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神学・政治論(下) (光文社古典新訳文庫 Bス 1-2)

感想・レビュー
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tks48
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上巻では聖書の解釈についてがほとんどだったので、冒頭の「本書は、哲学する自由を認めても~」というくだりをすっかり忘れていた。モーセの統治を社会契約と結びつけるのは少しこじつけがましく思えたが、それほどまでにデリケートな題材だったと解説を読み納得した。これも先に解説を読むべきだったが、上巻を読む前に下巻の解説をはなかなか読めないな…とも思う。
0255文字
mikio
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「国とは人間を理性的存在から野獣や自動人形におとしめるためにあるのではない。むしろ反対に、人々の心と体がそのさまざまな機能を確実に発揮して、彼らが自由な理性を行使できるようになるために、そして憎しみや怒りや騙し合いのために争ったり、敵意をつのらせ合ったりしないためにある。だとすると、国というものは、実は自由のためにあるのである。」(P304)人々の自然権を保障する点に国家の存在意義があり、自然権の保障とは、思想・言論・表現の自由の保障なしには成り立たない。スピノザの社会契約説は現在の民主政体に通じる。
mikio

「正義とは、誰にでもその人に市民としての権利上認められていることを保障しようという、ゆるぎない心構えのことである。」(P169)

12/15 14:28
0255文字
斉藤達也
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スピノザに拠れば、民主政治は神権政治、即ち至高の道徳の下でなければ機能しない。日本のような科学を不道徳の根拠として悪用する金権政治の国では、民主主義が機能せず上級国民による独裁政治に堕するのは当然ということになるのだろう。
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あじぽん
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下巻は信仰のまとめと国家論。人間は快を好んで、不快を嫌う存在。同時複数に存在する快不快を選別しながら行動している。至高の権利をもって自然の範囲でどんな行動もとることができるが、理性の判断に従うほうが最終的に得である。だからみんなの自由な理性が発揮される民主制が望ましい政治体制であり、価値観を押しつけ自由な思考を妨げるような体制は国家を破滅に導くとのこと。ただ民主主義国家の現状を見ると素晴らしい体制だとは思えない。民主制にそもそも欠陥があるのか。それとも未だ制度が未完成なのか。いったいどっちなのだろうか。
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いとう・しんご singoito2
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(上巻からの続き)聖書の言葉だけを根拠に頑なに妊娠中絶や性的多様性を否定するキリスト者も一定数いるようですが、そういう人も含め、多くのキリスト者に本書の聖書解釈の方法に接して欲しいと思います。本書の後半、5章は国家論で思想信条の自由を力説しています。「理性は、総じて平和を求める (注、ホッブズはそう考えていない)。」P337という言葉にスピノザの独自性と信仰の所在がうかがえます。1670年に匿名出版され、2年後には禁書にされたという経緯を述べた解説も参考になりました。読んで良かったです。
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一郎二郎
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モーゼ以前族長達に神はその都度の自らの力を表したに過ぎず、名すら知らせなかった。ヘブライ人は神と契約をし、自分の権利を神に譲り渡し、国家を得た。この国では、教義は国が定めた権利関係と同一であった。やがて、権利をモーゼに譲ってしまったり…。このような政体は、神の契約が心に書かれるキリストの時代には成立し得ない。キリスト教は私人の集まりにすぎなかった。ローマ帝国に導入されると、解釈者として支配をはかるため教義を膨らませる。キリスト教は単純であり、神の本質をあるがままにとらえるような認識は啓示信仰と関係がない。
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加納恭史
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この本の主題の一つは「神即自然」。主著「エチカ」でも述べられるが、この本の説明が丁寧である。神と自然(厳密に言えば自然の世界を生み出している力そのもの)を同一視するスピノザの立場を力説する。神が自然であるといっても、自然の世界には山の神や川の神や便所の神という無数の神々が宿っているという多神教に慣れた日本人の考え方に近い。スピノザにとっての自然とは、同じ法則に隅々まで支配されるただ一つの世界。この神は無限で、あらゆる自然を内包する。いわゆる汎神論である。従って自然の法則の通用しない外部領域は存在しない。
加納恭史

