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2024年3月の読書メーターまとめ

まふ
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感想・レビュー
31
ナイス
3821ナイス

2024年3月に読んだ本
31

2024年3月のお気に入り登録
19

  • コロンブスの卵から孵った雛
  • 白ねこ師匠
  • オイコラ
  •  Galilei
  • hiroizm
  • たなぼう
  • kazi
  • 七枷リョータ
  • ちくわ
  • 本読むおっさん(Lester_the_Nightfly)
  • Karl Heintz Schneider
  • みこ
  • たまご
  • ノアジ2002
  • 白隠禅師ファン
  • さんつきくん
  • LNGMN
  • worldsend729
  • NORI

2024年3月のお気に入られ登録
10

  • hiroizm
  • kazi
  • よーだ (Yoda)
  • chinayo
  • 公園
  • Karl Heintz Schneider
  • 白隠禅師ファン
  • LNGMN
  • worldsend729
  • NORI

2024年3月にナイスが最も多かった感想・レビュー

まふ
極端な過剰自意識を持て余しつつ世の中すべてを自分の許す範囲内でのみ規定し世間から閉じこもる。一旦外界に出ると常に自分を意識し相手のすべてを否定的に捉えて自らの世界を狭めて身動きの取れない自縄自縛状態に陥る…。人間だれしも似たような自己意識を感じる時があるだけに、主人公の自ら出口を塞ぐ自閉状態は読んでいてつらい。友人たちに自らバカにされに行く「心の自傷行為」や娼婦のタマゴのような女の純情を破壊しなければ納得できない自己矛盾…何度も繰り返して読むべき一書である。G464/1000。
が「ナイス!」と言っています。

2024年3月の感想・レビュー一覧
31

まふ
シャーマン・マッコイは黒人街の優秀な少年を意識不明状態にさせたことにより、人種差別反対運動指導者ベーコン牧師の扇動や住民の票が欲しい改選間近の地方検事ワイスの思惑もあり起訴される。タブロイド紙のファロー記者はセンセーショナルな記事を書いて大衆を煽る。結局、マッコイは妻、娘と別れ、恋人にも捨てられ、家も保釈金支払いのため手放し、「職業は囚人」と嘯くまでに零落れる…。「アメリカのディケンズ、バルザック」とおだてられるこの作品もアメリカらしく終わった。まことに「虚栄」の顛末であった。G475/1000。⇒
まふ
2024/03/31 15:19

⇒ジャーナリズム出身の作者というだけあって、事実の積み上げと人物配置、相互関係の煩わしいほど綿密な描写は卓越していたと思います。だが、ここでもそうであったように人種問題は常にどの登場人物の念頭にもあり「白人対黒人、ヒスパニック」だけでなく白人の中での「WASP対その他白人」その他白人の中でも「アイルランド対イタリア対ギリシャその他」さらに「白人対ユダヤ人」等々それぞれの確執があるようです。人種問題は人類滅亡まで続くだろうと思わざるを得ません。

が「ナイス!」と言っています。
まふ
イェール大学卒のシャーマン・マッコイはウォール街のエリートトレーダーとして高級アパートに住む。ある日情事相手のマリアが密会途中で黒人少年をハネる。その後事件が明るみに出て黒人街の指導者の黒人牧師ベーコンが取り上げ次第に社会問題化する。イギリスから派遣されたタブロイド紙記者ファローがどうやら活躍しそうだ…。下巻ではどうなるか。G1000。
が「ナイス!」と言っています。
まふ
中国研究の大家である民間学者ペーター・キーン博士は2万5千冊の蔵書を誇る蒐集家であり、蔵書の取扱いに異常な執念を見せる。この偏執狂的な蔵書保管基準に合格した家政婦テレーゼを妻とするが、この妻が実はクセアリで二人の仲は忽ち分裂し博士は自分の家を追い出されてしまう。その後も読者はどこか軸のずれたトンデモナイ(いかにもドイツ文学的!)物語の世界に連れられてゆき、偏執狂的なこだわりの中にネジこまれてただオロオロするばかりだ…。ノーベル賞にふさわしい(!)クセアリのワザあり一書であった。G474/1000。
えか
2024/03/30 16:25

