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2024年11月の読書メーターまとめ

特盛
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感想・レビュー
25
ナイス
1018ナイス

2024年11月に読んだ本
25

2024年11月のお気に入り登録
5

  •  maya
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  • ヒロキです

2024年11月のお気に入られ登録
6

  • マリリン
  • WATA
  • あらた
  • yuma6287
  • とも
  • ヒロキです

2024年11月にナイスが最も多かった感想・レビュー

特盛
評価4/5。京都の町病院勤務の凄腕医者、マチ先生。彼は洛都(おそらく京大)病院の名のあるポストから身を引き、市井の人の顔が見える医療現場に生きる。妹(逝去)の子を引き取り育てる。本書タイトルの、哲学者スピノザの考え「この世は理不尽、思い通りにならない。人間にできることは限られている。でも努力することは大事」を彼は信条としている。日々、患者たちの地獄のような辛さや、運命の理不尽に向き合いながら、治らなくても患者の幸せに医師は何ができるかと自らに問う。普段知れない、医療の厳しい現場と素敵な両面を垣間見れた。
mitu
2024/11/10 15:26

図書館の予約が膨大な数で、予約を取り消しました。読みたいですが。。

特盛
2024/11/10 16:02

図書館予約争奪は熾烈ですね。私もこれ借りたんですが結構待ちました。。。定期的に図書館の新刊ページサイトをチェックして、入荷すぐ予約するしかないですねぇ。この手のは

が「ナイス!」と言っています。

2024年11月にナイスが最も多かったつぶやき

特盛

絶景の前で日がな本を読みたい!そんな場所を探し求める旅を先週末に敢行。前日は紅葉の前。2日目はまた移動し、ここだ!とテンション高く見つけた場所は滝の向かいに突き出した岩の上。携帯の折りたたみ座椅子に座り、本を読んでは滝を眺めの贅沢な時間をすごしましたが、足下左右が7mくらいの崖で、なんとも落ち着かずww

絶景の前で日がな本を読みたい!そんな場所を探し求める旅を先週末に敢行。前日は紅葉の前。2日目はまた移動し、ここだ!とテンション高く見つけた場所は滝の向かいに突き出した岩の上。携帯の折りたたみ座椅子に座り、本を読んでは滝を眺めの贅沢な時間をすごしましたが、足下左右が7mくらいの崖で、なんとも落ち着かずww
yukaring
2024/11/01 09:49

「絶景の前で本を読む」って素敵な時間ですね~🎵😊

が「ナイス!」と言っています。

2024年11月の感想・レビュー一覧
25

特盛
評価4.5/5。かなり評価高い本だが、何の小説かあまり事前に知らないまま敢えて読む。著者の文明交錯は面白かったので信頼。期待をしっかり超えてくれた。本作は、ナチスのゲシュタポ長官、ユダヤ人問題の最終解決者、ハイドリヒの暗殺を試みた無名の英雄達の話だ。メタフィクション的というか、純粋な歴史小説ではなく、作者の思弁や創作での迷いなどが縦横に綴られる。彼らを、歴史に埋もれさせてはいけない。また自国や英国の恥ずべき行為も忘れてはならない。著者の想いや人物への敬意が伝わる。緊迫感あり悲しい話だが強く印象に残る作品だ
特盛
2024/11/28 23:20

ゴングール賞取る作品には、おみそれしました、と素直にうならされることが多いなと改めて。プロットやテーマの奥深さだけでない。なんてか、文学への愛が、文学への希望や信頼が、今のこんな時代でもしっかり感じられてうれしくなるのだ。本作は2008年の作品だけど、今更ながら、何でこれまで縁がなかったのだろうな。実にもったい。チェコという国、プラハという町など、東欧についての己の感度の低さにも同じく感じる。

が「ナイス!」と言っています。
特盛
評価4.5/5。ヘーゲル、ちょっと覗いてみようから見直してめちゃハマっている。関連本はこれで4冊目だ。本書は精神現象学と法の哲学概観には一番為になったし分かりやすく面白い。ヘーゲルは真理・道徳・共同体を語る悪の権化として、ポストモダンからは袋叩きの対象だった。だが安全で裕福な世界でポストモダンが何かを解体したり、逃げたり、クールな議論を続けて早60年、何が変わったのか?世界はきな臭い。本書の主題は「個人が自由で価値観もバラバラになった世界で、人はどうやって共同体をつくるか?」だ。今こそ意義がある気がする。
特盛
2024/11/28 22:04