「広い社会の一員としての節度はきちんと守れ」。聖書自体はこうした道徳(「隣人愛」と「正義」)の根拠を理性的に解き明かしていない。むしろ聖書は神の権威により、または神からの啓示を受けた預言者の権威により、こうした道徳を一切疑うことなく守り続けるように人々に命令する。聖書の道徳はその形式上、理性による理詰めの道徳でなく、権威による命令の道徳なのだ。聖書の権威のおよぶ領域とおよばない領域を仕分けしようとするスピノズの試みは、皮肉なことに、聖書の権威に過剰な思い入れのある社会であるほど感情的な反発を受けやすい。

05/12 13:20
加納恭史

聖書の至る所で説かれる(スピノザによる)愛と正義の道徳は、世の中の人間関係を下支えして社会そのものを安定させる社会的な役割を担っている。だとすると、社会の中に対立や迫害を生み出すために聖書の文言を政治利用することは、聖書本来の存在意義に真っ向から反する行いである。この本の後半から、スピノザの考察は神学(宗教)から政治に移る。彼はまず人間社会とそれを支える政治権力、つまり国家の成り立ちや性質を、特定宗教の教義に頼らない純世俗的な見地から説明しようとする。その説明図式で用いられるのはある種の社会契約説である。

05/12 18:24
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おたま
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下巻ではそれまでの神学論(聖書論)から一気に政治論へと転換する。16章と20章に特に顕著。スピノザは、たぶんホッブズ(未読)の「社会契約論」から多くを継承しているように思う。人間はその本性からして自由な存在ではあるが、自由同士が衝突を繰り返すようでは安定した社会とは言い難い。そこで相互に契約し、自己の自然の権利を譲り渡すことで「至高の権力」を生み出す。それに従うことで社会を安定させる。そこに国家が生まれてくる必然もある。これがたぶん、法による統治ということだろう。宗教とは決別して、権力は語られる。
hart

おたまさん、相変わらず勉強してますね。「暴力で支配する国・権力は内部から腐敗し、抵抗を呼び起こし瓦解するだろう。。。哲学する自由(思想・信条・言論・表現の自由)は断固守られなければならない。」スピノザの政治思想の現代的な意義を示唆し、おっしゃるとおりだと思います。

05/11 09:56
おたま

hartさん、コメントありがとうございます。私はこれまで、政治思想や国家、権力等について、手頃な解説書を読んできました。がしかし、できれば近代思想を形成してきた人々の著作を直接読むことで、その言わんとすることが知りたいと思えてきました。基礎的な思想基盤が欠落しているように思うからです。読む時間もできましたし、今のうちに読んでおかないといつ読めなくなるかという思いもあり、少しずつでも気になったものは読んでいきたいと思っています。(ついついエンタメ系に手を出してしまいますけれど)

05/11 12:06
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Masa
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「裏の主著」⑵◆聖書の批判的読解からスピノザは「哲学の狙いは真理[の究明]にしかないのに対し、信仰の狙いは、もう十分すぎるほど示してきたように、服従と道徳心にしかない」(123ページ)と結論し、「理性は真理と知恵の領域を支配し、神学は道徳心と服従の領域を支配するべきなのである」(137ページ)と主張する。聖書は神への服従とそのための「隣人愛」及び「正義」を説くに過ぎない。ここに哲学と宗教の分離は果たされた。(以下コメント欄)
Masa

スピノザのように自然権を把握するなら、思想・言論・表現の自由は論理的な帰結となる。わざわざ仮構された権利ではなく、人間の本性の発露とも言うことができよう。自然権ひいては人権をこのように理解するのは解りやすく合理的であるし、非常に説得力に富むと思われる。

06/07 14:42
Masa

その自然権の保障という点に国家の存在意義はあるというのがこの書の結論なのだが、先述のとおりスピノザの自然権の把握と社会契約説はうまく整合しているとは言い難く、読んでいてぎこちなさを感じたのも事実である。やはり晩年の『政治論(国家論)』も読まねばならない。