おかえりなさい、ミシャンヌ。眩暈、図書館にあったかな。

毒兎真暗ミサ【副長】
2024/03/30 16:26

今、積んだよ🤭

が「ナイス!」と言っています。
まふ
「陸軍史」の続刊写真集。勝海舟の海軍伝習所に始まる日本海軍は陸軍の「思い込み」傾向に比してより開明的な視野の広い集団であったはずだが、結局は「人間魚雷」を開発するなどの「大和魂」となって太平洋に消え去った。敗戦までの80年間、海軍大将第1号西郷従道から第77代井上成美まで77名の海軍大将が功罪交々日本を指導した。海軍大将たちの顔もまた相応に立派であり、英雄埋没時代となった今日の日本には遠い時代の懐かしさを与える。先の「陸軍史」と並んで折に触れ繙く写真集である。
が「ナイス!」と言っています。
まふ
著者の初期の作品。「捧腹絶倒」は過大評価だろう。アフリカのイシュメイリアという「ニグロ」の国の革命による王国崩壊をスクープした新聞記者が実は同姓の別人であったことが後でわかる、というハナシ。いわば取り違えの喜劇だが、同姓同名ならいざ知らず、同姓だけでここまで誰も気づかないということがあり得るか。英国人はそれを分かったうえで「ゲーム感覚」でその後の経過を楽しんでいるわけであろう。これを「オトナ」とみるべきか、「英国風」と見るべきか…。作者は「軽い風刺」と言っているらしいが、ウーン…。G473/1000。
が「ナイス!」と言っています。
まふ
戦争、人種差別、児童虐待、家庭内暴力等、アメリカの人々を蝕む「ステイン」をじっくりと緻密に語ってゆく重厚な物語。主人公は肌の色の薄い「黒人」で学業優秀、スポーツ万能だが「白人のユダヤ人」と偽り、家族を捨てて大学教授となるも、些細な失言を盾に取られて文学部長の職を追い出される。その後71歳の年齢で34歳の無学な掃除婦と愛人関係に陥る…。作者は彼の家族、友人関係を念入りに描写してその人間像に迫るが、真実は闇の中に消えてしまう…重い読後感で改めて人種問題の底の深さを思い知った。 G472/1000。
が「ナイス!」と言っています。
まふ
全4巻目の最終巻。営倉での残虐な見せしめのための拷問が圧巻。この場面を描きたいためにここまで物語を引っ張ってきたのではないか。被害者の兵士は病院に運び込まれて死ぬも「作業現場での事故死」とされるだけ。怒りに燃えた主人公プルーは営倉を脱走して悪徳曹長をナイフで刺し殺す…。一方のウォーデンは将校への任官までこぎつけるが、最後はこれを断る。カレンとは漸くその関係もピークを迎えて一段階を終える…。物語は怒涛の如く(?)クライマックスに達して全4巻の大長編が終わる。後日談は蛇足気味であった。 G471/1000。⇒
まふ
2024/03/25 17:23

⇒真珠湾攻撃をアメリカ軍基地側から描いた作品であり、基地が大混乱に陥る様子が描写されて興味深いものがありました。また、戦争が将校側からではなく兵士側から描写されており、弛緩した基地の日常と陰惨な営倉リンチ、戦争でのドタバタ状態がその目線からのリアリティとして理解できました。

まふ
2024/03/25 17:24

⇒解説では、「名画とされている映画版では肝心の営倉部分でのリンチ殺人部分がごっそり抜けており、名匠フレッド・ジンネマン監督ともあろう人が…」と遺憾の意の表明がありました。確かに全編のクライマックスのような場面であり、これが抜けていたら「衣だけの天ぷら」のようなことになるだろうと思いました。

