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2024年10月の読書メーターまとめ

玄趣亭
読んだ本
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1579ページ
感想・レビュー
7
ナイス
1218ナイス

2024年10月に読んだ本
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2024年10月のお気に入り登録
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2024年10月にナイスが最も多かった感想・レビュー

玄趣亭
ネタバレテネシー・ウイリアムズ『ガラスの動物園』をモチーフにした短編『ユニコーンを握らせる』を再読。大学受験で「私」は「ローラ伯母さん」と呼ばれる親戚宅に泊まる。過去に上演中止になった公演でローラを演じる筈だった伯母さん。食事時、食器に記されたローラの台詞を発する。何らかのルールを自分に課す作中人物は小川洋子らしい設定。さらに伯母さんは毎日手袋を一目ずつ編み続ける。ユニコーンが掌に図案化された手袋。劇で青年紳士ジムに手渡されるガラス製ではない、掌で決して壊れず受け止めることの出来るユニコーン。そのイメージが切ない
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2024年10月にナイスが最も多かったつぶやき

玄趣亭

先月は私的に読書メーター登録10周年、感想800件目の登録と節目の月でした。継続することの動機付けとして節目を意識するのは大事ですね。これからもよろしくお願いします。涼しくなってきて、読書の秋に向け良い本との出会い、良い読書が待っていそうな予感。楽しみ~ 2024年9月の読書メーター読んだ本の数:7冊読んだページ数:2046ページナイス数:1172ナイス★先月に読んだ本一覧はこちら→ https://bookmeter.com/users/498200/summary/monthly/2024/9

玄趣亭
2024/10/12 10:44

宵待草様。何時もコメントありがとうございます。『稲垣足穂さん』は、私にも難解でした。「変に解ろうとしない方がかえって良いのかもしれませんが」などとコメントに書いてしまっています……(-_-;)。「実際にやる事と出来る現実の狭間」の中での優先度……悩ましいですよね。私は取りあえず日々リストアップして優先度を決める作業をしています。あまり考えずに最低限しなければいけないことをして、あとは気の赴くままにやりたいことができればと思いますが、難しいです。連休は良い天気になりましたね。ゆったりお過ごしくださいませ。

宵待草
2024/10/12 10:56

追伸 玄趣亭さんと同様に、毎月・毎週・毎日とリストアップして記し、自分に取っての優先順に、終わった事を消去する方法は、若い頃からの習いですが、やはり良い様です!💫 有り難うございます!🙋 昨日から、好きな歌人:水原紫苑の、歌集を読みながら、師:春日井建の歌風が受け継がれて居る事に、何だか嬉しく成りました!🍀 宵待草

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2024年10月の感想・レビュー一覧
7

玄趣亭
2014年刊。ドナルド・キーンと詩人辻井喬の顔も持つセゾングループ代表堤清二の対談。CSで放送された「日本の美と作家たち」という番組での対談がベース。対談内容は日本文化の源流の一つとして足利義政による東山文化への評価、安部公房、三島由紀夫、吉田健一など同時代の文学者達への回想、日本独特のジャンルである日記文学についてなど。それに個々へのインタビューが加筆された形。題名から戦後日本の文化を総括的に評価する本かと思っていたが、そこまで至らず。発言内容はともかく、本の構成において的が絞り切れていない印象。
tonpie
2024/10/29 01:03

「百代の過客」いいですね。読みたくなってしまいました。日本の明治以降の私小説は、意外と「日記」を書く文化的伝統に養われたような気がしてきました。

玄趣亭
2024/10/29 07:18

tonpie様。日本文化を解く鍵として各時代に残っている様々な日記をドナルド・キーンは読み込んでいるようです。以前彼の著作『石川啄木』を読みましたが、その中でもローマ字日記を高く評価していたのが思い起こされます。また、松岡正剛が始まりである日記文学『土佐日記』において、既にフィクショナルな要素を含んでいることを指摘していたのも思い出しました。おっしゃるとおり日記文学が私小説にも結びつく視点もあるかと思います。

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玄趣亭
通信制高校で再会した幼なじみの沙羅と万葉。友人関係で中学を不登校していた沙羅は読書する万葉に導かれるように本を読み始める……読書をモチーフにした連作形式の青春小説。二人とも今後の進路で悩みを抱え、読書はヒントにはなるけれど、決して解決そのものを与えてくれるわけではない。モヤモヤしたまま進むストーリーはかえってリアルかも。悩むのを二人のどちらかに絞れば、すっきりすると思ったが、作者が由としなかったか。もう少し力を抜いてと登場人物達を励ましたくなるものの、この時期ならではの悩みでもあるんだよなぁ。少し羨ましい
ガーネット
2024/10/27 08:46