06/07 14:50
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ともブン
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聖書の存在意義は道徳の教科書である。複数の著者や婉曲表現による誇張やバイアスを削ぎ落とし結論づけた上巻から続いて政治論へ。スピノザの来歴や滞在国の歴史的背景など丁寧な解説から、この書がなぜ生まれたのかや誰に向けて書かれたのかなど多いに参考になった。 印象深いのは、哲学(および自由な思考)を何人も侵す事は不可能であり、また押さえつけ極刑に処したとしても国の安定を計ることはできず崩壊させるに過ぎないという結論。そして宗教活動は国の安定と両立せねばならない、という金言。現代までこの本が残ったのは奇跡かも。
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コトラー
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「聖書は単純きわまりない教えしか説いていない」「神を愛し、隣人を愛すること」その行動が正しいとき、聖書は神の言葉と呼ぶことができる。24歳でユダヤ人共同体を追われ、キリスト教徒にもさげすまれ、国を転々として本を書き、44歳で亡くなったスピノザ。この本が明るさに満ち、皮肉っぽくないのは吉田さんの訳のせいか。スピノザの性格的な魅力なのだろうか。
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うえ
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日本に対する言及があると聞き、とても驚く。「キリスト教国を支配している人たちは、自国の安全を高めるためなら、トルコ人などの異教徒たちと同盟を結ぶことをためらわない。また現地滞在に赴く自国民たちには…現地政府が認めている以上の自由を求めないよう促しているのである。オランダ人と日本人の取り結んだ協定からはっきりとわかる。」文脈としては、宗教対立喧しいオランダで、議会派は対立を煽ったり片方に肩入れはしなかった。それは商人の多い議会派にしてみれば信仰の違いで相手を選んでいたらとても商売にならない、という事情から。
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ころこ
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『エチカ』から入り本書を読むか検討している人は、読む必要がないと思います。独裁者に対抗するためには、何らかの特別な啓示によって約束された人に限られる。聖と俗を一致させるのが手っ取り早いというのは、アダム・スミスの考えと近いのではないでしょうか。宗教上の理由から市民生活上の権利をはじめ自由が擁護されるのは、我々の目からは射程が狭い議論だと映ります。現代でも知らずに我々はこの論理を使っていますが、「聖戦」を行う論理に非常に近く、無意識に潜在しているものを批判するためにならば読む意味はあるかも知れません。
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∃.狂茶党
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大変古い書物、日本で言えば江戸時代の本ではあるが、理知的に語られており、読みやすい訳文のおかげもあり、極めて明快に理解できる。 欧米の文化・歴史の至る所に顔を出す聖書について、いつか読まなきゃと思っていたんですが、この本のおかげで、研究書の類を読んでおけばいいかなと思ってしまった。 信仰、あるいは迷信は、不可解なものですが、このように語ることもできる。
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syuu0822
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当時、異端者とも言える存在であったスピノザ。彼の人生は謎に包まれている部分も多いそうですが、神学や政治に対する物の見方は現代人にかなり近く、どれだけ先鋭的であったかが伺えます。 文系で政治や宗教に興味のある方なら読んでおいて損はない一冊だと思います。
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日向夏(泉)
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吉田量彦 訳 読了 #読書メモ 解説という道標がなければ、あまりに高い壁だった…。解説のおかげで、手がかりをもとに、なんとか読み終えた。解説がなければ、完全に勘違いしていたと思う。良い導き手に出会うことは、重要。
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R
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哲学の神学からの独立宣言。聖書の内容を突き合わせていくことにより,聖書の「無謬性」を突き崩していく。スピノザはそのような行為が堂々とできる世の中になってほしかったのではないか。権威は正統性と無謬性を誇示するが,人間社会において「神」以外にそんなものはなく,一方的な権威から距離を置く権利をひっそりとだけどしっかりともとめたのではないか。
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あ
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難しかったけど20章まで読んだらなんとなく分かった
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syuu0822
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思想・言論の自由を取り締まることは、結局臣民の反感を招き、自分への反逆をも許容することにつながってしまうという記述が心に残りました。 全体的に宗教的権威を否定する立場をとっているので、これを書いた当時はすごいバッシングだったんだろうな。
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ポルターガイスト
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後半部の社会契約説的な内容はホッブズでもロックでもないタイプの言説で面白かったけどやっぱり時代遅れ感は否めず半分流しちゃった。しかしユダヤ人的な冷めたユーモアは下巻でも一貫して感じられ,また訳者も同タイプのユーモアの持ち主のようで,解説とあとがきがとても面白く読めた。
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mft
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年越しのスピノザ。上巻の聖書解釈は結局、聖書の細部は欠陥だらけだから神の存在と隣人愛を説いていることだけが重要、と言いたいがためのものだった。そして話題が転換して、権利を委ねて国家を形成したとしても、考える自由は奪えないし、むしろ自由を保障することこそ国家の役割である、とする政治論。明解な説明にはなっていないというか論理展開が雑というか、そこまで納得できるものでもなかった。そう言えたらいいね、というぐらい。