が「ナイス!」と言っています。
まふ
全4巻の第3巻目。[転」の局面になり、事態は漸く動き出した。中隊の仲間のアンジェロ・マジオが飲酒の上の狼藉、規則違反などで軍法会議にかけられて重営倉処分となった後主人公プルー自身も同様な罪で重営倉処分となる。看守の陰湿な暴力によりアンジェロの面貌が一変したりすプルーはめげずに自分の行き方を貫きいじめに何とか耐え抜く。ウォーデンはカレンとのデイトに忙しい。幼い息子を放り出して情事に耽るカレンという女は一体何者か?物語はいよいよ「結」の第4巻へ進む。G1000。
が「ナイス!」と言っています。
まふ
全4巻の第2巻目。第1巻目に続いて平和な牧歌的兵営生活が描かれる。中隊の毎日は訓練を終えれば夜の街に繰り出して「女漁り」に励み、トランプ賭博で憂さを晴らすだけである。その中でひとり主人公のプルーは「信念」に基づく武骨な日々を送り、上司の不合理な命令に従わない、という生活を続ける。賢いウォーデンは日々をそつなくこなし、中隊長ホームズ大尉の妻との逢瀬を楽しむ…。文字通り「承前」そのものの、小説的な盛り上がりに欠ける内容だった。第3巻目で何か起こってほしい、と強く期待する。G1000。
が「ナイス!」と言っています。
まふ
約800ページの大長編SF。火星探検隊の生き残り2世のマイクが地球に連れて来られ、ゼロからの地球文明教育を受けて汎神論的な教理の新たな宗教団体を創設するまでに至る。が、馴染めない群衆に襲撃されて命を落とす…。彼を表裏に亘り支援する老学者ジュバルの言動がほぼ中心となって物語は展開するが、皮肉も効いて笑える。が、かくも長大な作品とした作者の意図がよく読めない。既存の宗教が物足りないことを訴えたかったのだろうか。もっとコンパクトな作品でも十分表現できたのでは?と思う。G470/1000。
が「ナイス!」と言っています。
まふ
ノーベル賞受賞者の作者のローデシアを舞台とした処女作。メアリは極貧白人のターナーと結婚し、生活が向上しないまま殺され、それを周囲は騒ぎたてない…。白人と黒人、英国人とアフリカーナー(オランダ系白人)、旧入植者と新入植者等の諸人間関係等の中でのメアリのこれまでの異常な生活が描写され、状況が次第に分かって来る。が、こうした「いびつ」を生起したそもそもの原因たるヨーロッパ列強の数百年にわたる植民地制度の罪過は今後も消えない傷痕として残るわけであり、「地球全体の罪」のような気がしてきた。G469/1000。
が「ナイス!」と言っています。
まふ
岩崎書店版世界の名作文学23で読む。帝政ロシア末期、社会主義運動勃興時代の都市の労働者階級の青年パーヴェルが階級意識に目覚めて行動を起こしてゆくに従い、その40歳の母親が母親としての意識に目覚めて息子を応援してゆく過程が描かれる。息子は捕らえられ裁判でシベリア流刑を言い渡され、母親は息子を誇りに思いつつ支援活動をさらに続けていく…。共産党政権により国葬で送られた作家の作品に相応しい「美しい」物語であった。杜撰な裁判と無能な裁判官の言動、さらに弁護士もいないような欠陥裁判が興味深かった。G468/1000。
母
toku
2024/03/20 18:17

懐かしい~学生時代読みたいと思いながら読めなくて何十年も忘れていました。母親は40歳なんですか?もっと老いた母親を想像していました。まふ様思い出させてくださりありがとうございます😊

まふ
2024/03/20 21:44

tokuさん コメントありがとうございます。正確に言えばグウタラ亭主が死んで再出発の時40歳だったと思います。それから数年たっているかもしれないので40ウン才かもしれません。いずれにしても今日との比較でいえば若いですが、当時の平均寿命は50歳もいかなかったのではないでしょうか、ということを考えると当時の老年期ではないかと思われますが、それにしても、この「母」はやる気溢れる母ですよね。是非お読みください。レビューを楽しみにお待ちしております。

が「ナイス!」と言っています。
まふ
「サイバーバンク」小説の創始者兼最高峰と目される著者の代表作。という触れ込みだが、私には未知の世界であった。近未来の地球、超巨大電子脳ネットワークが地球を覆いつくし、人体と機械が融合し、脳内とコンピューターの情報処理の融合が「過剰に推し進められた社会」となっている。主人公のケイスは脳神経を焼かれたハッカーで、没入(ジャックイン)不能状態のまま用心棒のモリイ(女)とともに活躍をする…。のだが、いったい何がどうなったのかは見当もつかないまま「読了」した。ウーン、これを読んだと言えるか、G467/1000。⇒
まふ
2024/03/19 22:18

