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2024年7月の読書メーターまとめ

パトラッシュ
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35
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感想・レビュー
35
ナイス
7602ナイス

2024年7月に読んだ本
35

2024年7月のお気に入り登録
8

  • sak
  • 眉毛ごもら
  • ランボ
  • かたつむり
  • Kom
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  • あめ
  • あきの

2024年7月のお気に入られ登録
19

  • おにぎり
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  • nanao
  • たかこ
  • かたつむり
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2024年7月にナイスが最も多かった感想・レビュー

パトラッシュ
本格ミステリを批判する際の「人間か描けていない」という常套句に、完璧に実作で反論してみせた。傍目にはくだらないゲームに熱中する高校生の生態を描きながら、今この時しかない青春を全力で燃やし尽くそうとする若者たちの姿が実に魅力的であり、各編の謎やトリックも面白い。ただ、ここまで頭脳プレイに徹してリアルを排した作品では、宮部さんと京極さん以外の直木賞選考委員の壁は厚かったに違いない。ミステリ読者なら当然の図面やイラスト入りの形式も、一般の作家には想像できないだろう。その意味で早すぎた作品と呼ばれるかもしれない。
アンベラー
2024/07/21 07:44

おはようございます! この本娘婿のユーくんが面白いから是非読んでみてと言われました 今日から読む予定です

かみーゆ
2024/09/24 19:06

いいねありがとうございました。直木賞選評、宮部みゆきが意外にも評価低かったですね。。トルネコ好きの宮部さんとは好きなゲームのジャンルが違うってことなんでしょうか。。

が「ナイス!」と言っています。

2024年7月にナイスが最も多かったつぶやき

パトラッシュ

先月、5年ぶりの海外旅行でベトナムのハノイを訪れた。改革開放期の中国のように活気に満ち、昭和日本の風情もあった。社会主義国のはずなのに全然そんな感じがしないのが不思議だった。(写真は「世界の歩き方」にも載っていない秘密の観光地トレインストリート)2024年6月の読書メーター 読んだ本の数:34冊 読んだページ数:11007ページ ナイス数:7465ナイス ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/1009613/summary/monthly/2024/6

先月、5年ぶりの海外旅行でベトナムのハノイを訪れた。改革開放期の中国のように活気に満ち、昭和日本の風情もあった。社会主義国のはずなのに全然そんな感じがしないのが不思議だった。(写真は「世界の歩き方」にも載っていない秘密の観光地トレインストリート)2024年6月の読書メーター 読んだ本の数:34冊 読んだページ数:11007ページ ナイス数:7465ナイス  ★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/1009613/summary/monthly/2024/6
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2024年7月の感想・レビュー一覧
35

パトラッシュ
漂流記小説は極限状態をいかに生き抜くかがストーリーの中心となる。水や食料の乏しい海上から奇跡的に陸へと辿り着くが、そこで生き抜いて故郷へ戻る方策を日々考え続けねばならないのだ。バタン島へ漂着した和久郎たちは考えるのを放棄するまで追い詰められるが、唯一ポジティブな性格を崩さなかった門平に救われる場面は集団で生きる手がかりを示す。板子一枚下は地獄の船乗りにとって信仰が絶対的なものであったり、漂流民を冷酷に扱う鎖国下の政治面も抜かりなく描かれており、単純な冒険物でない歴史的背景から展開するドラマが成立している。
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パトラッシュ
『屍人荘の殺人』で悲惨な最期を遂げた明智恭介が、主役として日常の謎を解明するスピンオフ短編集。名探偵の印象はまるでなかった恭介が、実はドジだが頭脳明晰キャラだった落差がカギだ。いずれも普通なら見落としてしまう事件の不自然さに着目し、真犯人のトリックに到達する本格短編の王道を見事に実現している。特に「試験問題漏洩事件」は、チェスタトンの著名作を鮮やかに逆転構成させた快作。このまま剣崎比留子と出会わなければ、それなりに有能な探偵として知られる存在になっていたかも。「殺すべきでなかった」との思いが書かせたのか。
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パトラッシュ
アメリカの聖書至上主義者は、進化論は神の意志に反するとの理由で学校で教えるのを禁じようと必死という。バカな連中だと思っていたが、複雑怪奇な進化の仕組みを学ぶのは別の意味で困難である事実を突きつける。進化とは決して単純な変化でなく、従来の常識だった「種を存続させるための自然選択」は実はあり得ない。このため昔のように社会ダーウィニズムや優生学に引き付けて議論することはできず、遺伝子工学やゲノム解析など生命科学の最新状況を知らねばならないのだ。進化論とは少し勉強しただけで理解した気になる怖さの象徴かもしれない。
エル・トポ
2024/07/29 22:28

