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2024年10月の読書メーターまとめ

tamami
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感想・レビュー
12
ナイス
1117ナイス

2024年10月に読んだ本
12

2024年10月のお気に入り登録
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  • 木々
  • のんちゃん雲に乗る

2024年10月のお気に入られ登録
3

  • takka@ゲーム×読書
  • 木々
  • ぶぶ ひこ

2024年10月にナイスが最も多かった感想・レビュー

tamami
文字通り「積ん読」を旨としている、12人の読書家・蔵書家の自宅を訪ねて、それぞれの蔵書の形が現在に至った経緯や本・読書についての見解・思いを綴ったもの。目を惹くのは、全ページ本や本棚のある光景がカラーで紹介されていて、様々な「本のある風景」を実感できること。作家さん、著述家さんが多い中で、自身も古書店Titleを経営されている辻山良雄さんの、「自分の本棚を作ることは、読むかどうかは関係なく、自分の宇宙を広げるような感覚がある」「読んでない本があると、…未知の世界に自分が開かれている」という感覚に強く同感。
が「ナイス!」と言っています。

2024年10月の感想・レビュー一覧
12

tamami
特攻隊戦歿学徒の遺書を扱った書籍として『きけわだつみのこえ』がある。本書は『きけ…』が戦後の編輯に際して、ある意図の元に全く恣意的な改竄、編輯がなされたとする。改竄を「驚くほかない知的傲慢さ」と断ずる著者は、遺書に記された多くの若者の家族・恋人・国家に対する敬虔かつ誠実な思い、激情を素直に読み込み、そこにある「後に続くを信ず」の言葉を、後世の我々へのメッセージと受け止める。著者の行為は、戦前と戦後で思想信条を逆転させた一部思想家たちの変節ぶりの対極にある。本書に記された言説の中に、私が今出来ることを思う。
tamami
2024/10/30 22:48

ケンイチミズバ様、コメントありがとうございます。お陰様で本書と私のレビューについて改めて考えるよい機会になりました。折角ですので今思っていることを記したいと思います。本書で著者が再三言われていることに、当時戦争の帰趨は誰にも判らなかった。その中で若者に託された任務と状況を考えたとき、特攻隊というのは、唯一の選択肢ではなかったか。その上で、自分は何のために死ぬのかと考えたとき、家族、故郷、国…を守るというのは自然の発露ではなかったか。遺書が私の心を打つのはその一点にあります。事後になり、状況を云々するのは、

tamami
2024/10/30 23:10

ましてや戦後になり、本書中にある出某のように、遺書を自分たちの政治的利権のために編輯・改竄するなど、それこそ狂気の沙汰ではないかと思ったりもします。すみません、言葉がきつくなってしまいました。なお、「後に続くを信ず」という言葉について、著者は「自分たちのそういった悲しい思いの上に平和な日本をつくり上げて後に続いてほしい、という解釈もできるのではないでしょうか。」と記し、昭和20年4月13日散華した安達海軍少尉の「特攻隊の犠牲において、祖国のよりよき前進を希求するものにほかならない。」との言葉を引いている。

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tamami
2021年刊行の元版で読む。積ん読本のささやかな解消と思って手控えを見たら、なんと既読になっている。書評本ということで読み飛ばした故に、その時は印象に残らなかったということか。今回再読?してみて、本書の全体を通して、作家梨木香歩の拠って立つ処を強く印象づけられた。ハンセン氏病患者収容施設・長島愛生園についての記事に、小川正子、神谷美恵子という名前を目にして衝撃を受ける。世の中に絶対的な善はないのだと思う一方で、一読友さんが書いたレビューを読み、書物の中にのみ真実があると思うことの危うさも感じたことだった。
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tamami
以前読んだ作者の『水 本の小説』が面白く、二匹目の泥鰌と手にしたが、期待に違わぬ感興を味わう。『猟奇島』収録のDVDの謎解きから始まる本・文学・演劇etc.への出会いと記憶を辿る旅。偶然と必然が絡まり合い、いくつものストーリーが円環を描いて、祖父母・父母の世代の創作者たちが造り出した不思議な世界を垣間見せてくれる。折口信夫、萩原朔太郎、丸谷才一・・・、名だたる文人墨客が数多登場し、彼らの文業を紐解いてゆく楽しみも味わえそうである。それにしても、金沢にあるという収蔵書200万点の図書館には行ってみたいもの。
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tamami
哲学というと、ソクラテスを始めとする古今の大哲学者を祖述することと思われがちであるが、著者はそれを否定する。総論編に、著者のいう「哲学する」ことは、「現状を疑うことによって本当の『善』を目指すこと」であると記される。具体的には、A:あらゆることについて「それは本当か?」と疑う。B:どうすれば「徳」か、ではなく、どうすることが「正しい」のか考える。C:なぜそのようになるのか、原因・理由を考える。D:「そもそも~とは何か(どういうことか)?」と本来の意味や機能を考える。の問いの組み合わせによって実現するのでは
tamami
2024/10/24 11:53