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ヒナコ
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哲学する自由を人から奪えば、道徳が腐敗し平和が保たなくなるというモチーフを忘れずにスピノザの途中下車も含めた思索に付き合うようにと訳者が冒頭に地図を提供してくれていたのでなんとか終着駅に着くことができた。 くねくねと曲がりどこに行くかわからない道程だったが、思索を後で振り返って上空から経路を見てみると、なんとも簡潔な道筋であると納得した。 本著が絶対王政の肯定でもリベラルな宗教的寛容の是認でもないことは13章と20章で明らかになっている。自ら考えることが最高善と究極的な平和の実現の為の必要条件なのである。
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たくやよ我に帰れ
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新約聖書の解釈の後、政治論が展開されてる。契約説的な国家、信仰や言論の自由について書かれているんだけど、自然状態から契約する際、権利を全て他人に譲渡するのはできない(リヴァイアサンへの批判)、自然状態は宗教以前の状態だから人は神に服従できない(私は神即自然なら自然状態こそ至高というと素朴に思っていた)とか、面白いことが書かれていました。全体を通して、神というものが人格を持っていて創造主で聖書(あるいは教会)を通じて真理へ到達する世界観とは一線を画していて、スピノザの神はかなり独特なものだと思いました。
0255文字
amanon
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上巻に引き続き、「身の危険を冒してまで、よくこんな本が書けたな…」と思うことしきり。現在のクリスチャンの目からしても、相当にラジカルに映るのに、当時の人達が本書をどれだけ危険視していたかは、推して知るべし。解説にもある通り、本書は国家が言論の自由を保障することが、国家の安全を保障することを説いたものだが、その考えに対する著者の思いは伝わってくるものの、もう少し他の書き方はなかったのか?とつい思ってしまう。後、キリスト教の立場から本書に言及したものが殆どないのも不思議。これは探求の余地があると思うのだが。
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yomayoma
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自由と国家の関係がギリギリで試され続ける。前提にある、神の性質と、人間の精神・身体(行為)の問題。また国家間の問題。
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有沢翔治@文芸同人誌配布中
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面白い。ただ聖書分析から国家論へは飛躍が大きい。
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記憶喪失した男
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いやあ、みごとな神学だったなあ。聖書学としては今まで読んだ中で最も面白いものだった。
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ラウリスタ~
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噂に違わぬ素晴らしい本だった。日本語訳は1944年の一回きりだったんだ。これほどに面白くて、そして切実な書がこれまで埋もれていたことは本当にもったいない。下では、上の後半から続いていた細かい聖書解釈の問題に引き続き、ホッブスやルソーを思わせるような社会契約の問題が浮上する。自由に考え、それを表明することは、鳥が空を飛ぶのと同じような意味で、人間の自然権であり、いかなる宗教、国家もそれを統制することは出来ない。そして、宗教に道徳の、哲学に学問の分野を割り当て、相互不可侵条約を結ぶ。
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かみかみ
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本書でスピノザは、国家の存在意義は人間が本来持っている自然権を保護することにあることが明らかにする。そして、その根幹が自分で物事を判断し、判断したことを言う「哲学する自由」を説く。そのために最適な政体が、常に(個人・国家間、あるいは個人間の)契約の誠実性と権力の行使についての気配りが求められる民主制であり、自分もその一部を成している社会全体の多数派に権利を引き渡すことになるため、理不尽が生じることを恐れる必要があまりない、という主張が先を見据えていて感嘆に値するものだった。
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吟遊
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スピノザの「考察集」であることがよくわかる。必ずしも、(エチカのような)完全な体系や、一本だけの軸に基づいていない。章ごとに少しずつ異なるテーマも扱う。 訳について。岩波の旧訳が改訂されず、旧字・聖書の訳も文語といった点を改める意味も含め、現代にスピノザが口語で語ったら、といった調子の翻訳。 注釈も充実しており、言葉遣いはわかりやすく、訳者の努力あって、内容がすーっと入ってくる読みやすさをもったすばらしい訳業なのかな、と思った。
0255文字
chanvesa
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政教分離をどちら側からも徹底していく姿勢は、まさに両者の狭間にあった哲学をいかに確立していくかが背景にあったのだろう。「国というものは実は自由のためにある(304頁)」という宣言はもちろん理性という大前提にある。この本の中で明言されているわけではないが「思想・信条の自由」、内面的自由が最上位にあり、その補完的な手段として「表現の自由」のような外面的自由があると無理矢理だが読めないだろうかと考えていた。いまや「理性」が怪しい。理性をブレーキとするには、全幅の信頼を置くだけでなく、何か補助線が必要な気がする。
0255文字
まつだ
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教会批判と聖書の検証から王権神授説と社会契約説の萌芽へと至る。理性と信仰は上下ではなく等価であるということ。まぁ、ローマ帝国にしてみれば都合の悪い本であろう。とにかく新訳が非常に読みやすい。「見切り発車」とかでてきて面食らう。丁寧な訳注、脚注が理解を助け、とりわけ解説が圧巻。まずはこの解説を読むだけでも価値がある。
ラウリスタ~