面白そうだけど難しそうですね。

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パトラッシュ
『源氏物語』に登場する女性は、それぞれが住まう後宮殿舎の名で呼ばれる。それは紫式部が適当に選んだのではなく、各殿舎の位置や故事などを知り尽くした上で「この女はここがふさわしい」と割り当てたのだ。後宮随一の后妃が住んだ弘徽殿は権力者の城であり、不審死を遂げた妃のいた桐壺は悲劇の舞台として、紫式部が仕えた道長の娘彰子がいた梅壺はヒロインの住居にふさわしかった。道長の全盛期に書き継がれただけに、舞台装置である殿舎にも当時の政治情勢が色濃く反映していた。当時の宮中の女性も、全てを承知して読んでいたのは確かだろう。
がらくたどん
2024/07/28 21:57

うわ~面白そうですね\(^_^)/同じ後宮でも「殿」に住める女性と「舎」に暮らす女性って、それだけで貴族と労働者だな~って思った事があります。下層階級の桐壷更衣が暮らす淑景舎から帝の生活空間の清涼殿までの距離といったら。呼ばれる度に「何、お前(フン!)」みたいに意地悪い目で見られたのが最低限の描写でわかっちゃうって凄いですよね♪探してみます!ご紹介ありがとうごさいました(^_^)/

