読書メーター KADOKAWA Group

2023年6月の読書メーターまとめ

amanon
読んだ本
16
読んだページ
4755ページ
感想・レビュー
16
ナイス
170ナイス

2023年6月に読んだ本
16

2023年6月にナイスが最も多かった感想・レビュー

amanon
かねてから死刑肯定論者が唱える「被害者家族の気持ちを考えろ」的な意見に覚えていた違和感が改めて一層強固になった。また、死刑という行為が、必ずしも真っ当な正義感に則って行われるものではなく、かなり政治的な背景の元になされるものであるということに、肯定論者はもっと目を向けるべきだろう。少なくとも死刑は被害者家族の気持ちも慮ってなされるものではないと。むしろ現行の制度では被害者家族へのケアが足りないという度々なされる著者の指摘にこそ耳と傾ける必要がある。著者のいう優しい日本の実現への道は、まだまだ遠いか。
が「ナイス!」と言っています。

2023年6月の感想・レビュー一覧
16

amanon
次作の『ケアの惑星』が良かったので、こちらを再読。初読の際はケアの現場に云々という感想を抱いたことを深く恥じるに至った。経済的効率性や、家父長制、ケアする側とされる側に生じがちなタテの関係など、ケアの現場にいるとなかなか気づきにくい問題について、人文系の立場から、様々な文学作品を通じて論じていく…その試みが改めて貴重であり、このような意識がケアの現場にいる人間に浸透しないことにもどかしさを覚える。特にマッチョで国粋主義的というイメージを持たれがちな三島由紀夫の、相反する側面に光を当てたのが、興味深い。
が「ナイス!」と言っています。
amanon
川端康成とメディア…一見して、奇異な印象を与えるが、読み進めるうちに、なるほどと思わせる。また、今日名作と謳われる『伊豆の踊り子』がそれ程高い評価を受けていなかったという事実に驚き。ただ、ある程度川端の生涯に沿った記述がなされていながら、川端の死について触れていないこと。それに、反目の関係にあったと思われがちな、太宰を高く評価していたことに言及していながら、太宰の死にどう反応していたかが述べられていないなど、一抹の食い足りなさを覚えるのも事実。それと、川端の人となりについての言及が乏しいのもちと不満。
が「ナイス!」と言っています。
amanon
小説家による名作案内書には、ほぼ外れがないよな…と改めて痛感。以前読んだ津村記久子の『やりなおし〜』とどこか通じるものがあるので、読み比べするのも一興かも。読書歴の早熟さと裏腹に、どこか不器用で世渡りが下手という性格を、度々吐露しているのが、何とも言えずグッとくる(笑)。また、日本編では、あまり知られていない作品がかなりの割合を占める上、著者が全員女性というのが気になる。かなり意図的なものを感じるのだが、どうか。日本の男性作家やロシアの文学作品も取り上げられていないのが、何とも残念。機会があれば、ぜひ…
が「ナイス!」と言っています。
amanon
約四年ぶりに、文庫本にて読了。改めて著者が若い頃いかに文壇の貴公子ぶりを発揮していたかということに驚かされる。何せデビューしたての青二才の作家が、当時の文壇の大御所や長老達と飲食を共にすることができたというのだから、その恩恵は計り知れない。そういうことができた最後の世代なんだろうな…と思うと、深い憧憬に駆られる。そういった多くの先達の中でも、やはり中上健次の著者に対する付き合い方には、他の人にはない愛情の深さが感じられる。その中上の死と、不倫による修羅場、そして一粒種の誕生…まさに一時代の幕開けか。
が「ナイス!」と言っています。
amanon
問題作というか何というか…初っ端から煙に巻かれ続けることを前提にして読み進めないと、到底読了は覚束ない。他の著者の作品に比べ、やや軽い印象を覚えるので、何とかよみ通せたが、そうでなかったら挫折していた可能性大(笑)。夥しいまでのキリスト教用語は、クリスチャンである僕でも、辟易するくらいなのに、そうでない人は本書をどう読んだのか?しかも正当なキリスト教解釈から逸脱した記述も多く、その辺りは、詳細な解説が欲しかったが、訳者はあえてそれを排したとのこと。それだったら、いっそのこと本格的な解説書を出して欲しい。
が「ナイス!」と言っています。
amanon
かなり晩年の時期に当たる口述体のエッセイを集めたもの。内容的にこれまで読んだものとかなりかぶる箇所が少なくないが、それでも著者の軽妙な語り口が楽しめる。晩年に近い時期のものということで、過去の回想も、常に自分の死と背中合わせということを匂わせるものとなっており、何とも言えない悲哀を覚える。しかも、既に亡くなった人達への言及も少なくないため、一層その色合いは強くなる。とりわけ響いたのは、長らく別居状態が続いた妻との久々の邂逅とその顛末について語ったものは、人の命の儚さを改めて感じさせる。味わい深い一冊。
私の一日
が「ナイス!」と言っています。
amanon
先に読んだ佐藤優の『よみがえる〜』と同じく、ロシアのウクライナ侵攻について「冷笑的になってはならないと主張しているのが印象的。しかし、東欧の情勢だけでなく、色々な意味で底が抜けた感が拭えない昨今に置いて、あえて冷笑的にならないというのは、かなり困難なことではある。いみじくも本書で、日本のガラパゴス化、低列化が度々指摘されているのだから、なおさら。また、プーチンをウクライナ侵攻へと促した動機への考察が興味深かったか。そこを踏まえると、停戦への道のりは一層長く困難なものに思える。だからこそ冷笑を捨てるべきか。
が「ナイス!」と言っています。
amanon
図書館で借りた直後に既読本だと気づいた(笑)五年ぶりの再読だが、「こんなこと書いてあったんだ…」と少なからず発見があったか。とりわけ、人間以外の動物、特に猿の言語習得の件が興味深かった。ただ、元々言語習得能力が殆どないと思われる動物に言語を教えるというのは、今日では虐待と見做されるのでは?という懸念を抱いてしまうが。また終盤における日本語と海外語(特に英語)との関係は、今日においてはかなり様相が変わっているので、再考が必要か。特にここ何年かの「日本すごい」的な風潮と絡めて、考えるべき問題かもしれない。
