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sabosashi
さんの感想・レビュー

sabosashi
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(1) フリーダ・カロが二十世紀前半メキシコ文化史の光だとすれば、影はルペ・マリンにちがいない。誰もが心得ているようにフリーダはメキシコのあの大壁画家ディエゴ・リベラの二度目の奥さんで、長いことディエゴに付き添うような存在であったのに、いまでは世界のフリーダになってしまった。いっぽうルペ・マリンこそディエゴの初めの奥さんである。 (2)ディエゴはメキシコ革命後の新生メキシコの課題としての民衆への啓蒙運動と国家的国家的壁画のプロジェクトに身を粉にして働く。
sabosashi

そんなときに当のルペ・マリンと結婚したのだが文字通り家に帰るのは寝るだけというブラックぶり。そんななかでルペ・マリンはミューズとして新進の画家、詩人たちから偶像化されるほど。 (3) しかしルペ・マリンと詩人との暮らしは悲惨な結果へといたる。ルペ・マリンはディエゴとのあいだに二人の娘をかかえていた。離婚ののち、つまりディエゴがフリーダと暮らすようになってもディエゴのところに入り浸っていた。もっともディエゴの屋敷はサロンのような性格も備えていた。

03/31 15:08
  • kaho
  • kaoru
  • ガラスの文鎮(文鎮城)
  • ヴェネツィア
  • syaori
sabosashi

ルペ・マリンは料理の腕には評判があって、いわばディエゴたちの食事の世話もしていたと思われる。ただこのルペ・マリンがくせ者で、性格が尊大で人と折り合うのがむずかしかったにもかかわらず、影響力を誇った。 (4)ディエゴ、フリーダ、それにルペ・マリンときては、メキシコの二十世紀前半の文化人、アーティストが勢揃いということになる。そこは著者そのものがメキシコ文化社交界にだれよりも通じていた人物であるがゆえに、いままでだれも記したことがないような綿々とした事実が語られる。

03/31 15:09
  • ケイ
  • kaho
  • kaoru
  • ガラスの文鎮(文鎮城)
  • ヴェネツィア
  • 夢追人009
  • syaori
sabosashi

文化人ということでは、わたしなども仰ぎ見るような眼差しでずっと眺めてきたものの、この著者によってすさまじく戯画化される。 (5)さらにはディエゴ・リベラの娘たち、その配偶者、孫たち、細々とした事実が積み重ねられてくる。ディエゴという巨大な姿を引き摺っていくひとたち。そこでも戯画化は徹底されるものの、血と涙の物語とも化し、あらま、これはメロドラマになってしまうわ、とはらはらしているところで膜が降りる。月並みだが畢生の大作、ほとんどだれも知らないようなことが明かされているのだ。

03/31 15:09
  • ケイ
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読書データ

プロフィール

登録日
2011/09/26(4934日経過)
記録初日
2012/08/14(4611日経過)
読んだ本
647冊(1日平均0.14冊)
読んだページ
211473ページ(1日平均45ページ)
感想・レビュー
645件(投稿率99.7%)
本棚
5棚
性別
外部サイト
自己紹介

 英語はあまり得意ではない(得意だと思っていた時期もあったが)。
 それでも映画にて「存在のたえられない軽さ」を見たときは、原作をぜひ読みたいものだと思った。
 当時、邦訳はまだ出ていなかったので英訳を買って読んだ。
 The Unbearable Lightness of Beingである。
 わりとやさしく読めたと思った。
 それに味をしめたのか、おなじくミラン・クンデラのImmortalityの仏訳を買って読もうとした。
 しかしそう簡単には読めるものではないのである。
 おなじことはエーコでも発生した。
 The Name of the Roseを英文で読もうとしたのである。
 カトリック英語には詳しいはずだった。
 しかし哀しいかな、読み進められる道理はなかった。
 ドリス・レッシングのThe Golden Bookを読み始めたときは決死の覚悟であった。
 だが案の定、なかなか読み進められない。
 一年以上もかかってようやく終える(正しくは二年以上)。
 そんなていたらくな生き方しかできないわたくしであるのが哀しい。

(そういえば、マルコム・ロウリーのUnder the volcanoのペーパーバックをもらったことがあった。字が小さいので、ちょっと引く。しかし西訳のBajo el volcanと並行して読むことにした。なんとか読み終えた。しかしあとには頭になにも残っていなかった)

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