14番目の月
2024/07/29 08:10

へぇ~そうなのですね、知らなかったです、とても面白そう。読みたい本に登録させて頂きました。

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パトラッシュ
カネにたかるワルの系譜は絶えないが、犯罪の遺伝子は新型コロナ同様に変異し続けている。バブル期には銀行や大企業を標的としたヤクザがやりすぎて動けなくなると、デフレ期は個人や中小企業を狙う半グレによるヤミ金や特殊詐欺に移り、さらにITと暴力を組み合わせた強盗が主流となった。いわば日本の貧困化につれて、前の時代に犯罪を学んだ者が社会状況に応じてやり方を変えていく経済犯罪史の教科書となっている。ルフィ事件は最新技術を使いこなす層と使い捨ての実行犯の格差を露呈したが、今後は貧困層は犯罪すらできなくなるかもしれない。
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パトラッシュ
『俺たちの箱根駅伝』の放送パート部分のネタ本。初めて箱根の全面中継に挑んだ日本テレビのプロデューサーや技術陣が、厳しい自然条件や放送技術の壁を乗り越えて実現するまでの熱い記録になっている。今では到底信じられない無理を重ね、次々と現れる難事を解決しながら不可能を可能にしようと挑む昭和の男たちのドラマは、ほとんど「プロジェクトx」の世界だ。ここで描かれたエピソードが小説にそのまま使われているのもあり、選手たちの走りに優るとも劣らぬ激しさで突っ走っていったのがわかる。歴史は仕事に情熱を注ぐ者により作られるのだ。
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パトラッシュ
国内に古墳が16万基もあるとは知らなかった。世界史的に見ても異例であり、数が多すぎて把握も困難だ。そこで主要な古墳を写真を使って年代順に紹介し、時代ごとの特徴と変遷を明らかする。最初は畿内の大王や有力豪族の権威の象徴として造営されたが、地方でも「飛鳥化」と呼ばれて広まり、社会秩序の形成に従って被葬者の地位や財産を示すものとなる。そこには最新の技術や文化が使われ、地方独特の様式が生まれ、単なる墓でなく神として祀る舞台と位置付けられていく。それぞれ歴史の中で人びとが工夫を凝らした痕跡が浮かび上がってくるのだ。
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パトラッシュ
安原顯による村上春樹の原稿売却事件は編集者個人の悪意が発端だが、こちらは文藝春秋の引っ越しに際して溜め込んでいた大量の生原稿を廃棄処分したのが原因。大手出版社が生原稿の価値に全く無知だった点で、わかっていてやった安原より罪深いのでは。古紙問屋に引き取られる寸前に救出され、研究者や愛好家に引き取られた展開はテレビドラマならベタ過ぎと批判されてしまうかも。かつて神田の古書店の店頭で見かけた某作家の原稿も、この時に流出した一部か。あの手のものを業者がどうやって入手するのか不思議だったが、こんな経緯があったのか。
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パトラッシュ
立花隆に対する批判は様々な立場からあろうが、彼ほどスケールの大きなノンフィクション作家は他にいない。角栄から宇宙、共産党や左翼過激派から脳死、さらにニュー・サイエンスに音楽まで、扱った分野と仕事量は信じられないほど膨大だ。かくも旺盛な知的好奇心の源流を、著者は両親から来るキリスト教信仰と哲学を学び詩も書いた経験に探る。神は存在するのか、死とは何かという人の根本的命題を言葉で表す苦闘が、事実を記録するだけの凡百のライターと立花を分ける分岐点だった。考える人として成長したことが「知の巨人」の原点となったのだ。
が「ナイス!」と言っています。
パトラッシュ
旧来の価値観が崩壊した革命後のフランスでは、治安状況も大混乱だった。歴史書ではブリュメールのクーデターでナポレオンが権力を掌握後は劇的に改善したように描かれるが、実際は殺人、強盗、誘拐、贋金と犯罪者のやりたい放題は続いた。これに王党派の叛乱や旧貴族のテロも加わり、不穏な空気が社会に充満していたのだ。それでもフーシェによる警察組織拡充で一応の安定がもたらされ第一帝政成立に繋がるが、皇帝自身も何度も暗殺されかけるなど内実は危険な状態だった。そんな犯罪全盛期も、全欧州を巻き込む大戦争の前には小事でしかなったが。
が「ナイス!」と言っています。
パトラッシュ
元担当編集者による回想録は、作家の人となりを知る上で欠かせない。本書では半ば忘れられるか、特定のジャンルでのみ有名だった人を取り上げていて、和田芳恵、倉橋由美子、源氏鶏太、野坂昭如らかなり以前にチラと読んだきりだった名前を幾つも思い出した。紙に1文字ずつ書かれた原稿を夜中に受け取りに行くなど信じられない時代になってしまったが、そんな頃だからこその濃密な人間関係があったのだ。初耳学認定したいエピソード満載で楽しい本だったが、詳しく書けば面白いのに軽く触れるだけで済ませる話が多かったのは実にもったいなかった。
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パトラッシュ
小田原城について当然視されてきた常識を、次々と破壊していく。「難攻不落の城」との表現は明治に成立したもので、実際は秀吉による攻撃を含め7回攻められ4回落城しているという。有名な「総構」は大構が正しく、現在の城郭は江戸初期の大地震被害から立ち直った姿であり、戦国時代の実像は上書きされてしまった。しかし後北条氏が5代にわたりインフラと城の整備を重ね、関東の首都として栄えた有様が、敗北を知らぬ大都市とのイメージを生んだと見る。畿内を根拠地とする秀吉が、そんな独自の発展を遂げた小田原を許せなかったことこそ当然か。
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パトラッシュ
前作『ノウイットオール』は構成の巧みさで読ませたが、今回は追い詰められた人の心が生んだ状況の作り込みが光る。全員が崖っぷちな出演者ばかりの生トーク番組を、やはり失敗続きで後がない女性プロデューサーが事実上の密室で起こった殺人事件を隠したまま進行を強いられるのだから。てっきりお笑いモードで展開すると思いきや、自分の立場を守ると同時に犯人を見つけ出さねばならない彼女の緊張感がシリアス感を出している。芸能人やテレビ関係者の描写にありがちな部分も残るが、ただ無心にドラマの面白さを堪能したい人には文句ない出来栄え。
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パトラッシュ
本格ミステリを批判する際の「人間か描けていない」という常套句に、完璧に実作で反論してみせた。傍目にはくだらないゲームに熱中する高校生の生態を描きながら、今この時しかない青春を全力で燃やし尽くそうとする若者たちの姿が実に魅力的であり、各編の謎やトリックも面白い。ただ、ここまで頭脳プレイに徹してリアルを排した作品では、宮部さんと京極さん以外の直木賞選考委員の壁は厚かったに違いない。ミステリ読者なら当然の図面やイラスト入りの形式も、一般の作家には想像できないだろう。その意味で早すぎた作品と呼ばれるかもしれない。
アンベラー
2024/07/21 07:44

