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つかず8
さんの感想・レビュー

つかず8
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オーディブル。非常に面白い内容だった。官僚という職業というものにこれまで全く触れてこなかったので、文字通りその生態に触れることができた。著者の森永さんは官僚は飛び切り優秀な人材であるものの、自分たちに都合の良い制度や政策を作り上げるという負の側面を強調して書き上げており、多少の偏見やナラティブが含まれており、すべてを信じるのは危険と思った。ただ、現在官僚の人気は落ちてきているとはいえ、超高給取りの外資系銀行やコンサルを抑えて、トップオブトップの東大法学部の主要な就職先は官僚(特に財務省)である。
つかず8

その人たちが何を考え、官僚になる事にどのようなベネフィットがあるのか考える良い機会となった。かつての官僚のベネフィットは給料以外の所謂フリンジベネフィットであり、最大のものは毒饅頭とも揶揄される接待(性接待含む)と天下りであった。給料は公務員規定で他の公務員と大きな差をつけることはできず、その代わりにあるのが天下りである。天下りは官僚を退職した後に民間企業のコンサル等の労働実績が乏しい職業に転職し、多額の役員報酬を受け取るというものである。これは若手時代に過酷な労働をしたことへの見返りであり、

03/03 10:00
つかず8

現在の官僚が死守しなければならない(そうしないと割に合わない)利権である。この利権は効力を得るのが50代以降になる為、現在の組織がより一層硬直することが容易に想像できる。東大生の就職人気が落ちてきているのも恐らくこの辺で、そこまで個人的にも国力的にも耐えられないということが想像できる。官僚の利権の崩壊は平成初期から既に始まっており、ノーパンしゃぶしゃぶ事件を発端に露骨な毒饅頭は見られなくなってきている。また、2012年に安倍政権(小泉?)が打ち出した官僚主導の政治体制が官僚に致命的な打撃を与えているように

03/03 10:06
  • キ♡リン☆か
つかず8

にも思う。つまり、日本丸のかじ取りをする仕事のやりがいをほとんど奪われてしまったということであり、官僚はより公務員らしく保守的に省力的に仕事をするという思考になっていったと本書は主張する。この主張には一理あると思われる。日本のトップオブトップの優秀な人材が素人同然の政治家から降りてくる指令に従わなければならないのは損失であると思う。また、官僚同士の結婚や業界との癒着がなくなったことで業界知識が何もない狭い世界で政策を作ることになり、これが世間とのズレを生じさせている。これもロジックとしては合っている。

03/03 10:11
  • キ♡リン☆か
0255文字
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つかず8
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読書データ

プロフィール

登録日
2023/05/01(698日経過)
記録初日
2023/01/29(790日経過)
読んだ本
188冊(1日平均0.24冊)
読んだページ
50051ページ(1日平均63ページ)
感想・レビュー
177件(投稿率94.1%)
本棚
0棚
性別
現住所
神奈川県
自己紹介

医療・健康・教育・哲学・宗教・ビジネス書・自己啓発をメインで読んでいましたが、最近は小説がマイブームです。
目標年間100冊(2冊/W、8冊/M)。

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