西先生の語りは、自身が共同体なんてクソ食らえ!って、ポストモダン寄りの立場であった若き日を振り返る。その上でヘーゲルを見直して今に至る経緯などは、精神の運動そのものである。人も社会も揺れ動くのだ。マーケット・相場に凄く似ている。行き過ぎて戻り、その時には過去の記憶を保持しつつリニューアルされたまた違う意識を持った存在になっていくのだ。仕事から力抜いて、一人で本ばかりを読んではいられないなと、と私も最近つくづく思う。ヘーゲル的には、例えばストア派的生き方も、いつか飽きて社会への恨みに転化するのだ。

特盛
2024/11/28 22:10

自分にとっての「事そのもの」、共同体・他者との相互承認の関係のあり方、そこでどの様な行動・開かれた議論を行っていくのか?まだまだ長く残っている人生の宿題だわ。って、こういう青臭い話をして少し恥ずかしい。普通は青年期に辿るもんなんだろうな。自分も社会に出た後はバリバリ働いて上へ上へ、しか関心がなかった。何も考える必要が無かった。中年を過ぎたら普通はもう人生固まるもんだろうな。一方迷い迷う自分は。いいも悪いもまるで第二の青春にいるようだわ

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特盛
評価3.6/5。女子高生探偵ピップを主人公とした三部作の外伝的作品。最初の事件の前日譚。短いけれど、久しぶりにピッパに会えてファンにはうれしい。謎解きの舞台は、仲間内で遊ぶゲームブック。あくまで仮想の殺人だがこれがまた読ませる。個々人が役割を持って参加する推理ゲーム、やったことないけど楽しそうだ。そういえば道尾秀介がこういうの監修していたな。ホリー・ジャクソンは現代風ですごくフェアなミステリー作家の印象だ。今はホラーっぽいサスペンス寄りの別ジャンルを開拓している様で、こちらも邦訳が楽しみだ(されるのか?)
が「ナイス!」と言っています。
特盛
評価3.6/5。カミュの人生と作品の関係が詳しく語れる。作品群のテーマとしての不条理、抵抗、(そして未完に終わる)愛。不条理の中心には絶対価値が無い時代に死すべき運命がある。抵抗は生命の運動である。(かなりニーチェ的印象を受けた。)描かれるカミュの素顔、ヒューマニストであり信念ある生き方は実に魅力的だ。愛を描き切る前に、46歳で不慮の事故に彼は亡くなったが、これは今の私と同じ年であることもぐっとくる。異邦人はまた一回読み返したいな。ムルソーに現代のキリストを重ねているというカミュの意図を頭に置きながら。
が「ナイス!」と言っています。
特盛
評価3.7/5。大陸合理論、イギリス経験論、カント、ドイツ観念論。それぞれの分野の大家が、思想の重要なニュアンスを編集者との気さくな対話形式で描く。神という世界の拠り所が弱体化し、経験/人間理性への信頼の勃興。そして理性の弱点をどう認識克服し、それを個人や社会の自由な生き方に繋げていくか、本巻ではこの様な思索が描かれる。別途勉強しているヘーゲルとフィヒテ、シェリングの関係は大変参考になった。思想はバトンリレーであり、通史は大事だと改めて痛感。思想グループの後世のラベリングは、どの研究者も歓迎しないのも納得
が「ナイス!」と言っています。
特盛
評価3.7/5。相変わらずテロリストなドン・キホーテ節はさらに狂気を増していくw想い姫に恋焦がれ過ぎ、騎士物語に沿って”狂わねばならない”と彼は妄想する。山奥で下半身をさらけ出して嘆くシーンはぶっ飛んでいる。よくもこんなこと考え付くなと。従士サンチョの立ち位置も味わい深い。読んでいて気づいたのが、彼は漫才でいう所のツッコミじゃないか。ツッコミは漫才という特殊芸能の日本独特の役割と思っていたので新鮮だ。本編に出てくる作中作の話も、単独で成立するじゃん!と読ませる。内容盛沢山で楽しいエンタメだった
が「ナイス!」と言っています。
特盛
評価3.7/5。フランス革命を描く全18冊の大作もようやく折り返し。王が逃亡したヴァレンヌ事件を描いた7巻から更に面白くなってきたぞ。革命がひと段落した後、オーストリア・プロイセンからは、フランスに対する強硬的な態度の宣言が出される。世論は主戦・反戦二分化。王は意図を持って戦を支持。反戦を唱えるロベスピエールは無知な民衆へのいら立ちを隠しきれない。また後に独裁政権でロベスピエールの右腕となるサン・ジュストとの出会いも描かれる。後の恐怖政治にどうつながっていくか、ロベスピエールの心の動きに注目したい。
特盛
2024/11/25 13:11