ローマ帝国?

01/14 00:03
0255文字
壱萬参仟縁
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モーセは自分の指摘を民衆にもっともらしく思わせようとして、自分で考えてイスラエル人に「わたしがお前たちとともに生きてきた間でさえ、お前たちは神に背いてきた。だとすると、わたしが死んだあとはなおさらそうなるだろう」と語った(47頁~)。契約が破られたら、破った側に利益を上回る害が生じるようにしておくよう努めてなければならない(159頁)。ひとはそれぞれ自分の欲望に引きずられ、その精神は理性の入る余地など残らないくらい、往々にして貪欲や虚栄心や妬みや怒りに強く支配されてしまう。
壱萬参仟縁

このため、裏切らない約束を結び、信頼を裏切らないよう契約しても、別の何かが加わらないと、ひとは安心して他人を信頼することができない(160頁)。かなり慎重な態度が伺える。権力に服する人たちが求められることは、至高の権力の指図を実行するよう、至高の権力がお墨付きを与えた権利関係以外を認めないよう求める(164頁)。共同体や国家の場合、民衆全体の福祉こそが最高の法(165頁)。

01/14 08:16
壱萬参仟縁

権利の侵害とは、市民つまり臣民が他人から何らかの損害を被ることを余儀なくされ、市民としての権利に、至高の権力が出す布告に反している場合に起きる(168頁)。正義とは、誰にでもその人に市民としての権利上認められていることを保障しようという、ゆるぎない心構え(169頁)。自分で判断する自由、考えたいことを考える自由は、誰も放棄できない。民衆は自分の口を閉ざすことはできない(303頁)。

01/14 08:17
0255文字
hryk
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哲学書の感想にネタバレタグ付けている人意味がわからない。
hryk

たぶんこの本が刊行時危険思想扱いされたことを踏まえてるのだろう。なるほど。

08/27 21:51
0255文字
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神学・政治論(下) (光文社古典新訳文庫 Bス 1-2)評価84感想・レビュー44