おはようございます! この本娘婿のユーくんが面白いから是非読んでみてと言われました 今日から読む予定です

かみーゆ
2024/09/24 19:06

いいねありがとうございました。直木賞選評、宮部みゆきが意外にも評価低かったですね。。トルネコ好きの宮部さんとは好きなゲームのジャンルが違うってことなんでしょうか。。

が「ナイス!」と言っています。
パトラッシュ
時代に大きな影響を与えた歴史家とは、自ら挫折を求めるものか。ギボンはカトリックに改宗してオクスフォードからスイスに追放され、ヨセフスは敵将の出世を予言して助命され裏切り者の汚名を着せられた。頼山陽も家こそ第一の時代に脱藩して廃嫡され、周囲に多大な迷惑をかけた。しかし彼らは自由に物事を考える時間を得たからこそ、存在自体がエポックメイキングな歴史書を著わせたのだ。『日本外史』のみならず『ローマ帝国衰亡史』や『ユダヤ戦記』も間違いだらけの歴史物語だが、各人の歴史を叙述する文章力で評価されてきた事情が見えてくる。
が「ナイス!」と言っています。
パトラッシュ
人は誰も自分は他者より優秀であり、金と権力を持つ存在であるべきと願う。しかし現実は容赦なく、己の無能と貧困と無力を日々思い知らせる。こんなはずではない、自分は正しく世界が間違っているとの思いに囚われたところに地球は平面だとか温暖化は起こっていないとの主張を「科学は闇の世界政府による陰謀論」と共に囁かれると、自分は世界の真理を知っているとのプライドに取り憑かれる。プライドの根源たるアイデンティティを守るためなら、エビデンスなど無意味だ。そんな人を説得する様々な手法を提示しているが、無駄な努力としか思えない。
おふねやぎっちらこ
2024/10/11 22:01

無駄かもしれないが努力することは大事だと思う

が「ナイス!」と言っています。
パトラッシュ
『元朝秘史』は『三国志』に次いで、最も多くの物語やドラマの源流となった。世界最大の版図を征服したチンギス・カンの一代記は世界に夢とロマンを与えてきたが、本体の歴史書はほぼ名前しか知られていない。八百年前のモンゴルが舞台だけに、前提となる現地の風土や生きる人びとの生活や常識は想像もできない。そんな諸事情について最新研究に基づく知見をも含み、何をどのように描いてきたかをわかりやすく解説していく。『蒼き狼』や『チンギス紀』に出てきた人名地名の意味を再確認しつつ、巨大な英雄の実像をもっと知りたい思いをかき立てる。
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パトラッシュ
頑固で口下手だが仕事の能力は抜群な人間にとって、同じような相手と結婚するのはマイナスの二乗かもしれない。自分の思いを言葉で表現するのが苦手なので、この相手ならわかってくれるのではと望んでしまうのだ。土門誠と尾藤宏香の夫婦関係は、そんな失敗が運命付けられていた。いくら仕事で功績をあげても人と人の関係がうまくいくはずがないし、まして自分を認め引き立ててくれた尊敬できる上司に裏切られたら心が壊れてしまうのだから。科捜研を舞台にしたミステリというよりも、生きにくさを抱えて苦しむ人の不器用さが真のテーマかと思えた。
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パトラッシュ
病に苦しむ人やその家族は、金を払ってでも健康な臓器を求めた。望むものは与えられる。倫理や法律のうるさい日本ではなく、海外で貧しい人や死刑囚から買い取るという形で。多額の費用が必要な外国での臓器調達や手術あっせんに金儲けの匂いを嗅ぎつけた面々が、提供者も手術を受ける側も仲介する自分たちも三方一両得との理屈で公然と闇の世界で活動していたのだ。調査報道が失われたとされる今日だが、久しぶりに真実を暴くジャーナリズムの成果を読めた。日本人の移植に関する意識が変わらない限り、この闇は決して消えないとの思いが苦く残る。
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パトラッシュ
この手の写真満載の料理ルポ本は定期的に読みたくなる。それぞれの風土と食材と人情に精通した著者が、単にレストランやレシピだけでなく料理が生まれたプロセスを紹介するのだから。こと食べ物に関しては、魅せられた者が魅せられた対象を語るのでなければ美味くない。140頁の薄い本だが、イタリア全土のパスタやスープからワインに生ハムまで内容ぎっしりの重さだ。現地のマーケットやブドウ畑、海山の風景の写真も眺めていると、自分が井之頭五郎になったようで空腹を覚えてしまう。これだけ愛するものと巡り合えた人はきっと幸せ者だろうな。
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パトラッシュ
感想2千冊目。地球の磁極反転で市民の混乱が拡大する中、謎の妊婦行方不明事件も絡み騒ぎが拡大するドラマで読ませる。ただ、今作ではカルト集団や科学者の予算獲得作戦なども描かれるのが物語の展開に有機的に結合しておらず、詰め込みすぎの感が拭えない。しかも難解ながらリアルな科学に沿って進んできたのが、突然『ガンダムSEED』のコーディネーター誕生を思わせる結末になる。それを指導するのが政府や大企業をも言いなりにするマッドサイエンティストとは、古いSFアニメの悪役のようだ。まだ習作段階だが、後の化ける姿を予感させる。
よみとも
2024/07/14 23:59

