ネタバレ私はこの歳になって、「自分の問い」をうまく言い表せていなかったことに気づいた。例えば研究者は研究が仕事なのだから、常に問いを持っているように思われるかもしれないが、そうでもない。職場の人たちが書く文書を見ても、いや私自身も、果たしてそこに書いてあることが本当に検討したい問いなのか、それが分かっていないことが多いことに気づく。本書は問題集になっている。実際に、自分で書きながら繰り返し練習しないと、本書の説く技術は身につかないだろう。注意点は、原著の「topic」が「テーマ」と訳されていること。私は混乱した。

ネタバレ法華経をもとにしたSF小説――というよりも、これは空想小説の形を取った法華経の解説、入門書だ。ブッダ入滅直前の世界と、荒れ果てた地球を諦め、スペースコロニーを建設している2500年後の世界が交互する。著者の予想する未来世界は、現在、かなり現実になりつつあると感じた。これが1989年に書かれたという驚き、こんな法華経の入門書があったのかという二重の驚き。私は大乗仏教は信じない。でも、般若心経といい、この法華経といい、小乗仏教を大胆に覆し、それを乗り越えようとするこうした革新的な教えも、また良いかなと思った。

ネタバレ私はこの歳になって、「自分の問い」をうまく言い表せていなかったことに気づいた。例えば研究者は研究が仕事なのだから、常に問いを持っているように思われるかもしれないが、そうでもない。職場の人たちが書く文書を見ても、いや私自身も、果たしてそこに書いてあることが本当に検討したい問いなのか、それが分かっていないことが多いことに気づく。本書は問題集になっている。実際に、自分で書きながら繰り返し練習しないと、本書の説く技術は身につかないだろう。注意点は、原著の「topic」が「テーマ」と訳されていること。私は混乱した。

ネタバレ『へっ!?』最後の頁を読んだ時の感想だ。主人公のヘンリーは、五〇半ばに届く時になって初めて、死んだ母親は実母ではなかった、という衝撃の事実を叔母から知らされる。引きづり回されるようにあちらこちらへと旅につきあっていくうちに、叔母の、破天荒で謎めいた経歴が徐々に明らかになる。叔母のお喋りはほとんど脈略がないように感じられ、読むのが辛かったが、先の展開に好奇心をそそられ読み進めることができた。私は主人公の歳に近い。読後、人の生涯はこんな感じだろうという感慨だ。今まで生きてきた中、先が読めたことは殆どなかった。