読書メーター活動休止期間に読みました。レビューを残していないので、自分がどのような印象を持ったのか、クリアには思い出せません。でも、玄趣亭さんのレビューを拝読して「あぁ、そうそう」と少し蘇りました。本文から引用されている部分にも、読みながら「うん、そうやね。その喩え方、好きやなぁ」と感じたのを懐かしく思いました( ´ ▽ ` )

玄趣亭
2024/10/27 09:46

ガーネット様、コメントありがとうございました。通信制高校のことや読書との関わりは著者の体験を反映した作品のようですね。魅力的な題材の作品ですが、まとまりに欠ける印象もありました。引用した箇所でも少し回りくどい感じがしましたし……でも、「回り道が一番近い」と作者が語っているので、沙羅も万葉も悩みながらも自分の道を進んでいくのでしょうね。

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玄趣亭
久しぶりのSTANDARD BOOKS。日本人初のノーベル賞受賞者湯川秀樹の文章。科学研究の考え方を問う随筆や紀行文、京都の思い出など内容はオーソドックスなもの。特筆すべきは文章中に自作の短歌を入れたり、中国の故事の引用など著者の文人としての面が見られるところ。科学と詩や哲学等との関係性を語る文章は、現代の書き手からはなかなか味わえない部分。理系文系に収まらない知の巨人であることは言うまでもないが、その世界がどれ程広く奥深いのか、文章が簡潔にまとまっているだけにこの一冊だけでうかがい知るのは難しい。
玄趣亭
2024/10/23 01:02

自然との結びつきという点で科学と詩、あるいは科学と哲学も同じ所から出発し、行きつく先も同じではないかと述べる文章(『詩と科学』『科学と哲学のつながり』)。あるいは自然科学の研究であっても真か偽かという以外に美か醜かなど科学者の美意識の問題があるという文章(『自然美と人間美』)。この辺りは理系文系の垣根を感じさせない論考として、もう少し深く知りたいところだ。

玄趣亭
2024/10/23 01:03

千夜千冊で松岡正剛が引用した湯川秀樹の発言が忘れ難い。「科学者というものは、女の足の指を舐めるようなところがなくてはあかんのです」。まるで谷崎潤一郎みたいな発言!著者のイメージが変わるようなそんな文章に本書で出会えるかと思ったが流石にそれはなかった。もう一つ「素粒子の奥にはハンカチがたためるくらいの大きさの空間がある」という発言にも出会えず。松岡正剛は直接湯川秀樹に出会って話を聞いているので、その印象に基づいた湯川秀樹の世界と本人の文章とでギャップを感じてしまうのは仕方がないか。

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玄趣亭
ネタバレテネシー・ウイリアムズ『ガラスの動物園』をモチーフにした短編『ユニコーンを握らせる』を再読。大学受験で「私」は「ローラ伯母さん」と呼ばれる親戚宅に泊まる。過去に上演中止になった公演でローラを演じる筈だった伯母さん。食事時、食器に記されたローラの台詞を発する。何らかのルールを自分に課す作中人物は小川洋子らしい設定。さらに伯母さんは毎日手袋を一目ずつ編み続ける。ユニコーンが掌に図案化された手袋。劇で青年紳士ジムに手渡されるガラス製ではない、掌で決して壊れず受け止めることの出来るユニコーン。そのイメージが切ない
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玄趣亭
家族から旅立ったトムの回想による「思い出の劇」。蝋燭の炎に浮かぶ幻影。古いレコード、隣のダンスホール、不在の父親、自分の過去を子供達になぞらえる母親、引きこもりの姉。本作を名作たらしめているのは家族の普遍的な物語だからだが、同時に誰もが持つ過去への感情、懐古、憧憬、後悔など合い混ぜになった思いが描かれているからだろう。多くの人が盲目になった時代と当時を振り返るトムが、今は稲妻が世界を照らすと言う。初演の1944年は戦争の只中。80年経つ現在、稲妻が照らす世界の接近を意識し私たちはこの芝居を見るのだろうか。
玄趣亭
2024/10/14 13:33