2000冊ですか。すごい!

パトラッシュ
2024/07/16 20:11

ガラスの文鎮(文鎮城)様、よみとも様 ありがとうございます。

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パトラッシュ
教科書で系統的にではないが、戦後の日本人は学校でなくSFマンガで倫理を学んできた。『鉄腕アトム』で人種差別を、『ドラえもん』で便利さの落とし穴を、『デスノート』で正義と悪のバランスをと、そのマンガを読まなければ考えもしなかった事例は多い。他の作品でも描かれた倫理面の諸問題を取り上げ、宗教や道徳教育の代わりに日本人の一般常識を形成してきたマンガの意味を問う本書は、従来のマンガ論では無視されてきた面に光を当てている。相当マイナーな作品も含まれてるが、生きる上で不可欠な善悪について考えるきっかけになればと思う。
パトラッシュ
2024/07/13 22:03

気付いたら記録1999冊目。次で2000冊の大台に乗る。何冊も並行して読んでいるので、何を選ぼうかなっと。

が「ナイス!」と言っています。
パトラッシュ
スペイン財宝船狩りに出港した250人乗りの英海軍艦船ウェイジャー号は、7か月後チリ南部の無人島で難破するまでに100人以上を壊血病と嵐の海で失い、残る者も人肉食に走るほどの飢えと寒さで次々と死んでいった。海のロマンや栄光とは無縁の、世界の尻の穴で絶望と死神に魅入られた男たちの凄絶な悲劇は読んでいて苦しくなる。生還者は33人だけだが、事件の原因を追及されると都合の悪い政府は曖昧な処分でごまかす。イギリス植民地帝国が膨大な人命を使い捨てることで建設された過程で犠牲となった、無数の船乗りたちへの紙碑といえよう。
パトラッシュ
2024/07/12 21:59

生還者の中には後の詩人バイロン卿の祖父も士官候補生として乗り組んでいた。彼が死んでいたら英文学史は変わっていたし、『フランケンシュタイン』も書かれなかっただろう。歴史はたまに、こうした悪戯をするのか。

