
そう思うとこれだけたくさんの登場人物の心情を描き分けた作者ってすごい想像力の持ち主だなあと感心する。 ここに書かれている事件は創作であるようだが、それはそれで物語性を高めていていいと思う。 美を司っていたといえる利休。そのセンスに憧れ、それが高じて憎しみになっていく場合も。それも人間だよなあ。 長編だけれども、各章がガラッと変わって面白い。
こんなふうになれるのだろうか。こんなことがあるのだろうか。羨ましいという気持ちが起こる前にその純粋さにこころが触れるような感じになる。 愛に苦しむ大人におすすめの一冊。
家族、大切な人、死、別れ、どうしようもないこと、いろいろ起こるのだけど、どうしても秋谷の最後の日に向っているという時間軸だけは読んでいる自分も含めて登場人物のすべてが逃れられない鎖のようである。 自分がもし、死ぬ時が決まっている身であったらどうだろう。それも切腹かあ。それだけで今生きるのがつらくなるような気もする。愛する家族に囲まれて、最後の日が見えている。どういう気持ちになるだろう。わからない。
人物描写がとてもいい。仕草の一つ一つの表現に「らしさ」が潜んでいて読み手に登場人物の息遣いを感じさせる。 映画にもなっているようなので見てみたいと思う。 どなたにでもおすすめの一冊。
蓮如上人の本をいくつか読んだことがあるのだけど、わりと著者が蓮如上人をどう評価しているか(大抵はすごく称賛)が反映されるのだけれど、この本はとても公平な視線を感じ、かつ蓮如上人がどういう方向性を持っていたかを明示してくれる。教義うんぬんの話より歴史の中でどのようなポジションだったのかというのがわかってとてもよかった。このシリーズの目標とするところなのだろう。 シンプルに蓮如上人について知るにはおすすめの一冊。
あっという間に読み終えてしまう。 今生きている自分の人生が、いかに危ういものであるかを確認できる一冊。こうやって読書ができるのも、時間と安定した心を持っているからなんだよな。 ありがたいことである。
就活生でなくとも、現代ではSNSで自己プロデュースする人はいくらでもいる。斯くいう自分もXのアカウントを持っていて、このようなブログの投稿をシェアしているわけである。最近はすたれ気味かもしれないが、Facebookのアカウントも稼働している。そして地味にmixi2もやっている。どこかに自分を作り上げているんだよね。このブログだってそうだ。
そう思うと、この本に出てくる登場人物が全部自分だと共感・拒否感がないまぜになってえらいことになる。承認欲求の化け物たち。自分が化け物。飲み込まれる。 じわじわ嫌な感じがする。そして…すべてはラストに。 SNSやってる人すべてに一読をお薦めする。
内容はドロドロなはずなのだけど、どこか清浄なものが残されていて、自分にはそれが違和感とまではいかないが、なんか引っ掛かりを覚えるものであった。 エンディングはちょっとした驚きがあるかもしれないが、その展開すらもちょっと上品な感じがする。あえていうなら、女性は本当の地獄をきれいな目線で描いてそれを女性は共感し自分の中で本当の地獄として再現できるのかもしれない。ふとそんなことを思った。だとしたら男性にはわかりずらい物語かもしれない。
伝わるだろうか…。そんなひどいことされたら普通、二度と会いたくないだろうと思うようなことがあっても離れられないなにか。 善悪、損得だけで割り切れないなにか。 ただ、ストーリー展開としては、それほど大胆で突拍子もないものでもないかなあと感じる。それはこれがシリーズの一部だからだろうか(後で知った)。
沖縄のことを自分は何も知らないなと思った。読みながら文化の違いが異国と感じるぎりぎりのラインにあると感じる。多分これは人に依るのだと思うが。 三人の若者のそれぞれの成長、人生を追っていく話。 途中がとてもテンポがよくて面白かったのだけれど、自分としては後半失速していった。
映画を見に行った友達が、映画館にいくまではないかもと言っていたので、じゃあ小説を先に読むかと思って読んだのだけど、時代やテーマは歴史的にもとても興味深い描写で面白いのだけど、なんか最後がうーんって感じだった。 戦後の沖縄の雰囲気を小説を通して「感じる」にはいい本だと思う。
登場人物はたくさん出てくる。そして生きて死んでいく。 アイヌを低く見る和人たちもまた、その和人の中において勝った負けたがあり、西洋の中のロシア、ロシアの中のポーランド、いくらでも人間は自分たちが線を引いた集団の中で区別し差別していく。人間社会の根源的悪というのはこれなのかもしれない。どこまでいってもそれが終わらない。 とにかく最後まで熱い。読んでよかったと思える一冊。
荒廃した時代にどこまでも己の清廉さをもとめていった人。変人と紙一重なのに人を惹きつける。 仏教クラスタに断然おすすめである。 みんな大好き明恵上人の輪が広がる一冊。
オーウェルというと『1984年』なのだが、こんな素敵なエッセイも書くんだなと思った。自分の本をお金に換算するのだけど、貸して帰ってこないのと借りて返す気がないのがまあ同じくらいだろうというあたりがクスッとさせられる。 10分ほどで読めるので、すべての読書人におすすめしたい。そして読書なんてと思っている方にも、読書がいかに金のかからないお楽しみであるのかのプレゼンテーションをご覧いただきたい。 みんなスマホのネットサーフィンをやめて、ちょっとこれ読んでみて。
仏教書、哲学書を中心に読んでいます。
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