小田島訳に続いて松岡和子訳を読む。お二方ともシェイクスピア全作の翻訳者。本作が古典的な価値を持つ作品である証か。本書は1993年上演舞台のためにアクティング・ヴァージョンを訳出したもの。新潮文庫版に比べスクリーンによる演出はカットされている他、ト書きの省略、台詞の改変なども。台詞の言い回しは本書の方が親しみやすい。一方で役者のやり取り中でのト書きは省略されている部分が多く、ジムとローラの場面などでは、ジムの台詞に対するローラの態度や反応がよくわからない。読み手は想像力を働かせることが必要となる版でもある。

玄趣亭
2024/10/14 13:34

読了後、本棚に埋もれていた田島博一訳の新潮文庫を見つける。小田島雄志訳より前のもの。数十年前、こちらで読んでいた。田島訳も上演用の台本を元にした版で、スクリーンを使った演出は用いられていない。また、松岡訳とも異なるテキストのようで、台詞が少し違っている。最後にトムは観客に挨拶をするような台詞で終わるのだ。こうなると、訳の違いというより読んだ版によって本作の印象が変わってしまうことになる。何だか悩ましい。テキストの異同を明記した版が出版されると良いなぁ。大変そうだけど。

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玄趣亭
数十年ぶりに再読した「追憶の劇」。ガラスの動物のコレクションのように儚い存在であるローラの悲劇として印象に残っていたが、読み返して家族がそれぞれ哀感を抱えた人達ということに改めて気づいた。過去の記憶に浸る母親のアマンダは『欲望という名の電車』のブランチを連想させる。作者が自己を投影させたと思しきトム。トムの中でローラは蝋燭の火で浮かぶ記憶の映像であり彼の詩情の原点。夢を追い、家族を捨て、流浪するトムにその記憶は辛いだけなのか。「蝋燭を吹き消してくれ」という彼の叫びが心に刻まれる。
Major
2024/10/13 18:29

昨夜の読書会では、貴重な資料を頂きありがとうございました。また、共楽会でご一緒できればと思います。折々、玄趣亭さんのレビューを拝読させていただければと存じます。よろしくお願いいたします。

玄趣亭
2024/10/14 13:27

Major様。先日はお疲れ様でした。コメントありがとうございます。テネシー・ウイリアムズが三島由紀夫と対談していた資料が図書館にあったので、紹介しました。アメリカの南部文学が繊細すぎる感受性とそれによる生きづらい魂という点で日本文学と似ているとのテネシー・ウイリアムズの指摘興味深かったです。その後太宰治に誤爆してしまったのは……(^^;)。今後ともよろしくお願いします。

が「ナイス!」と言っています。
玄趣亭
ネタバレ妻が巨大化していく肉体小説。異常な身体状況に陥った女性を前にして、身近な人物の行動が対象者の歪んだ鏡像となるところは、先日読んだハン・ガンの『菜食主義者』を思いだす(食事を取らず痩せ細っていく話だから設定は正反対だが)。物語は異形の妻の存在を世間から隠し続ける夫の行動中心に話が進む。巨大化妻に象徴される夫の肥大していく自意識は、自分達を追いつめ妻の死の遠因となった近隣や職場あるいは社会に対する「仇を取らなければ」との思いになっていく。馬鹿の振りをして、それは実行されるのだろうか。
が「ナイス!」と言っています。

ユーザーデータ

読書データ

プロフィール

登録日
2014/08/31(3743日経過)
記録初日
2014/07/03(3802日経過)
読んだ本
864冊(1日平均0.23冊)
読んだページ
253550ページ(1日平均66ページ)
感想・レビュー
812件(投稿率94.0%)
本棚
15棚
性別
血液型
O型
現住所
東京都
自己紹介

一介の本読み。

バイトしていた書店も無くなり、図書館で働いていたことも今は昔……
職場にあった書庫の夢は未だに見つつ、身の回りに本だけが残り、今も増殖しています。
積読本、読みたい本は多すぎるので登録は限定に。
感想・レビューは2014年9月読了分から。

多くの本で、感想で書き切れなかったことをコメントでつけ加えています。それぞれ途切れないようにまとめていますので、よろしかったらそちらもご覧いただければ幸いです。

基本的に本は購入して読みます。購入した以上は、なるべく楽しむ方向で本の感想をまとめています。

古書店で本を入手することが多く、流行りものには疎く、本の森を適当に彷徨っていますが、見かけることがあったら声をかけてやってください。

更新はPCにて。タイムラグ生じますが、ご容赦下さい。

画像はビアズリー「詩人の残骸」より。

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