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パトラッシュ
シカゴの裏を支配する暴力組織の血で血を洗う内紛は、東映の実録シリーズを思わせる。冷酷非情なボスの手先として粛清を繰り返す男が、実はFBIのスパイという異常な世界。ボロボロになるまで駆け回り巧く立ち回ろうと奔走するが、家族や友を愛するが故に支配される立場から抜け出せず、泥沼であがく弱者の苦しみが全編を覆っている。史実に基づくドラマという謳い文句を疑いたくなる場面もあるが、恐怖政治下で否応なく支配者に従わざるを得ない悲劇が迫る。いつかは叛逆するかと思っていたが逆の道を選んだ結末は、確かにそれ以外なかったのだ。
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パトラッシュ
英中両語を操り、豪州の外交官から首相外相を歴任した著者の精細な分析に圧倒される。西側社会は中国が高度大衆消費社会へ移行すると見ていたが、習近平は共産党の権力衰退を恐れ勢いをせき止めるのに力を尽くした。国の発展よりも権力の安全保障を重視し、毛沢東や鄧小平をしのぐ存在にならんと望んだのだ。そんな習が直面するであろう米中対立のモデルケースを考察し、破滅的な未来を招かない処方箋を提示する。実に冷静で納得できるが、習が敗北の屈辱よりはと全面戦争に打って出る可能性は論じられていない。そうなれば確かにすべて無意味だが。
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パトラッシュ
蛸と芝居は血を荒らすというが、狂気に陥るほど芝居に憑かれた役者に魅せられた者も血が荒れて沸騰するのを抑え切れない。役者の妻、贔屓の娘、饅頭屋に衣裳仕立て屋、鬘師らは全てを芝居に捧げた今村扇五郎の生き様から目を離せず、危険と察しながら強烈な炎に誘われて蛾のようにふらふらと近づいていく。火に焼かれたり大火傷を負っても、扇五郎のためなら人であることを辞めても後悔しないほどの姿が凄まじい。しかし強い火勢は扇五郎自身をも焼き尽くし、自らの死すら芝居として上演してしまうのだ。彼らが幸福だったと疑えないのが怖ろしいが。
が「ナイス!」と言っています。
パトラッシュ
人の心で知らぬ間に巣食っていた違和感や気がかりが、いつの間にか蛹となり少しずつ大きくなっていく。思いがけない真実を知った時に蛹は羽化するが、傷ついた心がどうなるかわからない。耐えられたら前に歩を進められるが、だめならば血を流さずにはおれなくなる。昆虫を愛してやまない魞沢泉は、この世で唯一その傷口が見えていた。傷の痛みに苦しむ人びとに寄り添い、破滅や後悔に苛まれる歪んだ思いをまっすぐにできる本物の心の医師といえる。それぞれの謎は小さくアクションも少ないが、派手なドラマより静けさに潜む悲劇を味わう作品揃いだ。
が「ナイス!」と言っています。
パトラッシュ
ルーカスの伝記や『スター・ウォーズ』誕生までのプロセスを描いた本は珍しくないが、コミック版は初めて。書籍より情報量は少ないが、わかりやすい絵でエッセンスを理解したい読者には最適。極度に対人関係の苦手な田舎者の青年が、自分の作りたい映画を撮るためなら別人のように映画会社と激しくやり合う姿がたまらなく面白い。たいていの人なら放り出すところを絶対に諦めず、何度倒れて入院しても意志を貫き通す頑固さは、好きを仕事にするためなら苦労を厭わないオタクのプライドを感じた。ぜひ初期三部作が完成するまでの続編を読んでみたい。
が「ナイス!」と言っています。
パトラッシュ
道鏡は「女帝の愛人となり政治を支配したあげく皇位まで狙った悪僧」とされてきたが、実像は全く違った。聖武天皇に見い出された道鏡を、称徳天皇は父の思い出を語り合える相手として重用したとする。法王や太政大臣禅師という地位も天皇の仏教指導者としてのもので、当時の国家的事業である西大寺建立に道鏡が関わっていない経緯を史料から証明する。宇佐八幡託宣も皇位を自分の玩具扱いした称徳のワガママによるが、事実を記すと天皇の非が明らかになるので道鏡に罪をかぶせたのだと。称徳という独裁女帝に振り回された時代の犠牲者というわけか。
が「ナイス!」と言っています。
パトラッシュ
「科学は信用できない」とコロナワクチン接種を拒んだ親戚知人は何人もいるが、彼らの主張も当然と思える科学者の失敗や誇張、詐欺や偽造など悪行の数々が列挙されていく。純粋なミスによる論文撤回はまだしも、名声や金儲け目的のデータ改ざんや画像操作は日常茶飯という。思うような結果が出ないと中途で分析方法を変えたり、基本データの正確性を確認しないなど研究者としての倫理のない学者も珍しくない。そんな不正にノーベル賞選考機関も加担していたとなると、何をかいわんやだ。科学の信頼を自ら突き崩す科学者は何のために生きているのか。
が「ナイス!」と言っています。
パトラッシュ
優秀なワンマンアーミーが訳あって悪の組織に戦いを挑むベン・ケーニグの肖像は、マック・ボランやジェイソン・ボーンと重なる。関係者を容赦なく叩きのめして情報を得たり、追い詰められても決して諦めず自らを冷静な第三者の目で観察できる部分は特に。この手のプロの兵士が活躍するドラマに遺伝性疾患による恐怖不感症を持ち出す意味は薄いのではと思えたが、失踪した元上官の娘を探すうちに意外な過去が浮かび上がる展開はワシントン・ポーのシリーズで見せた練達の手腕だ。目くじらを立てず純粋なアクション物として楽しむ限り満足できる作品。
ふっすん
2024/08/08 19:24

