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2024年10月の読書メーターまとめ

natsuko
読んだ本
3
読んだページ
512ページ
感想・レビュー
3
ナイス
544ナイス

2024年10月に読んだ本
3

2024年10月のお気に入られ登録
2

  • Nao023
  • 名無し

2024年10月にナイスが最も多かった感想・レビュー

natsuko
再読。「城の崎にて」を。文庫にしてわずか十ページの短い小説を何度も読み返している。登場人物は「自分」一人だ。その他には背景として描かれる子供たちや蜂、鼠、イモリだけだ。しかしその「自分」よりも大きく物語を動かすもの、それは一枚の「桑の葉」だった。この描写が凄い。『自分は下へいってそれを暫く見上げていた。すると風が吹いてきた。そうしたらその動く葉は動かなくなった。原因は知れた。何かでこういう場合を自分はもっと知っていたと思った。』自分で見てきた光景が自分の深層に降り積もり観念を作り上げていくということか。
natsuko
2024/10/13 16:34

何気ない散歩の途中、次々に動物たちの死と出くわす志賀は、その度にその死を自分の命と重ね合わせた。ぽつんと死んだ蜂の静かな死骸には静かさと寂しさを。川に流されやがて死にゆく鼠には生への執着を。自分の行いで死んだイモリには生死の偶然の分岐を。それらによって志賀は生きる喜びを得たのではない。隣り合う生と死のそのあまりの近さと、自分は何かに生かされているのだという実感だ。

が「ナイス!」と言っています。

2024年10月にナイスが最も多かったつぶやき

natsuko

毎回違うカップが出てくるお気に入りの喫茶店。今日、珍しくデニムをはいていったらこのカップ。もしかして…ってずっと思ってる。でも常連さんみたいに馴れ合うのが得意じゃなくて、オーナーさんもそっとしておいてくれるのが心地いい。

毎回違うカップが出てくるお気に入りの喫茶店。今日、珍しくデニムをはいていったらこのカップ。もしかして…ってずっと思ってる。でも常連さんみたいに馴れ合うのが得意じゃなくて、オーナーさんもそっとしておいてくれるのが心地いい。
白色うさぎ
2024/10/14 21:24

おしゃれな喫茶店で読書。日々を丁寧に生活しているなっちゃん、素敵/( ・×・ )\

natsuko
2024/10/14 23:40

うさぎくん、ふだんのなっちゃんはあくせくあわあわしてるので、たまの喫茶店が落ち着きを取り戻せる時間です(*´-`)

が「ナイス!」と言っています。

2024年10月の感想・レビュー一覧
3

natsuko
奈良県ゆかりの作家四人によるそれぞれの城崎文学はどれも引けを取らない粒揃いの面白さだった。タイトルは皆同じ『城崎にて』。小説の中で登場人物たちは誰もが旅人で、城崎の地でいっとき天地がひっくり返るような事件を経てまた帰路に着く。作家にとって「城崎」とはやはり「木の先」で、そのヒラヒラと舞う運命をやむなしと受け入れたり抗ったりする様をどう料理しようかと楽しんでいるかに見え、その末に主人公たちに揃って賽を振らせ、結果はどうであれ勇気ある一歩を踏み出させたのはやはり今を生きる四作家の気概なのかななどと考えた。
が「ナイス!」と言っています。
natsuko
再読。「城の崎にて」を。文庫にしてわずか十ページの短い小説を何度も読み返している。登場人物は「自分」一人だ。その他には背景として描かれる子供たちや蜂、鼠、イモリだけだ。しかしその「自分」よりも大きく物語を動かすもの、それは一枚の「桑の葉」だった。この描写が凄い。『自分は下へいってそれを暫く見上げていた。すると風が吹いてきた。そうしたらその動く葉は動かなくなった。原因は知れた。何かでこういう場合を自分はもっと知っていたと思った。』自分で見てきた光景が自分の深層に降り積もり観念を作り上げていくということか。
natsuko
2024/10/13 16:34

何気ない散歩の途中、次々に動物たちの死と出くわす志賀は、その度にその死を自分の命と重ね合わせた。ぽつんと死んだ蜂の静かな死骸には静かさと寂しさを。川に流されやがて死にゆく鼠には生への執着を。自分の行いで死んだイモリには生死の偶然の分岐を。それらによって志賀は生きる喜びを得たのではない。隣り合う生と死のそのあまりの近さと、自分は何かに生かされているのだという実感だ。

が「ナイス!」と言っています。
natsuko
再読。森見氏の「城崎にて」を読む前に志賀直哉を読もうと思い、それならこれも読み返したくなるしち面倒くさい性分。そうだった。志賀の「城の崎にて」はなぜ地名の城崎に「の」を加えたのか。「きのさき」。あくまでも一説と理解しつつ雷に打たれた初読時の驚きが蘇った。また養生に城崎を選んだ理由。五週間逗留希望が三週間になった理由。明晰な文を書く彼がある箇所だけ混乱を隠さない理由。小説の深層に分け入る感覚といったらいいか。他人の死生観や達観をとやかく言うことは同じ境地に陥った人以外に許されないと思わせる凄みのある小説だ。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2013/10/22(4056日経過)
記録初日
2013/01/01(4350日経過)
読んだ本
2262冊(1日平均0.52冊)
読んだページ
438968ページ(1日平均100ページ)
感想・レビュー
2253件(投稿率99.6%)
本棚
138棚
自己紹介

⁂⁂⁂⁂⁂⁂⁂⁂

能に興味があります
よくベンチで本を読みます

一読では理解できない、幻想的で多面的なものを探りながら読むのが好き。読みながら迷子になるような、霧の中を歩くような、夢と現実の境い目があやふやな物語に惹かれがち。好きな本は繰り返し読みます。

好きな作家。タブッキ、フリオ・コルタサル、ボリス・ヴィアン、パスカル・キニャール、内田百閒、古井由吉、日野啓三、堀江敏幸、多和田葉子、山尾悠子、金井美恵子、小川洋子、中上健次、ジュール・ヴェルヌ、幸田露伴、泉鏡花、須賀敦子。

特別な作家。樋口一葉、吉行淳之介、芥川龍之介、安部公房、尾崎翠、フランツ・カフカ、レイ・ブラッドベリ、リチャード・ブローティガン、ジュンパ・ラヒリ。

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