Johnnycakeさん 了解です。「笑い男」読んでみます。

毒兎真暗ミサ【副長】
2024/03/21 15:23

まふさん、こんにちは😊「笑い男」はサリンジャーの短編集『ナイン・ストーリーズ』の中にあります🧢😀

が「ナイス!」と言っています。
まふ
フランス革命勃発時点における貴族側から描かれた冒険活劇。名付け親の伯爵に育てられたアンドレは旅の一座に拾われて経営者になったり、剣術の修行をして第一人者になったり、革命の指導者側になったりと、変転著しいが、最後に思いがけない事実が判明して気持ちよく終わる。中編であるが起承転結の明確な物語だった。最近やたらに長く締りのない(?)物語を読んでいたせいか、最後のどんでん返しには感激すらした。やはり、夾雑物のないスマートな物語が単細胞の読者である私には相応しい、と再認識した。G466/1000。
が「ナイス!」と言っています。
まふ
下巻では期待していた華々しい神々同士の戦いが中途半端な形で終わってしまい、やや期待外れであった。それでも、ほぼヨーロッパ全土、エジプト、アメリカ先住民族などの神々が総結束してアメリカのクレジットカード神などと戦いを交えたようであり、それなりの盛り上がりはあった。ローラが二回死んだり、シャドウが死んで生き返ったり、等々生と死を行ったり来たりの賑やかさもあった。やや中だるみ感はあったがアメリカが舞台だからこそのオールスター神々物語であり、総じて大いに楽しませてもらった。G465/1000。
が「ナイス!」と言っています。
まふ
とんでもなく面白い小説だ。3年間の刑期を終えたシャドウが出所すると妻のローラが交通事故で死んでしまった。謎の男ウェンズデイの依頼で一緒に仕事を開始するが、その仕事はつかみどころがない。ウェンズデイによるとアメリカはコロンブス以前に様々な先行者によって発見され、その時一緒に来た世界中の神々はアメリカの新しい神々(クレジットカード神、インターネット神、等々)によって虐げられてきたという…。死んだ妻ローラが現れるし、何とも意表を突く発想で、一体これからどうなるのか、ワクワクしながら下巻へ。G465/1000。
Johnnycake
2024/03/16 22:06

ああ、懐かしいです♪ ニール・ゲイマン、他にも何冊か読みましたが、やはりこの作品が一番面白いと思いました。

まふ
2024/03/17 09:22

Johnnycakeさん ゲイマンをいろいろと読まれたのですね、スバラシイです!! 私は初読ですが学殖豊かで発想力抜群ですね。まだ前編なのでどうなるのかこの後見当もつきませんが、後編楽しみにしています。

