読書メーター KADOKAWA Group

トラキチ
さんの感想・レビュー

トラキチ
新着
シリーズ第3弾で初の短編集。全6編からなるのであるが、時系列が少しややこしいが逆に構成が圧巻である。最初と最後はお馴染みの主人公である白石の語りで始まり締め括られる。最初はフランス、最後はポルトガルでの話なのであるが、どちらもドーピング問題を扱っており自転車ロードレースの世界最高レベルでの戦いの過酷さを描写していると言って良いのであろう。これを読むと日本人でそこで活躍できるのはアシスト役が精一杯なのも頷けてくるのは少し切ない。
トラキチ

しかし本作品集では懐かしいと言えばオーバーかもしれないけれど伊庭と赤城によって語られている残りの4編が主役というかメインだと考えるのが妥当であろうか。その中でも赤城によって語られる彼自身の過去のヨーロッパでの前歴や元エースである石尾との話が特に印象的である。というのはサクリファイス以前のチームオッジの過去の話が語られていて、競技だけでなチーム内のエースを中心とした変化の過程、とりわけ赤城と石尾との信頼関係が築かれて行くシーンが圧巻で、本作を読むことによって1作目のストーリーがより感動的に読者の胸の内に入る

03/03 20:43
  • イノ
  • なゆ
  • ミッキー・ダック
  • 天の川
  • モルテン
  • めん
  • 文庫フリーク@灯れ松明の火
  • 里愛乍
  • 紫綺
  • ゆりのき
  • anne@灯れ松明の火
  • わか
  • kiisuke
  • 背番号10@せばてん。
  • clearfield
トラキチ

ご存知のように本シリーズは白石が2作目以降ヨーロッパに活躍の舞台を移すのであるが、赤城によって語られる石尾の存在の影響をかなり受けていると思われる。彼の意志を受け継いでヨーロッパで活躍している白石の姿が浮かび上がって来る。人生以上にドラマティックで厳しい世界を見事に描いている作者には頭が下がる思いである。

03/03 20:45
  • イノ
  • なゆ
  • ミッキー・ダック
  • 天の川
  • モルテン
  • めん
  • 文庫フリーク@灯れ松明の火
  • 里愛乍
  • 紫綺
  • ゆりのき
  • anne@灯れ松明の火
  • もふいんこ
  • わか
  • kiisuke
  • 背番号10@せばてん。
  • clearfield
トラキチ

そして毎度ながら本シリーズのタイトル名の命名には度肝を抜かれるのであるが、今回も同様であった。今回のサヴァイブという言葉は本当に力強く、とりわけ本作で描かれているアシスト役を貫いている姿勢を語っているように捉えている。それは“チームの結果に結びつくなら、自分(アシスト役)は最下位でも構わない”という近年の私たち日本人が忘れている姿勢であると思わずにはいられない。人生時には送りバントも必要ですよね、いい勉強となった一冊であることを付け加えておきたい。

03/03 20:46
  • 天の川
  • めん
  • 文庫フリーク@灯れ松明の火
  • 紫綺
  • anne@灯れ松明の火
  • 背番号10@せばてん。
clearfield

なんかトラキチさんのレビューを読んでいたらまた読みたくなってきました。

03/03 20:51
  • 文庫フリーク@灯れ松明の火
  • anne@灯れ松明の火
  • トラキチ
トラキチ

コメントありがとうございます。私も2作目までは再読しましたのでよりわかりやすかったです。是非再読を(^^)/

03/03 21:08
  • 文庫フリーク@灯れ松明の火
  • anne@灯れ松明の火
keiトモニ

トラキチ さん、ナイスありがとうございます。仰るとおり、アシスト役が精一杯は、切ないところで体力はいかんともしがたいですね。キアズマに期待したいと思います…。

03/04 10:27
  • トラキチ
トラキチ

キアズマは舞台が大学に移りますが、かえって新鮮かも。小説新潮で再連載始めた最新のものはまた白石が登場するみたいで、興味が尽きません。

03/04 16:42
  • keiトモニ
0255文字
全7件中 1-7 件を表示

トラキチ
さんの最近の感想・レビュー

板上に咲く MUNAKATA: Beyond Van Gogh

板上に咲く MUNAKATA: Beyond Van Gogh

原田 マハ
版画家として著名な棟方志功の生涯を、彼の妻チヤを通して描かれている。本作はゴッ…続きを読む
リラの花咲くけものみち

リラの花咲くけものみち

藤岡 陽子
祝ドラマ化。作者の代表作と呼ぶにふさわしい作品と言える。問題提起に長けた作品を…続きを読む
夫妻集

夫妻集

小野寺 史宜
作者の良いところが詰まった秀作であり読後感抜群の作品。4組の夫婦が描かれている…続きを読む
私たちの世代は

私たちの世代は

瀬尾 まいこ
やっぱり瀬尾作品は良いなと思い知らされた作品で、作者の暖かい眼差しと奥行きの深…続きを読む
君に光射す

君に光射す

小野寺 史宜
主人公はある事情により教師を辞め警備員として働いている32歳の男性が主人公。教…続きを読む
月の立つ林で (一般書)

月の立つ林で (一般書)

青山美智子
心暖まる物語に飢えている人に是非手にとって欲しい一冊。五編からなる連作短編集の…続きを読む

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2009/02/06(5893日経過)
記録初日
2009/01/19(5911日経過)
読んだ本
1126冊(1日平均0.19冊)
読んだページ
344915ページ(1日平均58ページ)
感想・レビュー
804件(投稿率71.4%)
本棚
74棚
性別
血液型
O型
職業
事務系
現住所
大阪府
外部サイト
URL/ブログ
http://torakichi2.jugem.jp/
自己紹介

年齢を重ねるにつれ、自分自身の中で失いつつある純真な部分を小説を読むことによって水分補給しています。ほとんど文芸書しか読まないのですが、フィクションであるがゆえの心の広がりを期待しています。どちらかと言えば甘口書評だと思っていますが、自己に甘いのでせめて他人にも甘くしたいという気持ち(笑)とネットを通して多くの方と共感したいという思いが強いのだと思う。

2015年年間ベスト10
1 『世界の果てのこどもたち』 中脇初枝(講談社)
2 『ストーナー』 ジョン・ウィリアムズ (作品社)
3 『永い言い訳』 西川美和 (文藝春秋)
4 『低地』 ジュンパ・ラヒリ (新潮社)
5 『ナオミとカナコ』 奥田英朗 (幻冬舎)
6 『昨夜のカレー、明日のパン』 木皿泉 (河出書房新社)
7 『霧 ウラル』 桜木紫乃 (小学館)
8 『下町ロケット2』 池井戸潤(小学館)
9 『晴れたらいいね』 藤岡陽子 (光文社)
10 『絶叫』 葉真中顕(光文社)

参加コミュニティ1

読書メーターの
読書管理アプリ
日々の読書量を簡単に記録・管理できるアプリ版読書メーターです。
新たな本との出会いや読書仲間とのつながりが、読書をもっと楽しくします。
App StoreからダウンロードGogle Playで手に入れよう