が「ナイス!」と言っています。
amanon
今回のロシアによるウクライナ侵攻は、必ずしもロシア=悪、ウクライナ=善という単純な図式ではないというのは、何となくわかっていたつもりだったが、ここまで複雑な背景やパワーバランスが働いていたことに驚き。それぞれの国に、表の顔と裏の顔があること、一見して、敵対関係にありながらも、その裏で互いに駆け引きがあったりと、決して明快な敵対関係をなしているのではないという事実に、日本人には計り知れないヨーロッパ諸国のタフさ強かさを垣間見た気がした。著者がいうようにシニシズムに陥ってはならないとは思うが、かなり難しい。
が「ナイス!」と言っています。
amanon
本書が出て、早三十年近く。本書で示唆されているような、極端な資源の枯渇というようなカタストロフ的な状態は何とか免れているものの、それでも違う意味での、数多のカタストロフ的な要素が見うけられる昨今。本書を踏まえてのこの三十年近くの歩みを検証するのは、少なからず意味があるだろう。とりわけ著者が幾度となく強調している情報という分野は、この三十年近くの間に、著しい発展を見せ、この当時では想像もできないような状況をもたらした点は外せないだろう。また、本書で言及される、自然環境破壊は今も続いていることに嘆息する。
が「ナイス!」と言っています。
amanon
約二十年ぶりに再読。『告白』の要約的な内容という記憶があったのだけれど、再読してみて、思いがけないほど、内容が多岐に渡っているのに驚き。個人的には終末論について語った第五講がとりわけ響いたか。いみじくもコロナ、ロシアのウクライナ侵攻、未曾有の物価高等々、何かと終末観を煽るようなトピックに事欠かない昨今だが、四十年程前にも、恐らく今とそれ程変わらない終末観が世を席巻していたということに一抹の感慨が湧く。また、そのような事態に「待つ」というスタンスを推奨するのに、佐藤優の「急ぎつつ待つ」に似たものを感じた。
が「ナイス!」と言っています。
amanon
その名称から、何となとも言えない憧憬を抱き、その手の本を目にするとその都度手にとってはいたものの、結局よく理解しないまま、年月だけが無駄に過ぎてきた感のあるロシア・アヴァンギャルド。改めてその概要を知ると、ロシア革命がもたらしたであろう途轍もない高揚感と期待感、そしてその後襲った未曾有の恐怖政治というギャップ、そのギャップに翻弄され、それどころか死に追いやられる数多の文化人達の姿に、言いようのない悲哀感を覚える。馴染みのない用語に全く注釈がついてないのが、不満だが、あえてそうしたとのこと。類書を読むかな。
が「ナイス!」と言っています。
amanon
以前読んだ『月と狂言師』の増補版。興味深い内容ではあるが、『月と〜』の感想でも述べた通り、「疎開日記」では、著者の親族への説明が今一つ不親切で、文脈から人間関係を推察しながら読まねばならないというのがちと辛い。ただ、ああいう切羽詰まった状況の中で、名作『細雪』が執筆されていたんだな…と思うと深い感慨が湧く。また、長く京都に住む者にとって、著者によって描かれる、戦後すぐの京都の姿が何とも言えず味わい深いものに思える。八十年程前の京都はこんなんだったんだな…と。また、永井荷風との往復書簡の存在に驚かされた。
が「ナイス!」と言っています。
amanon
早熟で類稀なる才能を持ちながらも、どこか決定的にずれていて、また特に人間関係では途轍もなく不器用な主人公エドウィン。男子の生態あるあるエピソードの数々に、つい身につまされてしまうだけでなく、エドウィンが魅入られた子供達のエキセントリックな性格とその生態の描写が何とも強烈。特に最後に登場するアーノルドのヤバさは、ちょっと尋常じゃない。また、小悪な少女ローズにひたすら翻弄されるというエピソードも、馬鹿な男子あるあるで、つい身につまされてしまった(笑)。ただ、そうしたあるあるに終わらない要素があり過ぎるのだが。
が「ナイス!」と言っています。
amanon
約二十年ぶりに新訳にて再読。初読の際、殆どキリスト教に無知だったのにも関わらず、よく最後まで読めたな…というのが正直なところ(笑)。また、初読の際も、主人公ジョセフの頑なな性格はある程度認識していたつもりだったが、改めて読むと、極端なまでの潔癖な性格と、その性格が引き起こす様々な軋轢、それでもなぜか人を惹きつけるというか、構いたくさせる何かがあるという人物設定に驚き。またタイトルにもなっているモイラが、実はごく終盤の、しかも比較的僅かな場面にしか登場しないのにも関わらず、強烈な印象を残すのは驚異の域。
が「ナイス!」と言っています。
amanon
かねてから死刑肯定論者が唱える「被害者家族の気持ちを考えろ」的な意見に覚えていた違和感が改めて一層強固になった。また、死刑という行為が、必ずしも真っ当な正義感に則って行われるものではなく、かなり政治的な背景の元になされるものであるということに、肯定論者はもっと目を向けるべきだろう。少なくとも死刑は被害者家族の気持ちも慮ってなされるものではないと。むしろ現行の制度では被害者家族へのケアが足りないという度々なされる著者の指摘にこそ耳と傾ける必要がある。著者のいう優しい日本の実現への道は、まだまだ遠いか。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2008/06/26(5823日経過)
記録初日
2008/06/01(5848日経過)
読んだ本
3076冊(1日平均0.53冊)
読んだページ
987458ページ(1日平均168ページ)
感想・レビュー
3024件(投稿率98.3%)
本棚
7棚
性別
血液型
O型
職業
専門職
現住所
京都府
外部サイト
自己紹介