教科書からはなかなか伺い知れない、派閥同士の立ち位置、人々や関係が実に丁寧に描かれている。ジャコバン派、ジロンド派、フイヤン派、王党派などなど。これらは常に変化しながらある存在である。派閥として集団を捉えることは、人々をざっくりラベリングすることだ。だが、ラベル化は細部を消し去る。そこには人がいて、想いを持って生きている。当然、個別個別の人の考えはそれぞれ違うし変わるのだ。そしてその小さな差異が、派閥分裂や結成のダイナミズムを生み出し、社会変化の力学となる。これが面白い。

が「ナイス!」と言っています。
特盛
評価3.6/5。著者は宇宙物理学者で宇宙の構造シミュレーションのスペシャリスト。宇宙論でのシミュレーションっていったい何やっているの?その意義(理論と実験のパイプ)や限界(近似と人の手による主観的な微調整)を現場ならではの視点で分かりやすく伝えてくれる。初期条件と計算性能が飛躍的に増した歴史、特に天気予報がこの20年くらいで激的にレベルアップした背景なども解説され興味深い。並行宇宙や世界シミュレーション仮説といった大胆な議論にも、著者は否定はできない、と一定の理解を示すのも面白い。まさにお仕事見学した感じ
が「ナイス!」と言っています。
特盛
評価3.6/5。政治学者、ナンシーフレイザーによる、資本主義批判。その特徴を共食いと定義する。資本主義は、社会基盤(ケアや福祉)、自然、政治(所有権や契約などを担保)に依存している割に、これらを攻撃する。経済体制ではなく、社会の形の一つである、とする。それぞれの領域と経済の境界に摩擦が生じるが、”アンチ資本主義”という連帯が必要だと説く。マルクスによる資本主義の特徴や、重商主義、植民地主義、国家管理型資本主義、グローバル金融経済と遷移する段階で上記共食いがどの様になされてきたかを紐どく。
特盛
2024/11/24 14:01

著者がいう様に、資本主義は経済体制というよりもはや社会体制、いわばOSになっていると思う。マークフィッシャーは代替手段の無さへの絶望を”資本主義リアリズム”と呼んだ。本書の提案はアンチ資本主義として、食われる非経済領域同士の連帯か。改めて思うのは、資本主義の矛盾は認めても、そもそも主体が概念的であることの難しさ。またアンチで連携してもそれぞれ欲しいものは違う、という点。これは革命時の論点、自由は合意してもそれぞれが見ている自由は異なる、に似ている。社会の行く末とは矛盾を内包した資本主義の行く末だ。

