形式:文庫
出版社:文藝春秋
形式:単行本
西岡棟梁の口伝「神仏を崇めずして伽藍舎頭を口にすべからず」「伽藍造営には四神相応の地を選べ」「堂搭の建立の用材には木を買わず山を買え」「木は方位のままに使え」「堂搭の木組みは寸法で組まず木の癖で組め」「木の癖組みは工人の心組み」「工人達の心組みは匠長が工人への思いやり」「百工あれば百念あり、これをひとつに統ぶる。これ匠長の器量なり。百論一つに止まる、これ正なり。「百論一つに止める器量なきものは謹み畏れて匠長の座を譲れ」「諸々の技法は一日にしてならず、祖神たちの神徳の恵みなり、祖神忘れるべからず」
「人に任せ人に譲ることで、伝統の技を生きたものとして伝えていけ」
棟梁の元では、泊まり込みの共同生活である。そこが大切。個人の時間がなくて、自由がないという人がいるが、そういうのは修行の時間に必要なのかと、逆に投げかける。修行中は大工ということに浸りきる。寝ても覚めても仕事のことしか考えなくていい。一つのことに打ち込むことで人間が磨かれる。また共同生活の中で、思いやりややさしさも身に付く。しかし本当のやさしさとは、ただ人の面倒をみることではなく、自分自身に厳しく生きていかないと身につかない。厳しさのないやさしさは、甘えにつながり、人も育たず、技も身につかない。
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