 ハンパ者を自称しつつも、何だかんだと某グループホームにて介護の仕事をこなしつつ、空いた時間を読書に充て、一応悠々自適な日々を過ごしているつもり。
 好きな音楽は、フー、キンクス、ビートルズ、フリー、ルースターズ、村八分、ティラノザウルス・レックス、ザッパなどのロック、マイルス、コルトレーン、ビリー・ホリデイなどのジャズ。後、ゲンズブール、バルバラなどのシャンソンもちょっと囓った。それから一時期はグールドによるバッハ演奏に結構はまってた。
 好きな作家、よく読んでいた作家は、倉橋由美子、高橋たか子、大江健三郎、町田康、中上健次、津島佑子、古井由吉、高橋和巳、島田雅彦、島尾敏雄、安部公房、三島由紀夫、橋本治、村上春樹などの戦後作家。後最近の作家で読んでいるのは、森美登見彦、平野啓一郎、阿部和重、西村賢太、多和田葉子、中村文則、柴崎友香、村田沙耶香など。
 海外の小説家でわりによく読んだのは、ジュリアン・グリーン、セリーヌ、モーリヤック、ヴァージニア・ウルフ、バルザックくらいか。
 小説以外で好きなのは、エックハルト、シモーヌ・ヴェイユ、内田樹、佐藤優、須賀敦子、白洲正子など。

読書メーターの
読書管理アプリ
日々の読書量を簡単に記録・管理できるアプリ版読書メーターです。
新たな本との出会いや読書仲間とのつながりが、読書をもっと楽しくします。
App StoreからダウンロードGogle Playで手に入れよう