が「ナイス!」と言っています。
特盛
評価3.9/5。「ね、なぜ旅に出るの?」「苦しいからさ」36歳の太宰は故郷の津軽を訪ねる。自分の故郷、生立ち、生き方を見つめ直すために。時は昭和19年、戦争のさ中。本作は青森の風土記であるとともに著者率直な自己開示でもある。明るい。他作品での暗さと対照的。戦時中に関わらず、人や生活が都市と驚くほど違い牧歌的であるのにも驚く。人は故郷から離れて、苦労も嫌なことも経験し、どんどん変わっていく。誰しも、幼少の素朴さ純真さ、人の繋がりは遥か遠のく。読者へ「絶望するな」と結ぶ言葉は、後の彼の人生を思うと胸を打つ。
が「ナイス!」と言っています。
特盛
評価3/5。AIに意識が生まれてブッダを名乗る。機械たちがその教えに感化され成仏、悟りを目指す。様々な宗派や考えがブッダの弟子によって生まれる。その過程は実際の仏教の軌跡をなぞる。半分仏教の概観みたいな本である。人工知能、コードに仏教を語らせることで、それぞれの考えがなんだか軽く、愚昧なたわごとの様に感られてくる効果を感じる。ページが進むにつれ内容が言葉遊び、空文の連なりに思え、なんだか宗教を素材に知的に遊んでいるような印象が強くなる。色々な?を抱きつつ読み終え、そして?は消えないままモヤモヤとして残る
が「ナイス!」と言っています。
特盛
評価3.8/5。19C作品。暗黒大陸を巡る冒険小説でもあり、ポストコロニアルの西洋文明批判でもあり、むき出しの自然の闇と対置した際の人間と狂気とは何か?を問う小説でもある。すなわち多義的である。決して分量は多くないが。読後思ったのは、「自由とは社会規範からの逸脱であり、それは一方で狂気である。そして、身を背けた元の社会規範もまた一つの狂気である。」といったようなことだ。選んだ狂気と選ばされた狂気しかない。闇の奥で”狂人”となったクルスの最後の言葉は、そんな袋小路への絶望ではないか。自由は実は恐ろしい深淵だ
が「ナイス!」と言っています。
特盛
評価4/5。元々山にはマウンテンバイクで通い走っていた。もう30年。近頃怪我も怖くなり、歩きに切り替えたらこれが楽しく奥深い。スローに自分のペースで自然と一体化し、全身をくまなく使う心地よさが実に良い。本書は初心者が山歩きを勉強するには非常に参考になった。コース選定・歩き方・補給の仕方・普段のトレーニングなど科学的で非常に丁寧。驚いたのは必要な筋力が想像以上に高いこと、悩んでいる膝のトラブルの原因と解消法、思った以上に水分、栄養補給がいるってこと。(感覚想定の3倍くらい)。更にモチベーションが湧いてきた!
が「ナイス!」と言っています。
特盛
評価3.3/5。たまに読みたくなるキング。住む土地の処分方法を巡って対立した妻を殺してしまう農夫。共犯者として息子を抱き込む。上手くやり遂げたが、狭い共同体の中、次第に二人の秘密に綻びが。親、息子、それぞれ内面化された罪の意識の葛藤、以前には決してもう戻れないという不可逆な世界の変容。「罪と罰」もそうだが、ノワール小説の醍醐味は内面の葛藤/独白だ。キングの場合は現実との境目が曖昧にグロテスクな狂気に変容する様が生々しい。もう一編の公正な取引も短いながら、人の運不運の偏りを恐怖としてゾワゾワと描く作品だ
が「ナイス!」と言っています。
特盛
評価4.5/5。大学生の時に英語版で読んで途中で挫折した本作品に20年ぶりのリベンジ。最高でした。ファーストコンタクト→壮大、深淵な世界構造の描き方は、オラフ・ステープルドンのスターメイカーをかなり彷彿とさせられた。巻末の解説を読んで、クラーク自身も生涯で最も影響を受けた作家として挙げているのを納得。レムのソラリスもそうだが、「世界は人間が理解できるように作られている保証はどこにもない」という世界の底が抜けてしまうような疑似体験、哲学的深淵に触れる味わい深さが魅力。改めて他の作品も読まねば。G1000
が「ナイス!」と言っています。
特盛
評価3.4/5。ゴシック編に続いて今回はミステリー編。表題「モルグ街の殺人」は世界初の推理小説という。今読んだら、これ小学生の時に読んだことありましたわ。ああ!犯人そうだった!と懐かし過ぎる。黄金虫、も不気味不思議ミステリで楽しめた。ゴシックホラーからミステリーまで、実に才能ある作家だなぁと改めて。解説でポーの雑誌編集者のキャリアを知った。守備範囲の広さになるほどなと得心。
が「ナイス!」と言っています。
特盛
評価3.2/5。言語学者、川添愛氏が日常の言語から見出す面白ネタを綴ったエッセイ。元ネタは東京大学出版会のPR誌、UPに連載。兎に角飾らない、開き直って言いたいことをギャクテイスト満載で語るのが実に楽しい。元々AIと人間に関連する他の本を読んで知った著者だが、ここまで個性的でオモロイ方とは知らなかった。相当なプロレスオタクのネタ披露には、あれ?著者って男の人だっけ?あれ??と混乱したw。一番印象に残ったのは、ユーミンの歌のタイトル、「恋人がサンタクロース」は、何故、恋人「が」なのかという話かな。
が「ナイス!」と言っています。
特盛
ブックオフでほぼ新品6冊を安く見つけ、これも天啓!と読み始め。日本で江戸幕府が開かれた時期の作品!時代を超えてオモロイのがスゴイ。憐れな中年のオッサンの狂気の物語。ドン・キホーテは目の前のあらゆる事象を、愛読する騎士物語に擬え妄想し行動するが、周囲から見るとテロリストや山賊の様な存在である。コメディだが、狂気的で恐怖感を時に感じる。仮に自分が狂っても狂ったと分からない世界ってこういうこと。幸いにして、お供、ツッコミのサンチョがいい味を出して現実世界との良いつなぎ目の役割をしている。さて長い遍歴の旅が続く
が「ナイス!」と言っています。
特盛
評価4/5。京都の町病院勤務の凄腕医者、マチ先生。彼は洛都(おそらく京大)病院の名のあるポストから身を引き、市井の人の顔が見える医療現場に生きる。妹(逝去)の子を引き取り育てる。本書タイトルの、哲学者スピノザの考え「この世は理不尽、思い通りにならない。人間にできることは限られている。でも努力することは大事」を彼は信条としている。日々、患者たちの地獄のような辛さや、運命の理不尽に向き合いながら、治らなくても患者の幸せに医師は何ができるかと自らに問う。普段知れない、医療の厳しい現場と素敵な両面を垣間見れた。
mitu
2024/11/10 15:26

