サイバーパンクの元祖にして最高峰ということでその名に違わぬエンタメ濃度。今でこそネット空間にダイブする描写はお馴染みだがこれ当時の読者は先駆的すぎてほとんど前衛詩の世界では。 ドラマ化されるらしいが、不可視の概念を言語化したものをさらに映像化とは一体…。そういう複層的な展開こそがこの小説らしいといえばらしい。

サイバーパンクの元祖にして最高峰ということでその名に違わぬエンタメ濃度。今でこそネット空間にダイブする描写はお馴染みだがこれ当時の読者は先駆的すぎてほとんど前衛詩の世界では。 ドラマ化されるらしいが、不可視の概念を言語化したものをさらに映像化とは一体…。そういう複層的な展開こそがこの小説らしいといえばらしい。

北欧の戯曲作品ということで脳内映像はベルイマンだったが、解説に小津映画との類似性が指摘されており腹落ちした。3人、古い家、日常会話だけ。ただそれだけの設定の中でこれほど想像をかきたてる世界が作れるのはやはり作者の力量だろうか。

いま読まねば、という気持ちで本を買ったのはいつ以来だろうか。こうして読了したときに説明のつかない感情に出会うのも。 いわゆる永遠の命をテーマにした同工異曲の作品はいろいろ読んできたがSF的な設定の安易さを軽々と超えて、ある種の到達点だと思う。同時代性という意味でも、また自分が老いというものを考える年齢になったこととあわせて「いま」読むことが必然だったと思わせてくれる本。