ないか、著者は言う。本書の第1章以下は、ここ十数年来の著者のブログに連載されたもので、法と政治制度、戦争と環境問題、家族と経済etc.具体的な論考が積み重ねられている。初読の折には、著者の政治的立場と私のそれがは随分異なる感があり、ざっと読みで収めようと思ったけれど、改めて著者の「哲学する」ことの意味を考え再読した次第。著者は大学で哲学を専攻し、現在は宮城県で高校の国語の先生をされている由。政治や教育の問題状況について詳細且つ的確に語り、立場は違えどもなるほどと思うことも多々あり、収穫の多い読書となった。

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tamami
印南さんの本は確か3冊目。以前読んだ作品では、本を効率的に読む、あるいは書評を書く極意といったことに触れられていた。本書の内容は帯にもあるように、「読書の原体験に立ち戻る」「本の読み方は、堅苦しく考えずにもっと自由に」ということに尽きるように思う。要は、今本を読むことから遠ざかっている人、本を読むことに何らかのプレッシャーを感じている人に、もっと自由に本に触れ、まずは読んで見ることを勧める本である。本を読むことに関する金言・名言が多く記されているが、一つヒットすれば儲けものくらいの気持でいくのがいいかも。
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tamami
伊与原さん2作目。作品的には前後するけれども、話題になっている『宙わたる教室』を読み、著者の他の作品を読みたいと思ったから。お話!ということは頭で解っていても、短編集のどの作品も、ストーリーの緻密さ、情景描写、何よりも登場人物の心模様が見事に活写され、読み応え十分な作品ばかりである。それとはやり著者の経歴にある、理系分野、殊にどちらかというと地味な地学畑のテーマが多く取り上げられていて、オタク的な要素を持っていた昔地学少年には、強く惹かれる要素が多いかも。新しいテーマが広がり、しばらくは楽しめそうである。
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tamami
鎌倉時代の正史とされる『吾妻鏡』。北条得宗家の記録として多少の改変や虚構を承知の上で読み進めたが、余りな凄惨な事件の連続陰謀・誅殺等の言葉の氾濫を見て、息をのむ思いであった。専門は国文学という著者は、膨大な史料・文献に目を通し、『吾妻鏡』が記す歴史の虚実と物語性を追っていく。自然災害や神仏の加護等々全てを動員して時の権力者の依って来たる所を記す物語とするところに『吾妻鏡』の面白さはあるという。鎌倉時代の裏面史を充分に堪能する。個人的には、所々に描出される鎌倉幕府と諏訪信仰の関連について更に深めていきたい。
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tamami
本書は、本文中でも繰り返し主張されているように、社会の全ての大人、取りわけ教育に関わる仕事をしている人々には必読の文献であると思う。著者の研究グループは、学力回復を図る方法として、こどもたちの多くが困難を感じている「算数文章題」の解法を分析することから始める。見えてきたのは、子どもたちは「割る」「掛ける」「分と時間」といった術語の意味理解が不十分で、問題文の正確な受け取りができず、正解にたどり着けないということである。その理由として、著者は問題解決の上で重要なスキーマ(人が経験から導出した暗黙の知識)が間
tamami
2024/10/15 23:42

違っている場合が少なくないという。著者たちは、子ども達のスキーマの誤りを見取るための「たつじんテスト」を開発し、誤りの根っこを探っていく。その結果、「子どもたちは分数という概念について「記号接地」ができていない」ことが示された。2分の1の意味がわかっていない、分数の意味がわかっていない・・・。本書後半では、学校の教師や家庭の親たちが、子どもたちに接するに当たって心がけるべき役割について様々な例を挙げて示している。詳しくは是非本書に当たっていただきたい。子どもが「わかる」ことの意味、大人が「教える」方法の大

tamami
2024/10/16 00:11

切さが納得されるのではないか。著者の今井むつみさんは、中公新書『言語の本質』で一世を風靡!された方。本書にも「記号接地」「アブダクション推論」等々の専門用語?が多く出てきますが、幼児の母語獲得体験等々、大変深い考察がなされていて挑戦する価値はあるのではないかと思います。最後に私見を一つ。幼児がアブダクション推論他を使って母語を自ら獲得していくのは感動的でさえあるけれども、当然周りの大人(父・母)の果たす役割が大きい。乳幼児期にどれだけ母語のシャワーを浴びるかが決定的に重要といわれるが、現代の子どもは如何?

