質にも焦点をあてることで、『三国志の世界』の実相と後世の語り方を重層的に描いていく叙述スタイルが素敵。著者が呉を贔屓するのも、我が意を得たりといったところで、永く愛蔵したい。
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