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まふ
昭和54年発行の写真集。日本の勃興から敗戦までの70年間、重要な役割を果たし、東条英機、阿南惟幾などの悲劇的人物像を生み出した日本陸軍を徴兵から除隊までの兵営生活、兵士の種類(兵科)、兵器、航空機、軍馬、軍用犬に至るまで詳細に記した図鑑。70年間で輩出した陸軍大将(含元帥)は第1号西郷隆盛から牛島満までの134名の多きに上る。彼らおよび陸軍自体の功罪は別として、その顔を眺めるとまことに立派な顔が並んでいる。平和ボケかつ凋落まっしぐらの今日の日本人が忘れてしまった緊張感あふれる顔たちである。
が「ナイス!」と言っています。
まふ
極端な過剰自意識を持て余しつつ世の中すべてを自分の許す範囲内でのみ規定し世間から閉じこもる。一旦外界に出ると常に自分を意識し相手のすべてを否定的に捉えて自らの世界を狭めて身動きの取れない自縄自縛状態に陥る…。人間だれしも似たような自己意識を感じる時があるだけに、主人公の自ら出口を塞ぐ自閉状態は読んでいてつらい。友人たちに自らバカにされに行く「心の自傷行為」や娼婦のタマゴのような女の純情を破壊しなければ納得できない自己矛盾…何度も繰り返して読むべき一書である。G464/1000。
が「ナイス!」と言っています。
まふ
1970年代の性開放時代を謳歌した両親を持つ異父兄弟の波乱の生涯の物語。SFに分類されているがリアル感が横溢していた。兄ブリュノは性的コンプレックスに悩まされる教師、弟ミシェルは優秀な分子生物学者だが性的生活になじめない、という設定もさることながら、ヌーディストビーチにおける「過剰な」描写などが読者を辟易させる。「この先は二人ともきっとみじめいなるだろうな」と思っていたら、案の定平穏無事な末路を成就できなかった。「読み疲れ」する作品だった。G463 /1000。
が「ナイス!」と言っています。
まふ
ブルックリン暗黒街を舞台にした人間ドラマ連作。冒頭第1部の出だしの凄まじさに息をのむ。偉そうに大きな顔をする兵士を主人公のチンピラたちが集団で徹底的に暴行する場面だ。花村萬月や村上龍の世界を数倍も上回る(!)ショッキングな暴力シーンである。しかも、駆けつけた警察官たちはこれを無罪放免とする…。チンピラ同士はお互いに「戦果」を称えあう!ナントナント!!全体は5部+終局で構成される。ドラッグが広まる以前の酒、女、ホモが主流の世界だが、彼らの鬱積した「思い」はきっと変わらないのだろう。G462/1000。
が「ナイス!」と言っています。
まふ
短編「小さなマフィアの話」と中編「人それぞれに」所収。いずれも「イタリアらしい」読者をからかっているようなストーリーだ。殺人犯人が見つからず、巡査長が見つけたと思ったら…。あるいは村で2人の殺人事件が発生し、事件を追及する学校教師が核心に触れそうになった段階で死体で見つかる、というところで終わり。どうやら両方ともマフィアが絡んでいるらしいが、その匂いがするだけで「あとは読者が勝手に想像せよ」と放り投げだされる。いわば「オープン系ミステリー」とでもいえようか。G461/1000。
が「ナイス!」と言っています。
まふ
友人たちの強い推薦があった新書大賞受賞作。オノマトペを追及していくうちに言語の本質問題に行きついた、という流れで書かれている。わかりやすい説明のようだが、結構奥深く、簡単に片づけられない壮大な概念規定であり、一読では全体を十分理解できていないことが分かった。再読を要する。日本語に比して英語にオノマトペが少ないのは動詞などの中にオノマトペ要素として含まれている(結果的に動詞の数・種類が多い)から、という説明はなるほどと思った。よく調べて、実証主義的結論を出してゆく姿勢は好感をもてる。
が「ナイス!」と言っています。
まふ
全4巻の大河小説のその1。真珠湾攻撃以前の平和なハワイ海軍基地における下士官以下の兵卒たちの緊張感のない日常生活が描写される。ラッパ手で強いボクサーのブルーが敢えて厳しい一兵卒の境遇に甘んじるのが何となく不自然に感じられる。やり手の一等兵曹ウォーデンの抜け目ない動き、無能で無責任な中隊長ホームズ大尉、その妻の淫乱なカレンの乱れた行状などなど。兵士たちは酒と赤線地帯と仲間内の賭博、ボクシングなどに現を抜かす以外に楽しみはない…。前奏曲的ではあるが、どうでもいいような内容であった。G1000。
が「ナイス!」と言っています。
まふ
筋肉隆々の男性ヒッチハイカーばかりをピックアップする豊満な胸をしたチビで肌の粗い魅力的な女性イサーリー。惹きつけられた男たちは途中で注射を打たれてワケアリのアブラック農場の「死体処理場」へ…。怪しい物語はドンドン怪しい展開をしてゆき、読み手はドギマギしながらひたすらページを繰る。読み終わっても余韻は胸にブウォーンと残る・・・。これは一体何だったのだろうか。ワタクシ的には恐怖小説のベストワンほどのインパクトを感じた。近年の「ファンタジー小説」の白眉だと思う。G460/1000。
對馬 正晃
2024/03/08 20:51

スカーレット・ヨハンソンが脱いだ!とのことで映画版を観ましたが、なかなか難解でした(苦笑)

まふ
2024/03/08 21:33

對馬正晃さん 映画があるとは知りませんでした。映画化しにくいかもしれないとは思いましたが、やはり難解な作品になったわけですね。小説は凝った作りもなく、読みやすかったです。ただし、中身がナカナカ一筋縄ではいかないタフな内容でした。映画は機会があればぜひ観たいです。