図書館の予約が膨大な数で、予約を取り消しました。読みたいですが。。

特盛
2024/11/10 16:02

図書館予約争奪は熾烈ですね。私もこれ借りたんですが結構待ちました。。。定期的に図書館の新刊ページサイトをチェックして、入荷すぐ予約するしかないですねぇ。この手のは

が「ナイス!」と言っています。
特盛
評価4/5。米国戦史家による太平洋戦争6部作の2部目。空母対空母のノーガードの殴り合いの珊瑚海海戦から日本の運命転換点となったミッドウェー海戦までの迫真の物語。偶々ブックオフで手にしたけど本当に読んで良かった。日米双方の指揮官から現場、戦術/戦略レベルまで多面的な視点で太平洋戦争の前半が描かれる。視点は両軍に対してかなりフェアな印象。珊瑚海での双方暗中模索の戦い、ミッドウェイ暗号解読の舞台裏は息を止めて読む。筆運びが素晴らしく出来事が繋がり流れとなる。ノンフィクションでありながら小説より手に汗握った
が「ナイス!」と言っています。
特盛
評価4/5。進化論の大家、ドーキンスの様々な著書の総集編的作品。元々子供向けの講義が書き起こされたのもあり、非常に読み易く、様々な例・実験とともに驚きに満ちており、メッセージもクリアだ。まず進化の時間軸の実感から。次に目の進化や翼、擬態といった、「サルがシェイクスピアを書く奇跡」の種明かしも秀逸。目的、という機能の進化上の位置づけ、脳内モデルとしての現実など、興味深いトピックが多く読み応えの大盤振る舞いです。徹底的に宗教を攻撃する人なのでなんらか信仰を持っている人には気分が悪いかもしれないなぁ
が「ナイス!」と言っています。
特盛
評価3.9/5。道徳と運がテーマの哲学。運が古代から現代まで西洋思想史上どう取り上げられてきたか、古典ギリシャ哲学、ストア派、デカルト、カント、アダムスミスまでまず振り返られる。ここで語られるのは、外在的な運の要素に振り回されない様に、いかに内面の自治を確保するかというのが大きな思想の骨だ。そして現代でのネーゲルやウィリアムスの道徳的運、即ち境遇の運、結果の運と善悪の議論が紹介される。我々は必然性と偶然性の網の目の中にある存在である。必然と偶然の崖に挟まれた稜線を恐れもし、また勇気を奮い歩くのだ。
特盛
2024/11/08 23:17