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tamami
近々ささやかな読書会を計画している者として、会を成功させるためのヒントも幾つか示されていて、大変参考になった。一方で、本書の内容は、著者が長年参加している西欧古典文学を読む読書会の記録といった側面が強く、参加者の中に翻訳者や作家さんが多く入っていることもあり、話題がやや高踏的な印象を受ける。現代のノンフィクションなど他分野の読書会はどんな様子だろうか。もっとも本人が幸福と感じるのは何にも勝る成果かも知れない。余談であるが、本書は雑誌「世界」に連載されたものという。何十年ぶりかで同誌を読み、感慨が深かった。
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tamami
現在『渡部昇一の和歌から見える「日本通史」』と改題されている本書を2008年刊行の元版で読了。数ある「百人一首」と本書が決定的に違うのは、対象となる歌の作者が古代から現代に渡っていること。国のはじまりとして「みつみつし久米の子等が 垣下に 植えし椒(はじかみ) 口ひびく 吾は忘れじ 撃ちてし止まむ」という久米歌を置き、戦国武将山中鹿之助の「憂きことの なおこの上に 積もれかし  かぎりある身の 力ためさん」、安政の大獄に遭った吉田松陰の「身はたとひ 武蔵の野辺に 朽ぬとも 留置(とどめおか)まし 大和魂」
tamami
2024/10/03 00:32

九十九首目には、自主独立を問うとして、三島由紀夫の「散るをいとふ 世にも人にも さきがけて 散るこそ花と 吹く小夜嵐」を挙げるなど、平和日本の現状にはややそぐわない歌も多く取り上げられているが、著者渡部先生の思いは奈辺にあったろうか。先生が以前から言われていた「和歌の前の万人の平等」が、和歌を軸にして古代から現代までの歴史という形で示されたことは、文化の持つ力を感じさせる。最後の「磯城島(しきしま)の 大倭の国は 言霊の 助くる国ぞ まさきくありこそ」という人麻呂の言霊に寄せる思いを未来に繋げていきたい。

が「ナイス!」と言っています。
tamami
文字通り「積ん読」を旨としている、12人の読書家・蔵書家の自宅を訪ねて、それぞれの蔵書の形が現在に至った経緯や本・読書についての見解・思いを綴ったもの。目を惹くのは、全ページ本や本棚のある光景がカラーで紹介されていて、様々な「本のある風景」を実感できること。作家さん、著述家さんが多い中で、自身も古書店Titleを経営されている辻山良雄さんの、「自分の本棚を作ることは、読むかどうかは関係なく、自分の宇宙を広げるような感覚がある」「読んでない本があると、…未知の世界に自分が開かれている」という感覚に強く同感。
が「ナイス!」と言っています。
tamami
2004年刊行の元版にて読了。と記したけれども、比較的馴染みのある荒川さんの文章であるが、歌われている詩のほとんどが理解不能のままに読み進める。序章「詩の形」で、行分けやリズムについて記して、詩の読み方を示した他は、第2章以下は現代詩の詩人と詩集の紹介に充てられている。詩人石原吉郎の「フェルナンデス」という詩についての著者の評、「ひと文字ひと文字ごとに、あたたかいものに包まれる感じがする。さみしいものにおおわれる感じもする。」、そんな感覚の一端に近づくためにも、折に触れて本書を手に取り、読むことにしよう。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2019/12/09(1811日経過)
記録初日
2019/07/26(1947日経過)
読んだ本
977冊(1日平均0.50冊)
読んだページ
244820ページ(1日平均125ページ)
感想・レビュー
974件(投稿率99.7%)
本棚
9棚
性別
自己紹介

半世紀にわたって買いためた積ん読本に囲まれる日々。少しずつ減らそうとするものの、新刊・古本が同じくらい入ってくる。

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