が「ナイス!」と言っています。
まふ
遥かな(?)未来、人類が姿を消した地球の、人類になり切っていないその後継者的生物の苦難の物語、ということが中盤を過ぎてようやくわかる。一見つじつまのあい損ねた(?)場面と会話が次々に出てくる。読者の私は全くついてゆけず、途中で幾度も放棄したくなったが、我慢して読んだ。作者の伝えたいことが、解説者にさえも今ひとつ掴み切れない複雑で難解なストーリーであったようだ。読者としては「読書遍歴の一過程」として思い出話の一つとしておこう。G459/1000。
が「ナイス!」と言っています。
まふ
北海道から沖縄まで全国280家(幕末)に及ぶ大名の一覧。大名領地は今日の都道府県的自治方式とは異なり、ほぼ完全な自治権を有する「小さな政府」であった。江戸屋敷には妻子が人質的に住み、1年おきの参勤交代で藩主も江戸詰めをさせられた(幕末にはこの規制も緩和された)。各藩ごとに①城持ち、陣屋別、②領内人口、③家臣数等が記されている。伊達騒動などのお家騒動や、藩内殖産興業の歴史、幕末の動乱対応などのエポックも記述されており、「便覧」として随時便利に使用できる。
が「ナイス!」と言っています。
まふ
「青春恋愛小説でありSFの傑作」という作品。プロットは太陽系以外の、ほとんど地球と同じ環境下で人間と似たような登場人物が展開する可愛らしい物語であるが、読むにつれて「SF」と「ファンタジー」との違いが分からなくなった。「ガリヴァー旅行記」をSFと呼ぶのならば了解するが、むしろ身分制や強国同士の派遣争いなどの背景を見れば「パンタグリュエル」「ハリーポッター」等と同列の「おとぎばなし」に分類すべきだろうと思ったりした(そもそも「SF」の基本概念を私が理解できていないのかもしれませんが)。G458/1000。
が「ナイス!」と言っています。
まふ
妻智恵子を偲んで書かれた詩文集。智恵子が精神異常を来してからも熱烈に智恵子を護り愛し続けた光太郎の魂の叫びが凝縮されている。邂逅以来インスピレーションを享けつつともに過ごしてきた智恵子を措いて光太郎の芸術的生命の源泉はなかったとさえいえる。穢れのない光太郎の精神だからこそ永遠の命を抱きつつ亡くなった智恵子と「合体し」純粋な愛情の言葉を撚り出すことができたのだと思う。28歳で結婚し52歳で亡くなった智恵子を光太郎は慕い、珠玉のような詩を生み出す。近代日本詩の貴重な作品といえる。
が「ナイス!」と言っています。
まふ
コルヴェット艦級のコンパス・ローズ号で出遭ったエリクソン艦長とロックハート士官を中心に描かれる英国海軍護衛船団の終戦までの物語。上下2段組の細かい字で約65万字(訳文)に及ぶ壮大な作品であった。主として北大西洋での護衛任務中に撃沈されて生きのび、より大型のフリゲート艦「サルタッシュ」に乗り換えてこのコンビは終戦までナチスドイツのUボートと戦う。英雄的な大活躍場面があるわけでもなく、少し中だるみはあるものの、比較的バランスの取れた「標準的戦記物」というのが率直な読後感だった。G457/1000。
が「ナイス!」と言っています。
まふ
黒海とカスピ海に挟まれた弱小2国を舞台にした恋愛物語。イスラム教シーア派の国アゼルバイジャンの少年アリとギリシャ正教の国グルジア(現ジョージア)の少女ニノは相思相愛で宗教の違いによる問題を克服して結婚にこぎつける。が、両国は地域強国であるトルコ、ロシアに翻弄され、ペルシャ(イラン)に逃れたりするも、ペルシャはイスラム教の戒律の厳しい国であり、ニノはハレムで宦官に監視される厳しい生活を送ったりする…。イスラム教国における信徒の戒律的生活が興味深かった。G456/1000。⇒
まふ
2024/03/02 23:12

⇒イスラム教国では「女性は知性も魂もない」「女は語学の知識よりも腰の太さが大事」「女は男の種を撒く畑に過ぎない」という化石的・退行的言動の由来を改めて確認した気がします。イスラム教の時代錯誤的「常識」の根深さは一朝一夕に解決・変革できるものではなさそうだと改めて認識しました。

が「ナイス!」と言っています。
まふ
中国国民党政権時の北京(北平)の下町を舞台にした車夫の物語。一徹でクソ真面目だがその一生懸命さが皆に愛される「駱駝の祥子」と呼ばれる車夫が、金を貯めて車を買い自営業者となろうとするも、いつも邪魔が入って達成できないうちに、親方のブスの娘に惚れられ最後には心ならずも結婚させられたりして、自分らしい生きかたができずに生涯を終える…。少しばかり「無法松」を思い出したりしたが、読者の心にツンと訴えかけてくる中国風人情物語だった。G455/1000。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2022/07/07(660日経過)
記録初日
2000/01/06(8878日経過)
読んだ本
1727冊(1日平均0.19冊)
読んだページ
583651ページ(1日平均65ページ)
感想・レビュー
1554件(投稿率90.0%)
本棚
106棚
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