この年になって、結局自分の人生で必然や自力だ、と思ったことも所詮大きな偶然の流れの中でたまたまそうであったということが骨身に染みてくる。良いことも悪いことも。古来から人は、偶然性の大きな波に飲み込まれそうになるのを、なんとか足掻いて咀嚼しようとしてきた。この、理不尽との闘いの歴史に、時を超えた感情の連帯がしみじみと実感できたのは驚きだ。著者はヴィトゲンシュタイン研究者らしく、運という言葉に様々な角度から丁寧に光を照らす。運と人生の関係の内実についてあちこち彷徨いながらも、充実した吟味が味わえた。

が「ナイス!」と言っています。
特盛
評価4/5。米国大統領ってどういう仕事か、個人的にあまり明るくなかったので、大統領選挙前に読んで非常にためになった。強大な力を期待されるが、実態として権力は日本の首相や韓国の大統領に比べて制限される米国大統領。大統領令は限られた範囲の効力である一方、立法の提案もできず、また所属党には党議拘束が無いために単純に応援も期待できない。議会への国民からの信用が低下して期待はひたすら大きくなる。このような中で進むアメリカの分断。今日まさに大統領選挙の開票が進んでいるが、米国政治にさらなる関心をもつきっかけとなった。
が「ナイス!」と言っています。
特盛
評価3.9/5。裕福だった家族が戦後数年でバラバラになっていく。元バレリーナの妻の不倫を軸に、教養高いが自分勝手で不気味な夫、自立しつつある二人の子供達の関係が描かれる。家族が壊れる様がいかに不可逆であるか。そして状況の当事者たちには壊れることは予感とともに展望も良く見えない。ごまかしごまかしやってきた家族間の対決がクライマックスだ。近い人ほど憎み合うと遠い。純文学っぽっく結末に様々な含みを持たせているが、暗い小説だった。解説が三島由紀夫と池澤夏樹という豪華で、批評内容もまた秀逸で読み応えあり
が「ナイス!」と言っています。
特盛
評価3.6/5。著者は中国出身アメリカ在住の気鋭SF作家、ケン・リュウの短編集。初読み。テッド・チャンや小川哲系のアタマイイ系SF作家だなぁ、と思ったら弁護士でありプログラマーという経歴。割とルーツの中国に関連した作品が多い。推しは表題作、紙の動物園です。若い頃には分からない母親の愛。親という「人間そのもの」を子供は理解することが本当に難しいものだなぁ。動き回る、かわいい紙の動物達が目に浮かび愛おしい。自分は子供に何を残してあげられるのかを考える。なんとも、ほっこり悲しい作品でした。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2023/08/15(478日経過)
記録初日
2023/03/22(624日経過)
読んだ本
484冊(1日平均0.78冊)
読んだページ
164597ページ(1日平均263ページ)
感想・レビュー
416件(投稿率86.0%)
本棚
11棚
性別
職業
役員・管理職
現住所
東京都
自己紹介

アラフィフ。戦略コンサル、スタートアップを経てプライベートエクイティ業界で15年ほど投資業に従事。今は零細事業主として独立。
まだまだ黄昏ではなく、これから夜更かしする気満々。
小説ノンフィクション問わず、科学、SF、ミステリー、歴史、社会学、経済、哲学関連の読み物が好きです。

本を読めば読むほど、自分は思ったほど自由にモノを考えていないかった、時代や社会の大きな流れの中にある小舟の様なものだった、と最近痛感します。

そう考えるようになってから、古典を通じて異なる地域や時代性に触れることも最近は楽しめる様になってきました。

評価は個人的なものです。私との相性だとご理解ください。
物差しは以下の通り
・5:心動かされる。価値観や行動に具体的な大きな影響を及ぼす。一生読み返したい。
・4:メモをとりながら深く読みたい。必ず再読したい。図書館で借りた本ならば手元用に買いたい。人生のテーマを広げる/この本を起点に新しいワクワクする探索領域が広がる。人に勧める。
・3:面白かった。没頭できた。共感できた。1回読めばいい。
・2:読まなきゃよかった、程ではないが、共感できない。没頭できない。目新しくない。読後のもやもやなど。BOOK OFFで売?人にはお勧めしない
・1:読まなきゃ良かった。面白くなくて読み続けるのを断念。

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