傭兵にも家族・子供がいると同情しつつも、あっさり首を掻き切る姿は、読んでいてしびれますね。一人を助けるために何人死んだんだというスケールの大きさが爽快でした。

が「ナイス!」と言っています。
パトラッシュ
ビジネスや政治の世界では、無能な良き人よりも有能な邪悪な者が成功する。その生きた象徴がピーター・ティールであり、文字通り法律と刑務所の間の壁をスキップしながら巨額の富を築き上げていく。同性結婚するゲイでありながら政治的には保守派の共和党員で、自分の利益のためなら平気でルールを破るが攻撃者は叩き潰すまで反撃する。暴走と冷静を往復する矛盾の塊だが、トランプと気が合うのも当然か。イーロン・マスク同様に、こんな人間だけが常識の岩盤を叩き壊せる。出る杭は打たれる日本人からは、スケールの大きな個人は絶対出ないだろう。
が「ナイス!」と言っています。
パトラッシュ
まだ平和憲法絶対に理想主義者の影響力が強かった時代に、高坂先生は冷酷非情な国際政治のリアルと簡単に戦争へ突っ走る人間の愚かさを見据えていた。なぜ二十世紀は戦争の世紀となったのかを鋭く分析し、政治と経済とイデオロギーと宗教と民族が自分たちの理想を排他的に追求したことが衝突を引き起こす経緯を明らかにしていく。それらは永遠かつ無謬の文明と自称し、反対者を悪として糾弾することで正義を振りかざしたのだ。歴史とはそうした懲りない人びとの愚行の集積であり、自称「正義の味方」への批判精神を絶対に忘れるなと強く訴えるのだ。
が「ナイス!」と言っています。
パトラッシュ
インドは政治経済ばかり論じられるが、世界一の人口大国だけに食のダイナミクスぶりも凄い。言語や宗教や民族で複数の国に分かれてもおかしくないので、地域ごとの特徴ある料理がこれでもかとばかり紹介されていく。現地で食べ歩いて話を聞き、辛そうで美味そうで食欲をそそる写真満載なので圧倒される。宗教によるベジとノンベジの違い、カーストや異民族の流入や植民地時代の影響など様々な食文化が混入し細分化した有様は、もはやインド料理という言葉ではくくれない。インド旅行で食あたりした身としては、本当に食べられるかと思ってしまうが。
が「ナイス!」と言っています。
パトラッシュ
理想の国を夢に見せてくれるという「華胥華朶」が実在していて、過激な左右の主義者集団に与えられたら。崇高な同志愛とやらに結ばれていたはずが、実は全く望むところが異なっていたと知って愕然とするだろう。そんなものがある世界で理想を掲げ仲間を集めるなど悪夢であり、誰ひとり信じられなくなるはずだ。弱かったり無能な王が選ばれるのも珍しくない十二国記の世界だが、マジメに政治に取り組んでいた王が自分勝手な放縦や暴政に転じてしまうのも無理ないと思える。地球よりはるかに過酷な地では、恵まれた立場にある為政者すら命がけなのだ。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2019/05/20(2017日経過)
記録初日
2019/05/20(2017日経過)
読んだ本
2152冊(1日平均1.07冊)
読んだページ
701066ページ(1日平均347ページ)
感想・レビュー
2152件(投稿率100.0%)
本棚
8棚
性別
現住所
千葉県
自己紹介

人間の友人はほとんどいませんが、読書だけに浸っていれば満足している変人です。いい年なのに独身ですが、下手に家族を持ったらため込んできた本を捨てられそうで婚活もしていません。私のような存在が少子化の元凶かもしれませんが、知ったこっちゃありません。もし読書を禁止するような政府が成立したら、命を賭けて戦う覚悟だけはあります。

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