年齢を重ねるにつれ、自分自身の中で失いつつある純真な部分を小説を読むことによって水分補給しています。ほとんど文芸書しか読まないのですが、フィクションであるがゆえの心の広がりを期待しています。どちらかと言えば甘口書評だと思っていますが、自己に甘いのでせめて他人にも甘くしたいという気持ち(笑)とネットを通して多くの方と共感したいという思いが強いのだと思う。
2015年年間ベスト10
1 『世界の果てのこどもたち』 中脇初枝(講談社)
2 『ストーナー』 ジョン・ウィリアムズ (作品社)
3 『永い言い訳』 西川美和 (文藝春秋)
4 『低地』 ジュンパ・ラヒリ (新潮社)
5 『ナオミとカナコ』 奥田英朗 (幻冬舎)
6 『昨夜のカレー、明日のパン』 木皿泉 (河出書房新社)
7 『霧 ウラル』 桜木紫乃 (小学館)
8 『下町ロケット2』 池井戸潤(小学館)
9 『晴れたらいいね』 藤岡陽子 (光文社)
10 『絶叫』 葉真中顕(光文社)
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しかし本作品集では懐かしいと言えばオーバーかもしれないけれど伊庭と赤城によって語られている残りの4編が主役というかメインだと考えるのが妥当であろうか。その中でも赤城によって語られる彼自身の過去のヨーロッパでの前歴や元エースである石尾との話が特に印象的である。というのはサクリファイス以前のチームオッジの過去の話が語られていて、競技だけでなチーム内のエースを中心とした変化の過程、とりわけ赤城と石尾との信頼関係が築かれて行くシーンが圧巻で、本作を読むことによって1作目のストーリーがより感動的に読者の胸の内に入る
ご存知のように本シリーズは白石が2作目以降ヨーロッパに活躍の舞台を移すのであるが、赤城によって語られる石尾の存在の影響をかなり受けていると思われる。彼の意志を受け継いでヨーロッパで活躍している白石の姿が浮かび上がって来る。人生以上にドラマティックで厳しい世界を見事に描いている作者には頭が下がる思いである。
そして毎度ながら本シリーズのタイトル名の命名には度肝を抜かれるのであるが、今回も同様であった。今回のサヴァイブという言葉は本当に力強く、とりわけ本作で描かれているアシスト役を貫いている姿勢を語っているように捉えている。それは“チームの結果に結びつくなら、自分(アシスト役)は最下位でも構わない”という近年の私たち日本人が忘れている姿勢であると思わずにはいられない。人生時には送りバントも必要ですよね、いい勉強となった一冊であることを付け加えておきたい。
なんかトラキチさんのレビューを読んでいたらまた読みたくなってきました。
コメントありがとうございます。私も2作目までは再読しましたのでよりわかりやすかったです。是非再読を(^^)/
トラキチ さん、ナイスありがとうございます。仰るとおり、アシスト役が精一杯は、切ないところで体力はいかんともしがたいですね。キアズマに期待したいと思います…。
キアズマは舞台が大学に移りますが、かえって新鮮かも。小説新潮で再連載始めた最新のものはまた白石が登場するみたいで、興味が尽きません。