形式:文庫
出版社:講談社
憲法を抵抗と独立の問題ととらえているように読める。海外にから日本をみて、独立の大切さに気付く櫻井の経歴は白洲に似ているところがある。他方で憲法を肯定する立場では、白洲の抵抗と独立の問題をどの様に考えるのだろうか。上巻で最も上手く書けているのは、近衛の憲法への取り組みと、マッカーサーの裏切りと自死の場面だ。手のひら返しの近衛に対する戦後の世論の厳しさと、それを巧みに利用したマッカーサーの世論誘導。間に入った白洲の必死の抵抗。自死を決めた近衛の最後の晩餐。肯定的に読むかどうか、微妙に政治性が問われてしまう。
でも次郎さんのように、結果は変わらないとわかっていたとしても自分の意思表示をするのは本当に大切だと思っている。「言っても無駄だ」とよく言われるけれど私はそうは思わない。次郎さんの民政局内でのあだ名はMr.Whyとのこと。あれはジープウェイ・レターというのか。育ちのいい生粋の野蛮人。むつきとはおむつのこと。
政治家は、国民の総意によって動かされると最近思うようになりました。吉田茂が必死になって戦争を回避しようとした描写もありますが、結果日本が開戦を選んだのは、当時の日本国家の状況が、戦争を選ばざるを得なかった。と思うようになりました。でも、日本国憲法を自分たちで作ることができなかったあたりは、胸がしめつけられるようでした。
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